電影フリークス ~映画のブログ~

電影とは、映画のこと。その映画を一緒に楽しみましょう。

『決鬥老虎莊』

2012-06-03 00:00:00 | 七十年代作品【1977】

前々回、いろいろ教えていただいたニャーさん(私が大好きなブログ『ポロリカンフー.com』の作者さん)への感謝を込めて。ニャーさんのためならえんやこら。というわけで(?)、まだまだあった超立体映画について書いてみようと思います(笑。

と、その前に。
77年の超立体映画の流行に乗った監督、ローウェイ。なぜ監督は「飛龍神拳」の一本だけで立体映画を諦めてしまったのか。教えてちょーだいティロン(笑。

で、もう一本。超立体映画のうわさのあった映画というのが、今回のパオ・ホッライ監督の『決闘老虎荘』です。
以下、詳しい内容をレポートします。

チェン・カンタイ主演の『決闘老虎荘』は、確か数年前には製作が81年(?)とかいう説もあって、それならどうしてこの時期に立体映画が作られたの??と訳のワカラン状態でありました。

しかも、この『決闘老虎荘』は不思議なことに『九紋龍』という題名であるというデータが現在も香港影庫には登録されていて、製作年度も今では1978年だったり80年だったりと海外のサイトでもあやふやで、本当は何年に作られどの様な映画のことであるのかよく分かっていなかったのです。 

ちなみに『九紋龍』は77年製作の全く別の映画で、(これもチェン・カンタイ主演映画です)いれずみを入れたカンタイが印象的な作品でした。 

 『九紋龍』 注コピーガード使用

それが今回、実際の『決闘老虎荘』は77年に作られたことが当時の雑誌などから判明したのです。 作られたのが77年なら台湾のブームの最中ですから頷ける話ですし、これで割とスッキリしてきます。

ところで、原題や英語名も多数あって混乱の元なんですが、ひとつひとつ整理すればこれも混乱を少しでもなくすことが出来ると思います。この『決闘老虎荘』は実に多くのタイトルを持つ映画で、当初付けられていたのが『冷血』というタイトル(77年8月時点)。次に、姉妹編だという説もありますが(後述)、『金刀銀劍古銅簫』(同年9月時点)が。
最終的には、『決鬥老虎莊』となっていた模様でした(同年11月時点)。

台湾では『武林三冠王』(1977-11-11公開)とまったく違うタイトルで公開され、香港では『決鬥老虎荘』の題名でちょっと遅れて公開(1980-12-25公開。但し、公開日の情報は点在するものの確証は取れず。)となったようですね。 

台湾の資料
 『武林三冠王』

邵氏から台湾へ活躍の場を移していたチェン・カンタイは77年にいくつもの映画を製作、出演していますが、これはそのうちの一本になりますね。 
東洋のブロンソン、チェン・シンが最後まで出てくるという何とも男臭い映画なのですが(汗)、ジュディ・リーが取りあえず花を添えてますので、これで映画としてはバランスのいい内容になっているのではないかなと思います。

これの姉妹編である(?)という話があって、同じ威霊公司で78年に撮られたのが、チー・クワンチュン主演の『古銅簫』で、(タイトルがちょっと変わってます)ジュディがゲスト出演しています。
ジュディさんが『決闘老虎荘』と同じ衣装で出演していて、まったく本筋とは無関係のシーンに登場してました。。 (但しフィルムを流用した訳ではなく、新しく撮影したものでウー・マとしっかり共演してました。)
 お似合いのお二人さん

ジュディさんも70年代の映画もいっぱいありますのでファンは興味が尽きないところですね。(ジュディさんは女ドラゴンと呼ばれ一世風靡した女優さん。72年の「地獄から来た女ドラゴン」などで活躍。)機会があれば彼女の作品もいくつか研究レポートを発表してみようと思います。


この映画はパオ監督の武侠片スタイルの作品になります。

主人公・冷捕頭(『萬人斬』と同じ姓ですね!)は鉄の捕頭としてその名を轟かせる”冷血”という設定。その描写は見事なまでに邵氏の映画のような人物像がそのまま表現されています。
その冷血が王妃殺しの事件を解決するよう任務を受け、アジトである老虎荘へ潜入したり(ここが見せ場!)随所に工夫が見られますが、ストーリーは割りと追いやすくて黒幕が次第に誰だか分かる展開になっています。

チェン・シンはキョンシーでおなじみの清朝官服(『四大門派』などではチェン・シンはこれまた派手な官服でした!)で人相悪いですけど、清朝の総官です。
 チェン・シン

乞食の秘密結社である丐幇(かいほう)の盟主、翠鳳を演じるのがジュディさん。
ここのメンバーは全員〇鳳という名前が付いてます。
彼女はシンボルである竹笛を持って、このアイテムが後でいろいろ役に立つというシロモノ。
また、劇中では”化子”という言葉なんかも使われているようです。(化子とは中国語で乞食の意。)「酔拳」の酔っ払い爺さんのソーは、蘇化子という名前でしたね。
女性の乞食スタイルというのも変わってますけど、こんな設定もあるんですね。
(そういえば「蛇鶴八拳」でもありましたね。結構似てるかも・・。)

 ピンチ

ジュディが負傷して治療を受けた後、目覚めると、目の前には・・・。
 意識を失うジュディさん

ちょっと笑顔のカンタイが笑。感傷的なシーンなんだけど(苦笑)
 

必死の形相で戦うチェン・シンも好きなのですが、この2人の対決も堂に入っててなかなか良い映画ですね。
 陳星VS陳観泰

結局、どこらへんが超立体的だったのか分かりませんでしたけど(爆)、
コレかな?
 仕込み傘のアクション

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4 コメント

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たぶん (ニャー)
2012-06-04 20:07:08
いろいろとありがとうございます!

立体映画というだけで、
ツマらないとわかっていても
ついつい見たくなってしまいます。

古い香港映画はデータがあいまいなので、
探せばもう少しあるかもしれませんね。

きっと、空飛ぶ十字剣が当たったので、
予算が許すスタジオはみんな安易に
ヒットを狙って立体映画に
走ったんじゃないかな?と思います。
返信する
3Dの映画って・・・。 (醒龍)
2012-06-04 23:25:37
ニャーさま
3Dだなんだと言われてますが、今のシアターの状況はどうなんでしょうね~。(当時、鉄のカタビラを生で観たかったっす!)
先日は立体映像を見にTDLまで行って来ました。メガネをかけてニオイまで出るんですよ(笑)。進んでますね~。
返信する
Unknown (芥 蘭)
2012-06-05 10:38:01
こんにちは
ニオイ・・・シナモン&シャンパンっすね!
HKDLでみました。

「空飛ぶ十字剣」をこのメジャー会社がリメイクしたら、随所で血のニオイが・・・リメイクしなくていいですね。

返信する
未来の3D映画 (醒龍)
2012-06-06 06:09:58
芥蘭さん。どうも、こんにちは。

あぁシナモンでしたか。HKDLも楽しそうですね。(行ってみたいなぁ)

3D映画の劇場の効果って面白いですよね。
(血のニオイはちょっと困りますが・・)でも十字剣の3D、是非見てみたいですね。
あと、ギロチンもいいですね。ギロチンの風が吹いてくるとか(笑。
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