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小学校、公園、そして警察署


公園の誕生 (歴史文化ライブラリー)公園の誕生 (歴史文化ライブラリー)

吉川弘文館 2003-06
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著者自身が書いているのだけれども、「国民統合の装置としての公園」、
という考え方自体は確かに目新しいものではないような気がする。
とは言え「計画」に即して「衛生」や「治安」から公園に注がれた視線をトレースしながら語られる
明治の「公園(という概念)」の誕生の様子はなかなか興味深い。

個人的には先日見てきたばかりの中央区の阪本小(復興小学校)が
坂本町公園と隣接していて、これは震災復興で公園が併設された事例だと即断していたのだが、
ところがどっこい、この公園は東京市における市街地小公園の先駆けとして
1889年(M22)に整備された由緒ある公園で、都市計画上非常に重要な「遺産」であり、
この公園が小学校だけでなく警察署とも隣接しているのは決して偶然ではない、
という話が「へーへーへー」であった。

*もっとも震災時に焼失してしまった上に、復興時には区画整理で再整備されているらしいので、
 位置や規模が変化している可能性もあるし、その面から見れば復興事業の遺産であるとも。

*公園の詳しいレポートがこちらのBLOGにありましたのでご紹介。
 → 日常旅行日記「坂本町公園(東京都中央区)」
 公園にちゃんと案内が出ていたのね・・・(観察力不足を痛感)。

後半は国家イベントの装置としての公園に話が変わり、これまた著者が書いているように
ここには都市計画的な制度を超越した意思が働いている、と言うことになる訳だけれども、
うっかりするとバラバラになってしまいそうな二つのテーマを繋げて
一つの問題意識としてまとめた著者の力量はなかなかのものではないかと。
欲を言えば書名の公園には「 」を付けておいて欲しかったことくらいかな?
公園の歴史を知りたい人にはあまり向いていません(笑)

(訂正 100311)
記事中の「阪」本町公園を「坂」本町公園に訂正。小学校は「阪」で良いのだけれども。
まぎらわしいっすよねぇー(と当人の不注意を誤魔化す)。
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