kosakuの雑念

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「アメリカ金融革命の群像」というかほとんどVISAの話

2011-01-14 01:19:10 | 日記
ジョセフ・ノセラ著(野村総合研究所訳)
原著1994年、邦訳1997年
新しい本ではないが、歴史は繰り返すというやつなのか、まるで違和感がない。
650ページを超える本(しかも2段組)だが通常の単行本ハードカバーのサイズなのでバランスが悪く、読みのが疲れた。

”NBIでは最初の頃、福利厚生手当てを一切支給しなかった。給料も惨めなほど低く、就業時間は長かった。だがそれは問題ではなかった。大事なのはディー・ホックが世界を変えようとしていて、それに皆が力を貸せるということだった。”(148ページ)

こういう気分を味わってみたいものだ。もっとも後から振り返るとそういう渦中にいたというのが真相だろうが。

アンドリュー・カーのエピソード
”「人々に将来のことを訪ねても(原文ママ)答えられやしない。私自身は、彼らがすでにしたことへの質問しか信じていない。」と彼は言っている。人々に新しい金融商品や経済状況に自分がどう反応すると思うかと聞いても無意味だというのだった。彼らが何を言っても実際にその状況になってみなければ本当の答えはわからない。彼らがきちんと説明できるのは、彼らは過去どう対処したか、なぜそうしたのかということだけである。”(198ページ)

”カーはアメリカ人には、彼が探し求めていた二つの行動的特徴を備えている特定のグループがあることを知っていた。それは、クレジットカードを使って負債を抱えることをいとわず、かつ債務不履行には絶対に陥りたくないと考える人々だった。(中略)彼らは、大抵中流階級であって、しかも中流階級の上の部類ではない。彼らは努力家で、おそらく彼らの家系の中では初めてホワイトカラーの職についた世代である。(中略)ある人は彼らを「ヤッピーの最下層、収入はよいがそれ以上に出費があり[それでも]収入を増加させるある程度の能力を持っている」と表現している。”(454ページ)

そういう背伸び消費パワーが経済成長の一因でもあるのか。

金融における数学的手法とは、高利率による収入と債務不履行による損害を最適なバランスで計算し利潤最大化を図るということらしい。そして統計データを精緻化して、借金を返せるか否かのマージナルゾーンの基準をどんどん改定してユーザーを増やしていくということか。

読み終わって思ったのは、リボ払いを利用しなくて申し訳ないという感想。