カワセミ側溝から

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

番号に憑りつかれる人々   番号は謎

2020-10-03 | 読書

番号は謎/佐藤健太郎著(新潮新書)

 子供のころある友人からハガキをもらったのだが、あて名の住所のところに番地の番号しか記載がしていない。なるほどそれで、郵便番号は何県から住所町名あたりまでの意味らしいな、とその時悟った。だからといって番号マニアにまでならなかったが、面白くは感じて番号の意味を考えることはあった。例えば始発列車の先頭車両なのに一番大きな番号なのはなぜだ、というのは駅員さんに聞いたことがあった(東京を目安に上り下りがあるためだが、なんだか説明するのがめんどくさい。要するに地方の上り列車の先頭は、来た時と逆のおしりが先頭になるためだ)。マイナンバーなどを国民的な議論があったが、つまるところその数字の意味などをあまり知らない。そんなことで議論していいのかと思われるが、まあ、これを読んだら少しはすっきりするかもしれない。
 日常生活の中で、番号を振っているものの中に埋もれて暮らしている訳だが、この番号のおかげで、ある程度の秩序が保たれて、いわば安全に暮らせているという現状があるはずだ。そういうと大げさに聞こえる人もいるかもしれないが、番号で整理されてないと、大混乱になっていることだけは間違いない。番号のない世界になると、電話だって容易にかけられないだろうし、郵便物や物流、あらゆる製品の整理に関わる仕事が、ものすごく煩雑になっているはずだ。そういう番号にまつわる話を、面白おかしく紹介してある。なかには番号に執着している人間模様も見て取れるので、興味深いだけでなく、人間のサガのようなものも理解が進むに違いない。
 やはり子供のころ午後3時の文明堂CMの「カステラ一番、電話は二番」という意味がよく分かっていなかった。でもまあこれが分かりやすい宣伝であるという話は聞いたことがあって、やはりよく意味が分かっていなかった。でもまあ子供なんで、分からないまま放置していた。しかしこの本を読んで、その謎が解けた(というか多くの人はすでに知っていただろうことも知ってショックも受けた)。本当に文明堂は電話番号に二番を使うこだわりがあったということだ。さっそくネットで調べてみると、総本店とか古くからの店舗は、末尾が0002で揃っている。残念ながら多くの店舗を抱えている関係だと思うが、末尾が揃っていない店舗もそれなりにある。おそらく新しく進出した地区での電話番号に0002番がすでに使われていたということなんだろう。そういう意味では、番号だけで店舗の設置の歴史などもひも解くことができるかもしれない。
 そのほかスポーツの背番号や、国道や鉄道のホームにまつわる話など、本当に興味深い番号にまつわるネタが満載だ。これを読んだことで、一気にウンチクを語る人間が増えるに違いない。さらに数字がふってある世界に、がぜん興味が広がっていくことだろう。
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