表紙に二人の女子学生が歩いている。
一人は松葉杖をついて・・・
ふと手にした重松清の『きみの友だち』を読んでいる。
学校を舞台にした小説で書店で買うか、もう教職辞めて3年目、「もういいかっ!・・・」って内心の声があって止めようかどうしようかと瞬時躊躇ったけれど、これまで重松の作品裏切られたことがないので「読もう」って籠に入れた。
志水辰夫の短編集も同時に読んでいてこちらはいち早く読み終えていた。そしてこれも大人の情感を詩的にミステリー作家と思えないような繊細なタッチで描いた世界は「うーん」と唸らせた。あさわさわとなってる
こんな描写がある。
いつの間にか日が暮れ、地軸の傾いたような夜を迎えた。雨の音にかき消されてしまいそうな静かな夜だった。(略)雨に叩かれているハクモクレンの葉がさわさわと鳴っている。(略)
手すりに寄りかかってハクモクレンの木を見上げていた。細かい葉脈のひとつひとつが下からの光を受けて克明に見えている。(略)池の水面でコウホネのつぼみが開きかけてる。そういえばアジサイもひと群れ咲いている。雨にもう夏の匂いがあった。空の闇と、艶やかにひろげられている木々の葉と、夜気の香り。(略)夜気と樹木のそよぎと自分の呼吸とが同一結ばれているようなすがすがしさで肺が満たされていた。
重松、読み始めて志水の短編と色合いが全く異なって、子どもの心を友情、喧嘩、孤立、いじめ、独り立ち=「自立」を細やかにそして実に分かり易く物語を展開させていく。
高校教師だった頃のことを教師として思い出すのではなく、自分の子ども時代のことを思いだしながら読み進めていく。
早稲田の教育学部国語科の出身という。早稲田の教育学部ではどんな授業カリキュラムになっているのだろう?私は鹿児島大学の教育学部中学社会科だったのだが、国立と私学の早稲田では同じ教育学部といっても学んだ内容は随分違うような気がする。
小学校で教師経験がないはずの重松がよく学校の内情を知っているなと感心する。もちろん自分の経験はあるのだから、その当時を思い出しながらということではあろうが・・・
交通事故で足を負傷しその後松葉杖が必要になった恵美、友達関係がそのためにねじれが生じ、自分の肉体的なハンデによってコンプレックスから次第にいじけて、友達から離れ、孤立していく。そして健常であったころ見向きもしなかった独りぼっちの虚弱児由香と友達になる。そして揺るがぬ友情、そして別れ・・・
恵美の弟ブンとライバルの「親友」モトの物語はサッカーや野球を中心に進んでいく。親友とは友達とはなにか?クラスの団結や友情とは「みんなのため」の「みんな」って本当の意味するところは?
後1章だけ読み残している。なんか読み終えるのがもったいない感じがしている。
一人は松葉杖をついて・・・
ふと手にした重松清の『きみの友だち』を読んでいる。
学校を舞台にした小説で書店で買うか、もう教職辞めて3年目、「もういいかっ!・・・」って内心の声があって止めようかどうしようかと瞬時躊躇ったけれど、これまで重松の作品裏切られたことがないので「読もう」って籠に入れた。
志水辰夫の短編集も同時に読んでいてこちらはいち早く読み終えていた。そしてこれも大人の情感を詩的にミステリー作家と思えないような繊細なタッチで描いた世界は「うーん」と唸らせた。あさわさわとなってる
こんな描写がある。
いつの間にか日が暮れ、地軸の傾いたような夜を迎えた。雨の音にかき消されてしまいそうな静かな夜だった。(略)雨に叩かれているハクモクレンの葉がさわさわと鳴っている。(略)
手すりに寄りかかってハクモクレンの木を見上げていた。細かい葉脈のひとつひとつが下からの光を受けて克明に見えている。(略)池の水面でコウホネのつぼみが開きかけてる。そういえばアジサイもひと群れ咲いている。雨にもう夏の匂いがあった。空の闇と、艶やかにひろげられている木々の葉と、夜気の香り。(略)夜気と樹木のそよぎと自分の呼吸とが同一結ばれているようなすがすがしさで肺が満たされていた。
重松、読み始めて志水の短編と色合いが全く異なって、子どもの心を友情、喧嘩、孤立、いじめ、独り立ち=「自立」を細やかにそして実に分かり易く物語を展開させていく。
高校教師だった頃のことを教師として思い出すのではなく、自分の子ども時代のことを思いだしながら読み進めていく。
早稲田の教育学部国語科の出身という。早稲田の教育学部ではどんな授業カリキュラムになっているのだろう?私は鹿児島大学の教育学部中学社会科だったのだが、国立と私学の早稲田では同じ教育学部といっても学んだ内容は随分違うような気がする。
小学校で教師経験がないはずの重松がよく学校の内情を知っているなと感心する。もちろん自分の経験はあるのだから、その当時を思い出しながらということではあろうが・・・
交通事故で足を負傷しその後松葉杖が必要になった恵美、友達関係がそのためにねじれが生じ、自分の肉体的なハンデによってコンプレックスから次第にいじけて、友達から離れ、孤立していく。そして健常であったころ見向きもしなかった独りぼっちの虚弱児由香と友達になる。そして揺るがぬ友情、そして別れ・・・
恵美の弟ブンとライバルの「親友」モトの物語はサッカーや野球を中心に進んでいく。親友とは友達とはなにか?クラスの団結や友情とは「みんなのため」の「みんな」って本当の意味するところは?
後1章だけ読み残している。なんか読み終えるのがもったいない感じがしている。