ヒトミはツカサの待つホンダライフに向かってゆっくりと歩いた。スペイン坂の「ベース」のことや、「神聖な儀式」、渋谷のテルホや、病院の壁、いろんなことが頭の中で回っていた。何かを決める時、いつも、ヒロムがそばにいたことを思い出した。そして、ヒロムを捨てたのが自分であることも。
あの中には・・・・・・
あの頃には・・・・・
どうしていいか、どうしたらいいのか、解らなかった。ただ、ただ、涙が出てきた。
ヒロムもほんとうはあの世界を作りたかったんじゃないかしら・・・・・
魂の部分で感じる共生って言ってた・・・・・・
もう感じることもないけれど・・・・・・
あの時のように世界が一つだって思えたら・・・・・・
違うかな。それなら、「命の水」はいらないか・・・・・・
私になにができるのかしら・・・・・
ツカサは車の前で立っていた。ヒトミは走り出した。何年も会っていなかった懐かしい人に再会したように、大きく手を拡げ、ツカサに抱きついた。涙が、涙が、さらに溢れ出た。
ツカサはヒトミを強く抱きしめた。ヒトミの涙の訳はわからなくても、強く、強く抱きしめた。
姫でも、ヒトミさんでもかまわない・・・・・
ここにこうして、いるじゃないか・・・・・
守らなければならない人が・・・・・・
この手で傷つけてしまった人が・・・・・
時間が過ぎていった。そのままの状態で、過ぎていった。
ツカサは、ヒトミの身体を一度離すと、しっかりとヒトミの目を見た。そして、口づけた。その口づけは、従う者の口づけではなかった。ツカサの意志が、魂が、ヒトミに伝わった。ヒトミは嬉しかった。
「帰ろうか。」
ヒトミが言った。
「ハイ。」
「ハイじゃないでしょ。」
「いえ。」
「いいの。解るの。あなたの気持ちが。だから、少しづつ、普通にして。ね。」
「ハイ。」
「ハイじゃないってば。」
クスクス、笑った。泣いていたヒトミがクスクス笑った。ツカサも嬉しかった。二人はホンダライフに乗り込んだ。
その車の後方、五百メートルの場所で、高性能の双眼鏡を凝視していた武闘派も車の中の武闘派に合図して、車に乗り込んだ。河川敷に車を移動し、ホンダライフが通りすぎるのを待った。
あの中には・・・・・・
あの頃には・・・・・
どうしていいか、どうしたらいいのか、解らなかった。ただ、ただ、涙が出てきた。
ヒロムもほんとうはあの世界を作りたかったんじゃないかしら・・・・・
魂の部分で感じる共生って言ってた・・・・・・
もう感じることもないけれど・・・・・・
あの時のように世界が一つだって思えたら・・・・・・
違うかな。それなら、「命の水」はいらないか・・・・・・
私になにができるのかしら・・・・・
ツカサは車の前で立っていた。ヒトミは走り出した。何年も会っていなかった懐かしい人に再会したように、大きく手を拡げ、ツカサに抱きついた。涙が、涙が、さらに溢れ出た。
ツカサはヒトミを強く抱きしめた。ヒトミの涙の訳はわからなくても、強く、強く抱きしめた。
姫でも、ヒトミさんでもかまわない・・・・・
ここにこうして、いるじゃないか・・・・・
守らなければならない人が・・・・・・
この手で傷つけてしまった人が・・・・・
時間が過ぎていった。そのままの状態で、過ぎていった。
ツカサは、ヒトミの身体を一度離すと、しっかりとヒトミの目を見た。そして、口づけた。その口づけは、従う者の口づけではなかった。ツカサの意志が、魂が、ヒトミに伝わった。ヒトミは嬉しかった。
「帰ろうか。」
ヒトミが言った。
「ハイ。」
「ハイじゃないでしょ。」
「いえ。」
「いいの。解るの。あなたの気持ちが。だから、少しづつ、普通にして。ね。」
「ハイ。」
「ハイじゃないってば。」
クスクス、笑った。泣いていたヒトミがクスクス笑った。ツカサも嬉しかった。二人はホンダライフに乗り込んだ。
その車の後方、五百メートルの場所で、高性能の双眼鏡を凝視していた武闘派も車の中の武闘派に合図して、車に乗り込んだ。河川敷に車を移動し、ホンダライフが通りすぎるのを待った。