仁、そして、皆へ

そこから 聞こえる声
そして 今

nihility and isolation and forfeiture  (虚無と孤独と喪失と)Vol.26

2016年03月31日 17時41分44秒 | Weblog
3月25日

どうしたの。

11:23

返事ないから。

12:45

もう、1か月よ。

13:05

お金、ないの。

14:02

ねえ、なんか、書きなさいよ。

14:08

住所、教えてよ。

14:12

会社に電話するわよ。

14:15

もう、何よ。個人情報って、教えたっていいじゃない。

15:07

心配してるのにー。

15:10

また、連絡するからね。

19:30

仕事、行くから。

19:53


nihility and isolation and forfeiture  (虚無と孤独と喪失と)Vol.25

2016年03月24日 16時26分07秒 | Weblog
3月21日

会社から必要書類の提出、催促。

診断書。

通院証明書。

休職願い。

鍵のかけ方がわからなくなり、出社をあきらめる。

総務に電話を掛ける。

三回目のコールで切る。

人の声が・・・・。

水が飲みたい。

コップがやけに重くて指からすり抜ける。

ガムテープで破片を貼りつけるつもりが指を切る。

鉄。

血。

タバコ。

奥歯が痛い。

歯ではなく、歯茎。

携帯が鳴る。

郵送でもかまいませんよ。

他人のような口ぶり。

石塚さん。

日報と領収書をいつも持っていくのに。

その程度の関係性。

2週間も出社しないとこんなもんか。

法律でも変わったのか。

出向、首切り。

想像したのとは違う。

そういえば、最初に休めって言ったのは部長だった。

ゼネコン担当は宮下に変わった。

あッ。

まただ。

また、聞こえる。

ピーだか、ポーだか。

はっきりしろよ。

痛い。

肩と腕をつなげている部分が痛い。

部屋の鍵。

どこだっけ。

時計。

郵便局、行かないと。

もう暗い。

明日。

まだ、2時なのに。

どうして立っているんだ。

いや。

寝ているんじゃないのか。

いや。

いや。

いや。

雷の音。

違う。

車の曲がる音。

書類。

テーブルの下だ。

郵便局に行かないと。

郵便局にいかないと。

郵便局にいかないと。





nihility and isolation and forfeiture  (虚無と孤独と喪失と)Vol.24

2016年03月03日 10時36分54秒 | Weblog
3月1日

ゼネコン 呼び出し。

締め処理 未終了。

そちらは経理が全部処理するのかもしれないが・・。

ウチは担当が処理してからなんですけどねえ。

物件 不具合。

7年前の物件。

地盤移動に伴い基礎亀裂。

震災の影響なら不問。

が、初期地盤調査に問題あり。

測定ポイント、N値改ざんか。

専門弁護士を先方が立てたため、対策会議。

受けたのは別会社。

施工はウチだが・・。

既に、調査会社は倒産。

計画倒産か。

配筋図、コンクリート強度資料、硬化規準値他。

今回の問題を解決するためには地盤強化工事、補強杭打ちが必要。

施工に落ち度はなく、調査会社の不備。

そこで、落としどころは通常見積の半額くらいで再工事。

まさか、ウチに泣けって言うのか。







nihility and isolation and forfeiture  (虚無と孤独と喪失と)Vol.23

2016年03月02日 15時55分48秒 | Weblog
2月29日

甘い香りの君が 

白いテーブルの上で

膝まで上げたドレスは

小刻みに揺れていた

白いカーテンだけが

二人の憂鬱を隠す

遠くで聞こえるベルに

君の肩が震えてた

ああ、愛のすべてが身体の中で溶けていく

ああ、愛のすべてが心までとかしてく

ドアの向こうは 午後

人の声が聞こえる

落ちる雫のように

君の肌が濡れていく

白いカーテンだけが

二人の吐息を包む

震える指の先から

ためらいが消えていく

ああ、愛のすべてが身体の中で溶けていく

ああ、愛のすべてが心までとかしてく

ドアの向こうは 午後