「分配」と「課税」では、中間層などつくれない バラマキの後、次々やってくる「増税」【山田順氏インタビュー後編】
2021.12.11(liverty web)
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発売中のザ・リバティ1月号「自由民主党は社会分配党なのか」では、「分配と課税」を掲げる自由民主党の政策が実は社会主義政策であり、「共産党宣言」と見まがう内容であること、同じくバラマキと増税を訴える野党の政策は「問題外」と指摘し、警鐘を鳴らしました。
本欄では、政府のバラマキの後にやってくる増税に警鐘を鳴らすジャーナリストのインタビュー(後編)をご紹介します。
●「分配」と「課税」では、中間層などつくれない 規制だらけで「新自由主義」など行われたことがない日本【山田順氏インタビュー前編】
増税で、高額所得者だけでなく、庶民もお金が取られる!
山田 順
1952年、神奈川県横浜市生まれ。立教大学文学部を卒業後、光文社に入社。「光文社ペーパーバックス」を創刊し、編集長を歴任。著書に『隠れ増税』(青春出版社)、『コロナ敗戦後の世界』(エムディエヌコーポレーション)など。
──衆院選では「分配」がすごくクローズアップされましたが、よくよく見ると、どの政党も高額所得者に課税をするというのと、必ずセットになっています。
実は、高額所得者だけじゃなくて、庶民も課税されるということがばれてきているので言わなくなったのです。「金融所得課税」の増税などをやると言っていますが、日本のように、経済成長していなくて株だけ上がっている国では給料が増えないので、投資家だけではなくて、中間層が投資をしています。
株に投資したにもかかわらず、さらにその金まで持っていかれてしまうのなら、それではもう、生きていけないですよね。こんなことをやり出したら、中国より悪いかもしれない。完全に成長はしないと思います。
もうすでに、民間の株を日銀が買わない限り株価が上がらないし、公的資金も全部つぎ込んでいる。それは民間金融市場を国が圧迫しているということですから、「新自由主義」でも何でもありません。
ばら撒いたら、穴埋めのために増税の嵐がやってくる
これから先を真剣に考えると、日本政府は過去最大の財政支出をしたのです。この穴埋めはどうしてもしなければいけません。ドイツなどはもう増税を始めようとしていますし、デンマークもニュージーランドもそうです。
東日本大震災の時は所得税に上乗せして復興税というものをつくりました。今回も、コロナ復興税をつくって、数パーセントでも所得税に乗せる、などするほか仕方がないと思います。
財政支出が増えているのを、国債をどんどん刷って日銀に助けてもらったら、いずれ物価が上がります。2%上がるということは、税金を払っているのと同じです。それは「インフレ税」といって、もっとたちが悪いことになりますが、庶民の側は「物価が上がったのね」で済んでしまう。でもそれは、経済政策の失敗なのです。
だからその前に、とにかく「消費税を15%にしなきゃいけない」と、財務省でなくても皆、思っているんです。岸田首相は当面は消費税の増税はやらないと言っているけれども、2025、26年には当然、15%までは上げないと無理だということは分かっています。
それ以外にも、ガソリン税とか自動車関係の税など、目くらましでいろいろな税金を何か上げていかなければいけないので、知恵を絞って考えている。その中で金融取引課税を20%から30%にしようとしたのですが、いったんは反対になって、出来なくなっています。しかし今度は、「取引数に応じて課税する」とか、いろいろなことを考えると思います。
金持ちから資産を本当に取り上げようとしたら、最悪なのは、資産課税があります。それから、絶対的にかかってくるのが炭素税です。バイデン米大統領が反対していないので、2020年代には国境炭素税をつくらなければいけなくなってくる。そうすると必ず炭素税をどこかで導入するというように、完全な増税に突き進むしかないのです。
相続税は、本来あってはいけない税金
相続税は強化されていますし、今後も増税はあるでしょう。でも、相続税というのは、本来あってはいけない税金だと思うのです。
自由な資本主義社会で、皆、競争して富を築いた間に、いろんな税金をたくさん納めているわけです。所得税は払ってきた、固定資産税は払ってきた。そして、最後に残ったものに税金を掛けて取り上げる。誰がそんなことをする権利があるのでしょうか。
もしその権利があるとしたら、一つは暴力団で、一つは国家です。暴力団は脅かして取りますが、国家は勝手に取ることになる。日本はちょっときつすぎると思います。相続税をなくしたほうが発展するでしょう。
税金に対するシビアな感覚がないサラリーマン
あとは、所得税率をフラットにしたほうがいいです。この制度の一番悪いところは、サラリーマンの源泉徴収を全部会社がやることになっていることです。源泉徴収制度のシステムは、要するに戦前に、国が戦争を遂行するために一番税金を集めやすいシステムとしてつくったわけです。それを、官僚たちが楽できるから残したんですよ。
本来、所得税というのはどこの国でもだいたい、会社からもらったお金を自分で申告するシステムですよ。日本は、会社が給料から天引きして税務署に納めるので、会社員である時に自分がいくら"ぼったくられている"かが分からないので、税に対するシビアな感覚が若い時から育たないということです。
本来、政府が経済をコントロールできると考えるのが間違い
増税を止めるためには、どこかでバラマキを止めないといけないんだけど、いい加減にしなさいと誰も言わないから、バラマキが延々と続いてしまっています。
お金をつぎ込むのではなくて、知恵だとか何かでイノベーションを起こさない限り、無理なのです。それは国にはできません。皆、「食べられない」とか、暮らしが必死になるので、それが本当の競争を起こしていろいろなことをやるのです。だから、国が余計なことをやってはいけない。「新しい資本主義」と言わないで、「勝手にやってください」でいいわけです。
政治家の人たちは経済をコントロールできると勘違いしている。庶民もそう思い込んでしまっていて、「政治家が何とかしてくれる」とか、「国の経済政策で何とかしてくれる」と思っているわけです。
でも、経済は自律的にしか動かないのだから、コントロールなど絶対にできません。国民が自分で稼ぐしかないのです。稼ごうとした時に規制だらけだったら、それも無理になってしまいます。
本来政府がやるべきことを言えば、不況の時には税金を上げてはいけません。庶民が豊かになったらお金を取ってもいいけれども、税金はなるべく上げないようにすべきなのです。そして、皆が自由に経済をやって儲け、豊かになれるようにして、国は口出ししないことです。(了)
【関連書籍】
『ザ・リバティ』2022年1月号
幸福の科学出版
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2022年1月号 社会主義政党を目指す 自由民主党は社会分配党なのか
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2021年12月10日付本欄 「分配」と「課税」では、中間層などつくれない 規制だらけで「新自由主義」など行われたことがない日本【山田順氏インタビュー前編】
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2021年11月27日付本欄 未来はまだ変えられる~いま知るべき中国の本性と危険性~「ザ・リバティ」1月号(11月30日発売)