ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

手取川第3ダム

2022-09-06 13:00:00 | 石川県
2022年7月30日 手取川第3ダム
 
手取川第3ダムは石川県白山市河内町口直海の一級河川手取川右支流直海谷川にある北陸電力(株)が管理する発電目的の重力式コンクリートダムです。 
戦後の電力不足を補い主として大規模発電事業を行うために設立された電源開発(株)は開発余地のある手取川に着目、建設省(現国交省)、石川県との共同事業により手取川ダム建設が決定します。
同事業で発電された電力は全量北陸電力に売電されるため両者の連携は不可欠で、手取川第一発電所は電源開発が、調整池である第2第3ダムおよび第二第三発電所は北陸電力によって事業化されることになりました。
手取川第3ダムは一連のダム発電所と同じく1979年(昭和54年)に竣工し、第一発電所の逆調整池として機能するほか、手取川第三発電所で最大3万キロワットのダム水路式発電を行います。
さらに同発電所の放流水は下流の石川県土木部水道課が管理する鶴来取水口で取水され、上水道用水及び工業用水として県内各所に送水されます。

ダムは白山市河内町口直海町市街直上にあり、直下の橋から正対できます。
堤高は50メートルですが、基礎岩盤が地中深くになるため見た目は20メートルほど。
放流設備はクレストラジアルゲート2門、導流壁はわずかに漸縮しています。
また導流部は放流水を洪水吐両端に寄せるため、下部で中央が盛り上がる独特の形状。


導流部の盛り上がり。


ダムの直下には墓地があります。
ダムとお墓が同じフレームにはいる眺めはかなりレア。


これは除塵機が集めた塵芥の排出設備。


堤体左岸側に『カド』があります。


上流面
堤頂長は354メートルと結構な長さ。


ダムサイトには北陸電力吉野第一発電所で使用されていたフランシス水車と手取川第二発電所の水圧鉄管の一部が展示されています。


毎度おなじみ、『カド』を真上から。


天端は車両通行が可能。
左岸に管理事務所があります。


ダム湖は総貯水容量424万7000立米。
手取川第一発電所の出力調整による流量変動を平準化させる逆調整池となっています。


取水口沿いの浮桟橋と巡視艇。


これは除塵機。
集められた塵芥は4枚目写真の設備で排出されます。


下流面。


(追記)
手取川第3ダムは台風等の襲来に備え事前放流を行う治水協定を締結しました。

0918 手取川第3ダム(1882)
石川県白山市河内町口直海
手取川水系直海谷川
 
 
50メートル 
35.4メートル 
4247千㎥/3156千㎥ 
北陸電力(株) 
1978年
◎治水協定が締結されたダム

手取川第2ダム

2022-09-05 14:00:00 | 石川県
2022年7月30日 手取川第2ダム
 
手取川第2ダムは石川県白山市仏師ヶ野町の一級河川手取川本流にある北陸電力(株)が管理する発電目的の重力式コンクリートダムです。
戦後の電力不足を補い主として大規模発電事業を行うために設立された電源開発(株)は開発余地のある手取川に着目、建設省(現国交省)、石川県との共同事業により手取川ダム建設が決定します。
同事業で発電された電力は全量北陸電力に売電されるため両者の連携は不可欠で、手取川第一発電所は電源開発が、調整池である第2第3ダムおよび第二第三発電所は北陸電力によって事業化されることになりました。
手取川第2ダムは第一発電所の放流水の逆調整池である手取川第3ダムのある直海谷川に流域変更するための調整池として、一連のダム発電所と同じ1979年(昭和54年)に竣工しました。
ここで取水された水は約11キロの導水路で直海谷川に送られ、その際手取川第二発電所で最大8万7000キロワットのダム水路式発電を行います。
さらに当ダムからは手取川沿い左岸に広がる農地向け既得灌漑用水の供給も行われています。
 
上流の仏師ヶ野橋から遠望。


ラジアルゲート3門を備え、写真ではわかりづらいですが右手に取水口があります。


右岸から。


アングルを変えて。
手前に浮桟橋、奥に既得灌漑用水の取水口があります。


既得灌漑用水の取水設備。
表面取水用のフローティング式取水設備かと思います。


浮桟橋と繋留船。


門扉が閉まりダムの敷地には入れません。
管理事務所。


奥には分割式予備ゲートが置かれています。


左岸のも見学ポイントがありますが、農作業用の車が止まっていたので自重しました。
また下流からダムと正対できる場所があるようなので、機会があれば再訪しようと思います。

(追記)
手取川第2ダムは台風等の襲来に備え事前放流を行う治水協定を締結しました。

0919 手取川第2ダム(1881)
石川県白山市仏師ヶ野町
手取川水系手取川
 
 
37.5メートル 
210メートル 
1700千㎥/1695千㎥ 
北陸電力(株) 
1979年
◎治水協定が締結されたダム

手取川ダム

2022-09-03 15:00:00 | 石川県
2016年11月 5日 手取川ダム
2022年 7月30日
 
手取川ダムは左岸が石川県白山市東二口、右岸が同市女原の一級河川手取川本流上流部にある国交省北陸地方整備局と電源揮発(株)が共同管理する多目的ロックフィルダムです。
手取川は加賀地方中央部をほぼ南北に縦断する石川県最大河川で、中下流部に広がる広大な扇状地は加賀平野を形成します。
古くから流域の灌漑用水源として利用され加賀百万石の礎となる一方、氾濫や渇水が多く抜本的な治水・利水対策が求められていました。
建設省(現国交省)、電源開発、石川県がそれぞれ当地へのダム建設計画を進めていましたが、1970年(昭和45年)に三社の共同事業によるダム建設事業が着手され、電源開発による施工により1979年(昭和54年)に手取川ダムが竣工しました。
手取川ダムは三者の共同事業で建設された兼用工作物で、手取川ダムの洪水調節、石川県8市4町村への上水供給、金沢港臨海工業地域への工水供給、電源開発手取川第一発電所での最大24万キロワットのダム水路式発電を目的としています。 
運用開始後は湖面管理及び洪水調節は国交省が、堤体管理及び発電所は電源開発が管理を担っています。
運用開始後は湖面管理及び洪水調節は国交省が、堤体管理及び発電所は電源開発が管理を担っています。

手取川ダムは堤高および総貯水容量ともにロックフィルダム第4位、北陸地方第2位と日本屈指のロックフィルダムとなっていますが、国道から天端へ通じる管理道路で落石リスクがあるため普段は天端への立ち入りができません。
初回訪問時は左岸からの見学に留まりましたが、ダム見学会に合わせて再訪し天端や監査廊、発電所を見ることができました。
見学会の詳細については別項
 
普段手取川ダムの下流面を見ることができるのは、国道157号線東二口第2トンネル手前からのみです。
堤高153メートル、堤頂長420メートルの巨大ロック。




こちらは天端へ続く管理道路入口
この先で落石リスクがあるため、普段はゲートが閉められ立ち入ることができません。


国道157号線沿いのダム展望公園には、手取川ダムに使われているロック材が展示されています。


手取川第一発電所の取水塔
最大使用水量180立米/秒でここから約1500メートルの導水路で発電所に送水されます。
さらに北陸電力手取川第二、第三発電所を経て下流に放流され、放流水は石川県向け上工水として利用されます。


対岸の管理事務所とインクラインを遠望。


ここから先は立ち入り禁止区域の写真となります。
左岸の竣工記念碑。


右岸のクレストローラーゲートと上流面
発電用取水口から180立米/秒の取水を行うため、放流設備はこのゲートと利水放流バルブのみです。


洪水吐斜水路
153メートルの高さを実感できます。


減勢工をズームアップ
毎秒1立米の維持放流中。

下流面。


天端はトラッククレーンが通行可能な2車線幅で対岸まで420メートル。


総貯水容量2億3100万立米は全国のロックフィルダム中第4位
北陸では九頭竜ダムに次ぎ第2位で黒部ダムを凌ぎます。


ダム下へ
斜水路をフレームに納めるため超広角で撮りました。
写真ではデフォルメにより高度感が感じられませんが、実際には相当の高さとなります。
斜水路の右手に小水力発電所が計画されています。


河川維持放流用バルブは毎秒1立米で放流中
もともとここに放流設備はありませんでしたが、河川維持放流の義務化により2004年(平成16年)に増設されました。
小水力発電所用の分水バルブが取り付けられています。


斜水路を見上げます。

(追記)
手取川ダムは台風等の襲来に備え事前放流を行う治水協定を締結しました。

0920 手取川ダム(0701)
左岸 石川県白山市東二口
右岸     同市女原
手取川水系手取川
FWIP
153メートル
420メートル
23100千㎥/19000千㎥
国交省北陸地方整備局・電源開発(株)
1979年
◎治水協定が締結されたダム

大日川ダム

2022-08-29 10:00:00 | 石川県
2016年11月 5日 大日川ダム
2022年 7月28日
 
大日川ダムは石川県白山市阿手町の手取川水系大日川にある石川県農林水産部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
手取川は石川県最大河川で、流域に広がる広大な扇状地は加賀平野を形成し加賀百万石の礎となりました。
一方で洪水や渇水による干ばつ被害も絶えず安定した水源確保は流域農家の悲願となっていました。
戦後の食糧難を受け1952年(昭和27年)に農林省(現農水省)による国営手取川農業水利事業が着手され、手取川右支流大日川への灌漑、農地防災目的のダム建設が着手されます。
これに発電事業者として石川県企業局が事業参加、1967年(昭和42年)に竣工したのが大日川ダムです。
運用開始後は石川県農林水産部が管理を受託し、大日川の洪水調節、七ヶ用水土地改良区約8000ヘクタールへの新規灌漑用水の供給、利水従属発電として石川県企業局大日川第一発電所(最大9000キロワット)、大日川第二発電所(最大出力1万5200キロワット)でのダム水路式発電を目的としています。
なお両発電所は2010年(平成22年)に北陸電力に移管されました。
総貯水容量2720万立米は北陸地方の農水省施工ダムとしては最大規模を誇ります。
2016年(平成28年)11月の初回訪問時はゲート交換工事のため天端に立ち入りできず、2022年(令和4年)7月に改めて訪問しました。
2016年11月5日と記載された写真以外はすべて今回の訪問によるものです。

白山市鳥越から県道44号小松鳥越鶴来線を大日川沿いに南下すると大日川ダムに到着します。
ダム下への立ち入りはできず、見学は左右両岸および天端となります。
左岸から下流面。
主ゲートはラジアルゲート3門。


超広角で
提体は苔生し、完成から50年以上の年月を醸し出します。


初回訪問時は取水スクリーン交換工事のため水位を下げるために低流量放流管であるハウエルバンガーバブルブから絶賛放流中。
左手は河川維持放流設備。
奥は大日川第一発電所への水圧鉄管。(2016年11月5日)

 
2度目の訪問時は河川維持放流のみ。


上流面。


初回訪問時
スクリーン交換工事のため水位が下げられ、取水設備をじっくり見ることができました。(2016年11月5日)。


左岸管理事務
一階が通路になっています。
静岡県の井川ダム奥野ダムも同様の構造。
右手は艇庫でインクラインのレールが伸びています。


鉄道好きとしては外せない絵です。


天端は県道41号線となっており国道416号線に抜けられるため、たま―に車が通ります。
左手はエレベータ棟、右手が取水設備。
エレベーター棟は鳥をモチーフにした凝ったデザイン。


表面取水設備
1960年代だとこんな大がかりな設備になっちゃうんですね。


ダム下を見下ろします。
手前は大日川第一発電所への水圧鉄管で、利水従属発電のため基本的に灌漑用水への補給はこの鉄管を通じて行われます。


ダム湖は総貯水容量2720万立米。
農水省施工ダムとしては北陸最大。


右岸のホイストクレーン
清掃用の船舶が格納されています。


(追記)
大日川ダムは台風等の襲来に備え事前放流を行う治水協定を締結しました。
 
0913 大日川ダム(0704)
石川県白山市阿手町
手取川水系大日川
FAP
59.9メートル
233メートル
27200千㎥/23900千㎥
石川県農林水産部
1967年
◎治水協定が締結されたダム

尾口第1ダム(再)

2016-11-11 15:01:09 | 石川県
2016年11月5日 尾口第1ダム(再)
 
尾口第1ダムは左岸が石川県白山市尾添、右岸が同市中宮の一級河川手取川水系尾添川にある北陸電力(株)が管理する発電目的の重力式コンクリートダムです。
包蔵水力豊富な手取川流域では戦前から複数の事業者により活発な電源開発が進められてきました。
尾口第1ダムは1938年(昭和13年)に矢作川のほか天竜川や手取川で電源開発を行っていた矢作水力(株)によって建設されますが、翌年電力国有化政策により日本発送電(株)に接収されました。
戦後、1951年(昭和26年)の電気事業再編成により北陸電力が事業を継承しました。
当ダムで取水された水は尾口発電所に送られ最大1万8100キロワットのダム水路式発電を行います。
建設当初は4門のラジアルゲートを備えその歴史的価値から近代土木遺産に選定されましたが、2011年(平成23年)に再開発されゲートレス化されました。
再開発に当たっては国立公園特別地域内であることに配慮してコンクリートは黒色に着色するとともに擬岩化した化粧型枠を使用、排水路は花崗岩により石貼りされています。
 
国道157号線から国道360号を東進、県道53号を分けてしばらくすると右手に尾口第1ダムが見えてきます。
右岸上流から。
ゲートレス化され自然越流式となりました。
 
取水口をズームアップ。
堤体や堰柱は黒く着色され擬岩化された化粧型枠が使われています。
 
下流面。
 
下流から。
 
奥に見えるのは北陸電力三ツ又第一発電所です。
 
竣工記念碑。
 
ダムのそばを通る白山白川郷ホワイトロードは歩行者スペースがなく車が通るたびに冷や冷やしながら撮影しました。
 
(追記)
尾口第1ダムはは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、台風等の襲来に備え事前放流を行う治水協定が締結されました。
 
0905 尾口第1ダム(元)
左岸 石川県白山市尾添
右岸     同市中宮
手取川水系尾添川
28.4メートル
42.2メートル
北陸電力(株)
1936年
-------------
3604 尾口第1ダム(再)(0703)
左岸 石川県白山市尾添
右岸     同市中宮
手取川水系尾添川
26.9メートル
41.7メートル
北陸電力(株)
2011年再開発竣工
◎治水協定が締結されたダム

吉野谷ダム

2016-11-11 14:36:38 | 石川県
2016年11月5日 吉野谷ダム
 
吉野谷ダムは左岸が石川県白山市荒谷、右岸が同市中宮の一級河川手取川水系尾添川にある北陸電力(株)が管理する発電目的の重力式コンクリートダムです。
包蔵水力豊富な手取川流域では戦前から複数の事業者により活発な電源開発が進められてきました。
吉野谷ダムは1926年(大正15年)に白山水力(株)によって建設され、のちに矢作水力(株)に吸収されたのち電力国有化政策により日本発送電(株)に接収されました。
戦後、1951年(昭和26年)の電気事業再編成により北陸電力が事業を継承しました。
当ダムで取水された水は吉野発電所に送られ最大1万3000キロワットのダム水路式発電を行います。

建設当初はローリングゲートを備えており、その歴史的価値から近代土木遺産に選定されましたが、2001年(平成13年)にゲートレス化され自然越流型に改修されました。
 
国道157号線から国道360号で白山一里野温泉へ向かい、荒谷で中宮大橋を左に折れると眼下に吉野谷ダムを見おろすことができます。
中宮大橋から。
 
右岸にゲート、左岸に魚道があります。
 
ゲートをズームアップ
ゲートの奥に取水口があります。
 
改修からまだ15年ですが激しい水流のせいかコンクリートが削られ鉄骨がむき出しになっています。
 
水叩きも剥がれています。
 
0904 吉野谷ダム(0702)
左岸 石川県白山市荒谷
右岸     同市中宮
手取川水系尾添川
20.5メートル
60メートル
千㎥/千㎥
北陸電力(株)
1926年

九谷ダム

2016-11-10 16:57:22 | 石川県
2016年11月5日 九谷ダム
 
九谷ダムは石川県加賀市山中温泉枯淵町の二級河川大聖寺川本流にある石川県土木部が管理する多目的の重力式コンクリートダムです。
加賀市を貫流する大聖寺川は洪水常襲河川で江戸期以来氾濫が多発し抜本的な治水対策が求められていました。
1964年(昭和39年)に山中温泉直上に我谷ダムが建設されますが、その後の計画高水流量の変更や高度成長による上水道用水需要の増加などを受け、我谷ダム上流への九谷ダム建設事業が採択されました。
しかし立ち退き交渉が長期化したことで本体着工は1998年(平成10年)までずれ込み、事業着手から35年の歳月をかけて2005年(平成17年)にようやく九谷ダムが竣工しました。
九谷ダムは我谷ダムと連携して大聖寺川の洪水調節を行うほか、加賀市への上水道用水の供給、北陸電力(竣工当時は石川県企業局)新枯淵発電所での最大3500キロワットのダム式発電を目的としています。
新枯淵発電所は運用開始当初は石川県企業局が運営していましたが2010年(平成22年)に北陸電力に譲渡されました。
 
山中温泉から国道364号を南下、我谷ダムで県道153号線を左折すると九谷ダムが見えてきます。
もろ逆光のため下流からの写真はシルエットです。
 
ダム湖は九谷焼の五彩色から五彩湖と命名されました
九谷焼をモチーフにしたモニュメント。
 
堤体は曲線重力式
逆光のためご覧のような写真・・・。
 
取水設備の屋根は前面に突き出しています。
曲線の堤体とともに翼を広げた鳥をイメージにしたデザイン。
 
天端は車両通行可能
取水設備の屋根はまるでリーゼント。
 
リーゼントを下から。
 
ダム湖(五彩湖)
上流には九谷焼発祥の地があります。
 
減勢工
右手は利水放流設備と河川維持放流を利用した小水力発電所。
 
左岸から
中央は管理事務所。
 
上流面
中央に取水設備
左はコンジットゲート。
 
 
非常に格好いい曲線重力式ダムでしたが惜しむらくはもろ逆光になってしまった事。時間を変えて再訪したかったのですが余裕がなくて。

(追記)
九谷ダムは台風等の襲来に備え事前放流を行う治水協定を締結しました。
 
0927 九谷ダム(0695)
石川県加賀市山中温泉枯淵町
大聖寺川水系大聖寺川
FWP
75.8メートル
280メートル
24900千㎥/22400千㎥
石川県土木部
2005年
◎治水協定が締結されたダム

我谷ダム

2016-11-10 16:50:26 | 石川県
2016年11月5日 我谷ダム
 
我谷ダムは石川県加賀市山中温泉我谷町の二級河川大聖寺川本流にある石川県土木部が管理する多目的の重力式コンクリートダムです。
加賀市を貫流する大聖寺川は洪水常襲河川で江戸期以来氾濫が多発し抜本的な治水対策が求められていました。
これを受け石川県は山中温泉上流への多目的ダム建設に着手し1964年(昭和39年)に竣工したのが我谷ダムです。
我谷ダムは大聖寺川の洪水調節、安定した河川流量の維持と不特定灌漑用水への補給、石川県企業局(のちに北陸電力に移譲)我谷発電所での最大5600キロワットのダム水路式発電を目的としています。
しかし、我谷ダム建設後も洪水被害は絶えずまた上水道用水需要の増加に対応するため2007年(平成17年)に当ダム上流2.7キロ地点に九谷ダムが建設されました。
 
山中温泉から国道364号を南下すると我谷ダムに到着、ダムの天端が国道になっています。
ダム左岸から
クレストにラジアルゲートが2門
右手は取水設備です。
 
右岸の発電所の取水口。
 
左岸下流面
赤錆と苔が時代感を現しています。
 
天端は国道361号
手すりにも苔が・・・。
 
右岸から。
 
洪水吐はジャンプ台式
 
洪水吐導流部と減勢工。
 
左岸の管理事務所とインクライン。
 
ダム湖(富士写湖)上流の吊橋。
吊橋の先が富士写ヶ岳の登山道入り口です。
 
吊り橋から。

(追記)
我谷ダムは台風等の襲来に備え事前放流を行う治水協定を締結しました。
 
0912 我谷ダム(0695)
石川県加賀市山中温泉我谷町
大聖寺川水系大聖寺川
FNP
56.5メートル
126メートル
10100千㎥/8750千㎥
石川県土木部
1964年
◎治水協定が締結されたダム

赤瀬ダム

2016-11-10 13:18:45 | 石川県
2016年11月5日 赤瀬ダム
 
赤瀬ダムは石川県小松市赤瀬町の一級河川梯川本流にある石川県土木部が管理する治水目的の重力式コンクリートダムです。
梯川は石川県第二の都市小松市を貫流し、古くから流域穀倉地帯の主要水源となってきましたが、氾濫や渇水が多く抜本的な治水対策が求められてきました。
こうした状況を受け、石川県は建設省(現国土交通省)の補助を受けた治水ダム建設に着手し1978年(昭和53年)に竣工したのが赤瀬ダムです。
赤瀬ダムは梯川の洪水調節、安定した河川流量の維持と不特定灌漑用水への補給を目的としています。
しかし、2022年(令和4年)8月豪雨により小松市街で大規模な氾濫が発生し1500戸以上が浸水するなど多大な被害となりました。
今後赤瀬ダムの運用も含め、河川整備計画の変更が予想されます。
 
国道8号小松バイパス東山インターから国道418号~県道161号で大杉谷川と名を変えた梯川上流に沿って南下すると赤瀬ダムが見えてきます。
陽射しが入る前だったので逆光の洗礼を受けずに済みました。
クレストにラジアルゲートが2門
堤体基部に流水型防災ダムのようなゲートがあり河川維持放流が行われています。
 
右岸から
堤頂長180メートルに対し堤高38メートルの横長ダムです。
 
上流面。
 
訪問時は非かんがい期ということもありほぼ空っぽ。
 
洪水吐導流部。
 
減勢工
シルの下流に2段のバッフルブロックが並びます。
 
天端。
右岸に管理事務所があります。
 
左岸から。

(追記)
赤瀬ダムは台風等の襲来に備え事前放流を行う治水協定を締結しました。
 
0917 赤瀬ダム(0694)
石川県小松市赤瀬町
梯川水系梯川
FN
38メートル
180メートル
6000千㎥/5200千㎥
石川県土木部
1978年
◎治水協定が締結されたダム

多根ダム

2016-10-05 09:38:07 | 石川県
2016年9月23日 多根ダム
 
多根ダムは石川県七尾市多根町の熊淵川水系本流上流部にあるかんがい目的のロックフィルダムです。
七尾市東部の富山湾岸の農地向け灌漑用水源として農林水産省の補助を受けた石川県営のかんがい排水事業で1973年(昭和48年)に竣工しました。
管理は七尾市が受託受託しています。
ダム湖周辺は『湖畔公園コロサ』としてキャンプ場やスキー場などが整備される一方、ダム湖は石川県有数のバス釣りスポットとなっています。
 
今回は氷見側からのアプローチ、県道18号を北上し石川県に入ると多根ダムの標識に従い右折し石動山をやり過ごすと多根ダム右岸に到着します。
右岸から上流面、草が伸びていますが下部に石が見えロック材で護岸されているのが分かります。
対岸にダム監視棟がありますが職員は常駐していません。
 
V字型の越流式洪水吐
放流量を確保するためにこのような形となりました。
 
洪水吐斜水路。
 
天端は車道で車両通行可能。
 
奥に『やまびこ荘』が見えます。
やまびこ荘は団体専用で個人での利用はできません。
 
フローティング方式の取水設備。
 
案内板ではダム直下は『ふれあい広場』と書かれていましたが草ぼうぼう。
あまりの草深さに下りるのは自重しました。
 
下流面。
ロックフィルですが見た目はご覧のありさま。

0916 多根ダム(0615)
石川県七尾市多根町
熊渕川水系熊渕川
30メートル
99.2メートル
1334千㎥/1203千㎥
七尾市
1973年

神子原ダム

2016-10-04 19:32:43 | 石川県
2016年9月23日 神子原ダム
 
神子原ダムは左岸が石川県羽咋市千石町、右岸が同市神子原の羽咋川水系飯山川にある灌漑目的のアースフィルダムです。
1942年(昭和17年)に飯山川沿岸農家で組織される耕地整理組合の事業で建設され、現在は邑知潟土地改良区が管理を行っています。
 
羽咋から国道415号線を氷見方面に走ると右手に神子原ダムが見えてきます。
ダムの名前がついた地域循環バスのバス停があります。
 
上流面
 
天端は市道。
 
総貯水容量47万8000立米の貯水池。
訪問直前に台風が通過したためかなり濁っています。
 
左岸の横越流式洪水吐。
 
上流面
直前に草刈が行われたようです。
 
下流面も同様。
 
右岸の斜樋操作室。
 
0906 神子原ダム(0612)
ため池データベース
左岸 石川県羽咋市千石町
右岸     同市神子原町
羽咋川水系飯山川
23.7メートル
63メートル(ため池データベース 70メートル)
478千㎥/375千㎥
邑知潟土地改良区
1942年

新池(新堤)

2016-10-04 16:46:20 | 石川県
2016年9月23日 新池(新堤)
 
ダム便覧では新堤の所在地は石川県羽咋市滝、河川は菱根川水系菱根川となっています。
ところが羽咋に『滝』という地名はなく、志賀町の河口から菱根川を辿ると水源近くに羽咋市滝谷町の飛び地がありそこにため池が1基存在します。
一方石川県ため池データベースにも羽咋市滝谷町に『新池』が記載されておりこれがダム便覧の『新堤』と同一の可能性が高いと思われます。
 
残念ながらダムへ通じる道路は関係者以外立ち入り禁止。
(地図の緑の星印)
 
0902 新池(新堤)
ため池データベース
石川県羽咋市滝谷
DamMaps
菱根川水系菱根川
18メートル
100メートル
千㎥/千㎥
滝谷区
1885年

子浦川防災ダム

2016-10-04 15:57:02 | 石川県
2016年9月23日 子浦川防災ダム
 
子浦川(しおがわ)防災ダムは石川県羽咋郡宝達志水町所司原の羽咋川水系子浦川にある農地防災及びかんがい目的のアースフィルダムです。
子浦川は古くから沿岸農地のかんがい用水源となっていましたが流域面積が小さいためかんがい期の渇水が多く用水不足が常習化していました。
一方、戦時中の集水域での乱伐により余水力が低下したため氾濫が頻発し、子浦川の防災及びかんがい排水設備の整備が高まります。
地元の陳情の結果、1950年(昭和25年)に農林省の補助を受けた県営防災ダム事業が着手され1956年(昭和31年)に念願の子浦川防災ダムが竣工しました。
現在の管理は邑知潟土地改良区が受託し、子浦川の洪水調節のほか沿岸約300ヘクタールにかんがい用水を供給します。

宝達志水町役場のある子浦から県道29号を東進すると右手に子浦川防災ダムが見えてきます。
残念ながら堤体は立ち入り禁止。
 
下流面。
 
上流面はコンクリートで護岸。
 
対岸に取水設備と洪水吐があります。
斜樋機械室は独特のドーム型。
洪水吐はバスタブ型のようです。
 
堤体上流面。
 
 
訪問時はかんがい期が終わったため、貯水池は水が抜か空っぽ。
 
0908 子浦川防災ダム(0611)
石川県羽咋郡宝達志水町所司原
羽咋川水系子浦川
FA
24メートル
146.5メートル
669千㎥/669千㎥
邑知潟土地改良区
1956年

新宮ダム

2016-10-04 15:17:00 | 石川県
2016年9月23日 新宮ダム
 
新宮ダムは石川県羽咋郡宝達志水町新宮の羽咋川水系子浦川左支流新宮川にあるかんがい目的のアースフィルダムです。
子浦川左岸沿岸は子浦川を取水源として農地開発が進められてきましたが、子浦川の流域面積は小さく絶対的用水量が不足していました。さらに渇水も多発し安定した水源確保は一帯農家の悲願となっていました。 
こうした状況を受け、農林省(現農林水産省)によるため池建設事業が着手され1955年(昭和30年)に竣工したのが新宮ダムです。
現在の管理は宝達志水町土地改良区が受託しています。
 
宝達志水町役場のある子浦から県道29号を東進、金谷バス停で南に折れ新宮川に沿って南下すると新宮ダムに到着します。
下流面は草に覆われています。
 
天端。
 
右岸の横越流式洪水吐。
 
洪水吐導流部。
 
総貯水容量は42万4000立米とダムと名がつきますが実態は溜池。
訪問時はかんがい期が終わり水が抜かれています。
堤体には巡視用のボートが繋がれています。
 
斜樋操作室
建屋は新しく、近年刷新されたようです。
 
斜樋のシャフトは一本。
 
上流面はコンクリートで護岸。
 
0907 新宮ダム(0610)
石川県羽咋郡宝達志水町新宮
羽咋川水系新宮川
25.4メートル
82.2メートル
424千㎥/424千㎥
宝達志水町土地改良区
1955年

籾川谷池

2016-10-04 14:49:43 | 石川県
2016年9月23日 籾川谷池
 
籾川谷池は石川県羽咋郡宝達志水町上田の前田川水系大坪川にある灌漑目的のアースフィルダムです。
ダム便覧には1904年(明治37年)に当時の押水町の事業で竣工と記されています。能登半島の付け根西部に位置する宝達志水町一帯では西部沿岸部に開拓可能な平坦地が広がり、明治中期以降の農地開発に合わせかんがい用水源として町営事業により建設されたと推察されます。
現在は押水土地改良区が管理を行っています。
ダム便覧では堤高22メートルと記されていますが、ため池データベースでは堤高13.5メートルにとどまっています。 

ダム下から
池をバイパスする水路から常に放流されており、訪問時は美しい転波列が現れています。

 
下流面はかなり草生しています。
ダム便覧では堤高22メートル、ため池データベースでは13.5メートル。
見た目は15メートル界隈で基礎地盤をどこにするか?で数値は変わるのかと思います。

 
天端もかなり草が繁茂。

 
池をバイパスする大坪川上流からの水路が越流しています。
池とは別の水利権者があるんだと思います。
 
右岸の横越流式洪水吐。

 
アングルを変えて。

 
上流面も草が伸びています。

 
天端から下流を見下ろす
受益農地ははるか下流です。


肉眼では海が見えるのですが、カメラで撮るとこんな感じ。
晴天ならはっきり遠望できるのですが。

 
総貯水容量は13万8000立米。
これでほぼ満水。

 
右岸の斜樋。
 
0903 籾川谷池(0609)
ため池データベース
石川県羽咋郡宝達志水町上田
前田川水系大坪川
22メートル(ため池DB13.5メートル
106メートル(ため池DB120メートル)
138千㎥/138千㎥(ため池DB150千㎥)
押水土地改良区
1904年