小浜逸郎・ことばの闘い

評論家をやっています。ジャンルは、思想・哲学・文学などが主ですが、時に応じて政治・社会・教育・音楽などを論じます。

米国通の人からのメール(2)

2021年07月22日 12時31分33秒 | エッセイ


以下に掲げるのは、ある米国通の知人からいただいたメールの一部です。管理人なりに、指摘が的確だと判断しましたので、ご本人の了解を得て、ここに転載させていただくことにしました。

小浜さま

もう一つコロナに関連して言い足りないことがありました。

最近、西村経済再生担当大臣が、酒の提供を続ける飲食店について、取引のある金融機関には「働きかけ」を要請したり、酒の卸業者には取引停止を要請するなどと、とんでもないことを言って、すぐ撤回しました。

私はこの発言を最初に聞いた時、「あ、来た来た」と思いました。何が来たかと言えば、アメリカで流行ってる手法が日本に上陸したということです。

これは大変な話だと思いましたが、すぐ撤回したので、日本はまだ健全だと思い胸をなでおろしました。

アメリカなら撤回などしません。撤回は負けですから、負けは認めません。アメリカ人ならこう言います。
「酒の提供を続けるのは公共の安全を脅かす、それに協力する周囲の者には皆責任を負わせるというのは当然でしょう?そうじゃなければどうやって違反を撲滅させるんですか?」

日本のように政治家が口で言っただけで圧力をかけることもありますが、すぐに法律を作って罰則を設けたりすることも頻繁に行われます。どこから援助を受けているのかわからない団体が、大声でものを言ったり、デモをやったり、嫌がらせに類する行為をしたりというのも頻繁にあります。

メディアを利用するなどしてターゲットを徹底的に悪魔化し、周りの人間を使ってターゲットを叩くというのは、非常に汚い陰湿なやり方で、これぞ社会の中の人々のあいだに憎しみを醸成し社会の崩壊につながる危険な手口です。DS(ディープステート)やイデオロギーに染まった勢力が使う常套手段ではないでしょうか。
こういう勢力はでっちあげやペテンを含むあらゆる機会を利用し、あらゆる人達を巻き込み、あらゆる手段で世の中を動かす実践力にたけていますから、怖いものです。
この傾向が近年アメリカでますます露骨になってきているので、そのうち日本にも来るのではないかと思っていた矢先の西村大臣の発言ですから、背筋に恐怖が走りました。

西村発言はただ事ではないのです。
非常に危険な思想を社会に種まこうとした言論で、たんなる失言ではすまされません。野党は徹底的に攻撃して辞任させなければいけないと思います。
コロナ対策の問題だけではないのです。社会の根幹を揺るがす大きなひび割れの始まりとなるほどの問題なのです。今回西村大臣が撤回しなかったら、周囲の者を使ってターゲットを叩くという手法が標準化してしまったかもしれないのです。

古今東西こういう行為はあったと思いますが、アメリカの動向をフォローしているとそれがますます頻繁に行われるようになってきているのが明白にわかります。
アメリカではトランプ支持者、関係者、さらには本人がトランプ支持者でなくてもトランプ支持者に関連する人達は徹底的に叩かれています。
例えば、トランプ支持者の枕の製造会社の社長が叩かれるだけでなく、その枕を置いているデパートや小売り店も叩かれるのです。広告を載せている新聞も叩かれます。従業員もその子供も嫌がらせを受けているのでしょう。評判の良い枕ですが、その枕を使っている人達もすやすやと眠れなくなるのです。

幸い日本では、「長年にわたり培ってきた顧客との信頼関係を毀損する引き金になり得る」と現場から声が上がったということですが、これ常識でしょう?
政治家はこんなことがわからないのでしょうか? 飲食店と取引のある卸業者や金融機関の困惑がわからないのでしょうか?
こういうところを見ると、お互いの信頼関係の中で真摯に働いている国民の社会からいかに政治家が疎い存在であるのかがわかります。
近年「国民に寄り添って」という言葉が政治家の間で流行っていますが、それが口だけというのはすぐわかります。世間を知らない人が政治家になることの恐ろしさを忘れてはいけません。

アメリカでは「信頼関係」など、重きを置かれないと考えた方が良いです。勝手にルールを作って、だめはだめ、というのが基本です。
われわれは日本社会の良さを守っていかなければなりません。
信頼関係が無い国は契約がやたら増えます。規範や道徳のしっかりしていない国はやたら法律が増えます。法律が増えると取り締まりが多くなります。そういう国では不公正な取り締まりが多いのです。日本はそんな国になってはいけませんよね。



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