潮音院本堂屋根瓦葺替 平成の大改修竣工落慶 願文
敬って真言教主大日如来、両部界会諸尊聖衆殊には高祖弘法大師、当山本尊聖観世音菩薩、総じては尽空法界一切三宝の境界に日して白さく。
夫れ諸仏の聖業は大慈を以て先と為し 菩薩の行願は大悲を以て本となす。大慈は楽を与え、大悲は苦を抜く。抜苦与楽の基は報恩謝徳の浄業にあり。
天正二年中興開山と伝えられし当山潮音院の現精舎は、戦後昭和二十五年五月に再建落慶し現在に至れり。その後、昭和六十二年に屋根瓦の改修工事を実施。しかしながら、今冬例年になき大雪に見舞われし本堂屋根瓦は、無残にも崩壊崩落に至る。潮音院護持会「一灯会」では、度重なる会議を開催。屋根瓦改修に向けた具体策を検討す。しかるに、川尻建築並びに寺院仏閣瓦葺きを専門とする株式会社匠瓦にその工事をゆだね、本堂屋根瓦全面葺き替えの英断をくだし、中野文吉一灯会総代長を始め総代役員一同、一丸となってこの大事業を貫徹せんとの意思を固める。
今般、三ヶ月の経過を費やし威風堂々たる中にも清々しく凛とした様を呈する屋根瓦として見事に竣工の日を迎え、本日はここに吉辰を卜して、竣工落慶の法要を厳修す。しかればすなわち、遠海山峰辺の諸鳥は、梵唄の妙音に和し、平戸瀬戸の潮の音は、法の松風とともに大悲殿の棟瓦をなでるが如く吹き流れ、抜苦与楽の法輪を転ず。
仰ぎ願わくは潮音院ご本尊聖観世音菩薩、諸尊聖衆、堅牢地神、当山当所鎮守稲荷大明神、諸天善神、哀みん加護して潮音院壇信徒一同の浄業を納受せしめ給わんことを。
乃至法界平等利益
平成二十五年七月十六日
遠海山蓮花密寺潮音院法主 光洋 敬白