ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

朝鍋ダム

2021-05-26 00:33:08 | 鳥取県
2021年5月21日 朝鍋ダム
 
朝鍋ダムは鳥取県西伯郡南部町鶴田の日野川水系小松谷川右支流朝鍋川にある鳥取県県土整備部が管理する治水目的の重力式コンクリートダムです。
国交省の補助を受けて建設された補助治水ダムで、朝鍋川および小松谷川の洪水調節、安定した河川流量の維持と既得取水権への用水補給を目的として2004年(平成16年)に竣工しました。
2016年(平成28年)には河川維持放流を利用した管理用発電所(最大出力77キロワット)が増設されています。
 
朝鍋ダムは県道溝口伯太線沿いにあり県道からダムと正対できます。
前日までの雨で水位が上昇しオリフィスから越流していました。
 
右岸から
2004年(平成16年)竣工と比較的新しいダムですが、襟の高いガッツリした昭和感漂うスタイル。
 
天端入り口にはバリケードが置かれていますが、徒歩での立ち入りは問題なさそう。
 
親柱の銘版。
 
減勢工と副ダム。
 
総貯水容量は138万立米。
治水ダムですが不特定利水容量が設定されていることに加え訪問直前にまとまった雨があったためダム湖は満水。
左手は管理事務所ですが、コロナの影響かゲートは閉まったままでした。
 
オリフィスゲートの取水口
流木除けのゲージが設置されています。
 
左岸の浮桟橋と巡視艇。
 
上流から。
 
左手はオリフィスゲート
右手が取水設備。
 
今回の朝鍋ダムの見学を持って鳥取県の主要ダムはすべて訪問済みとなりました。
 
(追記)
朝鍋ダムには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。
 
3046 朝鍋ダム(1620)
鳥取県西伯郡南部町鶴田
日野川水系朝鍋川
FN
45メートル
150メートル
1380千㎥/1190千㎥
鳥取県県土整備部
2004年
◎治水協定が締結されたダム

大宮ダム

2018-10-24 01:58:51 | 鳥取県
2018年10月12日 大宮ダム
 
大宮ダムは鳥取県日野郡日南町の日野川水系印賀川にある中国電力が管理する発電目的の重力式コンクリートダムです。
1940年(昭和15年)に日本発送電によって建設され戦後の電力分割民営化により中国電力が事業継承しました。
ここで取水された水は東方8キロにある鵜ノ池を経由して黒坂発電所に送られ最大出力1万5000キロワットのダム水路式発電を行っています。
 
ダムの敷地へは立ち入りできませんが、フェンスの隙間からダムを見ることができます。
中国電力特有の扶壁前面にゲートハウスが乗っかるスタイル。
ただピアには管理橋が架かり、もう一つの特徴であるにょきにょき感はありません。
 
ローラーゲートが2門のほか、左岸側(写真では向かって右手)に排砂ゲートががあります。
 
天端。
 
上流から。
 
もう一枚。
 
フェンス越しの見学となりますが、戦前の古いダムを堪能することができます。
ここで取水された水は鵜ノ池に送られますが、帰宅後調べると鵜ノ池にも堤高15メートル未満ながら立派なコンクリート堰堤があることが分かりました。
鳥取県はまだ朝鍋ダムが未訪のままですし、島根県はほとんど手付かずとなっていますので、次回山陰遠征の際期にはぜひ訪問してみたいと思います。
 
(追記)
大宮ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。
 
1674 大宮ダム (1419) 
鳥取県日野郡日南町印賀
日野川水系印賀川
16.8メートル
68.5メートル
495千㎥/235千㎥
中国電力(株)
1940年
◎治水協定が締結されたダム

菅沢ダム

2018-10-24 01:53:20 | 鳥取県
2018年10月12日 菅沢ダム 
 
菅沢ダムは鳥取県日野郡日南町菅沢の日野川水系印賀川にある重力式コンクリートダムです。
国交省中国地方整備局が直轄管理する特定多目的ダムで、中国地方最初の建設省(現国交省)直轄ダムとして1967年(昭和42年)に竣工し、印賀川および日野川の洪水調節、流域農地への新規灌漑用水の供給、境港市・米子市及び日吉津村への工業用水の供給、鳥取県企業局日野川第一発電所での最大4300キロワットのダム水路式発電を目的としています。
 
菅沢ダムは国道180号線沿いにあります。
右岸ダムサイトに管理事務所と駐車場があり天端は自由に見学できますが、ダム下は立ち入りできません。
訪問時は工事のため水位が低くなっていました。
ダム上流面に取水設備があり、正面はインクラインと艇庫、左手の赤いトラス橋は国道180号線です。
 
クレスト洪水吐はジャンプ台式で、ジャンプ台の下にコンジットゲートの操作室があります。
下から見てみたい!
 
ダム下をズームアップ
左手の建屋は2013年(平成25年)に増設された放流ゲート操作室で左から灌漑用水向けの利水放流ゲート、小規模放流ゲートとなっています。
 
真上からクレスト洪水吐導流部と減勢工。
 
ジャンプ台式洪水吐
鳥取県営の佐冶川ダムと似たような構造ですが、こちらの方がはるかに大規模。
 
天端は徒歩のみ開放
ダムは古いのですが管理事務所はガラスバリの斬新なデザイン。デザイナーマンションみたい。
右上は受信用アンテナでこちらも一見モニュメント風。
 
下流面。
 
左岸高台に展望台があります。
かなり荒れ気味でクモの巣いっぱい・・・でもなかなかの眺めです。
水位が低いのでこれはこれで貴重な絵柄かも?
 
国道180号線から上流面を正面から見れます。
実は艇庫の左手に発電所の取水口があったのですが見落としてしまいました。
 
ズームアップ
左手は2013年(平成25年)に新設された取水設備、クレストゲートの下にコンジット用の予備ゲートがあるようですがこの日は下ろされたままでした。
右手のコンパスのようなものは従来のヒンジ式取水設備のガイドレールとアーム。
 
工事のために水位が落とされ普段見れない景色を見ることができました。
しかし菅沢ダムの一押しはジャンプ台式減勢工。
是非ダム下から見上げてみたいものです。
毎年地元のお祭りに合わせて見学会が実施されるようですが、遠方のダム故参加するのはなかなか難しいものがあります。
 
(追記)
菅沢ダムには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。
 
1681 菅沢ダム(1418) 
鳥取県日野郡日南町菅沢
日野川水系印賀川
FAIP
73.5メートル
210メートル
19800千㎥/17200千㎥
国交省中国地方整備局
1967年
◎治水協定が締結されたダム

俣野川ダム

2018-10-24 01:42:49 | 鳥取県
2018年10月12日 俣野川ダム
 
俣野川ダムは鳥取県日野郡江府町武庫の日野川水系俣野川上流部にある中国電力が管理する発電目的の重力式コンクリートダムです。 
オイルショックを契機に電力各社は火力偏重の発電体制を見直し、火力や原子力との連携が図れ余剰電力を有効利用できる揚水発電に着目します。
広島や岡山への人口集中や臨海部への工場集積を受けて電力需要のピークが上昇を続けていた中国電力も1980年代より積極的に純揚水式発電所の建設を進め、同電力3番目の純揚水式発電所として1986年(昭和61年)に俣野川発電所が完成します。
俣野川ダムは同発電所の下部調整池として発電所に先立つ1984年(昭和59年)に竣工し、運用開始後は上部調整池である土用ダムとの有効落差489メートルを利用して最大120万キロワットの揚水式発電を行っています。
俣野川発電所は日本で初めて2県に跨る揚水式発電所として完成したほか、上部調整池は瀬戸内海に流れる旭川水系、下部調整池は日本海に注ぐ日野川水系と異なる水系同士での揚水式発電となっています。
また出力120万キロワットは中国電力の水力発電所としてはでは最大出力を誇っています。
このほか俣野川ダムでは落差62.3メートルを利用して俣野川ダム発電所で最大2100キロワットのダム式水力発電もおこなっています。 
 
江府町の国道181号線武庫交差点を東に折れ県道112号を東進すると俣野川ダムサイトに到着します。
ダム下へはダムの2キロほど手前で右手の旧道を進みます。
シミュラクラ現象で眼鏡をかけたおっさん顔に見えます。
 
クレストにはラジアルゲートが2門、コンジットには高圧ラジアルゲートが1門。
さらに放流バルブが2条設置されています。
左右の背の高い導流壁が目立ちます。
 
副ダムの下流の堰。
減勢目的かと思ったら灌漑用水の取水堰でした。
 
ダムサイトに上がります。
右岸から下流面。
 
天端から
右手は一般水力の俣野川発電所です。
 
放流設備
口径の異なるバルブが2条装備されています。
 
揚水式発電の俣野川発電所の取水口。
 
天端
本来は車両通行可能のようですが、ダム湖周回道路が落石のため通行止めになっています。
 
クレストゲートと俣野川発電所取水設備を遠望。
 
ダム湖の名称は猿飛湖。
 
電力会社のダムとしては開放的で見学ポイントが多数ある魅力的なダムです。
また俣野川発電所は予約をすれば見学も可能だったのですが、今は工事のため見学は中止中とのこと。
一方上部池の土用ダムは時間の関係でパスしてしまいましたが、どうやらガードが厳しくフェンス越しに垣間見える程度のようです。
 
(追記)
俣野川ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。
 
1486 俣野川ダム(1417)
鳥取県日野郡江府町武庫
日野川水系俣野川
69.3メートル
185メートル
7940千㎥/6700千㎥
中国電力
1984年
◎治水協定が締結されたダム

下蚊屋ダム

2018-10-24 01:24:21 | 鳥取県
2018年10月12日 下蚊屋ダム
 
下蚊屋(さがりかや)ダムは鳥取県日野郡江府町助沢の日野川水系俣野川源流部にある不特定利水・灌漑用水目的のロックフィルダムです。
鳥取県の大山西山麓はもともと陸軍の軍馬補充部の放牧地でしたが、1939年(昭和14年)に西日本を襲った大干ばつをきっかけに国営事業として開拓が進められ昭和40年前半までに約1600ヘクタールの新規農地が開拓されました。
しかし農業用水を天水に頼っていたため安定した灌漑用水源の確保が大きな課題となっていました。
そこで1972年(昭和47年)より国営の大山山麓地区総合農地開発事業が着手されその中核施設として2001年(平成13年)に竣工したのが下蚊屋ダムです。
2005年(平成17年)には農地開発事業全体が竣工し、ダムを含めた施設全体は大山山麓地区土地改良区連合が管理を受託、約400ヘクタールの農地へ特定灌漑用水を供給するほか、俣野川および日野川流域約1600ヘクタールに不特定灌漑用水を補給します。
ダム便覧ではダムの目的は『A』のみとなっていますがこれは誤りで、正しくは『NA』となります。
またに2015年(平成27年)には河川維持放流を利用した下蚊屋発電所が増設され最大出力197キロワットの小水力発電を行っています。
 
下蚊屋ダムは国道482号線沿いにあります。今回は米子道江府インターから国道を東に進みました。
まずはダム下
堤体と洪水吐の間に地山があります。
 
エンドシルの下流にはバッフルブロックが並びます。
 
放流設備としてジェットフローゲート2条を装備。
この放流は不特定灌漑用水向け補給となります。
 
下流面。
 
ダムサイトに上がります。
右岸の横越流式
 
右手の青い屋根の建屋は2015年(平成27年)に新設された下蚊屋発電所で、河川維持放流は発電所経由となります。
 
上流面。
 
天端
車止めがあり徒歩のみ立ち入りできます。
晴れていれば真正面に大山が見えるのですが・・・。
 
ダム湖は総貯水容量386万立米。
 
右岸の斜樋。
 
(追記)
下蚊屋ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。
 
1687 下蚊屋ダム(1416)
鳥取県日野郡江府町助沢
日野川水系俣野川
NA
55.5メートル
650メートル
3860千㎥/3440千㎥
大山山麓地区土地改良区連合
2001年
◎治水協定が締結されたダム

東郷ダム

2018-10-23 02:41:08 | 鳥取県
2018年10月12日 東郷ダム
 
東郷ダムは鳥取県東伯郡湯梨浜町別所の橋津川水系東郷川源流部にある鳥取県県土整備部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
建設省(国交省)の小規模ダム事業である生活貯水池事業の補助を受けて建設された補助多目的ダムで、東郷川の洪水調節、安定した河川流量の維持と既得取水権への用水補給、東郷地区の梨畑20ヘクタールへの新規灌漑及び防除用水の供給を目的として2003年(平成15年)に竣工しました。
生活貯水池ダムの多くはFNW(洪水調節・不特定利水・上水)を目的としたダムが大半ですが、ここ湯梨浜町東郷地区は日本屈指の二十世紀梨の生産地となっており、東郷ダムは梨生産を支える貴重な水源となっています。
 
別所地区の県道29号線に東郷ダムの道標がありこれに従えばダムに到着します。
クレスト2門、オリフィス1門のゲートレスダムです。
 
右岸(向かって左手)に放流設備があり河川維持放流が行われています。
 
右岸側の堤体が屈曲していますが、下流側に折れているので『カド』ではありません。
 
天端は徒歩のみ立ち入りできます。
堤体が屈曲しているのが分かります。
 
貯水池は名産の梨にちなんで『梨水湖』と命名されています。
総貯水容量は72万立米。
 
減勢工と放流設備。
 
東郷ダムの天端からは海が見えます。
海が見えるのは鳥取県では東郷ダムと小田股ダムの2基のみです。
 
下流面。
 
減勢工と放流設備をズームアップ。
 
上流から
2門のクレストゲートの間にオリフィスゲート、一番右手に取水設備があります。

(追記)
東郷ダムには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。
 
3132 東郷ダム(1413)
鳥取県東伯郡湯梨浜町別所
橋津川水系宇坪谷川
FNA
39.5メートル
227メートル
720千㎥/650千㎥
鳥取県県土整備部
2003年


中津ダム

2018-10-23 02:32:26 | 鳥取県
2018年10月12日 中津ダム
 
中津ダムは鳥取県東伯郡三朝町中津の天神川水系小鹿川源流部にある鳥取県企業局が管理する発電目的の重力式コンクリートダムです。
1951年(昭和26年)の電気事業再編令により、新たに中国電力が誕生します。
同社は戦後の電力不足を補うために積極的な電源開発を進めますが、送電網末端部にあたる鳥取県では中国電力だけでは電力需要を賄いきれず公営発電である県企業局による電源開発が併せて進められました。
三朝町を東西に流れる天神川支流の小鹿川では昭和30年代前半より企業局による電源開発が着手され、小鹿第一、第二の2基の発電所が建設されました。
中津ダムは小鹿第一発電所の取水ダムとして1957年(昭和32年)に竣工し、ここで取水された水は小鹿第一発電所に送られ最大3600キロワットのダム水路式発電を行っています。
 
三朝温泉から小鹿川沿いに県道33号を東に進むと中津ダムに到着します。
残念ながら改修工事中のため堤体に立ち入ることはできず、上流から取水塔を眺めるのみ。
 
当初の予定では改修工事は昨年2月で終わるはずだったのですがずいぶん延長されているようです。
機会があれば工事終了後に再訪したいと思います。
 
(追記)
中津ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。

1678 中津ダム (1412)
鳥取県東伯郡三朝町中津
天神川水系小鹿川
35メートル
96メートル
1375千㎥/1210千㎥
鳥取県企業局
1957年
◎治水協定が締結されたダム

三朝ダム

2018-10-23 02:26:33 | 鳥取県

2018年10月12日 三朝ダム 

三朝ダムは鳥取県東伯郡三朝町砂原にある鳥取県企業局が管理する発電目的のアースフィルダムです。
鳥取県では戦後の復興を受けた電力需要の増加に対応するために中国電力とともに公営発電である県企業局による電源開発が積極的に進められました。
三朝町を東西に流れる天神川支流の小鹿川では昭和30年代前半より企業局による電源開発が進めら小鹿第一、第二の2基の発電所が建設されました。
三朝ダムは小鹿第二発電所の調整池として1958年(昭和33年)に竣工し、小鹿川上流の小鹿第一発電所からの放流水が一旦三朝ダムに貯留されたのち小鹿第二発電所に送られ最大5200キロワットの水路式発電を行っています。
 
三朝温泉から県道273号線で三朝高原まで登ります。
三朝高原はバブル期にリゾート地として開発が進められ遊園地や別荘地が造られましたがバブル崩壊で頓挫、現在はわずかな住民が住むだけで遊園地あとには太陽光パネルが並び、兵どもが夢の跡といった感です。
県道273号線沿いに三朝ダムへ下りる鳥取県企業局の管理道路がありますが、こちらは関係者以外立ち禁。
 
別荘地に定住されている方から、北側から回り込む山道を教えていただき無事ダムに到着。
車道からの入り口は立ち入り禁止ですが、ダムサイトを中国自然歩道が通っています。
まずは水利使用標識。
 
上流面はコンクリートで護岸。
 
天端
さすが県管理、芝はきれいに刈られています。
 
総貯水容量は3万3000立米。
 
小鹿第二発電所への取水口。
 
小鹿第一発電所からの放流水の吐口。
 
下流面
こちらもきれいに刈り払われています。
 
発電用調整池ということで洪水吐は見当たりませんでした
いまにして思えば、小鹿第二発電所の写真でも撮ればよかったのですが・・・・。
 
1679 三朝ダム (1411)
鳥取県東伯郡三朝町砂原
天神川水系美谷川
15メートル
75.2メートル
33千㎥/22千㎥
鳥取県企業局
1958年

狼谷溜池(大山池)

2018-10-23 01:35:30 | 鳥取県
2018年10月12日 狼谷溜池(大山池)
 
狼谷溜池は鳥取県倉吉市関金町泰久寺の天神川水系小鴨川左支流(河川名未確認)にある灌漑目的のアースフィルダムです。
現地案内板によれば1924年(大正13年)ごろに築造され、1946年(昭和21)にかけての改修で現在の規模となりました。
さらに1973年(昭和48年)に嵩上げを伴う再開発が実施され現在に至っており、ダム便覧ではこの再開発竣工を竣工年度としています。
池の管理は周辺の溜池同様天神野土地改良区が行っています。
池からは大山や蒜山三座の眺めがよく、湖面に映る大山の姿から『大山池』の別名があり、地元では大山池の方がよく知られているようです。
総貯水容量は132万立米と溜池としては山陰最大の規模を誇り、農水省による全国ため池百選にも選ばれています。
 
下流から狼谷溜池を遠望
 
池の背後に大山の姿が見えます。
 
左岸上流側から
左手の橋梁のようなものは取水設備の管理橋で管理橋の右下に取水設備があります。
 
非かんがい期のせいか貯水量はずいぶん少なくなっています。
 
天端から
残念ながら大山の頭が雲に隠れてしまいました。
 
池の南側には蒜山三座。
 
上流面
草でわかりづらいですがコンクリートで護岸されています。
 
管理橋の手前に取水設備があります
白い建物はB&G海洋センターの艇庫で、春夏にはカヌー教室が開催されるようです。
 
天端は車道。
 
池の案内板
案内板では大山池となっています。
 
歩いて回ったところ洪水吐が見あたりませんでした。
帰宅後空撮写真で確認してみたら右岸のかなり上流側に洪水吐がありました。
うーん・・・事前の予習不足。
再訪の機会があればいいのですが。
 
なおダム便覧では堤頂長255.5メートルとなっていますが、鳥取県ため池データベースでは502メートルとなっています。
後者は右岸側面の堤体も本堤とみなしているようで、ここではため池データベースの502メートルを採用します。

1671 狼谷溜池(大山池)(1410)
ため池コード 
鳥取県倉吉市関金町泰久寺
天神川水系小鴨川左支流
27.2メートル(ため池データベース26.9メートル)
255.5メートル(ため池データベース502メートル)
1319千㎥/1096千㎥
天神野土地改良区
1924年竣工
1973再開発



横谷溜池

2018-10-23 01:21:13 | 鳥取県
2018年10月12日 横谷溜池
 
横谷溜池は鳥取県倉吉市志津の天神川水系北谷川右支流にある灌漑目的のアースフィルダムです。
倉吉市街南部から旧関金町にかけての小鴨川沿いには古くからの溜池が点在していますが横谷溜池もそのうちの一つで、ダム便覧には天神野土地改良区の事業で1952年(昭和27年)にと記されています。
たぶん県や農水省の補助を受けた団体営事業で整備されたものと思われ、現在も管理は天神野土地改良区が行っています。
 
横谷溜池周辺には3基の溜池が寄り添うように並んでいますが、真ん中にある横谷溜池のみ堤高15メートル以上のダムとしてダム便覧に掲載されています。
下流面は草ぼうぼう
この辺りはまだ稲刈りが終わっていないので仕方ないですね。
 
貯水池左岸に沿って水路がありますが、池周辺の志津地区の農地を潤す用水路で池とは関係ありません。
 
貯水池は総貯水容量18万2000立米
かんがい期が終わり水が抜かれています。
 
右岸の斜樋。
 
上流面
特にコンクリートなどで護岸されている様子はありません。
 
斜樋。
 
7つ並ぶ斜樋のハンドル
ダム便覧にあるこのショットを撮りたかったのです。
 
天端も草ボウボウ
手前は洪水吐に架かる橋、この橋もかなり年季が入っています。
 
右岸の横越流式洪水吐
草が伸びて越流部の高さが田んぼの畔と変わらなくなってる・・・。
 
これが洪水吐導流部ということになります。
 
溜池は草刈りされているか否かで見た目の印象が全く変わりますが、西日本は稲刈りが遅く10月でもまだ草ぼうぼう。
まあこの時期に来た私が悪いんですけど。

1677 横谷溜池(1409)
ため池コード
鳥取県倉吉市志津
天神川水系北谷川右支流
16.7メートル(ため池データベース19.3メートル)
118.6メートル(ため池データベース119メートル)
182千㎥(ため池データベース146.6メートル)/150千㎥
天神野土地改良区
1952年


中尾尻溜池

2018-10-22 16:00:35 | 鳥取県
2018年10月12日 中尾尻溜池
 
中尾尻溜池は鳥取県倉吉市鴨河内の天神川水系小鴨川左支流(河川名未確認)にある灌漑目的のアースフィルダムです。
倉吉市街南部から旧関金町にかけての小鴨川沿いには古くからの溜池が点在していますが中尾尻溜池もそのうちの一つで、ダム便覧には天神野土地改良区の事業により1923年(大正12年)に竣工と記されています。
大正期には土地改良区はありませんので、前身となる耕地整理組合によって建設されたものと推察されます。
竣工年度と事業者はすぐ下流にある池ノ谷溜池と同じですので、同時に建設されたんでしょう。
ただ地図で確認すると中尾尻溜池と池ノ谷溜池それぞれの池からの灌漑水路は別ルートになっていますので、いわゆる上池、下池の関係ではないようです。
中尾尻溜池の管理は周辺の溜池ともども天神野土地改良区が行っています。
 
県道237号線に中尾尻溜池への入口が分岐します。
訪問時は改修工事中。
 
この道路が池の天端へと続いていますが関係者以外立ち禁。
 
今度は右岸に回り込みますが、こちらもこの先通行禁止。
 
立ち入り禁止のゲートから写真を撮ります。
 
遮水壁を造り直し上流面を盛り立て直すとともに、洪水吐を一新するようです。
 
下流側の工事。
 
改修工事終了後に再訪できればいいのですが。
 


1670 中尾尻溜池(1408)
ため池コード
鳥取県倉吉市鴨河内
天神川水系小鴨川左支流
15.2メートル(ため池データベース19.1メートル)
115メートル(ため池データベース111.8メートル)
153千㎥(ため池データベース148.8千㎥)/153千㎥
天神野土地改良区
1923年

池ノ谷溜池

2018-10-22 14:54:45 | 鳥取県
2018年10月12日 池ノ谷溜池
 
池ノ谷溜池は鳥取県倉吉市鴨河内の天神川水系小鴨川左支流(河川名未確認)にある灌漑目的のアースフィルダムです。
倉吉市街南部から旧関金町にかけての小鴨川沿いには古くからの溜池が点在していますが池ノ谷溜池もそのうちのひとつで、ダム便覧には天神野土地改良区の事業で1923年(大正12年)に竣工と記されています。
大正期には土地改良区はありませんので、前身となる耕地整理組合によって建設されたものと推察されます。
現在は周辺の溜池ともども天神野土地改良区が管理を行っています。
 
まず池の下流に向かいますが、荒神社が祀られており下流面は垣間見るのみ。。
この社の向こうに底樋があるようで、放流の音が響きますが姿は見えません。
 
下流面は草ぼうぼう。
周辺の田んぼではまだ稲刈りが済んでいないので仕方ないですね。
 
天端上流側を用水路が通っています。
地図で確認すると小鴨川からの水路で池ノ谷池とは立体交差になっています。
川の取水堰や溜池ごとに用水を補給する水田や農地は厳格に決められていることが分かります。
 
上流面は繊維状の遮水材で護岸されています。
 
左岸の斜樋。
 
天端からの眺め
真下に荒神社があり、左下に底樋ゲートが見えます。
 
総貯水容量61万6000立米とこのあたりの溜池としては比較的大規模です。
晴れていれば正面に大山が見えるのですが、残念ながら雲が掛かっています。
左手の山は蒜山三座。
 
天端は車道。
 
右岸の横越流式洪水吐。
 
洪水吐導流部
草が伸び放題でなんの写真かよくわかりません。
 
堤体上流側に別系統の水路が流れるという珍しい構造になっています。

1669 池ノ谷溜池(1407)
ため池コード
鳥取県倉吉市鴨河内
天神川水系小鴨川
16メートル(ため池データベース16.3メートル)
78メートル(ため池データベース79メートル)
616千㎥(ため池データベース659千㎥)/399千㎥
天神野土地改良区
1923年

賀祥ダム

2018-10-19 14:38:41 | 鳥取県
2018年10月10日 賀祥ダム
 
賀祥ダムは鳥取県西伯郡南部町下中谷の日野川水系法勝寺上流部にある鳥取県県土整備部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
建設省(国交省)の補助を受けて建設された補助多目的ダムで、法勝寺川の洪水調節、安定した河川流量の維持と既得取水権への用水補給、米子市への上水道用水の供給を目的として1988年(平成元年)に竣工しました。
また2013年(平成25年)には河川維持放流を利用した鳥取県企業局賀祥発電所が増設され、最大出力260キロワットの小水力発電が開始されています。
 
ダム下から。
非常用洪水吐として自由越流式クレストゲートが9門、常用洪水吐としてコンジットに高圧ラジアルゲートが1門、さらにしてジェットフロートゲート1門を装備しています。
時期的に中規模ダムにおける完全ゲートレス化への過渡期のダムと言えます。
ダム下右手の建屋は2013年(平成25年)に増設された鳥取県企業局賀祥発電所。
 
コンジットゲートゲートハウス
点検のため操作室に人がいます。
 
クレストゲートには切欠が2箇所入っています。
 
ダムサイトに上がります。
がっちりした堤趾導流壁。
 
天端は車両通行可能、ただしダム周回道路は反時計回りの一方通行です。
 
コンジットの予備ゲート施設。
本来ここには予備ゲートが装備されていますが、訪問時は点検のため予備ゲートが稼働しており姿が見えませんでした。
 
天端から
 
ダム湖は総貯水容量745万立米
緑水湖という名前とは裏腹に、台風の影響で水は濁りまくっています。
 
右岸にある制限水位調整ゲート
洪水期に制限水位を低下させるためにコースターゲートの開閉によって制限水位の調整を行います。
 
左岸の艇庫とインクライン。
 
クレストは自由越流頂、コンジットは高圧ラジアルゲートとゲートレスダムへの移行期形態。
さらに、クレストゲートの切欠や制限水位調整ゲートなど細かい部分に見所の多いダムとなっています。
 
(追記)
賀祥ダムには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。
 
1685 賀祥ダム(1405) 
鳥取県西伯郡南部町下中谷
日野川水系法勝寺川
FNW
46.4メートル
174メートル
鳥取県県土整備部
1988年
◎治水協定が締結されたダム

椿谷溜池

2018-10-19 14:06:28 | 鳥取県
2018年10月10日 椿谷溜池
 
椿谷溜池は鳥取県西伯郡南部町絹屋の日野川水系絹屋川右支流にある灌漑目的のアースフィルダムです。
ダム便覧には1890年(明治23年)に大黒第1土地改良区の事業により竣工と記されています。明治時代には土地改良区はありませんので、前身となる水利組合等によって築造されたものと推察されます。
記念碑や由来碑等がないためその後の経緯なども不明です。
現在は土地改良区の統合に伴い南部町土地改良区が管理を行っています。
 
絹屋川沿いの町道を西に向い奥絹屋集落に入ると左手に椿谷池の堤体が現れます。
 
池への道はダートのため町道の路肩に車を置いて歩きます。
と言っても距離にしてたかだか150メートルほど。
 
下流面は夏に草刈りされたようです。
堤高は16.3メートル。
 
堤体下の底樋枡
非灌漑期にもかかわらず結構な勢いで水が出ています。
 
天端。
 
左岸の洪水吐
切れ込みにコンクリートの越流堤が作られています。
 
天端からの眺め
奥絹屋の集落です。
名前から推察してかつては養蚕業が盛んだったのでしょう。赤い雲州瓦の立派な家が並んでいます。
 
総貯水容量は8万9000立米
水が抜かれ、流入水はそのまま放流しています。
底樋枡から水がジャバジャバ出ていた理由も納得。
ダム便覧フォトアーカイブスの写真でも池が空っぽの写真が多いので、灌漑期が終わると水を抜くようです。
 
上流面中央の斜樋。
一番下のバルブが開かれ、土砂吐も姿を現しています。
 
上流面は中段から下がコンクリートで護岸。
 
1663 椿谷溜池(1404)
ため池コード
鳥取県西伯郡南部町絹屋
日野川水系絹屋川
15メートル(ため池データベース16.3メートル)
90メートル
89千㎥(ため池データベース81千㎥)/81千㎥
南部町土地改良区
1890年


殿ダム

2018-10-18 13:43:34 | 鳥取県
2018年10月9日 殿ダム 
 
殿ダムは鳥取市国府町殿の千代川水系袋川にある国交省中国地方整備局が管理する特定多目的ロックフィルダムです。
一級河川袋川の洪水調節、安定した河川流量の維持と既得取水権への用水補給、鳥取市営水道への上水道用水の供給、鳥取県企業局への工業用水の供給、鳥取県企業局袋川発電所での最大1100キロワットのダム水路式発電を目的として2011年(平成23年)に竣工しました。
事業計画から建設着手まで長期にわたる補償交渉があったことも踏まえ地域との交流に配慮、ダム下の殿ダム記念広場をはじめダム周辺に4カ所の広場を設け地域住民の憩いの場となっています。
 
県道31号線を進むと右下に殿ダムの姿が見えてきます。
堤高75メートルは鳥取県内のダムでは最高、ダム下は記念広場として整備され見た目にも美しいロックフィルダムです。
 
特筆すべきはその洪水吐で、導流部がカスケードになっています。
右手は放流設備と袋川発電所。
 
明治大正期の上水用アースフィルダムでは階段状の洪水吐導流部をよく見かけます。
しかしこれほど大規模なものは殿ダムだけでしょう。
 
右岸ダムサイトにある管理所とダム下の記念広場を結ぶインクライン。
一般見学者は乗れるのかな?
 
ダムサイトまで上がってきました。
下流面は白い石が積まれていますが、上流は黒い丸石です。
 
天端から
ダム下の記念広場、
サッカー会場として利用されるなど普段は家族連れで賑わうようですがこの日は休園日。
 
下流面は白い石。
 
天端
管理所の開設時間に限り車両通行可能です。
 
左岸の側水路式の巨大な洪水吐
ゲートレスで奥の二つの穴がが常用、横越流部が非常用の洪水吐となります。
 
取水塔。
ダム湖は因幡万葉湖と命名され総貯水容量は1240万立米。
 
2011年に竣工したばかりのダムなので、見た目も美しく周辺の環境整備も行き届いています。
ダム管理事務所では「平成のピラミッド」を標榜していますが、できれば上流面と下流面の異なるロック材を俯瞰できる展望所でも作ってくれればピラミッドも実感できるのですが。
 
(追記)
殿ダムには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。
 
2931 殿ダム(1400)
鳥取県鳥取市国府町殿
千代川水系袋川
FNWIP
75メートル
294メートル
12400千㎥/11200千㎥
国交省中国地方整備局
2011年
◎治水協定が締結されたダム