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三軒長屋の1/3が1/3世紀

ギャラリー間で開催中の「安藤忠雄建築展 挑戦-原点から-」に行く。
目玉はまさに「原点」の「住吉の長屋」の原寸模型。

昔々これを見に行こうと思ったが個人住宅故住所が分からず、
友人が(蛮勇を振り絞って)安藤事務所に電話したことを思い出す。
(電話にでた所員の方が途中まで説明しかけて慌てて
 「個人住宅だから」ということで止めてしまったのもなつかしい。
 のどかな時代だったんですね。)
まあ、正面外観だけ見てもしょうがないんですけど(笑)

で、改めてその構想の大胆不敵さ、無鉄砲さと
緻密な(非常に形式的であるにも係わらず人間の身体感覚にフィットした)
寸法の押さえに改めて感激。

一例を挙げれば、壁と壁の間が3m150mmで、これが吹抜けの幅なのですが、
それを3で割ると1m050mmになって、その幅でブリッジがかかっている。
ただ3で割っただけのはずなのに、抜けとのバランスが絶妙なのが不思議不思議。

さて、そのブリッジの両脇にコンクリートの幅150mmの手摺壁がある。
従って有効寸法は750mmになって、これはなかなかいい寸法だと思ったんだけど、
自分だったら怖くてあと50~100mmは広くしちゃいそう。
で、ブリッジに出る扉の有効幅は、手摺の内法にサッシの方立てが出てくるので、
650~700mm位になっていると思うんだけど、これは普通に考えるとちょっと狭目。
その結果2階個室は、天井高は抑えられているのに扉部分は縦長なプロポーションになって、
間口・天井高共一杯にあけられている開口とあいまって、部屋を大きく見せているように思う。

そしてさらにブリッジに上がる階段。
幅はブリッジと同じ750mmなんですが、そうすると300mmm隙間が残ります。
普通だと(狭い中庭なんで)段板だけが浮いたような、軽い階段にしそうなものなんですが、
がっつり下を壁で塞いでいます。そこでこの300mmの隙間が効いてきて、まずこれが良い。
で、この階段には手摺がないんですが(ふふ、違法建築ですね)、
750mmの内(石とコンクリートの収まりもあって)壁側の650mm分だけ石が貼ってあるので、
無意識の内に壁側に寄って階段を昇り降りすることになると思う。
ブリッジもすぐ脇にあるし、落ちそうで怖い、と言う風には感じないのでは?
見事だと思います。


他に感想はと言うとですね、竪樋がどこにあるのか、が分かりませんでした(笑)
この手の狭小住宅では隠すのは結構大変だと思うので
展示されている図面をシゲシゲと眺めてみたのだけれども。
あと、中庭の排水とかね。
う~んと、あとDKの造り付けテーブルはさすがと思いましたが、
キッチンは・・・ガスコンロが凄いことになってました>入居後の写真。
これは天板を下げたくないと言うことだと思うのですが、
(ここにだけデザイン優先、見たいな事を感じてしまった)
ビルトインしちゃえば良いだけなのに。当時はなかったのかしらん??
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