《ニュース》

三井住友フィナンシャルグループ(以下、FG)が4日、脱炭素を目指す金融機関の国際的な枠組みから脱退しました。トランプ政権発足前後より、アメリカで主要銀行の離脱が相次いでおり、他の大手邦銀も現在、離脱を検討していると報じられています(5日付日経新聞朝刊)。

 

《詳細》

三井住友FGが脱退したのは、「ネット・ゼロ・バンキング・アライアンス(NZBA)」という国連主導で立ちあげられた国際金融組織。2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにすることを目標に掲げ、各国の大手銀が協調して投融資先企業の脱炭素を促進してきました。

 

2021年の発足当初、日本のメガバンクは「我が国の金融機関は脱炭素の国際的議論に出遅れている」と危機感を抱き、三菱UFJフィナンシャルグループを筆頭に続々参加を表明。欧米勢が先行するルール作りに参画する意欲を見せ、三菱UFJFGが運営委員会に選ばれるなど一定のポジションを確保してきました。

 

こうしたなか各行は、投融資先の中小を含む企業がどれだけ温暖化ガスを排出しているか"見える化"して、"脱炭素を支援"し、国内外の再生可能エネルギー投資を加速するなどしてきました。それはすなわち、CO2排出量の多い産業や企業などに対して、事実上の経済的圧力となってきました。

 

しかし昨年末、脱炭素からの撤退を訴えていたトランプ政権の誕生を前に、米大手投資銀行ゴールドマン・サックスが離脱を表明。これを皮切りに、ウェルズ・ファーゴ、シティグループ、バンク・オブ・アメリカ、モルガン・スタンレーなど米主要銀が相次いで離脱しました。

 

三井住友FGの離脱もこれらに続くものであり、現在、三菱UFJFGやみずほFG、野村ホールディングスなども同様の検討を進めていると、日経新聞は報じています。

 

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