こ も れ び の 里

長崎県鹿町町、真言宗智山派、潮音院のブログです。平戸瀬戸を眼下に望む、人里離れた山寺です。

庚申祭り

2006年09月24日 | 仏教

 

 地元のやんぼし(里山伏)さんが、療養中のため、

私が急遽ピンチヒッターで、「庚申祭」を司祭させてもらう。

地区の役員さんたちとともに、庚申塚にぬかずき、

村内安全や五穀豊穣、家内安全、身体強健を祈願。

祭祀が終わると、近くのお堂の境内で相撲大会。

子どもたちを中心に取り組みが始まり、

そのうち、酒に酔った大人たちも参加して、

祭りは佳境にはいる。

周囲に実った稲穂が涼しい秋風にゆられ、

おまつりのBGMを奏でる。

晴々とした秋空は、

何百年も続いてきた村の行事を、

とてもあたたかく見守っていた。

まるでタイムトリップしてしまったかのようだ。

***********************

ちなみに、庚申祭りは全国津々浦々で行われている。

庚申待ち・庚申会(え)と呼ぶところもある。

これは、寝てはいけない、徹夜の祭り。

なぜか?

それは、もし、庚申祭に寝てしまうと、

人間の身体の中にいると言われている「三尸」サンシ(三匹の虫)が

身体から出ていって、天の神様に告げ口をする。

私たちが、日常の生活の中でおかしている小さな罪や、過ちを

チクリやがるんだな、これが。 ・・・リーク野郎だ。

問題なのは、チクられると、チクられた人の寿命が短くなってしまう。

これは一大事だ。

それで、この日は、一晩中、寝ないでおこもりをするわけだ。

起きてれば、この虫は出ていけないらしい。

  面白いね。

仏教系の祭りは、帝釈天や青面金剛を祭神として拝む。

一方、神道系では、猿田彦を祭る。

 

「この虫 何の虫 恋の虫~♪」(^_^;)



 

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温故知新

2006年09月22日 | 仏教
 秋のお彼岸中、3ヶ所のお寺さんで講話をさせていただく。

今回、念願だった小さな会議用プロジェクターと、

収納式の携帯用スクリーンを購入した。

近頃はとてもお手頃な値段になってきていた。数年前の半額以下だ。

 パソコンや延長コードとともに、いそいそと各お寺さんへ出向き、

「弘法大師の生涯とその教え」と題した講話を意気揚々とおこなう。

新しいお彼岸説法のかたちをどうぞ、お楽しみ下さあ~い!

とばかりの意気込みで。

・・・

終了後、数人の聴衆の方からこんなお話を賜った。

「いや~、よかった!とても懐かしかったですよ。」

「昔はよくお寺の行事でやってましたものねえ。」

「最近の幻灯は、暗幕を張らなくていいから便利だね。」

・・・

 あぁ思い出した。幼い頃、師僧である親父が大きな映写機や、

いろんな種類のフィルムが入った革のバッグを抱えて、

お寺さんや公民館に出かけていたことを。

 なんてことはない。

器械が近代化しただけで、やってることはさほど変わらない。

っていうか、内容的ソフト的には、昔の方がはるかに豊富だ。



・・・いろいろ複雑な思いが巡る秋のお彼岸。

まあ、懐かしく思って下さっただけでも良しとするか。

めげずに、謙虚に、前向きに。

精進精進!!
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秘密の隠れ家

2006年09月21日 | 仏教
お大師(弘法大師空海)さまは、幼少の頃、
蓮の花の上に座り、
多くの諸仏諸菩薩と楽しく懇談している夢を
よく見られていたという。

また、
小さなお堂を造り、
土を練って仏像をこしらえ、
そのお堂に安置して手を合わせ礼拝する、
そんなことを日常の遊びのなかでやっておられたらしい。

私はどんな子どもだったろうか?
回想してみた。

裏の築山から、モグラの怪獣が出現!
築山の庭石やつつじの木を天高くはね飛ばしながら、
私に向かって襲いかかってきた。
恐怖におののく私は、
逃げようと試みるが身体が動かない。
必死の努力の末、やっと開放されたと思った途端、
下半身の異常な冷たさと不快感で目が覚める。

・・・そんなことが思い出される。
円谷プロダクションの影響はかなりのものだったようだ。

裏山の雑木林の中で、
秘密の隠れ家を造るのが至上の幸せだった。
ダンボールや木ぎれ、小石を集めながら、
たっぷり時間をかけながら、何日もかかって造りあげていく。

できあがった隠れ家には、
愛読の漫画本や、ビー玉、ペチャ(メンコ)、仮面ライダーカード、などなど、
至極の宝物を持ち込む。
仲のいい友だちだけを招待し、
楽しい時間を共有する。

・・・とまあ、こんな子供時代。


人間は、大きくなるにしたがって、
社会に適応し、世間に順応できる力というのか、
要領というのか、賢さというのか、
そんなものを身につけていかなければならない。
そうでなければ、反社会的な人間として、
もしくは、変わり者呼ばわりをされて、
とても生きにくい環境になってしまう。

だから、無理にでも大人になる必要がある。
無理して頑張っている大人たちは、
時として、現実から逃避する。
社会や世間という枠組みから飛び出して、
子ども時代の純粋な自己中心世界に舞い戻る。

私の知人に、隠れ家を持つ大人がいる。
程良い広さの森を買い、
森林に手を入れ、
自然の木材を駆使しながら、
カバノンという隠れ家を造った。
里山のBARだ。

仕事の節目節目に、
好きな仲間たちに声をかけ、
小さな、しかし素敵なイベントを企てる。
お酒一本をギャラに一流のアーティストを呼んで音楽会。
星空を背景に野外映画会。
こだわりのお酒やこだわりの料理で、
カバノンパーティー。

羨ましい限りだ。
ほとんどのイベントが土曜日に開かれるため、
私は一度も里山を訪ねたことがない。
・・・くやしかあ!

毎日真面目に職場へ通い、
接待ゴルフや接待キャバクラ、接待カラオケで汗をかき、
町内会のお付き合いや、親戚とのお付き合いにも気を配り、
たまの休日には、家族思いの素敵な大人をつとめ、
そんな毎日で人生が過ぎていく。

・・・こんな環境の大人にとって、
隠れ家という存在は、パラダイスに違いない。


 お大師さまは、京の都と高野山を
何回と無く往来した。

京では、庶民教育や社会福祉活動、そして、
国家の安泰の為、
様々な角度から天皇を指南した。
 そして、時折、遠く人里離れた高野の森へ帰り、
弟子たちとともに禅定に入り、宇宙と一体になった。
 こうして、心身共に鋭気を養ったお大師さまは、
また、京の都へと向かう。

 この繰り返しが、偉大な功績の礎になった。


・・・ 時として、我が侭に生きる子ども、に成りきること。

 案外、大事なことかも知れない。(イヤ、トッテモダイジサ!!)








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調和のとれたものの見方

2006年09月20日 | 仏教
仏教では、ものの見方考え方を正しましょう!ということを終始説き続ける。
「正見」・「正思」だ。
 しかし、簡単な言葉だが、言葉のように簡単にはいかない。
「正しい」とは、「真理に合った」「調和のとれた」考えや見方、行動を意味する。
 
 物事を観察する場合、私たちが最も陥りやすいことは、
ひとつの限定した枠の中だけしか見ていない、という事実。
だから、その枠の外側の現象とは無関係に物事を判断してしまう。

 ある人が、突然前を歩く人を後ろから突き飛ばし、
顔や手足に大けがを負わせてしまった、とする。
 この様子だけをテレビの画面などを通して見ていた人は、
「なんて人だ、けしからん!」と思うに違いない。
 しかし実は、前を歩いていた人の頭上からは、
建築中のビルの足場が真っ逆さまに落下していた。
後ろを歩いていた人はその危険に気がつき、
とっさに前の人を思いきり突き飛ばし、
その人の命を救ったというわけだ。
 現場にいて、その一部始終を見ていた人は、
「とっさの判断で一人の命を救ったすばらしい人だ!」と称讃する。

 限られた枠の中だけで物事を判断したり、
それを真実と思いこんでしまうと、
大きな偏見や誤った行動に結びついてしまう。

 テレビや新聞、雑誌やインターネットなど、
私たちの周りには、数多くの限定された枠が存在する。
そのことを理解しているだけでも、
誤ったものの見方考え方を避けることができるに違いない。


 
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先代の一周忌法要無魔厳修

2006年09月19日 | 仏教
台風13号一過の翌18日。
ご本尊観音様のご縁日。
そして、先代住職の一周忌法要が厳修された。

10:00 平戸西高野山ご山主から「供養」について御法話。
10:30 5人のご住職方による読経。
11:30 先代墓所参拝。
12:30 別所にて法宴。
15:00 寺へ戻り法宴二次会。
18:00 親戚のみで法宴三次会。
24:00 施主のみダウン就寝。
02:00 終焉、全員就寝。

まあ、これがこの辺の平均的な年忌供養の一日だろう。

ともあれ、元気で明るい親類縁者ばかりで、

嬉しい限りである。同じ血が流れていると思っただけで、

自信が涌く。

しかし、

・・・私だけは、途中でリタイアしてしまったが。
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