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巷の住宅本 ナナメ読み

巷の本屋さんや図書館に行くと、それこそ嫌になるほど住宅に関する本がある。
いい家がどうとか、何とかに住みたいとか、世界で一番のとか、何とかかんとか。
こういった本の殆んどは、工務店やフランチャイズ、
下手をすれば建築家の宣伝本か、家を建てた人の自慢話である。
そんなものにお金を払って読む程リッチではない、と言いたいところだが、
家を建てた人の自慢話と有意義な経験談の境目は極めて曖昧なところがあるのが悩ましいところだ。
で、先日図書館の本棚を眺めていたらちょっと気になる本があったので借りてみました。
あっという間に読めてしまうような本ですが。

まず一冊目は
やっぱり赤レンガの家に住みたい! ―究極の耐火・外断熱工法「200年住宅」の凄さを公的機関で実証
著者が「坪100万円を超える煉瓦積住宅」でなく庶民にも手の届く値段の「赤レンガの家」を目指し、
しかもそれを実現した、と標榜しているのでついつい(にしても壮絶なタイトルだ・・・)。
まー「坪100万円を超える煉瓦積住宅」に関わっていた身としてはやっぱ気になるじゃないですか(笑)
で、同書をみると著者の会社の煉瓦積み住宅は「木造」なんだそうで、

しかも坪50万円程度!!!!!!!!

もう勝負になりませんが、しかしなぜ普通の木造より安くできるのか。
同書を読んでも一般論がもっともらしく述べられているだけで皆目検討が付かない。
まあ、それが企業秘密というかノウハウなんでしょうねぇ。。

もう一冊は今やお掃除女優?の松居一代さんの
欠陥マンション、わが闘争日記―ゼネコンに勝った!壮絶600日の全記録」。
こちらは欠陥マンション、がキーワードだった訳ですが、
本書が出たのは2000年とやや古く、彼女はまだ船越さんとは結婚していない時期で、
「シングルマザー」状態での奮戦記。

そもそも買ったマンションの金額が3億というところからまず庶民レベルではないし、
上階排水管からの漏水で駄目になった衣装室に置いてあった衣装やバックの賠償金額が
1千万円を軽く超えるというのもそれこそ別世界の話。
しかし、別世界にも欠陥住宅問題があるというのが恐ろしいところ。
彼女は別世界の住人独自の方法も使って(売主でなく)建設会社とバトルを繰りひろげ、
かなり高額の見舞金(慰謝料)も含め、相当なものの獲得することに成功している。

因みに
建設会社(某スーパーゼネコン)からは調査会社の費用+改修工事(一部グレードアップ付)
+見舞金1,500万円+和解金100万円+仮住まい費用(5万円/日の高級ホテル)
+交通費(ハイヤー使い放題)+掛軸表装費用(数百万円相当!←これは結構笑える話)など。
売主からは和解金100万円。
形式的には彼女に対する損害を発生させたことになった上階の住人から1,600万円(保険会社支払)

ただ、これを芸能人が特殊解として大盤振る舞いされたとだけ、と見るのは間違いで、
彼女は弁護士(2人)、建築士を雇い、細かく記録をとり、詳細な資料を作成し・・・
と、金銭だけでなく、自身の労力と精神力をも徹底的に投入しているのである。
これだけのことはやはり余人にはなかなかできないであろう。

あと、こういった場合に弁護士や医者といった専門家がどの程度役に立つか、
といったことに関する辛口の見立て(や活用方法?)についての記述もあり
(幸いなことに調査会社も改修に立ち会った一級建築士も評価は悪くない)
ある意味欠陥住宅問題にぶち当たったらどこまで腹をくくらざる得ないのか、
ということに関しては結構普遍的な内容になっているように思う。

建設業界にいる人間としてちょっとほっとするのは、この建設会社が
(問題発生当初に非を認めずに彼女の怒りを買ったのはともかく)
その後明らかになった問題点に関しては結構素直に認め、抵抗しなかったことだ。
(この欠陥は瑕疵担保期間経過後に表面化しているので、抵抗されると
 解決が泥沼化する可能性もあるし、世の中にはそういう事例も多い。
 本当に信じられないよーな理屈をつけてくる場合もある、らしい)
まあ、バブル期にありがちな、それだけひどい手抜き工事だったとも言えそうなんだけどね。
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