茶語花香

人生は旅なり。
中国茶をはじめ、花のある暮らし、読書、旅などを中心に、日常の出来事を綴ります。

その地の茶壺にその地の茶 その二

2014-03-14 11:26:35 | 中国茶・世界のお茶
友人曰く、作家さんから紫砂壺を渡された時、羊革紙の茶袋に入った宜興紅茶も少しプレゼントされました。

そこにはお茶の名前は、どこにも書かれていません。代わりに、作家さん一族の印が押されています。

余りにも有名な宜興紫砂に対し、宜興紅茶の知名度は、まだ高くありません。お値段もびっくりするほど安いのです。

黒くてツヤのあるよじれた細い茶葉。ところどころに金毫や白毫が混ざっています。

養在深閨人未識

宜興紅茶のことを、こう表現した現代文人がいました。「閨gui1」(門の中に圭)とは、嫁ぐ前の女の子の私室。

昔、結婚前の女子のことのように、世間に知られていない、神秘的な存在。

そのように喩えられた宜興紅茶は、どのような滋味でしょうか。

ガラスの茶海には、綺麗な紅亮色の水色。蒸かしたさつまいもの甘い香り。口あたりは、雑味も渋みもまったくなく、やはりほんのりさつまいもの甘みがしました。

それまで、何度か磁器や陶器の蓋碗で頂いてきたこの宜興紅茶。どの時も、今日のようなほど良い甘みが鮮明に記憶になかったのです。もう一煎頂いてみました。やはり紫砂壺との相性がよろしい。

ご当地のお茶を淹れるには、ご当地の茶壺が一番です。宜興紅茶を堪能しながら、紫砂壺を丹念に作っている作家さんの絵が目に浮かびます。
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