この人が、南イタリアで自然なワインを造っているアリアンナ・オッキピンティさんです。
絵に描いたような地中海美人です。
地元のシチリアだけでなく、イタリア全体でも人気の高い造り手ですが、
オッキピンティさんの場合は、ワイン醸造の勉強をしていた学生時代に
ちょっとした有名人になってしまったエピソードがあります。
オッキピンティさんが醸造学校に通う2003年の時に、
イタリアで超有名で影響力の高いワイン評論家、ジーノ・ヴェロネッリ宛に手紙を書いた事から始まりました。
彼が刊行しているワイン評価誌の中で全文を紹介された手紙の内容は、
その後、様々なワインのガイドブックでも掲載され、賞賛されることになりました。
それは、ワイン造りを夢見る一人の少女が、現代のワイン造りが過剰なテクニックと
科学的な技術によって、本来の神聖さを失って行くことを涙ながらに訴えた内容でした。
しかも、その嘆きがまた、眩しいくらい詩的で少女らしい繊細な表現だったらしく
(醸造学校で教えられることを鵜呑みにする友達への心配や、
価値ある樹齢の高い樹が生産効率を重視するために抜かれていくことの悲しみ・等々)
「こんな健気な少女を放っておいてはいけない!」と、ジーノ・ヴェロネッリを筆頭に
イタリアのおじさま達が立ち上がってしまったわけです。
その手紙はあちこちのワインのフェアーで配られたり、新聞や雑誌、ワイン関係者のブログなどで引用され、
アリアンナさんがワインをリリースする頃にはすでに「あのヴェロネッリへの手紙の娘か!」
で通じるくらいに有名になっていました。
ですから彼女が醸造家として造ったワインを販売する最初の年から、
味見をしていないにもかかわらず「全量くれ!あるだけ買うぞ」と、酒屋、エージェント、レストランなどの
(なぜか、というかやはり)おじさま達が殺到し、少量しか生産されていなかった彼女のワインを
取り合い、発売後あっという間に完売!の醸造家デビューとなったのです。
さすが「女性をみたら褒めないと失礼に当たる」お国柄、イタリアならではのお話です。
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