仁、そして、皆へ

そこから 聞こえる声
そして 今

nihility and isolation and forfeiture  (虚無と孤独と喪失と)Vol.35

2016年07月06日 13時30分35秒 | Weblog
7月1日

どうしてお薬手帳をお持ちでないんですか。

だから、ここに来ていただいても、すぐに、決定的な処方をが出るわけではないということです。

問診票から、今日のカウンセリング。

随分慣れている感じがするんですけど。

何が、怖いんですか。

いろんな医者がいますからね。

あなたの言うことは信じてもいいですよ。

ははは。

どうして、あなたを・・・。

好きとか、嫌いとかで、診察はしませんよ。

まあ、いいじゃないですか。

たまたま、ここに来たんだから、少し、遊んでいきませんか。

私はね、長野の田舎者なんですよ。

私の実家の裏には、そう、畑を挟んで、200m位のところにね。

悲しいご家族が住んでいたんですよ。

旦那さんと息子さんが1人、娘さんが2人。

奧さんは、私が物心着くまえに、国鉄の、JRになる前のね。

機関車が家の山側を走っていて、そこに飛び込んで亡くなりました。

なぜ、と言う問いは村全体で覆い隠してしまったようで、

僕の耳には届かなかったんだけれど。

僕の記憶に鮮明に残っているのは長女の方のことですね。

或る日、笑うだけの人になってしまったんですよ。

当時はね、今みたいに簡単に、精神ってつく医者には行けなくてね。

誰かが、見ていなきゃいけなくて、高校生くらいだったのかな。

妹さんが学校をやめて、家に入ったんですよ。

ときどき、妹さんの目を盗んで僕の家にもきましてね。

家族は困った顔をしていましたけど、僕は不思議と怖くなくて、手を引いて、

裏の家まで送って行きました。

妹さんは非常に恐縮してね。

小学生の僕に何度も頭を下げました。

山際の線路にディーゼル車が走るようになったころかな、

その妹さんが吸い込まれていったのは。

今、思えば疲れてしまったんでしょうね。

そのことがあってすぐに、長女の方が・・・。

妹さんのことで正気を取り戻したのかもしれませんが、

やはり、ディーゼル車の下敷きになってしまわれて。

しばらくするとその家は空き家になっていました。

大屋さんが家に来て、愚痴を言っていました。

半年も家賃を払わずに逃げたって。

そのことがあってね。

私はこちらの道に進んだと・・・。

つまらないですか。

いいえ、あなたは、まだ、

今日はやめましょう。

木曜日にもう一度来てください。

少しはお役にたてるかもしれません。













nihility and isolation and forfeiture  (虚無と孤独と喪失と)Vol.34

2016年07月01日 10時33分11秒 | Weblog
6月30日

もう、一年の半分が終わってしまった。

何をするでもなく。

ぎりぎりの生活は送れている。

空気が重くても、湿気が多くても。

風がなくても、空が、ただ、ただ、灰色でも。

この季節を快く感じる人はいないだろう。

それでも生きている。

かび臭いシーツを洗いに行こう。

コインランドリーは歩いて5分。

坂の下の角にある。

昨日は、何を食べたのだろう。

記憶は遠くて思い出せない。

イヤなにも食べていないかもしれない。

コインランドリーの先のコンビニで・・・・。

昨日も、同じことを考えた。

シーツはかび臭くない。

昨日、コインランドリーに行ったのか。

それとも・・・・。

生活が大事だなんて・・・。

生活ってなんだ。

生きている。

それだけも大変なのに・・・。

ほら、始まった。

頭の上のほうから。

決め手はないがこれでも一種御懸命なんだよ。

電話をする気力もない。