仁、そして、皆へ

そこから 聞こえる声
そして 今

どこでどうして、何のために8

2011年07月26日 16時35分54秒 | Weblog
 萩尾は感度のいいカメラを用意していた。くらい照明の中でその行為を、彼らの顔を捉えられる位置に移動しながら、シャッターを押した。マスターは二人の様子を確かめながら、照明を徐々に明るくしていった。グラスの中の白い粉と、女たちのテクニックで彼らは何も気づかなかった。
 脳の記憶中枢は停止し、快楽の渦に呑まれていった。
 理性も記憶も、身体の外に飛び出していた。

 一週間後、千葉県警の署長宛に封書が届いた。差出人のない封書だったため、秘書官が開封した。中には 彼の御乱交の写真が入っていた。写真のみで、手紙などは入っていなかった。秘書官は慌てて、署長室に駆け込んだ。代表に選ばれた彼を知らないものは署内にはいなかった。

「やー、先だってはありがとうございました。面白い写真が上がってきましたよ。早速、署長様宛に郵送させていただきました。
これで、彼は代表から落ちますよ。よかったですねえ。
彼だけを狙っていたんですけどね。貴方の顔の写っているのが、何枚か上がってきちゃって・・・、大丈夫ですよ。
そっちは同封してませんから。まあ、これも何かのご縁ですから、これからも宜しく御願いしますよね。」
萩尾の声は、女をくどくときのように甘く、先輩の耳にまとわりついた。そのとき、先輩は背中を冷たいものが流れるような感覚を覚えた。

どこでどうして、何のために7

2011年07月11日 14時18分50秒 | Weblog
 夜も浅いうちだった。マスターは看板をドアの中に入れた。ドアに内側から鍵を掛け、入り口の照明を全て消した。その店に常連客はいなかった。看板に明かりがつくのは不定期で、ドアの中は何一つ見えない。そんな店に来る客はいなかった。萩尾やその仲間が利用する以外は。
 女たちは遊び慣れていた。というより、遊ばせるのがうまかった。笑い声が響き、開放感が拡がった。マスターはビアタンのそこに、液体を塗った。おかわりのカクテルに白い粉を混ぜた。頭の真ん中から、脳が溶け出した。そんな感じだった。先輩の身体も、彼の身体も、隣に座る女の身体がかすかに触れるだけで、自身が勃起してしまうのを感じていた。ケバイ化粧の少女が次のステージに彼らを導いた。彼のズボンの上から握った。
「はは、」
そう、笑うとジッパーを下げ、手を入れてきた。自身だけを空気にさらすと、その唇が自身を包みこんだ。それから、彼とケバイ化粧の少女はソファーになだれ込んだ。先輩は二人の女を相手にしていた。おかわりを頼みながら、カウンターに手をついて、足を逆ヴイ字に開いて、振り向いた女の目が先輩をジーと見た。思わず先輩は逆ヴイの女の足に絡まった。見えそうなくらい短いスカートを巻く利上げ、パンスを引き裂いた。そうしている先輩の後ろから、もう一人の女が先輩の、やはり、自身を握りしめた。
 二人の身体は全ての部分が性感帯になっていた。

どこでどうして、何のために6

2011年07月06日 15時05分57秒 | Weblog
 警察官だからといって全ての警察官が正義感にあふれているわけではない。その雰囲気から未成年とわかっても、問いただすことはなかった。それを見て先輩は安心した。カウンターで飲み始めて、先輩はタイミングを見計らっていた。荻野はその一番すみの席にいた。照明の暗いその店では、すみの席に座る荻野の顔を確認することは出来なかった。
サインを出した。一番年上の女が席を立ち、カウンターに近づいた。
「マスター、ジン頂戴。」
彼と先輩は女を見た。
「何よー。ナニ見てんのよ。」
「あ、いや、」
「二人で飲んでるの。」
「まあ、」
「一緒に飲まない。」
それが合図だった。それから、御乱交が始まるとは彼は思ってもいなかった。二人は小さなテーブル席で飲む三人の女たちと合流した。