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安全設計における冗長性


中央自動車道のトンネルで大事故が発生した。
笹子トンネルは仕事で毎週のように通った場所なので、とても他人事とは思えない。

今回の事故原因について既に色々言われ始めているが、
点検のずさんさと合わせて驚かされるのが
全く冗長性に欠けた安全設計が平然となされている様に見えることである。

国土交通省は同種の構造のトンネルの緊急点検を指示したが、
これは同省が発表したそのイメージ図。
(図はすべてクリックで拡大します)


(国土交省発表資料をケンプラッツより転載)

釣り金具が破断すれば天井版が即座に落下する恐れがあることは素人にだってわかる。
今回落ちた天井板は1トン以上の重さがあり、
仮に一枚落ちただけでも大事故に繋がりかねないのだから、
(いや、どんな軽いものでも高速での落下物はドライバーにとって致命的である)
万一不具合が起こっても隣には影響しないように設計するのが常識だろう。


(中日本高速道路会社資料をケンプラッツより転載)

ところが今回は連鎖的に落下が広がったと言われている。
受け材のCT鋼や吊材には、どこか一か所破断しても耐える程度の強度すら
与えられていなかったのだろうか。
あるいはどれもこれも腐食していて、衝撃で一気に破断したのか。
いずれにせよ信じられない状況である。

ところで下図は阪神高速道路会社が公表した阪神高速の同種構造のトンネルの図。


(阪神高速道路会社資料をケンプラッツより転載)

万一に備え落下防止ワイヤーが設置されている。

こんな程度の安全策も取られていない日本の土木インフラ。
維持管理の財源がない、という日本の経済状況なのかで、
土木においても安全神話が崩壊しつつあることを見せつけられ、暗澹たる気持ちだ。

・・・これも3Kなどど言ってものつくりを軽視したツケなのだろうか。

犠牲者のご冥福と御怪我をされた方の早期回復、
そして事故原因の追究と安全対策を強く望みます。
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