@@@@ 穿った見方 @@@
落語の「戻り井戸」という演目は、田舎の香水の源「野井戸(肥溜め)」に落ちた男が、百姓に救い出された挙げ句に酒まで振る舞われ、酔っていく様が軽妙に語られます。都会から来た男にとっては、なんとこの自然は素晴しいことだろう。その自然の中に生る田舎暮しとは、素朴で他人に対する思いやりの心があって・・、と勧められるままに酒も進んでいくのです。
しかしながら、都会の生活ってもんも便利なもんで住み易い。お互いに干渉しない生き方は粋で格好いいし刺激も多い・・、となってきます。お酒の量も進むほどに、やがて助けてくれた親切な一家は、無粋な田舎者となり、子沢山の嫁は健康だけが取柄の醜い女になってしまうのです。酒に飲まれた酔っ払いの言葉の変化が面白いし笑えるのですが、単なる笑いではなくてスパイスが利いています。
この社会風刺や人情話が落語の真骨頂であって、どこか川柳に通じるものがありますね。川柳で「穿ち」という言葉がよく強調されます。硬い岩石に孔を開けるように本質を晒け出すという意味ですが、世間ではいつしか「穿った見方」と否定的な言葉として使われることが多いですね。正確には「穿ち過ぎの見方」が正しいと物の本にありました。
今の日本、大切なモノが次々と消え変化していきます。野菜の旬や古い語彙や、それに厳しい夏の暑ささえも・・。川柳の出番かも知れませんね。
本当は笑っていないピエロの目・・・しろ猫
byしろ猫
そんなんじゃろくな蛙になれません Y