仁、そして、皆へ

そこから 聞こえる声
そして 今

だから、お前がⅢ

2008年07月31日 16時41分36秒 | Weblog
 ヒトミは眠気がしなかった。頭の中で今日一日のことが回っていた。こんなに性的な日は今までになかった。しかも、今まで感じたことのない激しい快感が身体を支配していた。思い起こすと、自分ではほとんど覚えていないのだが、第一回「神聖な儀式」の後から、仁と交わってから、確かに性的な感覚に変化が起きた。と、言っても、今日一日の体験がそう思わせるのだが。
 ヒトミは自分が性的な人間になってしまったのか、と思った。しかし、それが否定的な意味でヒトミを攻めることはなかった。ただ、今、横で寝息を立てているヒロムの顔を見るとなぜか気恥ずかしさで顔が火照った。
 ヒロムは自分をどんな女だと思うのだろうか・・・・・
 でも、ヒロムでなければ、自分も許しはしなかっただろう・・・・
また、想像が今日の行為へ移行した。今度は体が火照ってきた。毛布を剥ぎ、ベッドを離れ、古めかしく荘厳な冷蔵庫を開けた。中からバドワイザーの缶を取り出し、一気に飲んだ。三本目くらいで程よく酔いが回り、ベッドに戻ってもう一度、毛布にくるまった。
 ヒトミは酔いに任せて眠りにつけた。むしろ、眠っていたヒロムのほうが大変だった。あれだけビクともしなかったヒロムだが深い眠りの中にはいなかった。ヒロムは夢の中にいた。肌からの刺激は深層心理に影響を与えた。

だから、お前がⅡ

2008年07月30日 15時29分53秒 | Weblog
ヒトミはもう一度、石鹸のクリームを作った。バスタブの栓を抜き、湯をすべて流した。自分の身体にクリーム状の石鹸を塗りたくり、既に寝ているヒロムと重なった。ヒロムの胸に自分の胸を付け、背中に手を回した。ヒロムをまたいで正座するような格好になり、背中を洗った。腰を片手で持ち上げ、尻も洗った。足をくの字に折り、胸と腕で挟み込むようにして洗った。ヒロムのすべての部分を洗い終わると、ヒロムの身体から離れ、もう一度自分に石鹸を付け直し、ヒロムの身体を洗ったときのように自分を慈しむように洗いなおした。そして、長いホースのシャワーを使って、壁全体が鏡になっているその部屋の壁面に移る自分の身体を見ながら、ゆっくりと石鹸を流した。
 太目かな・・・・
鏡に映る自分の姿は醜いとまでは行かないが、肉付きはよかった。
自分の石鹸を流し終わるとやはりアメリカサイズの大きなバスタオルで身体を拭いた。
 定員二人の部屋なのにタオルも石鹸もシャンプーも歯ブラシも、ずいぶんたくさんあった。その中から、自分が使ったのと同じ大きなバスタオルを二枚とって、部屋の反対側にあるベッドに運んだ。ベッドも大きくキングサイズだった。その片方に二枚を並べた。
 バスタブに戻った。ヒロムが目を覚まさないようにお湯の温度をややぬるめにし、勢いも流れる程度に調節した。乾き始めた石鹸を掌で丁寧に落とし、ヒロムの後ろに回り、首からゆっくりと持ち上げた。脇に手を入れて、バスタブのヘリまで持ち上げ、ヒロムと何とか対面してヒロムの腹のへんに肩をいれ、声に出さない気合を入れて担ぎ上げた。重かった。自分でも凄い力だと思った。ただ、ヒロムの身体も筋肉質ではなくポチャポチャしていたので見た目ほど重くはなかったのだが。フラフラしながら何とかヒロムをさきほど敷いたバスタオルの上に寝かせた。
 メガネをしていないヒロムの顔は、まだあどけなさが残っていた。可愛らしかった。メガネをして皆の前で講和を始めると顔つきまで変わってしまうのか、と、ヒトミは思った。そしてその顔になった時、自分のことなど、頭の隅にもなくなってしまうのではないか。横たわるヒロムの顔を、身体を見ながらヒトミは悲しみにも似た感情を持った。
 しばらくボーッとしていた。ふと、周りに目をやると、やはり一番高級な部屋は違っていた。風呂はベッドの位置から見るとマジックミラーなのか、中が丸見えだった。さらに風呂の横に目をやると壁に十字のように柱が組まれ、鎖がついていた。その前には三角錐を横にしたようなものがあった。それを何に使うかは、ヒトミは知らなかった。ただ、誘われるように十字に組まれた柱のほうに歩き出した。やり方は解らなかった。鎖を外して、柱に背中をつけ、鎖を体に巻いてみた。鎖の冷たさが心地良かった。足を揃え、手を伸ばして、十字と自分を重ねた。ベッドに眠るヒロムが見えた。何か、不思議な感情がヒトミの身体を捕らえた。ヒトミは鎖を外し、ヒロムのほうに歩き出した。
 ヒトミはバスロブの紐を二本、アメニティの中から探し出し、ヒロムの胸の上で両腕を組ませ目が覚めないように気を付けながら、縛った。さらに、両足を揃え、足首のところで縛った。ヒロムは起きなかった。ヒトミはヒロムの身体に触れた。どのくらいの刺激でおきるのだろう。が、起きてしまうのは怖かった。中指を立てて、ヒトミはヒロムの乳輪から触った。ピクッと動いたが起きなかった。円を描きながら、腹を触った。へその周りを触った。力の抜けた自身を突いた。起きなかった。ヒロム自身を握ってみた。起きなかった。左手で自身を握り、右手をひらいて、頭を撫でた。起きなかった。上下にしごきながら、掌を回転するように動かした。
「ううん。」
と言うものの起きなかった。あまり激しくはしないで、刺激をくわえると自身が大きくなってきた。一番大きくなったところで、ヒトミはヒロムに覆いかぶさり、自身をくわえた。舌先を使って、唇を使って刺激した。起きなかった。ヒトミは面白くなってきた。強すぎないように気をつけながら、刺激を与えた。ヒトミは唇を離すとヒロムをまたいでたった。手も足も縛られ、自身は勃起しているヒロム、それでも寝ているヒロム、なぜか楽しかった。右手で自身を持ち、ヒトミ自身に導いた。膝を折り、ゆっくりと腰を下げ、しかし、ヒロムが重さを感じないように根本近くで止め、上昇した。お相撲さんのような格好が正面の鏡に映った。そんな自分の姿を身ながら、右手でヒトミ自身を刺激した。しかし、スピードは上げずに。何度か、上下運動を繰り返すとヒロムとした時とは違う快感が自身から拡がった。ヒトミは自然と早まりそうな腰を制御することで何かを支配しながら快感をとらえているような不思議な感触が心地よかった。ヒロムを起こすことなく、収縮を感じたところで、ゆっくりと立ち上がった。汗が身体中から滲んできた。もう一度、シャワーを浴びて、ヒロムの横の広いスペースで毛布をかけた。


だから、お前が

2008年07月29日 17時38分10秒 | Weblog
その日、渋谷で入ったテルホでは二人はさすがに三度目の交渉はなかった。二人がテルホに入った時間だと、最上階の最も広く、最も高価な部屋しか空いていなかった。それでも、ヒロムはためらうことなく、鍵を取った。部屋に入ると、二人は丁寧に服を脱がせ、まるで二人きりで「ベース」の儀式をするかのように振舞った。丸くて浅い大きな風呂にお湯を溜め、ヒトミはヒロムの身体を沈めた。ヒロムは腰から下を湯に沈め、上半身を大きめのバスタブに横たえた。ヒトミは軽くシャワーを浴び、高級そうな風呂桶に石鹸を落とした。少な目の湯をいれ、テルホのスポンジを攪拌するように小刻みに回して、石鹸のクリームを作った。ヒロムの胸からそのクリームを塗り付け、湯から出ているすべての部分に行き渡らせた。指先を立てるようにして、触れるか触れないかの感触で身体を擦った。次に手を取り、まるで自身を触るように優しく洗った。ヒロムは目を閉じ、されるがままになっていた。ヒトミの耳に寝息が聞こえた。バスタブから外に出ている頭にシャンプーを塗り、撫でるように、溶かすように。ヒロムの目は完全に閉じていた。

皆、その左胸に手を当ててⅩ

2008年07月25日 17時22分29秒 | Weblog
 山手通りの歩道に出た。いつもはけしてそんなことは感じないのだが空気が新鮮に感じた。さらに街灯の明りが眩しかった。ヒロムは振り向き、ヒトミの顔を見て噴き出した。ヒトミは一瞬、ムッとしたが、ヒトミもヒロムの顔を見て噴き出した。映画で見た炭鉱の労務者が穴から出てきた時の顔になっていた。しかも、衣服のすべてが埃と煤と土に犯されたいた。ビルの入り口のガラス戸に二人は互いの姿を映した。ヒトミのインド綿のシャツもヒロムのズボンも激しく黒ずみ、そのままの姿ではとてもタクシーなど拾える状態ではなかった。ヒロムはズボンのポケットに入れた財布がないことに気づいた。
「財布がない。」
そういうが早いか、二人は通路に入った。先ほどは何も感じなかったその場所は、別世界だった。異臭が漂い、埃に溢れ、入り口から見ると少し先が真っ暗でどこになにがあるか判別できなかった。その衝動はこんな場所さえも不思議と艶っぽい空間に変えてしまった。が、財布はどこにあるのか。ヒロムは這い蹲るようにして、手をその土ぼこりの中に埋めなければならなかった。柔らかい綿の感触がした。ヒトミの廃棄したブラだった。そのすぐ横に埃まみれの財布があった。後ろから恐る恐るついてくるヒトミに合図をして走り出るように通路を出た。ヒロムはなぜか、ヒトミのブラも持っていた。
「いやだー、もうそれいらないのに。」
ヒトミはヒロムからブラを奪い取ると走り出した。計算したわけではないが、目黒通りを駅に向かって駆け上がった。ヒロムも訳もわからず、ヒトミを追いかけた。この追いかけっこは楽しかった。単純に楽しかった。
 つくづく二人は運がよかった。もし、この状態で警官に出会ったら・・・・・
乳首が透けて見えるほどのシースルーのシャツ、しかも埃にまみれでへんな模様がついているシャツを着て、やはり、埃まみれのブラを握り締めて走る女、その女を追いかける男、まさしく逮捕の対象になっただろう。警官は別の場所をパトロールしていたらしい。
 二人は駅前のとんかつ屋の前の広場まで走った。ヒロムはまた貧血が起こるのではないかと思った。都合のいいことにヒトミの部屋にはヒロムの衣類がストックされたいた。ヒトミはそこでヒロムを待たせ、部屋に戻った。顔を洗い、タオルで身体をサッと拭いて、いつものTシャツとジーンズに着替え、タオルを絞り、ヒロムの着替えを持って走った。ヒロムをとんかつ屋のわきの路地で着替えさせ、汚れた服はとんかつ屋のギャベジカンに放り込んだ。
「ねえ、お風呂に行こうよ。」
「エッ、もうやってないよ。」
「やってるところがあるでしょ。」
ヒロムはヒトミのいたずらっぽい顔から察した。駅前でタクシーを拾い、比較的空室が見つかりやすい渋谷に向かった。
 身体は拭いたものの、臭いはさすがに取れなかった。タクシーの運転手は一瞬、怪訝そうな顔をしたが乗車拒否はされなかった。タクシーに揺られながら、ヒロムに寄り添うヒトミ、ヒトミの目から薄っすらと涙が落ちた。
 次の瞬間、また、ヒロムとこうしていられるだろうか。
その自信はなかった。
 でもいい、こんな子供のようなヒロムを知っているは自分しかいないのだから。
ヒトミはヒロムの腕を抱きしめるように寄添った。

皆、その左胸に手を当ててⅨ

2008年07月24日 18時13分16秒 | Weblog
それでもしばらくは本日二度目の結合の余韻に二人は浸っていた。ヒトミはヒロムの右手を取り、左の乳房の下に導いた。早い心臓の音。そしてもう一度、ヒロムの右胸に手を当てた。鼓動が徐々に静まり、同調していくのを二人は感じた。柔らかい快感。とても優しい顔で見つめ合った。が、ザラッとした感じが、お互いの肌は感じていた。ヒロムは手をつき、立ち上がった。裸の尻のまま、そこに丸まっていたヒロムの尻もザラッとした感じがした。何故、そんな場所を選んだのか、理由はないがズボンをあげる前にヒロムは尻の付いた土と埃を叩き落とさなければならなかった。ヒトミにしてもマントのようになっているインド綿のシャツに手を通す時でさえザラッとした感じがした。踵に辛うじて引っ掛かっているパンティに足を入れてズリあげる時もザラッとした感じがした。ブラを探して手にするとそれは既に埃と土の塊になっていた。暗い中、目に近づけると汗にまみれたそれは、既に廃棄処分するしかない状態だった。ヒロムが先にたって、通路を出た。ヒトミはヒロムのベルトにつかまって後に従った。それほど暗かった。

皆、その左胸に手を当ててⅧ

2008年07月23日 17時01分20秒 | Weblog
臭いがした。ヒロムの汗と自分の汗の臭い、それとは違う体液の臭い、さらに、その通路に溜まった埃と土の臭いが鼻腔に入ってきた。ヒトミはヒロムが生きているのか、息をしているのか、どうなっているのか、訳がわからなかった。自分のことはともかく、ヒロムを跨いでスペースを作り、ヒロムの左胸に手を当てた。心臓は激しく動いていた。安心した。
「ヒロム。ヒロム。」
声を掛けると呻くようにしながら、ヒロムが起き上がった。
「ヒーちゃん」
ヒトミはヒロムの首を抱きしめた。
「よかった。死んじゃったかと思った。」
「エッ、」
ヒトミの唇がヒロムの唇を奪った。キッスが終わると二人はその状況が凄まじいものであることに気づかなければならなかった。

皆、その左胸に手を当ててⅦ

2008年07月22日 14時06分45秒 | Weblog
茂みを掻き分け、ヒロムの舌は進んだ。ヒトミ自身の隆起している部分に接触した。顔が天を仰ぐようにしながら、舌先を使った。ヒトミは少し股を開き、膝を曲げた。ヒロムは尻が完全に地面についた。ポジションが決まった。刺激が進むにつれて、ヒトミの腰が動き始め、声が漏れ始めた。腰の動きに合わせるようにヒロムの頭も動いた。激しさが増すとヒロムの頭は壁にぶつかった。
「来て。」
ヒトミは両手でヒロムの頭を挟むようにして、合図を送った。ヒロムは足と背中に力を入れた。ズリズリしながら、身体を起こしていった。肩がヒトミの間を抜けるとヒトミがわきの下に手を入れて、起き上がるのを助けた。ヒトミはさらに膝を折り、ヒロムのズボンとトランクスを膝まで下げた。ヒトミが上がってきた。顔の位置が同じになった時、もう一度、口づけをした。ヒロムがしっかり立つと位置的には少し高すぎた。ヒトミの左足を抱えるようにして挿入を試みた。腰を落とし、位置を確かめて、二人の身体は密着していたがその間をヒトミの右腕は二人の自身を結合するために進んだ。ヒロム自身をしっかり握って自身に導いた。挿入することはしたが結合が甘かった。ヒロムは力を振り絞りヒトミの右足も抱え込んだ。ヒトミが宙に浮く感じで結合した。ヒトミのヒダが動き始めていた。ヒロムはさらに背中と足に力を入れ、腰を突き上げた。ヒトミの身体は重かった。普段、運動らしいことを何もしていないヒロムにとってこの体制は、苦しかった。が、体は勝手に動いていた。ヒロムの身体は重力にさからえず徐々に下に落ちてきた。手の力も限界に来た。ズルッとヒトミの足が落ちた。が、ヒトミはお相撲さんが四股踏むような形で留まった。挿入が取れそうになったが、ヒロムもそこで堪えた。ヒトミの腰も前後に、左右に、勝手に動いているようだった。ヒトミの腰の動きが激しさを増したとき、ヒロムは最後の力を振り絞り、もう一度、両足を抱えて立ち上がった。
二人の腰は同調し、激しく動いた。背中も頭も壁に激突していたがそんなことも気にならなかった。足を離して、ヒトミの尻を抱えるようにしてヒロムが伸び上がった。
「っわーう。」
ヒロムの雄叫びが壁に反射した。
「あーーー」
ヒトミの絶叫がビルの間に響き、ヒロム自身は脈打ち、ヒトミ自身は不規則な収縮を繰り返した。しばらくその形で止まっていたが、ヒロムは壁にもたれ掛かったまま、腰が落ちていった。ヒトミが足を地面につけると、ヒロム自身が抜け落ち、ヒトミ自身の前をヒロムの顔が通過していった。ヒロムの頭の中を水牛は勝利を得たかのように走り回り、すべての部分を突き破った。その勢いにヒロムは軽い貧血を感じた。ヒトミはうずくまるヒロムをまたぐように立ち、目の前の壁に手を付き、自身から全身に拡がった快感を、快感の周期をバレエのプリエをするように上に向かうと爪先立ちになり、下に向かうと踵を落とした。ヒトミの頭の中も自身から発する波が脳天まで達していた。それはうずくまったヒロムから放射状に拡がり、全身をくすぐった。真っ暗なビルの谷間で、ヒトミの脳は真っ白になっていた。
 この時、警らの警官が通りかかったら、彼らはどうなっていたのだろう。または、酔っ払ったサラリーマンが通りかかったら。ただ、ビルの外側からその通り道を見たなら、首に白い服とポシェットの紐がかかり、上半身裸でプリエをしている
姿は、はっきりと見えないだろう。薄ぼんやりと闇の中に浮かび上がる白い物体に見えたのではないか。その時はたまたま、誰も通りかからず、声を掛ける警官も、驚いて声を上げるサラリーマンもいなかったのだが。
 快感の波がひき始めてヒトミはヒロムが足元に丸まっているのに気づいた。それまで、ヒトミも放心状態だった。

皆、その左胸に手を当ててⅥ

2008年07月18日 15時21分00秒 | Weblog
ヒトミの乳房の谷間を抜けて、柔らかな腹の感触を味わいながら、昼間と同じインド綿のシャツの裾までおりた。裾から頭を入れて、肌に口づけながら、今度は上昇した。ヒトミは壁にぴったりくっ付いてすぺースをつくった。ヒトミのシャツを手繰り上げる形で柔らかいブラに包まれた乳房に達した。ブラの上から口づけ、噛んだ。
「外して。」
ヒトミが呟くように言った。ヒロムは背中を壁につけて、ヒトミをだき、後ろに手を回した。指先に神経を集中させて試みたがうまくいかない。指が振るえているわけでもないのになかなか外れなかった。ヒロムが取りやすい様にヒトミは両手を上げた。両脇から手を入れてもう一度試みたがうまくいかない。ヒトミはヒロムの肩に手を置き、ヒロムを壁に密着させ、少しの隙間を作った。インド綿のシャツの袖を抜き、首だけで落ちないようにして、ブラの肩紐を緩めた。肩紐の間から手を抜いた。ヒトミのサイズには少し小さめのブラはそのままの形を止めていた。少し下に下げると乳首が露わになった。ヒトミはアンダーバストに手を掛けてゆっくりとブラを回した。露わになったバストの下にホックが現れた。露わになったバスとに興奮したのか、ヒロムが乳首に口づけようと迫った。乳首に唇が当たるのを確かめてからヒトミはもう一度、甘い声で言った。
「外して。」
ヒロムは唇を離し、ホックを外した。今度は簡単に外れた。ブラはそのまま地面に落ちた。そんなことを気にするまもなくヒロムは乳首に口づけた。昼間覚えたやり方で乳首を攻めた。
「噛んで。」
言葉どおり噛んだ。
「痛い。」
唇を離した。
「優しくして。」
言葉の一つ、一つが何か危ない薬物のようにヒロムに響いた。ヒロムは歯を立て乳輪を含むようにしながら軽く噛んだ。
「アン。」
ヒトミの声が漏れた。右へ左へ攻撃の中心を換えながら、ヒロムは吸う、噛む、転がす、なめあげると何度となく繰り返した。時に掌で乳房を両方から押さえつけ、乳輪から先が特出するようにして舌で嘗め回した。ヒトミはヒロムがしたように頭を押さえ、軽く力を入れた。それが合図になって、ヒロムはバストを離れ、腹をなめ、スカートを捲り上げて、パンティーに手を掛けた。狭い空間で腕を一杯に伸ばして踵まで下げた。ヒトミは左足を上げ、幾分股を開いた。尻が地面に付きそうなくらいの位置で目の前にヒトミ自身があった。顔をヒトミの股の間に押しこぬようにして、自身にキッスを始めた。ヒトミ自身は既に溢れるくらいに暖かく甘い臭いの液体で満ちていた。その液体を吸い込むようにキッスをした。

皆、その左胸に手を当ててⅣ

2008年07月16日 16時11分44秒 | Weblog
「エッ」
ヒロムが聞き返した。
「満員みたいですよ。五反田か、渋谷に回りますか。」
ヒトミが腕に絡み付いていた。ヒロムはしばらく沈黙した。
「どうします。」
「ここで降ります。」
「お待ちになるんですか。もう泊りだから空かないと思いますよ。」
それには答えず、料金を払い、タクシーを降りた。ヒトミの目は半開き状態だったが、腕を絡ませたままヒロムに続いた。タクシーはプーとクラクションを鳴らすと反転して走り去った。ヒロムはヒトミの半分の体重を感じながら、タクシーを見送った。ヒロムは何故降りたのか、自分でも解らなかった。ただ、タクシーに乗っているのがいやだった。フラフラしながらもしがみ付いているヒトミをつれて歩き出した。目黒通りに戻り、山手通りのほうに向かった。ヒトミのアパートとは反対なのだが。ヒロムの思考が始まりかけた。
 僕は何故、ヒトミに合いに来たのだろう。あの感覚をもう一度とらえるためか、
 確認するためか。
 いや、なにかにを判断するために動いているとは言えない。
 むしろ、あの感覚に支配されているのか。
と、ヒトミが腕をグッと引いた。その勢いでヒロムは倒れそうになった。
「どうしたんだよ。」
半開きの目がヒロムを見ていた。目を閉じた。半開きの口がキッスを待っていた。キッスが来ることを疑わない顔、ヒロムの頭の中であの感覚が動き始めた。ヒトミの身体をゆっくりと引き寄せて口づけた。ヒトミはヒロムの背中に回した手に力を入れた。クラクションの音がした。ハッとして、身体を離し、ヒトミの手を引いた。山手通り沿いのビルの間に人が一人やっと入れるくらいの通路を見つけ、そこにすべり込んだ。2人で横に並ぶのは不可能だった。背中をビルの壁面につけながら、もう一度、キッスからはじめた。真っ暗に近いがビルの隙間からヘッドライトの光が車が通過するたびに忍び込んできた。ヒトミが目を開けていた。
「ヒロム・・・」
何か言いたそうな目、じっとヒロムが見つめるとその視界をさえぎるように唇が近づき、口づけた。暖かな液体がヒトミの頬を流れた。ヒロムがそれに気づきそうになると、ヒトミは唇を離し、ゆっくり腰を落としながら、ヒロムのシャツのボタンを外した。露わになったヒロムの胸に口づけ、乳首を吸い、舌を立てて、へそ回りをなめた。少しでも身体を離すと後ろの壁にぶつかった。ヒトミはさらに腰を落とした。ベルトのバックルをはずし、ジッパーを下げた。トランスの上からヒロム自身を擦った。ヒロム自身は擦られるまでもなく勃起していた。トランクスを自身の付け根まで下げて自身を両手で握った。拡がった傘の付け根を右手の親指と人差し指で回すように刺激した。左手を離して、掌を拡げて二つの袋を軽く上に押し付けた。目の前にヒロム自身がいた。ヒロムは耐え切れず、ヒトミの頭に手を掛けた。ヒトミの唇が自身に触れた。傘の所までくわえて、ヒロムを見上げた。ヒロムの目も潤んでいた。あまり頭を後ろに下げると壁にぶつかってしまった。右手を離して、両掌で袋を持ち上げ、ヒロム自身をしっかりとくわえた。唇に力を入れて、根本に向かって滑らせた。ヒロムのサイズは根本までくわえても苦しくなることはなった。そのまま引き上げようとしたが、傘の頂点まで戻ると頭が壁に当たった。自身を立てるようにしながら、首を曲げて、上下に動かした。ヒロムは暗闇の中で上下するヒトミの頭の向うから、水牛が自分を目掛けて走ってくるような幻想にとらわれた。それと同時に一度目のフィニッシュを迎えた。ヒトミは昼間と同じようにこぼさないように口に含み、肌けたヒロムの下腹からズリズリしながら立ち上がってきた。ヒロムはそれを待つように頭を下げた。上向きのヒトミの唇を上から押さえるように捕らえた。二人は再び、分身を共有した。ヒロムはヒトミの脇の下に手を入れて、ヒトミを立たせた。今度はヒロムが腰を落とした。

皆、その左胸に手を当ててⅢ

2008年07月15日 12時53分57秒 | Weblog
ヒロムは昼の妙な緊張感がない、と感じた。
「何しにきたのよ。何よ。・・・・来てくれたの。来てくれたの。・・・・」
脈絡がなかった。ヒトミの叩く手の力が抜けた。腕をまわすとヒトミはヒロムにしがみ付いた。ヒロムはヒトミの心を理解したわけではなかった。ヒトミはヒロムの顔を抑えるとキッスしてきた。口付けながら。
「来てくれたの。ヒロムでしょ。ねえ、ヒロムでしょ・・」
と繰り返した。ヒロムが顔を離すとさらに力をこめて口付けた。舌を入れたきた。ヒロムの舌をみつけるとと舌の裏側を刺激した。ヒロムの口の中で舌が絡まりあった。ヒロムは昼間覚えたようにヒトミの舌を吸った。
「うーわー。」
ブチッという音とともに唇が離れた。ヒトミはハー、ハーと息をした。ヒトミの顔は暗がりの中でよく見え得なかったが泣いているようで、笑っているようで、なんとも不思議な顔をしていた。ただ、ヒロムにとってはその顔は安心できる顔だった。
「ヒーちゃん、大丈夫。」
と言うとヒトミはへへっと笑う様なそぶりを見せ、ヒロムの左腕にしがみ付いた。胸の感触がヒロムをにわかに刺激した。
「ヒーちゃん、帰ろ。」
右手でヒトミの頭を撫でながらそう言った。
「イアー・・」
と言うと腕を引っ張った。歩道橋の階段を駆け下りた。踏み外しそうになりながら何とか地面に着地した。
「ねえ、行こう。・・・行こう。もう一度、行こう。」
その目は潤んでいた。欲しているのが解った。ヒロムは先ほどから胸をあてがわれたいる左腕から、刺激が徐々に拡がっているのを感じた。
「どこへ」
「昼間のとこ。」
ヒトミはそういうとヒロムの股間に手を伸ばした。ヒロム自身はすぐに反応した。ヒロムはまた、何も考えていない自分がいるのに気づいた。が、どうしようもない感覚が次の行動を取らせた。ヒトミの腕を引き、道路の反対側に渡るとタクシーを止めた。ヒロムはヒトミを抱きかかえるようにタクシーに乗った。ヒトミをなんとか座らせて、行き先を告げた。運転手がいやらしい笑みを浮かべるのがルームミラーに映った。ヒロムが座るとヒトミはヒロムに抱きついた。寝ているのか、いないのか、寝ているわけはなかった。ヒロムの右肩にヒトミの柔らかな乳房が当たった。擦り付けるように身体を動かした。首に回した左手をそのままにしてヒトミの右手がヒロムの胸から腹へさらに下腹部に移動した。首の後ろの手はヒロムの耳の後ろをそっと押して自分のほうにヒロムの顔を向けようとした。ヒロムはルームミラーが気になった。それがヒロムを冷静にした。
 何故、ここにいるのだろう。
 ヒトミはどうしたんだろう。
ヒロムが女性の気持ちがわかるほど成熟しているわけがなかった。
 僕は何をしようとしているのだろう。
その思考もヒトミの手の動きが止めてしまった。ヒトミの手はヒロム自身に届いていた。掌全体で自身を圧迫するようにしながら、スーと上にずらし、掌を窄めながら、傘のところで人差し指と薬指を立てて、引っかくように刺激した。ヒロム自身は腹を移動している時から徐々に膨らんできていた。ズボンの上からなのに素手で触るよりも微妙な感触が自身を奮い立たせた。また、掌を開いて今度は下降した。シートとヒロムの間に入り込み、中指は真直ぐ伸び、人差し指と薬指が袋を転がすように動いた。ヒトミの左手にも力が入った。ヒロムの顔はエイというようにヒトミのほうを向いた。ヒトミの目は潤み、唇が半分開いていた。昼間の顔は化粧のせいか、ここまで艶かしくなかった。ヒロムはその顔に吸い込まれるように口付けた。
「ウン」
と運転手が咳払いををすると同時に車は左にカーブした。キッスをした状態で転がりそうになった。ヒロムはヒトミの両手を押さえて座りなおさせた。車が止まった。
「お客さん、満員みたいですよ。」