三月八日
昼前に古岳が来るというので待っていたが昼過ぎ、おそおそに来た。
風呂を焚く。
清吉も話している。詩を作りおおいに遊んだ。
主人は詩を書いて古岳へ遣わした。
山中へ講義に行く日だったので心が急いて小梅は大いに奔走した。
風呂を焚き、主人と岩一郎の髪をすき合間に結い、すしを少しこしらえ、その間に絵も描き歌を二首詠み、さてさて忙しい。
趣味ながらせき立てられるような程でようやく夕方風呂に入り、夜は休んだ、人々の応対に草臥れた一日だった。
三月九日
今日も快晴。
おいおいに花(さくら)が咲く。
紀三井寺では早すぎ、根来寺はただいま真っ盛りだそうだ。
直川はちらほら咲き出したらしい。
三寒四温で寒暖は一定していない。昨日は素袷でも厚かったが夜はやはり炬燵。
今朝はまた寒い。
直覚へ切り取りにやる。