さてさて、
不肖、私の事を二代目と呼んで下さる、
初代ジャニーこと、T館長さまのHPや、
シューティングで使うレースガンのカスタムで、
いつもお世話になっております、あじゃさんの
ブログにて、皆様、度肝を抜かれたのではないでしょうか?
あじゃさんが、また、とんでもないモノを作ってしまいました!
これは、もうトイガンカスタムなどと言う軽いものではなく、
トイガン関係なく『芸術作品』と言っても過言ではないくらい
の高みにまで行ってしまいました。
今回の作品の見届け人として、おふたりのサイトでは語られる事の
なかった裏舞台みたいなものを書き留めておきたいと思います♪
事の初めは、
T館長様が、発売されたボーチャードを大人買いしたところから始まります。
普通、1丁買うのでも躊躇してしまうお値段なのですが、
ハートフォードを3丁も!
(※しかも、まさかのフルセットが2箱!)
その後、CAWも購入してしまうT館長様。
SAAやガバじゃないんだから、そんなにポンポンと買うような銃ではないと
思うのですが・・・
こんな2丁並べてなんて贅沢が出来る方も、
限られてくるでしょう。
そんななか、
いつも、芸術的、美術的感性に優れるT館長様の美的感性のアンテナに、
ビンビンっ!と来るものがありました。
それが、こちらのシャンパンのボトルになります。
ペリエ ジュエが、エミール・ガレが描いたアネモネのデザインを基調に、
日本人フラワーアーティストの東 信がフラワーアートを制作、
ガレとコラボレーションした初の限定ボトルになります。
T館長様は、シャンパンはあまり飲まず、このシャンパンも飲んだことは
ないようですが、この美しいデザインにビンビンっ!と刺激を受けられた
ようです。
こちらが、エミール・ガレが描いたアネモネなのですが、
アネモネの花言葉は、『はかない夢』とか、『薄れゆく希望』とか
切ない想いが多いのですね。
この切なさと、革新的なトグルアクションというシステムで誕生しながら
のちのルガーP08にその座を奪われ、銃の歴史の断片として表舞台から
去っていったボーチャードの背景がT館長様のなかで結びつきました。
『これだ!』と。
(※あくまでも私の想像ですが)
かくして、
今までモヤモヤとしていた、ボーチャードに施すエングレーブの模様が
形になるときがました。
そして、日本が世界に誇る彫刻家、井浦先生がエングレーブを施すのですが、
先生曰く、「シャンパンのボトルだから絵になるのであって、
ボーチャードの本体の数箇所に、アネモネの花びらをポツポツと彫っても、
それは彫刻家として仕事にならない」との事です。先生にも職人としての
想いがあります。
そんななか、実銃のボーチャードにエングレーブを施した白黒の古い写真が
出てきまして、これならどうかと。
ボーチャードのエングレ銃なんて、存在しないと思っていたのですが、
なんと!実銃にもあるんですね~!
駄々をこねるT館長様に、相談役のObiさんも、「Tちゃん、コレでいいんじゃない?」
と後押しをします。
結局、元のエングレボーチャードの画像を活かし、花びらをアレンジし、
左右に動物を彫る事になりました。見えないところは、同じような彫りになるよう
先生が上手く再現して下さいました。
そして、完成したエングレーブが施されたボーチャード。
素晴らしい彫りです。
しかし、これで終わりではありません。
彫刻をした銃に『塗装』というお色直しを
しなくてはいけません。
誰がどう仕上げるか?によって、この作品がどう生まれ変わるか?
が変わってきます。
ここで、『神の手を持つ男』の異名を持つあじゃさんの登場です。
あじゃさんの機械を使わず、そのゴッドハンドから繰り出される
トイガンカスタムの技の凄さは、皆さんご存知の通りです。
あじゃさんはヤスリのシコシコによる、切った貼ったのカスタムが
真骨頂でありますが、塗装技術においても、その繊細さが生かされ、
思わずウットリしてしまうような作品が多いです。
この頃すでにあじゃさんは膨大なバックオーダーを抱えており、
とてもこのような大作に取り掛かれる環境にはなかったのですが、
その素晴らしい彫刻に魅了され、あじゃさんの方からこの銃の
仕上げの申し出がありました。
そして、
昨年のクリスマスの頃、新しいホワイトハウスの完成披露もあり、
T館長宅にお邪魔して来ました。
(※決して、なんかもじゃもじゃ頭の怖そうなひとたちではありません)
当初のお話では、ガンブルー風にするか、シルバーに仕上げるか?
のハズでしたが・・・、
T館長様が、おもむろに、例のペリエ ジュエの限定ボトルの記事が
載った雑誌を持って来ます。
「こんな感じでお願いしたいんだけど~♪」
「!?」
もちろん、私とあじゃさんはそれを聞いて目が点になりました。
(これをどうしろと・・・?)
大体、本来テッポウは黒かガンブルーが当たり前で、このボトル
のようなエメラルドグリーンはトイガンの塗料にはないですし、
また、このガラスのような透き通った透明感のある仕上がりは
どう表現すればよいのか?
問題は山積みです。
あじゃさんをお送りした、帰りの車の中でも、あじゃさんは
腕を組んで、考えこんでおります。
コリャ、トンデモないものを引き受けてしまったと。
そりゃ、そうですよね~、T館長様の無茶振り(笑)
やっぱり、T館長様の中ではあのボトルを再現したい、という
強い想いが、ずっと残っていたんだと思います。
あじゃさんに会うたびに、「どうなりました?」とお聞きするも
「いやぁ~、まだどうしていいか分からなくて手つけてません」
とのお答え。
ですよね~、心中お察し申し上げます。
井浦先生の繊細な彫刻ですし、ナナコも細かいので、やり直しとか
塗り直しが出来ません。
このままでは、あじゃさんの抱えるバックオーダーにも影響が
出るんではないかと思い、T館長様にはナイショで、家からタナカの
ルガーP08の6インチのアウターバレル部分を井浦先生にお持ちし、
簡単ではありますが、ボーチャードに彫刻したように、それらしく
エングレーブを彫って頂ました。
これを本番前の練習や仕上げの工夫に使って頂こうと、あじゃさんに
お渡ししました。
その後は、T館長様からも、いくら時間がかかってもいからとのご依頼や
他の方のオーダーもあり、しばらくはこのボーチャードの塗装は
あじゃさんからも語られる事がありませんでした。
しかし、
半年後、遂にあじゃさんが動きます!
銃に塗装をするのではなく、描かれた(彫刻された)草花ひとつひとつに
色を塗っていくという、途方もない細かい作業に入られました。
それこそ、顕微鏡を使い、丁寧に描いて行きますが、描いては乾燥させ、
描いては乾燥で、その作業の進み具合は恐ろしく根気がいり、長く地道な
作業であったことでしょう。
しかも、色を均一に塗るのではなく、あえて濃淡を付ける筆塗りで淡い
色合いになっております。画像で見た皆さんは七宝焼みたいと感じる
ようですが、実物を見ると、中世のヨーロッパのお城や宮殿にあるような
アンティークなタイルのようない柔らかい淡さと艶があります。
これは、T館長様の新しいホワイトハウスのタイルのイメージにも
ピッタリしていると思います♪
また、
あじゃさんのブログにて、アラスカンで使用されたメッキシルバーの
塗装は、動物のインレイ(象嵌)のシルバーの仕上げに生かされております。
同じく、
ウレタンのクリアー仕上げも、艶があり筆塗りした草花の色が剥がれぬように
頑丈にコーティングしております。
つまり、
皆さんの作品を作りながら、実はT館長様のボーチャードを仕上げるための
糧にされていたのでありますね~。
(※俺を踏み台にした~? とか、お思いにならぬように)
全く途中経過を知らされていなかったので、あじゃさんのブログで画像を
見た時、あまりの想像の違いから、言葉も出ず、コメントの書き込みさえ
出来ませんでした。(オーダーを受けてる時から知っているので余計にです)
完成披露で実物をT館長宅で拝見した時も、画像で見ていたハズなのに、
いざ、実際にこの目で見ると、ただただ、ため息しか出ず、言葉に
なりませんでした。
いやぁ~、ホントに言葉が出ないって事、あるんですね!
しばらく、ウットリと眺めておりましたよ~。
この美しさは、トイガンに興味のない方でも、この作品を目の当たりにすれば
心に響くものがあると思います。ヴィ○ンなど高級ブランドでの展示や、
博物館での作品としても、全く問題ないのない芸術作品であります。
まさに、モデルガンミュージアムに相応しい仕上がりです。
ぜひ、より多くの方に実際に見て頂けるよう、ガラスケースなどに収めて、
一般の方にも知って頂けるような場があればと願っております。
T館長様の閃きと根強い想いが、井浦先生の素晴らしい彫刻が、あじゃさんの仕上げにより、
トイガンを超えた芸術作品の花となりました。
この作品を実際に目にする時、あなたの心にも感動という花を咲かせることでしょう。
長文失礼致しました。
私の独断と偏見で書いているため、ご迷惑をおかけしたら申し訳御座いません(汗)