「アキコはどうして生きていると思う。」
「何よ。急に。」
「いま、アキコとこうしていられるのも。偶然なのかなぁ。」
「偶然・・・・そんなことないよ。」
しばらく考えた。
「まあ、私がヒデオのところへ行っていなかったら、ヒカルたちのとこには行かなかったかな。」
「そうじゃなくて・・・」
「なあに。」
アキコは珍しいと思った。ヒデオは寡黙で、ほとんど喋らない。ただ、二人でいるとその表情の微妙な変化で気持ちが読めた。しかし、今日は気持ちの問題ではないようだった。言葉に変えてることが必要だった。
「アキコはどうして「ベース」にきたの。」
同じ病院のインターンの医師に酔った勢いでホテルの部屋まで連れ込まれ、股間を蹴って、逃げ出し、気づいたら「ベース」に辿り着いたとは言えなかった。アキコが話し出す前にヒデオが続けた。
「なんか、イベントが終わってから、覚めてきているんだよ。」
アキコはヒデオの胸に耳を付ける形でもたれ掛かった。 ヒデオはアキコの脇に手を添えた。
「私は・・・、よく解らないな。でも、はじめて「ベース」に迷い込んだ時と、今の「ベース」は違う気がする。」
ヒデオは聞いていた。
「仁は凄いと思う。仁がいなかったら、いないかな。」
ヒデオの手が少し動いた。アキコは今日は話をする番なのだと思った。
「私ね、セックスはどうでもいいの。不感症じゃないけど、あんまりいい思い出がなくて・・・でもね。「ベース」でであったセクスはなんかぜんぜん違ってた。」
ヒデオが身体を起こした。アキコは顔を合わせるのがなんとなく恥ずかしくて、ヒデオの胸にさらに顔を押し付けた。ヒデオは大音量の中で胸から声が響くよう感覚が不思議だった。
「私ね、父親がいないの。小学校の時に死んじゃって。発破師だったの。農業もやってて、山で発破の仕事があると出かけていったの。その日も普通に出て行って、帰ってきた時は顔の形もわからないほどバラバラになっていたわ。母は私に父親の最期の姿を見せようとしてかえって傷つけてしまったと泣いていたわ。」
アキコは座り直した。ヒデオの横に、身体はヒデオの左腕に預けて。ヒデオは右手で、アキコは左手でグラスを持った。
「ファザコンね。好きになるのは年上の人で、なんか父親を探しているみたいだったなー。高校の時もね。バスケ部の顧問の先生を好きになっちゃって、面白い先生だったな。と思いたいんだけど。部室で着替えていると、あっまだ着替え中だったかって言ってドアを開けるのよ。皆、センセーいやらしいと言うと、すまんすまんって。はじめての人が先生だった。用具当番で一人でボールを片付けていたら、先生が来たの。ご苦労さんって言って、ボール籠を用具室に運ぶのを手伝ってくれた。用具室で籠からボールがこぼれて、拾って、籠の戻そうとしたら後ろから犯された。口を押さえられて、ブルマとショーツを一緒に下ろされて、指で開いて入れられたわ。痛かった。涙が出て、先生は直ぐに終わって、よかった。誰にも言うなって言われて、よかったって言葉が響いて、先生に求められるとしていた。」
ヒデオはアキコの肩を抱いた。
「あれ、私、何を話しているんだろ。・・・酔っ払ったかな。でもね。そんなのがあって、セックスって痛いものだと思っていたのよ。だからね。「ベース」でのは不思議だったなー。私ね。好きになって求められると直ぐにしちゃうのよ。なんか、男の人って直ぐにしたがるでしょう。先生のときは他の人ともしてるって知って嫌になっちゃったんだけど。・・・・」
普通に話しているつもりが涙が出てきた。
「何よ。急に。」
「いま、アキコとこうしていられるのも。偶然なのかなぁ。」
「偶然・・・・そんなことないよ。」
しばらく考えた。
「まあ、私がヒデオのところへ行っていなかったら、ヒカルたちのとこには行かなかったかな。」
「そうじゃなくて・・・」
「なあに。」
アキコは珍しいと思った。ヒデオは寡黙で、ほとんど喋らない。ただ、二人でいるとその表情の微妙な変化で気持ちが読めた。しかし、今日は気持ちの問題ではないようだった。言葉に変えてることが必要だった。
「アキコはどうして「ベース」にきたの。」
同じ病院のインターンの医師に酔った勢いでホテルの部屋まで連れ込まれ、股間を蹴って、逃げ出し、気づいたら「ベース」に辿り着いたとは言えなかった。アキコが話し出す前にヒデオが続けた。
「なんか、イベントが終わってから、覚めてきているんだよ。」
アキコはヒデオの胸に耳を付ける形でもたれ掛かった。 ヒデオはアキコの脇に手を添えた。
「私は・・・、よく解らないな。でも、はじめて「ベース」に迷い込んだ時と、今の「ベース」は違う気がする。」
ヒデオは聞いていた。
「仁は凄いと思う。仁がいなかったら、いないかな。」
ヒデオの手が少し動いた。アキコは今日は話をする番なのだと思った。
「私ね、セックスはどうでもいいの。不感症じゃないけど、あんまりいい思い出がなくて・・・でもね。「ベース」でであったセクスはなんかぜんぜん違ってた。」
ヒデオが身体を起こした。アキコは顔を合わせるのがなんとなく恥ずかしくて、ヒデオの胸にさらに顔を押し付けた。ヒデオは大音量の中で胸から声が響くよう感覚が不思議だった。
「私ね、父親がいないの。小学校の時に死んじゃって。発破師だったの。農業もやってて、山で発破の仕事があると出かけていったの。その日も普通に出て行って、帰ってきた時は顔の形もわからないほどバラバラになっていたわ。母は私に父親の最期の姿を見せようとしてかえって傷つけてしまったと泣いていたわ。」
アキコは座り直した。ヒデオの横に、身体はヒデオの左腕に預けて。ヒデオは右手で、アキコは左手でグラスを持った。
「ファザコンね。好きになるのは年上の人で、なんか父親を探しているみたいだったなー。高校の時もね。バスケ部の顧問の先生を好きになっちゃって、面白い先生だったな。と思いたいんだけど。部室で着替えていると、あっまだ着替え中だったかって言ってドアを開けるのよ。皆、センセーいやらしいと言うと、すまんすまんって。はじめての人が先生だった。用具当番で一人でボールを片付けていたら、先生が来たの。ご苦労さんって言って、ボール籠を用具室に運ぶのを手伝ってくれた。用具室で籠からボールがこぼれて、拾って、籠の戻そうとしたら後ろから犯された。口を押さえられて、ブルマとショーツを一緒に下ろされて、指で開いて入れられたわ。痛かった。涙が出て、先生は直ぐに終わって、よかった。誰にも言うなって言われて、よかったって言葉が響いて、先生に求められるとしていた。」
ヒデオはアキコの肩を抱いた。
「あれ、私、何を話しているんだろ。・・・酔っ払ったかな。でもね。そんなのがあって、セックスって痛いものだと思っていたのよ。だからね。「ベース」でのは不思議だったなー。私ね。好きになって求められると直ぐにしちゃうのよ。なんか、男の人って直ぐにしたがるでしょう。先生のときは他の人ともしてるって知って嫌になっちゃったんだけど。・・・・」
普通に話しているつもりが涙が出てきた。