カワセミ側溝から

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

仁義の墓場

2009-11-20 | 映画
仁義の墓場 Graveyard of Honor  Trailer


仁義の墓場/深作欣二監督
 字幕だとつれあいが眠たくなるというので邦画を観ることにしました。でも、僕のこの選択で良かったのかどうかはよく分かりません。
 仁義なきシリーズらしく、実話を元にしたドキュメンタリー調でありながら、完全に創作モノなんじゃなかろうかという作りです。石川力夫というのは実在の人物だったらしいですけど、確かに変わった人だったみたい。シマを守るという意識から過剰に敵対する団体に暴力をふるい、身内に迷惑ばかりかけている。しまいには自分の親分にまで反抗して切りつける始末。もうどうにもならんということで、大坂に飛ばされ、そこで麻薬に侵され、ちょっと気がふれた感じになって戻ってきて、自分をかばって面倒を見てくれている兄弟分に逆切れして射殺してしまったりするのであった。自分の奥さんというか女も、強引に強姦(強引だからそういうんだっけ)して手なづけている感じだし、それでも一途に支えてくれているものの結局病気をうつして自殺されてしまう。なんというかやくざの矜持に生きている人というより、単なる狂人の一生ということのようです。
 もともと暴れん坊だったのだろうけど、ヤクザ社会のしきたりさえ守れない反発をしたために命を狙われてもおかしくない立場になってしまい、その時におそらく精神を病んだのだろうと思いましたね。正直に見るとそのようにしかとられないんじゃないでしょうか。女が苦しみながらもいうことを聞いて支えていたのは、そんな男が好きでもあり不憫でもあったのではないかと思います。そうするとこの話はすんなり理解できて、単に治療しとけばよかったのかもね、ということなのでありましょう。渡哲也の病的な感じの演技も、それは見どころには違いないけど、それはそうなって当たり前でしょう、と、僕のような業界人間には見えてしまうのでありました。
 しかしながらたくさん血糊と分かる血が流れ、なんでそうなるの、という破天荒ぶりは、ストーリーさえ破綻させる力強さがありました。
 また、ヤクザ社会を描いているわけですけど、戦後の焼け跡から資本主義社会が成り立っていく様も、なんとなく見て取れて、なるほどな、とは思いました。日本という国は、本来は裏社会であるヤクザというものが、地道に資本主義の土台を築きあげていったのだということなのかもしれません。表の出ようと選挙に立候補しても落選したり、しかし米軍とつながって政治的に画策する術は持っていたり、結局今の時代とそんなに違うことをしているわけではありません。そういう中で石川という男は、幼いまでにヤクザだった、ということなんだろうと思います。仁義さえ守れない破滅したヤクザだったくせに、自分の墓には仁義と掘らせて眠っている。矛盾しているようだけれど、ヤクザとしての生き方はまっすぐだったと思っていたのかもしれません。
 こういう世界に憧れたり共感したりする日本人がいたからこそ、このような映画が一時期たくさんつくられた訳ですが、今の日本人には基本的なところはよく分からなくなってしまったようにも思われます。むしろ外国の映画好きから、今だに熱狂的なファンがいたりするわけで、日本って面白いってことになってしまったんだな、という思いがしてしまった映画でありました。


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なんか、いつかの子供がまた…

2009-11-20 | 時事
携帯ゲームで千客万来

 僕らの子供のころにお菓子の中に入っているカードを集めるのが流行った。おそらく今も似たようなお菓子は存在すると思う。
 問題なのは、カード欲しさに中身のお菓子は捨ててしまうというような現象が起こったことだ。レアなカードが欲しいだけで、中身なんて食ってられないのである。僕らの親世代は食糧難で育った人が多かったので、この現象に驚き嘆き悲しんだ。このお菓子自体に倫理的な問題があるのではないか、という議論は当時かまびすしかったと記憶している。
 しかしながら、これって結局子供の問題なのではない。食べ物をそのように扱っていいとは到底思えないまでも、しかし、人間の欲求としてそのような収集癖のようなもの、あるいはゲームに対する競争というか闘争心というものは、もっと人間の根源的なものなのかもしれない。結果的に売れればいいというのは経済かもしれないが、やはり病的な感じは否めない。
 しかしゲームだからこのような嫌悪が生まれるということは言えて、いまや買い物には多かれ少なかれこのような特典の付随する商品の価値だけでは無い複雑なものになっている。人間の欲求を利用しているようで、結局は人間自身がその中に埋もれてしまう生物だということにすぎないということのようである。
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