男79歳、女86歳これが日本の平均寿命。男子がアイスランドに次ぎ世界2位(スイス、香港が上回るともいわれる)、女子が世界1位。長寿国である。
入院中、この「トシ」について考えさせられた。入った部屋は4人部屋。眼科なのでみんなどこかに目の疾病を抱えている。隣のAさんは角刈りのいなせな方。少し腰が曲がっておられる。
向こうのベッドにはBさんが1日遅れで入院された。こな方は矍鑠とされているし、声も張りがあり、背筋がぴんと伸びて姿勢がいい。60台の半ばから後半位かー。窓際のCさん、お洒落な方で、病院の病衣は着ないで持参のパジャマにカーデガン。髪を後ろで束ねて結んでいる。「少し危ない人」?最初はあまり言葉を交わすことがなかった。すべて想像。
入院の翌朝、ベッドを仕切るカーテンを開けて「おはようございます」と元気よく声をかけた。みんな高齢だから早起きで、5時半頃になるとごそごそ音がし始める。もちろん私もこの時間が「お目覚め」タイム。
ここから顔を洗ったりして身の回りを整えると、心静かに朝食が運ばれてくるのを待つばかり。この時間帯に会話が始まった。
まず、年齢から。Aさん、「私は82になります。昭和2年」ときた。もうびっくりだ。さらにBさん、「私は昭和4年ですよ」。というとちょうど80か!「えーっ」。Cさん、「私は83です」。「私は今年還暦で、60になりました」というと「若いですなあー」と口を揃える。
Aさんは軽い狭心症をもっているといわれたが、Bさんはなんにも持病というのはないという。Cさんは糖尿病で後遺症としての眼科の病気で何度か入院手術されているという。
「とし」はすなわち時間の経過は普遍的なもの、確実なものでだれの身の上にも、時間は平等に大河の流れの如し。これだけは避けられない。この先に「死」が存在するのだ。
しかし、こうして見ると時間も不平等だなと感じてしまう。
60の私は満身創痍。頭のてっぺんからつま先まで病気を挙げたら限(きり)がない。上から言うと眼病が網膜裂肛、ぶどう膜炎に白内障。副鼻くう炎もある。お腹の中に入るとよりどりみどりー。
胃には胃潰瘍、腸はポリープ。それに通風があり、狭心症。初春には喘息まで指摘された。出口も先年手術している。皮膚病でも中毒症からできものでこの大学病院でお世話になった。変な色、形状のできものができたので近くの皮膚科医に掛かると顔色を変えて、紹介状を書くからすぐ大学病院に行きなさいといわれ、直行。病院で肩と顔の頬の二つの黒子のようなできもののようなものを診察した時、先生の顔色も変わった。すぐバイオプシーをして精密検査をしましょう。1週間後に来てください。この1週間が恐怖だった。病院での様子からどうも黒皮腫=メラノーマを疑っているらしい。不安な1週間が過ぎた。診察室に入ると、医師は偉そうな教授に代わっていて、後ろに若い医師を何人も従えていた。緊張の極点。そして口を開いた。これは黒子とおできが重なってできたものでメラコーマではありません。「イエーイ」と心中で快哉をあげた。
腰も腰痛=椎間板ヘルニアでの入院歴あり。そして、2年前のアキレス腱断裂。
自虐ネタは限りがないのだ。
今飲んでいる内服剤は心臓(3種の錠剤)と通風(2種)と胃(1包)。目薬が3種。先輩達にはこんなこと恥ずかしくて言えない。
Bさんがいった。「人生8掛けですからー」。はじめこの意味がわからなかった。よーく聞いてみると最近、実年齢と肉体年齢の関係を8掛けが相応ということらしい。現在の実年齢が80歳なら、心身の年齢は80×0.8=64歳!100歳で80歳。そうか、60なら48歳か。よしよし、まだアラフォーか。まだいけるぞ
婦長が入ってきてこの話しに加わった。「実は眼科に先日104歳の男性が入院されてきたのよ。そして新聞が読めないのでどうにかして欲しい」といわれ、白内障の手術をされた。目以外にはなんの疾患もなかったのよ。毎日きちんと新聞を読んで、国内政治から国際情勢、社会の趨勢まで把握されている方だった。そうか8賭けで83か、さもありなん!
今日から年齢48歳でいこうみたいな
入院中、この「トシ」について考えさせられた。入った部屋は4人部屋。眼科なのでみんなどこかに目の疾病を抱えている。隣のAさんは角刈りのいなせな方。少し腰が曲がっておられる。
向こうのベッドにはBさんが1日遅れで入院された。こな方は矍鑠とされているし、声も張りがあり、背筋がぴんと伸びて姿勢がいい。60台の半ばから後半位かー。窓際のCさん、お洒落な方で、病院の病衣は着ないで持参のパジャマにカーデガン。髪を後ろで束ねて結んでいる。「少し危ない人」?最初はあまり言葉を交わすことがなかった。すべて想像。
入院の翌朝、ベッドを仕切るカーテンを開けて「おはようございます」と元気よく声をかけた。みんな高齢だから早起きで、5時半頃になるとごそごそ音がし始める。もちろん私もこの時間が「お目覚め」タイム。
ここから顔を洗ったりして身の回りを整えると、心静かに朝食が運ばれてくるのを待つばかり。この時間帯に会話が始まった。
まず、年齢から。Aさん、「私は82になります。昭和2年」ときた。もうびっくりだ。さらにBさん、「私は昭和4年ですよ」。というとちょうど80か!「えーっ」。Cさん、「私は83です」。「私は今年還暦で、60になりました」というと「若いですなあー」と口を揃える。
Aさんは軽い狭心症をもっているといわれたが、Bさんはなんにも持病というのはないという。Cさんは糖尿病で後遺症としての眼科の病気で何度か入院手術されているという。
「とし」はすなわち時間の経過は普遍的なもの、確実なものでだれの身の上にも、時間は平等に大河の流れの如し。これだけは避けられない。この先に「死」が存在するのだ。
しかし、こうして見ると時間も不平等だなと感じてしまう。
60の私は満身創痍。頭のてっぺんからつま先まで病気を挙げたら限(きり)がない。上から言うと眼病が網膜裂肛、ぶどう膜炎に白内障。副鼻くう炎もある。お腹の中に入るとよりどりみどりー。
胃には胃潰瘍、腸はポリープ。それに通風があり、狭心症。初春には喘息まで指摘された。出口も先年手術している。皮膚病でも中毒症からできものでこの大学病院でお世話になった。変な色、形状のできものができたので近くの皮膚科医に掛かると顔色を変えて、紹介状を書くからすぐ大学病院に行きなさいといわれ、直行。病院で肩と顔の頬の二つの黒子のようなできもののようなものを診察した時、先生の顔色も変わった。すぐバイオプシーをして精密検査をしましょう。1週間後に来てください。この1週間が恐怖だった。病院での様子からどうも黒皮腫=メラノーマを疑っているらしい。不安な1週間が過ぎた。診察室に入ると、医師は偉そうな教授に代わっていて、後ろに若い医師を何人も従えていた。緊張の極点。そして口を開いた。これは黒子とおできが重なってできたものでメラコーマではありません。「イエーイ」と心中で快哉をあげた。
腰も腰痛=椎間板ヘルニアでの入院歴あり。そして、2年前のアキレス腱断裂。
自虐ネタは限りがないのだ。
今飲んでいる内服剤は心臓(3種の錠剤)と通風(2種)と胃(1包)。目薬が3種。先輩達にはこんなこと恥ずかしくて言えない。
Bさんがいった。「人生8掛けですからー」。はじめこの意味がわからなかった。よーく聞いてみると最近、実年齢と肉体年齢の関係を8掛けが相応ということらしい。現在の実年齢が80歳なら、心身の年齢は80×0.8=64歳!100歳で80歳。そうか、60なら48歳か。よしよし、まだアラフォーか。まだいけるぞ
婦長が入ってきてこの話しに加わった。「実は眼科に先日104歳の男性が入院されてきたのよ。そして新聞が読めないのでどうにかして欲しい」といわれ、白内障の手術をされた。目以外にはなんの疾患もなかったのよ。毎日きちんと新聞を読んで、国内政治から国際情勢、社会の趨勢まで把握されている方だった。そうか8賭けで83か、さもありなん!
今日から年齢48歳でいこうみたいな