そば美味かった。
Y組の分裂抗争が燃え上がっている。
突然、街中で殴りあったり、車を家居に突入させたり、拳銃発砲させたり・・・怖い話だ。
さて今、笹沢佐保の「旗本奴一代」を読んでいる。今日には読了するところだ。
主人公は旗本奴水野十郎左衛門。
徳川の時代が始まってまだ半世紀。戦国の余韻がまだ少しは残っている。しかし、水野は
3千石の旗本というから幕府でも上級武士。そこらの大名に対しても大威張りで、老中であ
ろうが大老であろうが一歩も引かず主張する。
主張といっても彼らの自己主張の柱は「男伊達とプライドと意地」。その格好も独特の髪型、
服装であったらしい。
この旗本奴と競い合ったのが町奴。これは武士のかぶき者が旗本奴とすると町人のはぐれ者
が
「町奴」。その元締めが幡随院長兵衛。芝居でお馴染みの存在で十郎佐衛も歴史的存在。
旗本奴と町奴が対立抗争を繰り返し事件を続発させる。
これに頭を悩ませるのが当時の政治指導部。政治権力を行使する老中達。その中心が松平信綱。
将軍は家光から家綱へと代替していく。
信綱はいずれの奴の存在を「毒虫」と呼んで憎んでいる。ていく。信綱は天草の乱でも鎮圧に奔走した
人物として知られる。頭脳派で他を圧倒する。
この三つ巴の抗争が小説の柱。実に面白く描かれている。
対立する旗本奴の代表十郎佐衛門と町奴の代表幡随院長兵衛門は、彼らの壊滅を企てる老中松平
信綱の野望を砕くため、水面下で密かに連帯する。滅びゆくおのれの運命を知りつつ侍の意地を通した
男達。意地を通すためには自分の命も惜しくない。この強烈な美意識は超ロマン主義と呼んで構わない
だろう。
最終的には幕府の圧倒的権力に打倒されていくのだが、彼らにとって「勝ち負け」の問題ではなかった。
自分の命よりも自己主張を優位に置く生き方。その「アイデンティティー」の中身が現代人のどこにある?
色恋と金に明け暮れている世相、みんな経済(豊かさ)・文化(便利)、遊び(情報)に呆けているのではないか?
そういう風に誘導されているのではないか・・・?
読書録
鳴海丈「かどわかし 再問役事件帳」、山本周五郎「ひとごろし」、尾崎秀樹「歴史の中の地図 司馬遼太郎の
世界」、高橋由太「つばめや 仙次」。 尾崎が勉強になった!!