ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

矢方甲池

2017-06-23 11:22:40 | 福岡県
2017年6月16日 矢方甲池
 
矢方池は福岡県築上郡上毛町にある灌漑用アースダムで、甲乙丙3基の溜池で矢方池を形成しています。
このうち甲池のみ堤高が15メートル以上ということで矢方甲池としてダム便覧に掲載されています。
池に設置された説明板によればもともとは地元の庄屋高橋正蔵氏の尽力により1900年(明治33年)に完成、その後数度の改修を経て現在に至っています。ダム便覧では1959年(昭和34年)竣工となっておりここではこれに従います。
現在は受益者で組織される矢方池土木組合が管理を行っています。
 
国土地理院地形図の矢方池
上方から甲乙丙の3基の溜池で構成されています。
 
矢方池堤体中段を大規模農道『京築アグリライン』が通過しており、アプローチは簡単、駐車場も整備されポケットパークのようになっています。
 
駐車場そばには矢方池築造に尽力した高橋正蔵氏を祀る祠が鎮座し、各種記念碑が並んでいます。
 
明治期の矢方池建設風景が彫られた石
往時の苦労がわかります。
 
左岸から
写真では分かりづらいのですが、右岸縁に洪水吐導流部があります。
 
洪水吐導流部
このあと車道を潜って上の写真の右岸縁へと続きます。
 
洪水吐
こちらは原始的な状態のまま。
 
上流面
ここも昔ながらの石積みで護岸されています。
 
天端。
 
下流の眺め
奇麗に整地された水田が並びます
海が見えるとのことですが霞んでおり微妙~。
 
左岸の斜樋。
 
甲池単独としては貯水容量61万立米、3基合わせると70万立米弱となります。
右奥に丙池の堰堤が見えます。
 
祠や多くの記念碑が、いまなお池の築造に尽力した高橋正蔵氏への感謝の念を強く表しています。
歴史の表には現れませんが、全国にある多くの溜池には『公』による支援に頼らなかった『私』の尽力が隠されていることを痛感しました。 
 
2407 矢方甲池(1027)
福岡県築上郡上毛町矢方
佐井川水系吉富川
19メートル
207メートル
矢方池土木組合 
1959年


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