見見楽楽 ~九州ぶらり放浪記~

おむすびころころ
鹿児島を中心にあちこち出歩いております。

しんこ団子発祥の地『深固院』と廃仏毀釈

2009年11月07日 22時46分29秒 | 訪ねたイイ所…鹿児島編
皆さん、「しんこ団子」って知ってますよね?
小さなお団子4つくらいを串に刺して表面を焼いて醤油ダレで味付けした如何にも庶民的なお団子のアレです。
どうもこれって鹿児島独特のお団子みたいです。
他県では甘い醤油ダレに葛を入れた「みたらし団子」や「醤油団子」など類似品があるようですが、「しんこだんご」という呼び名は鹿児島だけなんだそうです。

さて、その「しんこだんご」発祥の地が日置市日吉町にあります。
鹿児島市直木町(旧松元町)から吹上町永吉に抜ける県道35号線に扇尾小学校という小さな学校があります。
その扇尾小学校のすぐ近くに『深固院』(しんこいん)というお寺跡が残っています。
14世紀(南北朝時代)の石屋眞梁という偉いお坊さんが開いたお寺です。
石屋眞梁は、妙円寺参りで有名な妙円寺(伊集院)や薩摩藩主島津氏の菩提寺であった福昌寺(現在の玉龍高校)を開いた曹洞宗のお坊さんです。
石屋眞梁和尚は西暦1343年伊集院忠國(島津家一門)の第11子として伊集院町で生れ17歳で禅の修業に入ります。
京都や各地で修業を重ね、41歳で薩摩に戻り43歳の時に幽遠山深固院を開きました。
当時、時代は戦国時代の南北朝時代。
度重なる飢饉で地区民は飢えで苦しんでいた際に石屋和尚は田んぼの落穂を拾い、それで粉を挽いて団子にして地区民にふるまったそうで、これがしんこ団子の始まりと言われています。
11月15日(日)は石屋和尚の偉業を称えた深固院祭りが開催されます。

ちなみにしんこ団子の由来は上記の他に
上新粉(うるち米の粉)で作る団子だから、『しんこ団子』。
…という説もあります。


石屋眞梁和尚の墓です。


廃仏毀釈でかなり破壊された対の仁王像。


明治2年から4年の間に石屋眞梁和尚ゆかりの妙円寺や西日本随一といわれた島津家の菩提寺福昌寺も同様に破棄されました。
慶応元年に1616あった鹿児島のお寺が明治4年には全てなくなったそうです。
貴重な文化財遺産が破壊されたり盗難で持ち出させれたり…
現在でも妙円寺参りの解釈で徳重神社と復興された妙円寺との食い違いも表面化しています。
今では、鹿児島の偉人によって成し遂げられた明示維新の影として鹿児島の廃仏毀釈はどのように扱われているのでしょうか?


撮影日:2009年11月7日
Nikon D200
Ai AF Nikkor 35mm F2D