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専門書ではもったいない


一冊目は復興小学校絡みで図書館の蔵書を検索していてたまたま引っかかった本。
特に期待もしないで学校建築のところから読み始める。

子どもたちの建築デザイン―学校・病院・まちづくり (人間選書)子どもたちの建築デザイン―学校・病院・まちづくり (人間選書)
鈴木 賢一 (著)

農山漁村文化協会 2006-08
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いや、すみません。この本は素晴らしいです。
著者は名古屋市立大学の先生という事で全然存じ上げなかった訳ですが、
方法論的な部分については一歩引いていて「俺のやり方が絶対一番だかんね」
「僕の見てきたこの事例が最新だかんね」みたいな嫌らしさは一切ないのですが、
しかし「子ども」に対する真摯な姿勢については全くゆるぎなく。

副題の「学校・病院・まちづくり」もそこだけ見るとなんかあれだわねぇ、な印象ですが、
別に受けそうなテーマにあちこちちょろちょろと手を出しているというのではなくて、
子どもと建築を中心としたデザイン全般を考える中から
自然と出てきたテーマであることに深く納得させられました。

勉強になったり考えさせられ足りする本は結構あるけど、
自分のデザインに対する姿勢を原点から問い直されるような本とはなかなか出合えない。
かといって全然難しい本じゃなくて、楽しく読めるところも素晴らしい。

子どもデザインに興味がある人に強くお勧めします!!

次の一冊ですが、こちらはというと考えさせられる、という意味では極北かも。

日本の伝統建築の構法―柔軟性と寿命日本の伝統建築の構法―柔軟性と寿命
内田 祥哉 (著)

市ケ谷出版社 2009-10
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本書には30年近く前に書かれた近・現代建築の保存に関する論考も収められているのでけれども、
今でもまったくアクチュアリティを失っていないのは凄いとしか言いようが無い。
(いまだにその指摘を解決できない建築界も問題アリアリではありますが)

本書も文章は極めて平易で、専門家でなくても楽しく読むことができます。
にもかかわらずこの深さ・・・。
真の学識というものを感じさせる好著です。

内田先生の考えを纏めた本というのは意外と無いように思うので、その意味でも貴重。
結構強引に(?)先生に原稿を纏めさせた編集者もグッドジョブです。

*ところで上記の書籍のリンクの情報欄に著者名が入っていないことに気がつきました。
 とりあえず手で入れてみたんだけど、過去ログを見ると入っていたりいなかったり。
 どういうシステムかわからないけど、著者名がわからない、というのではちょっとこまりますよねぇ。。
 どうしましょ。

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小学校、公園、そして警察署


公園の誕生 (歴史文化ライブラリー)公園の誕生 (歴史文化ライブラリー)

吉川弘文館 2003-06
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著者自身が書いているのだけれども、「国民統合の装置としての公園」、
という考え方自体は確かに目新しいものではないような気がする。
とは言え「計画」に即して「衛生」や「治安」から公園に注がれた視線をトレースしながら語られる
明治の「公園(という概念)」の誕生の様子はなかなか興味深い。

個人的には先日見てきたばかりの中央区の阪本小(復興小学校)が
坂本町公園と隣接していて、これは震災復興で公園が併設された事例だと即断していたのだが、
ところがどっこい、この公園は東京市における市街地小公園の先駆けとして
1889年(M22)に整備された由緒ある公園で、都市計画上非常に重要な「遺産」であり、
この公園が小学校だけでなく警察署とも隣接しているのは決して偶然ではない、
という話が「へーへーへー」であった。

*もっとも震災時に焼失してしまった上に、復興時には区画整理で再整備されているらしいので、
 位置や規模が変化している可能性もあるし、その面から見れば復興事業の遺産であるとも。

*公園の詳しいレポートがこちらのBLOGにありましたのでご紹介。
 → 日常旅行日記「坂本町公園(東京都中央区)」
 公園にちゃんと案内が出ていたのね・・・(観察力不足を痛感)。

後半は国家イベントの装置としての公園に話が変わり、これまた著者が書いているように
ここには都市計画的な制度を超越した意思が働いている、と言うことになる訳だけれども、
うっかりするとバラバラになってしまいそうな二つのテーマを繋げて
一つの問題意識としてまとめた著者の力量はなかなかのものではないかと。
欲を言えば書名の公園には「 」を付けておいて欲しかったことくらいかな?
公園の歴史を知りたい人にはあまり向いていません(笑)

(訂正 100311)
記事中の「阪」本町公園を「坂」本町公園に訂正。小学校は「阪」で良いのだけれども。
まぎらわしいっすよねぇー(と当人の不注意を誤魔化す)。
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展覧会とかメモ。


忘れないうちに。

2/27 内井昭蔵展(世田谷美術館)
2/28 JR西日本・糸魚川機関庫公開
3/3 明石小写真展(銀座奥野ビル・ギャラリー403)
3/7 旧公衆衛生院見学会(解説担当)

忘れないように。

国宝・曜変天目と付藻茄子 2/6~3/22 静嘉堂文庫美術館
レンピッカ展 3/6~5/9 Bunkamura ザ・ミュージアム
船をとりまくアールデコ展 2/27~6/6 日本郵船歴史博物館(横浜)
ロトチェンコ+ステパーノワ 4/24~6/20 東京都庭園美術館
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世田谷住宅拝見。


昨年末、先週末と知人が世田谷区内に設計した住宅を拝見する機会がありました。


こちらの住宅は意欲的な鉄骨構造を採用していて、
内部はその鉄骨がそのまま仕上げになっていると言うなかなか面白い設計。
対照的に外観は木でくるまれていて暖かい印象。


こちらの住宅は下北沢の街づくりにも積極的に発言している友人の設計。
おおらかに道路から後退させることで街並に気持ちの良い印象を残しています。
白いキュービックな印象の外観に対してちょっとミッドセンチュリーの入った、
木の印象の強いインテリアになっていました。

どちらの住宅も街に対するスケール感が好ましく、
妙にがんばっている建築家の"作品"とは一線を画していて好印象でした。
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