成城の新居は木造で、古かった。洋館のようなその家は肩くらいの高さの御影石の塀が取り囲み、塀の上には植栽が施されていた。門をくぐると、車が乗用車で二台止めれそうなスペースがあり、アーチ型の玄関があった。エントランス兼リビングがあり、中央に階段、奥にキッチンとバス、書斎があり、二階に四部屋、寝室にも個人の部屋にもなんにでも使えそうな部屋があった。
その一部屋に武闘派が常駐した。一部屋はヒトミとヒロムの寝室に、一部屋はヒトミのクローゼットに、最後の一部屋にはそのころまだ高価だったコンピューター関係の機材が積まれた。が、ヒロムは書斎にこもった。クイーンズサイズのダブルベッドを置いた寝室にヒトミと寝ることはあまりなかった。むしろ、寝室はヒトミの世界になった。
不思議なものでヒトミは性的に発達していった。男でも女でも、常任はヒトミに呼ばれることを最高の至福と感じた。ヒトミは自由に「流魂」の中を行きかい、好みの対象を選んだ。時々、というよりごく稀に、ヒトミはヒロムを誘った。ヒロムはヒトミの誘いには応じた。常駐の武闘派にツカサが来る時はほとんど毎晩、ヒトミの声がかかった。ヒトミは姫を楽しんだ。
性的な興奮が、魂のウネリであり、生への衝動と感じて、それを基盤に「流魂」を導いてきたヒロムが、逆に性的なものから離れて行った。ヒロムはオカルト的なものに興味を持ち出した。書斎にはそれに関わる本が積まれた。スプーン曲げに集中したり、霊媒の本を読み漁ったり、時として、当時はやり始めたテレビゲームに興じた。
ヒロムの心に虚無が忍び寄っていた。ヒトミと交わる時はヒトミがヒロムに「命の水」を飲ませた。そうしなければヒトミを満足させることがヒロムにはできなくなっていた。孤独がヒロムを締め付けた。
その一部屋に武闘派が常駐した。一部屋はヒトミとヒロムの寝室に、一部屋はヒトミのクローゼットに、最後の一部屋にはそのころまだ高価だったコンピューター関係の機材が積まれた。が、ヒロムは書斎にこもった。クイーンズサイズのダブルベッドを置いた寝室にヒトミと寝ることはあまりなかった。むしろ、寝室はヒトミの世界になった。
不思議なものでヒトミは性的に発達していった。男でも女でも、常任はヒトミに呼ばれることを最高の至福と感じた。ヒトミは自由に「流魂」の中を行きかい、好みの対象を選んだ。時々、というよりごく稀に、ヒトミはヒロムを誘った。ヒロムはヒトミの誘いには応じた。常駐の武闘派にツカサが来る時はほとんど毎晩、ヒトミの声がかかった。ヒトミは姫を楽しんだ。
性的な興奮が、魂のウネリであり、生への衝動と感じて、それを基盤に「流魂」を導いてきたヒロムが、逆に性的なものから離れて行った。ヒロムはオカルト的なものに興味を持ち出した。書斎にはそれに関わる本が積まれた。スプーン曲げに集中したり、霊媒の本を読み漁ったり、時として、当時はやり始めたテレビゲームに興じた。
ヒロムの心に虚無が忍び寄っていた。ヒトミと交わる時はヒトミがヒロムに「命の水」を飲ませた。そうしなければヒトミを満足させることがヒロムにはできなくなっていた。孤独がヒロムを締め付けた。