フィギュアなあなた/石井隆監督
リストラされてやけ酒飲んで、やくざに絡まれて逃げ込だ廃墟ビルの一室に、人身大フィギュア人形が置いてあった。等身大の女性にほとんど変わることのない精巧な作りに驚かされるわけだが、人形とはいえいたずらのようなことに熱中していく。そうしているうちに追っ手のやくざに見つかり、ほかのやばい連中とも合流があり、血なまぐさい展開へと突入していくのだった。
まあ、ストーリーはどうでもいいという感じのポルノ作品には違いないが、何か間合いがやたらと長く、演出としてはどうなんだろうという感じである。しれなりのドラマはあるはずで、意外なところもあるのだが、うまく活かされていない。そうではあるが、主演の柄本佑と佐々木心音は熱演である。ポルノとしての濡れ場ばかりがやたらにある作品ながら、どういうわけだかそんなにエロっぽくない。ぎこちないことを延々とやっているし、なんとなく現実感がないというか、みんな服を脱いでいる割に、裸に何かリアリティがないというか。
それと正直にいって、主人公は情けないうえに動きががやたらにのろく、何をするにもちゃんとしていない。もう少し落ち着いてことを考えるくらいのことをしなければ、結局何も進まない感じがする。待っている間にシラケていくので、映画としてはかなり失敗してしまったのではなかろうか。頑張ってるんだけどなあ、という感じで同情してはしまったが。
しかしながらフィギュアの女の子も結局は従順なわけで、未熟な男はそういう女を求めているということなのかな。ある程度は女のほうがそういうことに柔軟に生きていることが多いだろうにせよ、これでは最後まで溝なんか埋まらないはずだよな、ということも考えてしまいました。男女の恋愛の深みなんて全くない話だから、そんなことを考えても仕方ないんだけどね。