先日 森下典子さんの『一緒にいるだけで』の中国語全訳を終えました。家の前に五匹の野良猫が生まれ飼育する感動的な物語です。
出版に叶うことがなくても、自分にとっては大事な本です。
漕ぎ出しの車輪は重たくて、作業が進んだり休んだりしました。
最後の二ヶ月、思いっきりやり方を変えてみることに。
それは毎日どんなに調子がよくても悪くても、原作のニページのペースで作業を進めました。
二ページって、少ないようにも感じますが、予定が入る日でもできるページ数です。
やり方を変えてから、
追い風が吹いたかのように、
ペダルが軽やかになり、
足を乗せるだけでゴールインした感覚でした。
ラストスパートに、
予定より一日早く、
二校目まで完成させました。
書籍の翻訳、最初の挑戦は、
2015年より二人の仲間と挑んだ『茶味的麁相』です。
前作はかなり難易度の高い本でしたゆえ、
今回はかなりの手応えを感じました。
大きく一歩を前進した、
そのような実感が湧きました。
文才だけとれば、自分より上手な人は山ほどいます。
自由に言葉を操る人も少なくありません。
そこは、書く事や翻訳という作業が、どれだけ好きかに尽きます。
ペンをすべらせる時の快感、
好きな作品を自分のコトバで変えていく時の躍動感。
一度それを味わった以上、
やめる事などできません。
その快感に"溺れる"と言われても気にしません。
筆力に浮き沈みがあっても気にしません。
読書や書き続ける事さえすれば、表現がじんわりと流れ出る、書いている時の気持ちが自然と伸びやかになります。
SNSの発信は自分にとっては、もはや日記のようなもので、後になって朧げなるような記憶を正してくれる存在です。そして筆力を磨く場でもあります。
また、それを読まれた誰かの役に立ったり、その人にヒントや励みになったりすればなおさら嬉しいです。そうでなくても、ただ読んでくれる数分の間に、ハッピーな時間になれば良いのです。
大局を俯瞰するようなものもいつかは書いてみたいです。
人生が八十年間あるとしたら、生涯現役で書き続けたいですね。