M尾君が久しぶりにヒゲを剃ってくれとやってくる。ずいぶん立派に伸びていて、電気剃刀が難航する。剃刀の小さな穴に伸びすぎたヒゲが入りにくい。さらに、先のほうが適当に入ると、長くなったヒゲを巻き込んで根元から引っこ抜いてしまうのだろう、あちこちぶつぶつと出血がある。格闘という感じの髭剃りである。
しかし、彼はT字かみそりは苦手らしい。何か過去に嫌なことでもあったのだろうか。電気かみそりで自分で剃ろうともするが、必ず剃り残す。髭剃りの時間はあって、苦手な人はそこで剃ることができるのだが、女性(男の職員もいるのだが)が苦手らしく、僕のところにやってくるわけだ。しかしながら、必ずしも僕でなければならないということでもないのが不思議で、こうやって時々しかやってこない。あんがい何かの挨拶代わりなのかもしれない。
「最近あんまりおらんやったね」
「うん、でも、ひととおり用事は済んだよ。これからはいるよ」
「いや、忙しがしかならおらんでもいいよ」
とのことである。僕はそれぐらいの必要度らしい。
もう少し、短いうちにこちらから声をかけると、「まだ、よかよ」という。彼の髭剃りのポイントというか、基準はなんなのであろう。謎であるが、僕は頼まれてからの髭剃りの人なのである。頼まれてから、剃ればいいのだ。
しかし、彼はT字かみそりは苦手らしい。何か過去に嫌なことでもあったのだろうか。電気かみそりで自分で剃ろうともするが、必ず剃り残す。髭剃りの時間はあって、苦手な人はそこで剃ることができるのだが、女性(男の職員もいるのだが)が苦手らしく、僕のところにやってくるわけだ。しかしながら、必ずしも僕でなければならないということでもないのが不思議で、こうやって時々しかやってこない。あんがい何かの挨拶代わりなのかもしれない。
「最近あんまりおらんやったね」
「うん、でも、ひととおり用事は済んだよ。これからはいるよ」
「いや、忙しがしかならおらんでもいいよ」
とのことである。僕はそれぐらいの必要度らしい。
もう少し、短いうちにこちらから声をかけると、「まだ、よかよ」という。彼の髭剃りのポイントというか、基準はなんなのであろう。謎であるが、僕は頼まれてからの髭剃りの人なのである。頼まれてから、剃ればいいのだ。