
一昨年の市制50周年を機に「市政だより」昭和期のバックナンバーをサイトで公開している北九州市と違って、福岡市はなかなか古い市政だよりのデジタル化&公開予定がないようで、調べたい内容が多い私は意識的に探し少しずつ入手しています。
内容が面白いのはやっぱり政令指定都市をめざしていた昭和30年代末から40年代にかけてでしょうか。写真は昭和38年の記事から数枚。福岡市民会館や博多駅移転、町会町名改正の詳細に加え、この年は那珂川や御笠川が氾濫する大水害の年なので、千鳥橋や柳橋の改修工事や水害の号外もあります。
博多駅85年史などに出てくる一番知りたかった「博多新駅」に関する公募記事が見つからないのは少々残念…。市議会録などと照らし合わせて再調査したい内容が増えました。
あと、市政だよりに使用した写真って、福岡市は保管してないんでしょうか。きちんとアーカイブ化すれば相応の活用方法があるのに…たぶん印刷会社から返却された写真資料は簡単に処分されている事でしょう(目的が市政だより掲載であれば、普通はそれが終われば処分されます)。
西日本新聞が最近公開したフォトライブラリーもそうですが、記事等に使用された古いものは現存するプリントをただスキャンしただけで、補正・ゴミ除去作業もされていないため品質が悪いものも多いのが難点。後年に再度使用するという思考が無かった時代なので仕方ないでしょうが、市史や社史の編纂時期になって慌てて再収集するも集まらないというのが大半の組織。
デジタルアーカイブ化には、使用用途を考察した上で品質を確保するためのコツがたくさんあります。その点、お手伝いさせていただいている西日本鉄道さんは、2008年の100周年を機に写真資料のデジタル化を本格化し昨年から「にしてつWebミュージアム」でも公開開始。社会貢献を前提にした一般使用を前提としているので、新聞社のような割高の提供価格設定もしていませんし(5~10分の1の提供価格、ほぼ管理人件費代)、デジタル化はネガ・ポジなど原版が遺るものは原板からスキャン・補正を行い、高画質でのデジタルアーカイブとなっています(サイト公開分は画像が小さいのが難点ですが、昨今の無秩序なコピー文化では仕方なし)。
ちなみに、福岡市港湾局所蔵の古い写真は、昨年の「博多ポートタワー50周年」に絡み良質なデジタル化が終わりましたが、港湾局が西日本新聞に借りた写真は全て品質悪く、掲載料もバリ高なのでパネルにはとりあえず使用も、フォトブック等への掲載は見合わせました。こればっかりは使用する際の用途経験(アイデア)と印刷・写真の専門知識が必要だと実感、より高解像度でキレイなデジタルアーカイブ構築を期待します。