仁、そして、皆へ

そこから 聞こえる声
そして 今

星の雫と涙の滴Ⅴ

2009年02月27日 14時51分19秒 | Weblog
仁の前にヒロムが立った。仁の目が一瞬、カッと開いた。ヒロムは恐怖を感じた。
次の瞬間、仁の目はいつもの半開きに戻った。
 マサミの音が変わった。キースジャレットの旋律に溶け込み、仁を支えるように戦っていたマサミの旋律も徐々に増す音量の中で存在感を失い、密かに消えていった。その音が消えるのと同時に、仁は腕を天かざしながら、倒れ込んだ。仁の後ろにいた常任がハッとしながら、仁を支えた。
「仁、仁。」
ヒロムは呼びかけた。仁は目を瞑り、反応しなかった。ヒロムはとっさに、会員にこの状況を悟られないようにしなければと思い振り向いた。
 愕然とした。
 そこでヒロムが見たものは、仁と同じような格好で倒れ込んでいる会員の姿だった。同調はすでに完成していたのだ。仁の力を思い知らされたような気持ちになった。が、気を取り直し、常任に指示を出し、仁を事務所に運ばせた。時間差でヒトミも事務所に入っていた。技術者に事情を聞き、袖に待機していた。
「ヒトミ、マサミを頼む。」
「ウン。解った。」
ヒトミは暗幕の裏を通り、反対側から、ピアノのそばに出た。マサミもピアノから離れ、フロアーに倒れ込んでいた。ヒトミは話しかけることもなく、マサミをかかえ、また、暗幕の裏を通って事務所に戻った。
 仁が立っていた。
 事務所に入り、会場から、仁の姿が見えなくなった瞬間に仁はポーンと跳ね起き、ヒロムの前に向き直った。仁を支えていた常任は、驚き、ヒロムの周りに集まった。仁は、ニッと笑いながら、掌を開き、ヒロムのほうに手を出した。
(金か。)
ヒロムは金銭を管理している経営学部のほうに行き、仁に見えないように三本指を立てた。訳がわからず、経営学部は金庫に走り、三万円を持ってきた。ヒロムはそれを見て、経営学部の袖を引っ張った。
「バカ、その十倍だ。」
経営学部は、また走った。ヒロムは金を取ると、仁の掌の上にのせた。仁はカッと目を見開き、金を確認すると、ズボンのポケットに突っ込んだ。そして、ヒトミに支えられているマサミを、右手だけでかかえ、事務所を出て行った。
ヒロムは屈辱感にも似た不快感にとらわれた。

 ドアを閉め、階段を上り始めた仁とマサミをヒトミが追いかけた。階段の中ほどでマサミが仁から離れ、立とうとしていた。
「マサミ。」
マサミが振り向いた。仁はヒトミを一瞥するとそのまま、「ベース」を出て行った。
「ヒーちゃん。」
ヒトミはマサミの腕を取った。
「お店変えたんだって。」
「うん。」
「どこで働いてるの。」
「うん。」
マサミの目から涙がこぼれた。
「うんじゃ、解らないわ。」
「ゴメンね。ゴメンね。今度、連絡するから、仁ちゃんが行っちゃうから。」
ヒトミの腕を振りほどくようにしながら、マサミは仁を追いかけた。階段を上りきるまえに、一度振り向いたマサミの目の涙は暗闇の中の星の瞬きのようにきらめいた。

星の雫と涙の滴Ⅳ

2009年02月26日 16時14分58秒 | Weblog
ヒロムが叫んだ。
「演劇部、儀式の衣装を出して。」
周りを見回し、仁を知っている常任を選んだ。四人を選別し、衣装に着替えさせ、自分も衣装に着替えた。
「仁を止める。お前は音効の卓に着け。いいか、ピアノの音が消えるくらい音量を徐々に上げていけ。」
技術者の一人に命令した。
「仁を取り囲む。我々の声が会員に聞こえない程度の音になったら、仁を説得する。この状況で仁の力を知るのは、会員にとって危険だ。仁の動きに合わせて、入場する。」
そう言うが早いか、袖に身を寄せた。
 マサミのピアノの音色は綺麗だった。旋律も儀式の時と変わらず、魂に滲み込んでくるような感じがした。それでも、仁を止める。ヒロムは自分の構想から「ベース」が外れるのが怖かった。既に会員は仁の呼吸に同調し始めていた。
「仁と目を合わせるな。」
衣装に着替えた常連に告げた。マサミの音にスピーカーから流れ始めたキースジャレットのピアノが重なった。いい選曲だ。技術者の選曲に満足した。スピーカーの音がマサミの音を飲み込んだ。仁の動きが乱れた。
「今だ。」
ヒロムと常任は仁の動きを模倣しながら仁に近づいた。

星の雫と涙の滴Ⅱ

2009年02月20日 16時20分24秒 | Weblog
仁が呼吸を始めた。
「ツウィー。」
大きく吸い込んだ。
「ハアー。」
長く吐いた。
最初、肩が上がり、胸の中央がくぼみ、腹のそこから溜まった空気が体全体を押し上げ、胸が広がり、限界まで溜まった空気を一度体内で保持し、空気を揺るがす、うねりとなって吐き出した。
会員はその空気の流れの中に引き込まれたいった。
音も呼吸を始めた。仁は両手を天にかざした。空気を吐きながら、一度膝を折り、そこで空気をため、吐き出す空気に導かれるように大きく腕を広げながら、立ち上がった。
座りながら、手を繋いでいた会員はその動きと同調するように一人一人が独立し、立ち上がった。
音のうねりが呼吸のうねりと重なった。

星の雫と涙の滴

2009年02月17日 16時51分41秒 | Weblog
 星を見ていたら、涙が出てきた。
マサミは身体が痛かった。仁は歩くのが早かった。必死で追いかけた。仁は恵比須と渋谷の間のマサミの部屋から、「ベース」に向かって歩いていた。なぜ歩くのか、マサミには解らなかった。仁が振り向いた。マサミは脇腹をかかえていた。仁はマサミのほうに戻り、マサミの後ろに回った。
「ハッ。」
マサミの太腿を持ち、マサミを肩に乗せた。そんなに大柄ではない仁が軽々とマサミを担いだ。人通りはあまりなかった。それでも、マサミは恥ずかしかった。
マサミは仁の頭に手をのせてバランスを取った。脇腹が仁の耳に当った。腿と脇から伝わる仁の肉体。仁の肉体から放たれる「エネルギー。」「オーラ。」そういった言葉で想像することなど到底できない空気の塊が仁の回りに拡がっていくのをマサミは感じた。
 痛みが消えていた。
空気の中でマサミは音を感じていた。上を走る高速道路の音も街灯の明りも、全てがその空気の中で希薄な存在に思えてきた。心地良さがマサミを包んだ。
 
 仁は「ベース」に着くと事務所には寄らずホールの入り口に向かった。そのころは既に入場時間が決まっていて、入り口の前で新生から常連に昇格した仁もマサミも見たことのない男が二人を止めた。仁の目が開き 、男を見た。男は恐怖にも似た感情の中に落とされた。制止することもできず、腕を組み、震えた。仁の目はいつもの半開きに戻った。マサミを担いだまま、ホールの中に入ると技術者の一人がレクチャーをしていた。手を繋ぎ、ゆれている人々の間を通って、仁はステージに上がった。技術者は仁に気づくと、硬直した。技術者の前に立ち、ニッと笑った。
 技術者も恐怖に似た感情に潰された。
仁はマサミを肩から下ろし、ピアノの椅子に座らせた。マサミの目に仁の半開きの目が映った。ニッと笑った。マサミは鍵盤に手を置いた。マサミは仁の肩の上で感じた音を探すようにゆっくりと鍵盤を叩き始めた。仁は技術者の後ろに回った。技術者は夢遊病者のように袖に消えた。
 音が仁にあわせるのか、仁が音に同調するのか。
仁はステージの中央に立ち、半開きの目のまま動き始めた。それはただ、左足を少し前に出し、かかとを上下するだけの動きだった。が、その動きはホールの全ての空気を仁の支配下の置いた。
 その日の参加者は比較的少なかった。初期の「ベース」は曜日など関係なく人が集まったのだが、そのころは平日と土日では参加者の数に大きな開きがあった。それでも、二十人くらいの参加者は、仁のうごきの中に引き込まれたいった。

お姉さんじゃないんだぞ。Ⅵ

2009年02月16日 15時22分42秒 | Weblog
ヒロムの言葉は消えた。
水牛にはまだ勝てなかった。
激しく動くヒトミの腰、ヒロムはヒトミの腿に手をのせた。ヒトミ自身は腰を回し、前後に波打ち、収縮が激しさを増し、締め上げるようにしながら、ヒロムの三度目の発射を受け止めた。
「おー。」
ヒロムが叫び、後ができるほどヒトミの腿をつかんだ。
「あー。」
二人の声が部屋中に響いた。ヒトミは自分でも気付いていなかったが、腕をクロスさせて自分の乳房を痛いくらい握り締めていた。硬直の後 、ヒロムの腹の上に手をついた。ヒロム自身が自然に抜け落ちるまで、腹の上の手で身体を支えて、ヒトミは待った。
(もう、わたしったら、完全に感じやすくなってるわ。)
ヒロム自身がしぼんだ。身体を離し、ヒロム自身にキッスした。そのまま、ユニットバスにいき、バスタブにお湯をためた。便座に腰掛け、分身の降りてくるのを待った。汗だくだった。
(何だろう。何だろう。嬉しいのに悲しくて、身体が身体が、ヘンッ。)
立ち上がり、シャワーで分身を流した。
(あっ、ヒロムをつれてこなきゃ、そのまま、ズボンはいちゃう。)
ヒロムはまだ、寝ていた。
「ヒロム、お風呂はいろ。」
そういって手を引っ張り、ユニットバスへ連れて行った。
「ヒーちゃん、今度、実験をしたいんだけど・・・・」
「実験って。」
ヒロムは言い出さなかった。
「なーに。」
「今度、二人きりになれた時でいいよ。」
(いつでも二人きりになれるわ。ヒロムが部屋にもどれば。)
湯船の中で二人は沈黙した。まだ、足りないような感じはするのだが、その日は、もう一度、セクスに進むことはなかった。ヒロムを着替えさせ、ホテルの前で、別れ、ヒトミは渋谷をさまよった。
(二時間って短いなー。お部屋で死ぬくらい。死ぬまで・・・・セクスしたいなぁ。)
(あら、何考えているのかしら。私ったら・・・・・)

お姉さんじゃないんだぞ。Ⅴ

2009年02月13日 16時29分08秒 | Weblog
ヒトミの膝を割った。
(ちょっと待ってよ。まだ、だめ、だめだってばー)
「アウン。」
ヒロム自身が入ってきた。
(いたいよー。)
ヒロム自身がそのまま激しい動きになるかと思った。ところが、ヒロムはヒトミに覆いかぶさると、左手の人差し指と親指で乳首を回し、右手の中指でヒトミ自身を小刻みに刺激した。
(そこは感じるけどー)
ヒロム自身は一度、根本まで挿入すると、動きを止めた。
(あら、あら、あららら。)
「ヒーちゃん、仁の力って何だと思う。」
「なっ、なっ、なにって。」
「ヒーちゃんとこうなって、セクスの凄いのがわかったんだ。でも、仁が「ベース」で導いた世界は僕ら二人の感じている世界とは違うだろ。」
(何をはなしているのよー)
ヒロムの腰がゆっくりと動きだした。
「そっ、そっ、そーね。」
「仁の持つ力で「ベース」にいる人間が集団催眠にでも掛かったようになるだろ。」
(も、も、もー)
「そんな感じも、あるう、あるうわね。ウン。」
ヒロムの腰が一突きした。そして、回転運動に変わった。
「今、「営み」に進むのが難しいんだ。誰とでもって感じになれないし。」
「ヒロム・・・」
「なに。」
(なにってー)
回転速度が上がった。ヒロムはヒトミの膝裏に腕をいれ、足をかかえた。挿入が深まった。
「アウン。」
「仁の力は、そこにいる人間の存在を全て一つの生命体みたいにしてしまうような感じがするんだ。」
「ウン」
「でも・・・仁がつかまらないと・・」
「ねえ、ねえ、ねえー」
ヒトミは両手を伸ばし、ヒロムの首にかけた。挿入は深まった。ヒトミの収縮が始まった。言葉が途切れ、ヒロムの腰が激しく動いた。開かれた足の間でヒロムはビートを刻んだ。
「うーん。」
「はっ、はっ、はっ、はっ・・・」
「ウっ。」
「あーん。」
ヒトミの足がヒロムの身体を締め付け、首に絡めた腕に力が入った。その力に耐え切れず、ヒロムはヒトミの上に倒れ込んだ。ヒトミはヒロムの体重を感じた。
ヒロムの頭の中で水牛は再び、勝ち誇った。
ヒトミの頭の中で閃光が走った。
しばらく二人は動かなかった。
(私、感じやすくなっちゃったのかな。)
ヒロムの背中を軽く叩いた。
「ふー。」
ヒロムはヒトミの左側に身体を横たえた。
「ヒーちゃん。」
「なに。」
ヒロムの手が動いた。身体をずらしながら、ヒトミ自身に指が達した。
(どこさわっているのよ。)
指は触れるか触れないかの位置で、震えた。
(うーん、もう)
「ヒーちゃん、仁て何だろ。」
「えー。」
「仁がね。僕らを導いたセクスってヒーちゃんと感じたセクスとぜんぜん違うんだ。もし、このまま仁がヒデオやアキコさんみたいに「ベース」に戻れらなかったら、会員たちに新しい価値観を与えないといけないよ。それが今、二人で感じているようなセクスに移行できないかなって・・・」
(話をしながらなんて、何をかんがえてるのよー。)
ヒトミはヒロムの腕にしがみ付いた。
「あっ、あっ、あっ。」
ヒロム自身に手を伸ばした。勃起していた。
(さっき、いったばっかりなのにー)
ヒトミは身体を起こし、ヒロムに口づけた。思い切り舌を吸いながら、ヒロム自身を激しくしごいた。ヒロムはヒトミ自身から手を離し、ヒトミの頬を押さえて、唇を離した。ヒトミは攻撃的にヒロムにまたがり、ヒロム自身を受け止めた。腹に手をのせた。
「ねえ、ヒロム。」
「何。」
「話をするか、感じるか、どちらかにしない。」
「うーん。」
(なんとなく、解るけど・・・)
(そういえば、ぜんぜん避妊してないけどだいいじょうぶかなー。)
「ヒーちゃん。」
ヒトミの腰は攻撃的に動いた。
(でもいい、いい、いい・・・・)

お姉さんじゃないんだぞ。Ⅳ

2009年02月12日 13時30分02秒 | Weblog
「どんなお店なのかなぁ。」
「うーん、テツさんて人の話だと・・・・」
そういいながら、ヒトミはシャワーを取り、足先から石鹸を流した。最後にヒロム自身にシャワーをかけた。自身はピクンと反応した。シャワーを止めて、石鹸を泡立て、ヒロム自身に塗りつけた。泡の中に自身が隠れた。
「結構、きわどいお店かも」
「きわどいって。」
「うーん。」
言葉に詰まったヒトミは、ヒロム自身をそーっと掌で包んだ。ヒロムはその瞬間、ミサキの掌を思いだした。あの時の電気が脳髄まで走るような感覚はないけれど、石鹸の中の自身をヒトミは上手に刺激した。
「だから、どんな、な、な、」
ヒロムの頭の中で水牛が暴れだしていた。半分は水牛に、それでも半分を意識で捕らえようと必死になっていた。指の動きは絶妙だった。ヒロムはヒトミの肩に手を置いた。
「特殊浴場かな。」
ポツンとヒトミが言った。そして、シャワーを取り、石鹸を流した。シャワーの刺激で、ヒロムは聞き取れなかった。次の瞬間、ヒトミはヒロム自身をくわえた。
「うっ。」
シャワーで下から玉袋を刺激しながら、両手で腰をかかえるようにして、ヒロム自身を唇が行き来した。水牛が暴れた。ヒロムの腰が自然に動いた。
「うっ、」
分身が口の中に拡がった。ヒトミは唇を離すと、シャワーで口をすすいだ。
「ふー」
ヒロムは嘆息をもらした。ヒトミが自分の身体にシャワーをかけ始めると、ヒロムはバスタオルを腰に巻いて、ユニットバスを出た。ヒトミは自分の身体を洗った。髪を洗う気にはなれなかった。軽く石鹸で身体を流すと、バスタオルを巻いて、ヒロムを追いかけた。
 ヒロムは奥の部屋の布団の上に立っていた。ヒトミが部屋に入ると明りも消さずに、ヒトミのバスタオルを剥いだ。腕を取り、乳房を露わにすると、ほうばった。そのまま、崩れるように布団の上で重なった。乳房から戻るようにして、首筋、耳裏、唇へとヒロムの攻撃は進んだ。右手がヒトミ自身を刺激した。乱暴というほどではないが、強い刺激。それでも、ヒトミ自身は潤ってきた。

お姉さんじゃないんだぞ。Ⅲ

2009年02月10日 17時55分27秒 | Weblog
スポンジを置いて、指先、掌でヒロムの前面を洗った。腕を洗った。胸を洗い、腹を洗った。へそ下をパスしてヒロムを抱え込むようにしながら、背中を洗った。
「六人組の役目はもう終わったって思うんだよ。今来ている会員にどういった満足を与えられるか、それのほうが大切なんだ。ただ、仁がいないと・・・」
ヒトミが腕をヒロムの背中にグッとまわした。
「マサミがね。お店を変えたのよ。なんか、私が連絡すると変みたいなの。」
ヒトミの乳首がヒロムの胸を撫でた。
「どういうこと。」
ヒロムの指が二人の身体の間を這った。
「うーん、そういうお店なのかな。」
指が乳首を捉えた。
「マサミの住所はわかるよね。」
ミサキは身体を離した。
「もう、後で。」
泡だらけの手でヒロムの手を押さえた。
「立って。」
ヒロムは立ち上がった。ヒロム自身はピンという感じで勃起していた。ヒトミはまた、スポンジに石鹸をつけ、あわ立てた。泡をすくい取るようにして、ヒロムの下半身に万遍なく行き渡らせた。
「住所はわかるけど、マサミに状況を聞きたいじゃない。」
「そうか。」
「演劇部とかに連絡させてよ。」
ヒトミはヒロム自身を避けるように、尻から、裏腿、グルンと回って腿、膝、足を上げさせ、足の指まで丁寧に洗った。

お姉さんじゃないんだぞ。Ⅱ

2009年02月06日 16時10分05秒 | Weblog
「そう。」
「そうって、いいの。」
「うん。」
会話が始まってから、ヒトミはシャワーヘッドを取り、ヒロムの頭を濡らし、シャンプーを始めた。本職のシャンプーは気持ちがよかった。頭を流し終わり、ヒトミもバスタブに入ろうといた。バスタブのそこには汚水と言いたくなるような水が溜まっていた。
「ヒロム、一回立って。」
ヒロムはズリズリという感じで立ち上がった。栓を抜き、汚水を流した。
「いいわよ。」
ヒロムはまたズリズリという感じで座った。シャワーを取って、ヒロムにお湯をかけた。お湯がヒロムの腰を隠すくらいまで溜まると、シャワーを止め、ヒロムの膝をまたぐようにしてヒトミもバスタブの中に入った。
「アキコも、ヒデオもなんか、気持ちが入らないんだって。「神聖な儀式」の時みたいになれないんだって。」
「うん。」
「うんって。」
アキコは石鹸をスポンジにつけ、ヒロムの身体を洗いながら、続けた。
「いいの。」
ヒロムの膝の上に腰を下ろすと、股間にヒロム自身が当った。ムクムクというよりもそれは既に勃起していた。それに気付かないフリをしながら、ヒロムの上半身を泡だらけにした。
「六人組はもういいかなって感じもするんだ。」
「そうなの。」