闇のない夜がやってきた。夕暮れの薄暗さよりも明るい夜。既にその明るさに慣れていると会場の中は目が慣れるまでは焦点が合いにくく、一人で歩くのが不安になるくらいの光量に設定されていた。解散してから何時間たっていたのだろう。すべてが連続しているような感触。時間は全ての人に平等に流れているはずだが、時間はすべての人に固有の流れ方をする。待ちきれない人が開場の3時間前くらいから「ベース」の周りをうろついていた。
8時半、仁とマサミをのせたマサルの車がケーキ工場の脇にある地下に通じるドアの前に止まった。気の早い連中、開場前のそこにたむろしていた人たちがベンベーの周りに詰め掛けた。会場内から数人の人間が飛び出し人垣を掻き分け、ドアまでの道筋ができた。マサミが反対側のドアから降り、歩道側に回って仁の座っているほうのドアを開けた。仁はゆっくりと車を降りた。この日の仁は革のベストに革パンツ、ボディストッキングといういでたちだった。サングラスを掛け、半開きの目は誰からも見えなかった。仁の前を体の線がはっきりわかるニット系のワンピースを着たマサミが道案内をするかのように歩いた。仁はそれに従った。何人かが仁に触ろうとした。そこにスタッフとして選ばれた常連がガードした。特別な人のように、特別な存在として仁はそこにいる人々に映った。
8時半、仁とマサミをのせたマサルの車がケーキ工場の脇にある地下に通じるドアの前に止まった。気の早い連中、開場前のそこにたむろしていた人たちがベンベーの周りに詰め掛けた。会場内から数人の人間が飛び出し人垣を掻き分け、ドアまでの道筋ができた。マサミが反対側のドアから降り、歩道側に回って仁の座っているほうのドアを開けた。仁はゆっくりと車を降りた。この日の仁は革のベストに革パンツ、ボディストッキングといういでたちだった。サングラスを掛け、半開きの目は誰からも見えなかった。仁の前を体の線がはっきりわかるニット系のワンピースを着たマサミが道案内をするかのように歩いた。仁はそれに従った。何人かが仁に触ろうとした。そこにスタッフとして選ばれた常連がガードした。特別な人のように、特別な存在として仁はそこにいる人々に映った。