「あれー、ビーエスエイトさんって、一番目じゃないの。」
「そうですけど・・・。」
マーとマサルが声のするミキサーの卓のほうにいった。
「始めまして、マーです。」
「マサルです。」
「あ、平井です。」
「よろしくお願いします。一番なんですけど、何か・・・・。」
「逆リハだから、リハは一番最後だけど。」
「はあ、でも昭雄さんに十三時に入れって言われたんですけど。」
「うー、初めてなんだね。」
「はい。」
「他のバンドのリハを見ろってことかなあ。」
平井さんは独り言のように言った。
「まあ、いいや、適当に座っていてよ。」
「楽器はどうしたら・・。」
「ああ、早紀と・・・・スタッフがそのうち来るから、きいてよ。」
「はあい。」
平井さんは目を合わせることもなく、自分のセッティングをしながら、面倒くさそうに答えた。ハウスはステージから一段低くなったところに立ち見のフロアーがあり、その周りをステージと同じ高さのテーブル席が囲んでいた。ステージとテーブル席の一番端は一メートルほど離れていて、その前に大きなスピーカーがデンとセットされていた。鉄ドアから入って、立見席で文字通り立っていた皆のほうにマーとマサルは戻り、テーブル席の奥のほうに陣取って座った。
しばらくするともう一人男の人が来た。全員でたって挨拶した。
「おはようございまーす。」
「お、お、おはようございます。」
「ビーエスエイトです。」
「あ、あ、照明の吉川です。」
そういうと、そのまま平井さんのほうに小走りで行ってしまった。皆は座った。
平井さんがミキシングルームから出てきた。
「エーと、バンマスの方はどなたですか。」
「はい。」
マーが立った。
「進行表とかありますか。」
「えっ。」
「曲順とか、の・・・。」
「あ、すみません。そういうのはないです。」
「じゃあ、セティング表は。」
「それもないです。」
「ふう。」
平井さんは溜息をついた。
「じゃあ、これに大体でいいですから、立ち位置を記入してください。」
ステージの見取り図を渡された。まあ、そんなことは決まっていなかった。アンプの位置に合わせて、皆の位置を決めた。が、ヒデオとアキコの位置が困った。二人のヴォイスの前にするか、後ろにするか、で困った。そこで立ち見のフロアーとステージの間に立つということにした。マーはセティング表を平井さんに渡しに行った。照明の吉川さんもそのセッティング表を見た。
「これどういうこと。」
やはり、ヒデオとアキコの立ち位置を聞かれた。
「ダンサーなんで、動くんですよ。」
「ダンサーがいるの。」
「はい、よろしくお願いします。」
「照明で追っかけるのはできないですよ。」
吉川さんが突然、口を挟んだ。
「いいです。いいです。・・・」
「まあ、リハ聞いた感じでってことかな。」
「ハイ、お願いします。」
「そうですけど・・・。」
マーとマサルが声のするミキサーの卓のほうにいった。
「始めまして、マーです。」
「マサルです。」
「あ、平井です。」
「よろしくお願いします。一番なんですけど、何か・・・・。」
「逆リハだから、リハは一番最後だけど。」
「はあ、でも昭雄さんに十三時に入れって言われたんですけど。」
「うー、初めてなんだね。」
「はい。」
「他のバンドのリハを見ろってことかなあ。」
平井さんは独り言のように言った。
「まあ、いいや、適当に座っていてよ。」
「楽器はどうしたら・・。」
「ああ、早紀と・・・・スタッフがそのうち来るから、きいてよ。」
「はあい。」
平井さんは目を合わせることもなく、自分のセッティングをしながら、面倒くさそうに答えた。ハウスはステージから一段低くなったところに立ち見のフロアーがあり、その周りをステージと同じ高さのテーブル席が囲んでいた。ステージとテーブル席の一番端は一メートルほど離れていて、その前に大きなスピーカーがデンとセットされていた。鉄ドアから入って、立見席で文字通り立っていた皆のほうにマーとマサルは戻り、テーブル席の奥のほうに陣取って座った。
しばらくするともう一人男の人が来た。全員でたって挨拶した。
「おはようございまーす。」
「お、お、おはようございます。」
「ビーエスエイトです。」
「あ、あ、照明の吉川です。」
そういうと、そのまま平井さんのほうに小走りで行ってしまった。皆は座った。
平井さんがミキシングルームから出てきた。
「エーと、バンマスの方はどなたですか。」
「はい。」
マーが立った。
「進行表とかありますか。」
「えっ。」
「曲順とか、の・・・。」
「あ、すみません。そういうのはないです。」
「じゃあ、セティング表は。」
「それもないです。」
「ふう。」
平井さんは溜息をついた。
「じゃあ、これに大体でいいですから、立ち位置を記入してください。」
ステージの見取り図を渡された。まあ、そんなことは決まっていなかった。アンプの位置に合わせて、皆の位置を決めた。が、ヒデオとアキコの位置が困った。二人のヴォイスの前にするか、後ろにするか、で困った。そこで立ち見のフロアーとステージの間に立つということにした。マーはセティング表を平井さんに渡しに行った。照明の吉川さんもそのセッティング表を見た。
「これどういうこと。」
やはり、ヒデオとアキコの立ち位置を聞かれた。
「ダンサーなんで、動くんですよ。」
「ダンサーがいるの。」
「はい、よろしくお願いします。」
「照明で追っかけるのはできないですよ。」
吉川さんが突然、口を挟んだ。
「いいです。いいです。・・・」
「まあ、リハ聞いた感じでってことかな。」
「ハイ、お願いします。」