夜、いつもなら酔っていて本を開いても、数ページを捲るまでもなく催眠術のかかったように深い眠りについていたのに、今度の本は時間を忘れたかのように意識を覚醒させる。・・・ちょっとこれは過剰なレトリックだな。ほんとはこれまでの本の倍くらいのページで「違う世界」に入っていくのだけれどー
さて、今朝目覚めたのは5時ちょっと過ぎだった。トイレにたってすぐ「そのときはー」を開いた。
13,4歳の頃の少し、いやだいぶ変わった二人の男の子と少年みたいな女の子そう3人だけの、3人と一匹の風変わりな犬「トラッシュ」の夢のような、そこだけが祖ポットライトに照らされているかのような楽しかった日々がある。まるで「スタンドバイミー」の映画のようにー
そして突然の別れ。
それから15年。智史がこの物語の主人公。そして少年時代に運命的な出合いをし深い絆を持った佑司と花梨。
智史は小さなアクアショップの経営者。そして結婚相談で紹介され知り合った美咲。美咲は「世界で二番目に好きな女性。もちろん一番目は花梨。
15年間、音信が途絶えていた3人が運命の糸に操られて再開していく。
智史にとってすでに「恋人」になっている美咲との前に、15年間一時も忘れたことがなかった花梨が違う名前で、そしてその子は映画女優やモデルで名声を博していた。鈴音という名前のその子が花梨であることが暫くして智史が気付く。
運命の歯車は微妙な音を立てて少しずつ狂い始める。
美咲が昔別れた男と再会し、パリに去ってしまう。残された智史と花梨。そして佑司の近況が知らされる。15年の時を超えて3人を引き合わせることになる。しかし、二人と佑司との再会は病院の救急治療室の冷たく厚いガラス窓を挟んでー
花梨には謎があった。夜になっても決して眠らない。そして、謎の「薬」を服用していること。
眠れないから睡眠導入剤か、はたまた芸能界で持て囃されていた彼女が身に付けた怪しい薬なのか・・・
ところが読者の推測を糸も簡単に裏切ってしまう筋書き。眠らない薬という逆転。眠ると「違う世界」に入り込んで帰って来れなくなる。花梨にいたもう一人の双子の片割はずーっと眠り続けていて「違う世界」の住人になっている。
筋書きを辿るのは止めよう、これから読む人にとってそれを知ったら興味が半減してしまう。
本を読んでの感想ー懐かしい自分の少年時代を思い出させてくれた。そして、随分読んだ河合隼雄、ユングの深層心理の世界のことを思った。共時性=シンクロにシティーというものを私も今でもこの歳になって信じている。人は全てどこかでしらないところでつながっている。デジャブはふとしたきっかけで出会う人が以前見た事があると感じることだが、違うんだ。生まれるずーっと前どこかの世界で出会っているのだ。だから偶然の出合いのようで必然の再開である可能性を私は信じている。「違う世界」に行って眠れる森の美女になってしまった花梨を目覚めさせるのは、智史の突然逝去した父親で、佑司の目を覚まさせるのは深い眠りに入った花梨なのだ。この物語は二つの世界が交差する。一つはリアルの現実ともうひとつ「夢」の世界。それは「死後の世界」といってもいいだろう。
読んでいて決して気持ちが重苦しくならない。ストーリーの奇抜さがあって、奇想天外な展開に読者が踊らされていく。そして結末。
市川君、ちょっとだけ苦言。エピローグが安易ではなかったかー。もっと長く書いて長編にして書き続ける予告としてだったらいいのだが、「もう時間ですよ」って急き立てられて中断した感あり。
でも久しぶりに面白い小説を読ませてもらった。
さて、今朝目覚めたのは5時ちょっと過ぎだった。トイレにたってすぐ「そのときはー」を開いた。
13,4歳の頃の少し、いやだいぶ変わった二人の男の子と少年みたいな女の子そう3人だけの、3人と一匹の風変わりな犬「トラッシュ」の夢のような、そこだけが祖ポットライトに照らされているかのような楽しかった日々がある。まるで「スタンドバイミー」の映画のようにー
そして突然の別れ。
それから15年。智史がこの物語の主人公。そして少年時代に運命的な出合いをし深い絆を持った佑司と花梨。
智史は小さなアクアショップの経営者。そして結婚相談で紹介され知り合った美咲。美咲は「世界で二番目に好きな女性。もちろん一番目は花梨。
15年間、音信が途絶えていた3人が運命の糸に操られて再開していく。
智史にとってすでに「恋人」になっている美咲との前に、15年間一時も忘れたことがなかった花梨が違う名前で、そしてその子は映画女優やモデルで名声を博していた。鈴音という名前のその子が花梨であることが暫くして智史が気付く。
運命の歯車は微妙な音を立てて少しずつ狂い始める。
美咲が昔別れた男と再会し、パリに去ってしまう。残された智史と花梨。そして佑司の近況が知らされる。15年の時を超えて3人を引き合わせることになる。しかし、二人と佑司との再会は病院の救急治療室の冷たく厚いガラス窓を挟んでー
花梨には謎があった。夜になっても決して眠らない。そして、謎の「薬」を服用していること。
眠れないから睡眠導入剤か、はたまた芸能界で持て囃されていた彼女が身に付けた怪しい薬なのか・・・
ところが読者の推測を糸も簡単に裏切ってしまう筋書き。眠らない薬という逆転。眠ると「違う世界」に入り込んで帰って来れなくなる。花梨にいたもう一人の双子の片割はずーっと眠り続けていて「違う世界」の住人になっている。
筋書きを辿るのは止めよう、これから読む人にとってそれを知ったら興味が半減してしまう。
本を読んでの感想ー懐かしい自分の少年時代を思い出させてくれた。そして、随分読んだ河合隼雄、ユングの深層心理の世界のことを思った。共時性=シンクロにシティーというものを私も今でもこの歳になって信じている。人は全てどこかでしらないところでつながっている。デジャブはふとしたきっかけで出会う人が以前見た事があると感じることだが、違うんだ。生まれるずーっと前どこかの世界で出会っているのだ。だから偶然の出合いのようで必然の再開である可能性を私は信じている。「違う世界」に行って眠れる森の美女になってしまった花梨を目覚めさせるのは、智史の突然逝去した父親で、佑司の目を覚まさせるのは深い眠りに入った花梨なのだ。この物語は二つの世界が交差する。一つはリアルの現実ともうひとつ「夢」の世界。それは「死後の世界」といってもいいだろう。
読んでいて決して気持ちが重苦しくならない。ストーリーの奇抜さがあって、奇想天外な展開に読者が踊らされていく。そして結末。
市川君、ちょっとだけ苦言。エピローグが安易ではなかったかー。もっと長く書いて長編にして書き続ける予告としてだったらいいのだが、「もう時間ですよ」って急き立てられて中断した感あり。
でも久しぶりに面白い小説を読ませてもらった。