今日も天気が悪そうだ。時折風に乗って雨がざーっと降ってくる。
先日、役所の税務課からお役人様がご到来。何しに来たかというと、駐車場を建てたので税金を払えというのだ。この村から土地を借りて、村の林から材木を切り出して建てたというのなら、「税」でもなんでも支払う必要があろう。しかし、自分で稼いだなけなしのお金を払って土地を買って、そこに大工を雇い、人手が足りない分夫婦で手伝って作り上げた駐車場兼書斎だ。人にとやかく言われる筋合いではない。
「来る」というからそれなら「おいで」と待っていたら、軽のワンボックスカーがやって来て、三人の壮漢が下りてきた。
「税金取りの追いはぎ野郎!」と追い返そうと思っていたが、口から出た言葉は違った。
「いらっしゃい。ご苦労様です、これが今度作った駐車場です。どうぞご覧になってください」
なんて卑俗な男だ俺って奴は、意気地なしが
日本の人民は権力にはからっきし弱いのだ。「おかみ」には逆らえないもんなあ・・・
しかし、人民は横暴な権力から身を守る術策を知っている。これが生きる知恵ってもんだ。
前日から妻と建築に関する設計図やら領収証やら点検、総額を計算し、「これじゃちょっと多すぎるぞ、きっととんでもない税金吹っかけられる」頭を捻って、友人からの助言を思い出して、出費した総額を裁量、明日はこじんまりとした建築費用にしとこうと対策を練った。
それから、書斎なんて贅沢だと判断されたらこれまた吹っかけられる。よしコンセントの数が課税の基準らしいから、コンセントのある場所にはカレンダーを置いて、別の場所のは頑丈な本を積んで目隠し。あまり綺麗にしていると、多めに取られるぞと思って、この部屋立ち上がってから一度も掃除というものをしていない。妻も夫の領域と思って(離れ書斎を作ったことに腹を立てているのだ)一度だって入って来ようともしない。
可愛いか弱き人民の小さな抵抗。権力へのデフェンスである。係官が書斎のドアを開けて、開口一番「こりゃあ物置ですな」とのたまった。「やったあ」作戦が功を奏したぞと思いつつ、内心自慢の書斎にけちをつけられたような感じで「ムッ」とした。
居間でお茶・コーヒーまで接待しながら、世間話に花を咲かせ何とか好印象を持って帰ってもらわねばと、普段は常に眉間に深く数条の縦皺を寄せて威厳を作っている私だが、この日ばかりはにこやかに、笑みを絶やさずに応対した。15分ほど喋って、「どうか定年して無給になりました。どうかそこのところご配慮よろしく」と頭を下げて、見送った。
「あーあ、情けなや情けなや」
さてさて、お上がお情けで税金安くしてくれるか、高く吹っかけてくるか?
後で聞いた話だが、どんな細工をしたって、役人の査定する基準はちゃーんと内々にあって、それで税額を算定するんだって・・・
時々、亡くなった高田渡の歌で、明治の演歌師添田亜蝉坊の歌を思い出す。
「地主金持ちはわがまま者で 役人なんぞは 威張るもの こんな浮世へ生まれてきたが
わが身の不運とあきらめる あきらめなさいなあきらめなさい あきらめなさるが無事であろう わたしゃ自由の動物だから あきらめきれぬとあきらめる」(あきらめ節)
写真は近所の親友の「ソラ」君
先日、役所の税務課からお役人様がご到来。何しに来たかというと、駐車場を建てたので税金を払えというのだ。この村から土地を借りて、村の林から材木を切り出して建てたというのなら、「税」でもなんでも支払う必要があろう。しかし、自分で稼いだなけなしのお金を払って土地を買って、そこに大工を雇い、人手が足りない分夫婦で手伝って作り上げた駐車場兼書斎だ。人にとやかく言われる筋合いではない。
「来る」というからそれなら「おいで」と待っていたら、軽のワンボックスカーがやって来て、三人の壮漢が下りてきた。
「税金取りの追いはぎ野郎!」と追い返そうと思っていたが、口から出た言葉は違った。
「いらっしゃい。ご苦労様です、これが今度作った駐車場です。どうぞご覧になってください」
なんて卑俗な男だ俺って奴は、意気地なしが
日本の人民は権力にはからっきし弱いのだ。「おかみ」には逆らえないもんなあ・・・
しかし、人民は横暴な権力から身を守る術策を知っている。これが生きる知恵ってもんだ。
前日から妻と建築に関する設計図やら領収証やら点検、総額を計算し、「これじゃちょっと多すぎるぞ、きっととんでもない税金吹っかけられる」頭を捻って、友人からの助言を思い出して、出費した総額を裁量、明日はこじんまりとした建築費用にしとこうと対策を練った。
それから、書斎なんて贅沢だと判断されたらこれまた吹っかけられる。よしコンセントの数が課税の基準らしいから、コンセントのある場所にはカレンダーを置いて、別の場所のは頑丈な本を積んで目隠し。あまり綺麗にしていると、多めに取られるぞと思って、この部屋立ち上がってから一度も掃除というものをしていない。妻も夫の領域と思って(離れ書斎を作ったことに腹を立てているのだ)一度だって入って来ようともしない。
可愛いか弱き人民の小さな抵抗。権力へのデフェンスである。係官が書斎のドアを開けて、開口一番「こりゃあ物置ですな」とのたまった。「やったあ」作戦が功を奏したぞと思いつつ、内心自慢の書斎にけちをつけられたような感じで「ムッ」とした。
居間でお茶・コーヒーまで接待しながら、世間話に花を咲かせ何とか好印象を持って帰ってもらわねばと、普段は常に眉間に深く数条の縦皺を寄せて威厳を作っている私だが、この日ばかりはにこやかに、笑みを絶やさずに応対した。15分ほど喋って、「どうか定年して無給になりました。どうかそこのところご配慮よろしく」と頭を下げて、見送った。
「あーあ、情けなや情けなや」
さてさて、お上がお情けで税金安くしてくれるか、高く吹っかけてくるか?
後で聞いた話だが、どんな細工をしたって、役人の査定する基準はちゃーんと内々にあって、それで税額を算定するんだって・・・
時々、亡くなった高田渡の歌で、明治の演歌師添田亜蝉坊の歌を思い出す。
「地主金持ちはわがまま者で 役人なんぞは 威張るもの こんな浮世へ生まれてきたが
わが身の不運とあきらめる あきらめなさいなあきらめなさい あきらめなさるが無事であろう わたしゃ自由の動物だから あきらめきれぬとあきらめる」(あきらめ節)
写真は近所の親友の「ソラ」君