ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

夏瀬ダム

2022-12-15 20:22:29 | 秋田県
2022年10月26日 夏瀬ダム
 
夏瀬ダムは左岸が秋田県仙北市角館町広久内、右岸が同市田沢湖町卒田の一級河川雄物川水系玉川にある東北電力(株)が管理する発電目的の重力式コンクリートダムです。
昭和10年代に入り玉川水系では東北振興電力(株)による電源開発と、農林省による田沢疎水農業水利事業が計画され、1937年(昭和12年)に発電・灌漑を目的とした『玉川河水統制事業』が着手されます。    
具体的には強酸性で灌漑に不適であった玉川の水を田沢湖で希釈し、生保内・夏瀬・神代各発電所で発電したのち、農業用水として仙北平野に導水するという壮大な事業です。    
神代・夏瀬両ダムは東北振興電力を接収した日本発送電によって1940年(昭和15年)に完成、同時に神代発電所も稼働しますが、夏瀬発電所は戦況悪化に伴う物資不足もあり事業は中断、 稼働は1953年(昭和28年)の東北電力による事業継承後ににずれ込みました。    
夏瀬発電所では最大2万キロワットのダム水路式発電が行われています。    

国道46号線から夏瀬温泉の標識に従って市道夏瀬線を4キロ東進すると夏瀬温泉入口に到着します。
この先は東北電力管理道路となるため徒歩で500メートル進むと夏瀬発電所に着きます。
発電所裏手から河原に下りることができ、約300メートル遡上するとダム下に出ます。
いかにも戦前戦中の発電ダムと言った作りで、6門のラジアルゲートが並び豪雪地帯ということでピアは被覆されています。
訪問時は放流はなく、穏やかな水面にダムが映り込んでいました。


同時に建設された神代ダムは近代土木遺産に選ばれていますが、こちらは未選定。
どこが異なるんでしょう?


ゲートは竣工当時のものではなさそう。


ダムサイトは立ち入り禁止。


左手には分割式予備ゲートが積まれています。
正面は除塵機。


水利使用標識。


門扉手前のコンクリートの柱
クレーンの台座でしょうか?


ダム手前のサージタンクと水圧鉄管。


こちらは夏瀬発電所
最大2万キロワットのダム水路式発電を行います。


神代ダムは田沢疎水の調整池になっており、神代発電所の放流水が灌漑用水となるためその稼働は必要条件だったのでしょう。
一方で夏瀬発電所は、ダム完成から発電所稼働まで13年もの空白期間を置きます。

(追記)
夏瀬ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え 事前放流を行う予備放流容量が配分されました。

0367 夏瀬ダム(1920)
左岸 秋田県仙北市角館町広久内
右岸     同市田沢湖卒田
雄物川水系玉川
 
 
40メートル 
115.8メートル 
5959千㎥/1735千㎥ 
東北電力(株) 
1940年
◎治水協定が締結されたダム

神代ダム

2022-12-15 18:05:54 | 秋田県
2022年10月26日 神代ダム
 
神代(じんだい)ダムは左岸が秋田県仙北市角館町広久内、右岸が同市田沢湖町卒田の一級河川雄物川水系玉川にある東北電力(株)が管理する発電目的の重力式コンクリートダムです。
昭和10年代に入り玉川水系では東北振興電力(株)による電源開発と、農林省による田沢疎水農業水利事業が計画され、1937年(昭和12年)に発電・灌漑を目的とした『玉川河水統制事業』が着手されます。    
具体的には強酸性で灌漑に不適であった玉川の水を田沢湖で希釈し、生保内・夏瀬・神代各発電所で発電したのち、農業用水として仙北平野に導水するという壮大な事業です。    
神代ダムは東北振興電力を接収した日本発送電によって1940年(昭和15年)に建設され、神代発電所での最大1万9700キロワットのダム水路式発電が開始されました。    
神代ダムと同時に夏瀬ダムも完成しますが、こちらは戦争激化による影響から発電所の建設は中断し、夏瀬発電所の稼働は1953年(昭和28年)にずれ込みました。    
これらの発電施設は戦後の電気事業再編成令により東北電力が継承しています。    
一方、田沢疎水農業水利事業は1963年(昭和38年)に竣工、さらに第二田沢開拓建設事業の竣工により現在は4500ヘクタールを超える広大な農地に灌漑用水が供給されています。    
神代ダムの利水容量上の目的は発電のみですが、現実には仙北平野を潤す灌漑用水の調整池として需要な役割を果たしています。    
また戦時中の貴重な土木建築物としてCランクの近代土木遺産に選ばれています。    

国道46号線から夏瀬温泉の標識に従って市道夏瀬線を2キロ東進すると右手に東北電力の管理道路が分岐します。
この先は関係車両以外通行禁止のため徒歩で約1.5キロ進むと神代ダムに到着します。残念ながらダムの敷地は立ち入り禁止。
かつては職員が住み込みで駐在していたようで立派な管理事務所が併設されています。


水利使用標識。


ダム手前の山道を登るとダムを俯瞰できます。


豪雪地帯ということでピアは被覆されています。


手前(右岸)に発電用取水口があり除塵機が見えます。
取水された水は約3.5キロの導水路で神代発電所所に送られ、さらにその放流水が田沢疎水により仙北平野に導水されます。


貯水池左岸は元は遊歩道として開放されていましたが、災害による遊歩道破損により今は立ち入りできません。
奥に見えるのは第二田沢開拓建設事業で建設された第二田沢幹線用水路の取水口。


場所を変えて第二田沢幹線用水路の取水口
農業水利事業二期工事で刷新されています。


折角の近代土木遺産のダムですが、下流からに見学ポイントはなし。
市道夏瀬線から上流面を遠望するのみ。


玉川河水統制事業により仙北平野の農地開拓は大きく前進しますが、一方で田沢湖は湖水が酸性化し生態系を含め環境面に大きな打撃を受けました。
近年話題になった『クニマス』の絶滅などはその一例です。

(追記)
神代ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え 事前放流を行う予備放流容量が配分されました。

0353 神代ダム(1919)
左岸 秋田県仙北市角館町広久内
右岸     同市田沢湖卒田
雄物川水系玉川
 
 
26.5メートル 
178メートル 
5108千㎥/2777千㎥ 
東北電力(株) 
1940年
◎治水協定が締結されたダム

赤沢ダム

2022-12-14 22:38:15 | 秋田県
2022年10月25日 赤沢ダム
 
赤沢ダムは秋田県雄勝郡羽後町飯沢の雄物川水系赤沢川右支流(河川名不明)にある灌漑目的のアースフィルダムです。
ダム便覧には羽後町土地改良区の事業で1935年(昭和10年)に竣工と記されており、前身となる西馬音内耕地整理組合の事業で建設されたと推察されます。
1961年(昭和36年)に当ダムの西方約1.8キロ地点に松倉ダムが完成し、羽後町中心部を形成する西馬音内地区は県内有数の稲作地帯となります。
ダムの管理は土地改良区の合併で誕生した湯沢雄勝土地改良区が行い松倉ダムと併せて西馬音内地区約550ヘクタールの農地に灌漑用水を供給しています。

羽後町飯沢の赤沢集落からダートの林道を約600メートル南下すると赤沢ダムに到着します。
先ずはダム下に下りてみます。
夏場に草が刈られたアース堤体は堤高19.3メートルで犬走を挟んだ二段構成
ダム下に底樋門があります。


底樋管をズームアップ。


天端に戻ります
轍がありますが対岸で行き止まり。
貯水池側には真新しい柵が設置されています。


上流面はコンクリートで護岸、右岸に横越流式洪水吐があります。


左岸の斜樋。


天端から斜樋機械室を望みます。


ダム下を見下ろすと
底樋管からの水路と洪水吐導流部が合流します。


貯水池は総貯水容量33万8000立米。
松倉ダムの完成で併せて90万立米弱の貯水容量で約550ヘクタールの農地を潤します。


右岸の横越流式洪水吐。




釣りのことは詳しくないのですが、釣吉三平という漫画に登場する『赤沢堤』が当ダムであると勘違いし釣り禁止にもかかわらず竿を垂れる無法者が多いとのこと。
貯水池側の柵の設置もそういう背景があるようです。

0340 赤沢ダム(1918)
ため池コード
秋田県雄勝郡羽後町飯沢
雄物川水系赤沢川右支流
19.3メートル
72.7メートル
338千㎥/338千㎥
湯沢雄勝土地改良区
1935年

松倉ダム

2022-12-14 08:00:11 | 秋田県
2018年 7月15日 松倉ダム
2022年10月25日
 
松倉ダムは秋田県雄勝郡羽後町下仙道の雄物川水系赤沢川源流部にある灌漑目的のアースフィルダムです。
農林省の補助を受けた秋田県営用水改良事業西馬音内地区により1961年(昭和36年)に竣工、その後1998年(平成10年)~2002年(平成14年)にかけて県営溜池事業による大規模改修が実施され、その際に日本初の鋼製ラビリンス洪水吐が設置されました。
管理は湯沢雄勝土地改良区が行い近接する赤沢ダムと併せて約550ヘクタールの農地に灌漑用水を供給しています。
松倉ダムには2018年7月に初めて訪問、2022年10月に再訪しました。
 
県道57号にラビリンス洪水吐が描かれた松倉ダムの案内板が現れます。
土地改良区が管理する農業用ダムでこういった立派な案内板が設置されているのは珍しい。
管理する土地改良区の松倉ダムへの愛着と誇りが伺えます。
(2018年7月)
 
県道わきに建つ竣工記念碑。
これは1961年(昭和36年)に松倉ダムが建設された県営用水改良事業の竣工記念碑。(2022年10月)


県道からはダムが見下ろせます。(2018年7月)
 
県道からダートの管理道路に入ると左岸ダムサイトに到着
こちらは2002年(平成14年)のため池整備事業の竣工記念碑。
(2022年10月)

 
上流面はコンクリートで護岸。(2018年7月)
 
総貯水容量54万9000立米の貯水池。
左岸に管理事務所を兼ねた斜樋機械室があります。(2022年10月)

 
草が刈られた下流面
ダム下に下りる階段がありますが、チェーンが掛かっていたの自重。
(2022年10月)


天端と対岸の斜樋。(2022年10月)


斜樋はシャフトが6本。(2018年7月)
 
右岸に洪水吐があります。
洪水吐のプレート。(2022年10月)

 
洪水吐は日本初の鋼製ラビリンス
洪水吐上流側に流木除けのフェンスが設置されていますが、これも珍しい。
(2018年7月)
 
ズームアップ(2022年10月)。


右手が上流側
右手のフェンスは流木除けのスクリーンとなっており、管理橋が渡されています。
(2018年7月)
 
洪水吐導流部はトンネル式
これは1961年(昭和36年)竣工当時のまま。(2018年7月)
 
広角で(2022年10月)


洪水吐上流側の遺構
改修以前のものかと思われますが詳細は不明。(2018年7月)
 
全国でも珍しい鋼製のラビリンスゲートですが、ゲートそのものに加えて流木除けのフェンスが設置されているのも松倉ダム特有の構造です。
2018年夏に続き2度目の訪問となりましたが、その間に土地改良区の合併により管理者が羽後町土地改良区から湯沢雄勝土地改良区に代わっていました。

0375 松倉ダム(1342)
ため池コード
秋田県雄勝郡羽後町下仙道
雄物川水系赤沢川
22メートル
98メートル
549千㎥/549千㎥
湯沢雄勝土地改良区
1961年

黒森川第1ダム

2022-12-13 20:21:10 | 秋田県
2022年10月25日 黒森川第1ダム

黒森川第1ダムは秋田県由利本荘市町村の子吉川水系黒森川にある由利本荘市企業局が管理する上水道用水目的のアースフィルダムです。
由利本荘市の水道事業は旧本荘町時代の1940年(昭和15年)に町営水道事業としてスタート、その後の給水人口増加に合わせて数次にわたる拡張事業を行ってきました。
黒森川第1ダムは第4期拡張事業により1976年(昭和51年)に竣工、直上に建設された第2ダムと併せて総貯水容量は220万立米に及び日量最大2万5000立米の給水が可能となりました。
本荘市は2005年(平成17年)に周辺町村との合併により由利本荘市となり水道事業も市企業局の管轄となりましたが、現在でも黒森川貯水池は由利本荘市水道事業の過半を賄う貴重な水源となっています。

ダム下を市道が通り、ダムと正対できます。
市の上水道事業の中核をなす貯水池だけあり、芝はきれいに刈られよく整備されています。
左手は洪水吐導流部、右手は取水設備からの水路となります。


洪水吐をズームアップ
減勢工には2列のバッフルブロックが並びます。


左岸ダムサイトへ移動します。
ダムサイト入り口の竣工記念碑。
総貯水容量は第1ダム150万、第2ダム70万、計220万立米となります。


天端入り口には立ち入り禁止の看板があります。
由利本荘市企業局に確認したところ写真を撮るだけという条件で立ち入り許可がいただけました。
堤頂長は330メートル。
奇麗に整備された下流面はまるで芝生のスロープ。


天端。


上流面はロック材で護岸
白い建屋は取水設備。


超広角で。


実はここは昭和53年に刊行された『新観光 秋田30景』という書物でも取り上げられた鳥海山の展望スポット。
水面が穏やかなときは湖面に鳥海が写りこみ奇麗な逆さ鳥海が見れるようですが、訪問時は雲の中。
そしてこの直上に第2ダムがあります。


天端から下流面を見下ろす
1枚目、2枚目写真は下流の橋から撮ったもの
右手の洪水吐導流部、左手の取水設備からの導水路がダム下で合流します
放流された水はこのすぐ下流で取水され約3キロの導水路で由利原浄水場に送られます。


右岸から上流面
市の水道事業の中核を担う貯水池の取水設備としては正直ちゃちい。


右岸の横越流式洪水吐。


洪水吐導流部。


本来なら直上にある第2ダムも見るべきなんでしょうが時間の関係でパス。さらにその上流にある子吉溜池はいわゆるダム穴(グローリーホール)装備の珍しい溜池ということで、再訪の機会があればぜひ立ち寄ってみたいもの。
黒森川第1及び第2ダムは由利本荘市水道事業の中核を担う貯水池ですが、両ダム合わせた流域面積はわずか6平方キロに留まります。
そのため渇水のたびに給水制限が発動されており、由利本荘市では安定した水源として子吉川上流に建設が進められている鳥海ダムへの期待が大きいようです。

0387 黒森川第1ダム(1917)
秋田県由利本荘市町村
子吉川水系黒森川
26メートル
330メートル
1500千㎥/1300千㎥
由利本荘市企業局
1976年

六ヶ村ダム

2022-12-12 20:08:09 | 秋田県
2022年10月25日 六ヶ村ダム

六ヶ村ダムは秋田県由利本荘市赤田の子吉川水系赤田川左支流(河川名不明)にある灌漑目的のアースフィルダムです。
起源は江戸中期宝暦年間(1751年~1763年)まで遡り、亀田藩主の命により藩の普請として築造され、六つの集落に灌漑用水を供給することから六ヶ村溜池と命名されました。
その後数度の改修が行われたのち、1941年(昭和16年)より大規模な嵩上げ改修事業が着手され1952年(昭和27年)に同事業は竣工、貯水容量150万立米を超える東北地方屈指の灌漑用溜池となりました。
ダム便覧ではこれを竣工年度としています。
しかし戦時中の物資不足の中での事業だったため老朽化が著しく、改めて県営ため池等整備事業六ヶ村地区が着手され1969年(昭和44年)に竣工し現在に至っています。
管理は内越土地改良区が行い約430ヘクタールの農地に灌漑用水を供給しています。
なお六ヶ村溜池の自己流域は12.7平方キロ中1.7平方キロにすぎず、その大半を赤田川からの導水に依っています。

堤高は17.6メートルに留まりますが、250メートル以上の長い堤体はかなり下流から視認できます。


市道が堤体を斜行して登ります。


左岸ダム下の底樋門。


右岸ダムサイトに建つ説明板。
江戸中期を起源とする溜池ならでは。


天端は規制がなく車での進入も可能、と言っても対岸で行き止まりですが
貯水池側に柵が続きます。


左岸の管理事務所を兼ねる取水設備機械室。


灌漑期が終わり水が抜かれた貯水池
総貯水容量179万立米と灌漑用溜池としては東北屈指のスケール。


多段式の斜樋
灌漑期が終わり水が抜かれており、流入水は土砂吐からそのまま放流されています。


上流面は石積護岸
基部にも石積の跡が残ります。
左手のレールはインクラインですが、今は使われてないようです。

左岸の越流式洪水吐には鋼製起伏ゲート(フラップゲート)があります。


洪水吐導流部。

赤田川からの導水部も見たかったのですが、右岸には養豚場があり立入禁止の警告板があったため断念しました。

0366 六ヶ村ダム(1916)
ため池コード
秋田県由利本荘市赤田
子吉川水系赤田川左支流
17.6メートル
256.9メートル
1790千㎥/1790千㎥
内越土地改良区
1952年

岩見ダム

2022-12-11 19:55:13 | 秋田県
2022年10月25日 岩見ダム

岩見ダムは秋田県秋田市河辺三内の雄物川水系三内川にある秋田県建設部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
1970年(昭和45年)に治水ダムとして事業着手され、のちに県企業局(現県公営企業)が発電事業者として事業参加し1978年(昭和53年)に竣工したのが岩見ダムです。
岩見ダムは建設省(現国交省)の補助を受けた補助多目的ダムで、三内川および岩見川の洪水調節、安定した河川流量の維持と不特定灌漑用水への補給、秋田県公営企業岩見発電所でのダム式発電を目的としています。

ダム下流に架かる吊橋から堤体を望めます。
放流設備としては非常用クレストラジアルゲート2門、常用洪水吐としてホロージェットバルブ1条、利水放流設備としてジェットフロートゲート1条を装備
また洪水吐左岸に岩見発電所があります。


発電所をズームアップ、手前は放流ゲート。


ラジアルゲートをズームアップ。


左岸から
堤高66.5メートル、堤頂長242メートル
ダム右岸山上には筑紫森があります。
流紋岩の柱状節理で国の天然記念物です。


提体は右岸側が屈曲。


常用洪水吐のホロージェットバルブ。


天端から減勢工を見下ろします
左手が岩見発電所、副ダムには切れ込みが入っています。


ダム湖は『河北湖』で総貯水容量は1930万立米
建設当時河辺郡と北秋田郡に跨っていたので両者の字をとって河北湖と命名されました。


左岸の艇庫とインクライン。


右岸には古いインクラインの遺構。


右岸から。


上流面
右からホロージェットバルブの予備ゲート、クレストゲート、選択取水設備と並びます。訪問時はゲートや取水設備の改修工事中でクレストゲートが張りぼて。

追記
岩見ダムには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。

0388 岩見ダム(1915)
秋田県秋田市河辺三内
雄物川水系三内川
FNP
66.5メートル
242メートル
19300千㎥/16300千㎥
秋田県建設部
1978年
◎治水協定が締結されたダム

旭川ダム

2022-12-11 13:34:17 | 秋田県
2022年10月25日 旭川ダム
 
旭川ダムは秋田県秋田市仁別の一級河川雄物川水系旭川上流部にある秋田県建設部が管理する治水目的の重力式コンクリートダムです。
旭川は雄物川の主要右支流ですが秋田市中心部を貫流することから、その治水は久保田藩時代からの至上課題となっていました。 
戦中戦後の燃料不足により旭川水源域が乱伐され保水能力が大きく低下したことで洪水被害が多発し抜本的な治水対策が求められました。
1967年(昭和42年)に建設省は新たに治水ダムへの補助制度を新設、秋田県はこれを活用して旭川治水ダム事業に着手、補助治水ダム適用第1号として1972年(昭和47年)に竣工したのが旭川ダムです。
同時に乱伐で荒廃した旭川源流域は仁別国民の森』として保全され保水力は大きく回復しました。
一方ダム南側には大平山リゾート公園として整備されオートキャンプ場や日帰り入浴施設、スキー場などを備えた東北最大規模の総合レクリエーションエリアとなっています。
 
ダムは左右両岸からアプローチできますが、今回は管理事務所のある左岸から
平日は職員が常駐です。


事務所脇の竣工記念碑。


提体は左岸が下流に折れ『カド』に。

毎度おなじみの『カド』。


ゲートは非常用となるクレストラジアルゲート2門と常用洪水吐となるコンジットラジアルゲート1門を装備
有効貯水容量すべてが洪水調節容量となる治水専用ダムのため、平時は流入量はそのままコンジットゲートから放流する一方、洪水時は最大170立米/秒をカットします。
写真の黒いローラーゲートはコンジットの予備ゲート。




残念ながら下流からダムを見るポイントはありません。
下流面もこれが精いっぱい。


クレストゲート越しに
左手前面に突き出た建屋の下にコンジットゲートがあります。 


天端のクレーン
巡視艇昇降用か?


天端は徒歩のみ開放されています。


天端から貯水池を望む
旭川と支流の砥沢の合流地点にダムは建設され、ダム上流は仁別国民の森として保全され豊かな森が広がります。
治水専用ダムのため普段はダム湖は空っぽ、洪水時は最大420万立米を貯留します。
さらに治水協定により台風襲来時などは堆砂容量の空き分54万8000立米も洪水調節容量に転用されます。


ダム左岸の旭川ダム公園は紅葉の名所。
モミジが見ごろとなっていました。


ダムとは関係ないけどダムの下流には由利高原鉄道の車両が展示されています。


0383 旭川ダム(1914)
秋田県秋田市仁別
雄物川水系旭川
51.5メートル
380メートル
5200千㎥/4200千㎥
秋田県建設部
1972年

袖ヶ沢堤

2022-12-11 08:22:53 | 秋田県
2022年10月25日 袖ヶ沢堤
 
袖ヶ沢堤は秋田県南秋田郡五城目町馬場目の二級河川馬場目川水系袖ヶ沢にある灌漑目的のアースフィルダムです。
ダム便覧には1934年(昭和9年)に秋田県の事業で竣工と記されており、県の用水改良事業で建設されたと推察されます。
管理は馬場目川水系土地改良区が行い、約870ヘクタールの農地に灌漑用水を供給しています。
ダム便覧では袖ヶ沢堤となっていますが、ため池データベースでは袖ヶ沢溜池、国土地理院地形図では袖ノ沢堤と表記されています。

五城目町馬場目の秋田中央広域農道から袖ヶ沢沿いのダート道を約1キロ東進すると袖ヶ沢堤に到着します。
ちょうど日が昇り始めたタイミングでの訪問で、どの写真も明暗が大きく出来が悪くなっています。
堤高17.1メートル、堤頂長150.8メートルの堤体。


右岸の洪水吐減勢工。


左岸ダム下の底樋管。


道路が堤体を斜行して上がります。


右岸から
草が伸び、周辺溜池に比べればちょっと手入れが行き届いてない印象。


右岸の横越流式洪水吐。


天端から
池への道路沿いに用水路があります。


上流面はコンクリートで護岸
堤体左岸側が下流に突き出す形で屈曲
溜池では珍しい『カド』。


カドから貯水池を望む
総貯水容量は78万3000立米。
受益農地870ヘクタールもあるのにこの貯水容量では少ない気が…


左岸の斜樋。


斜樋の操作室。


ダムの下流袖ヶ沢にある分水ゲート。


0336 袖ヶ沢堤(1913)
ため池コード
秋田県南秋田郡五城目町馬場目
馬場目川水系馬場目川右支流袖ヶ沢
17.1メートル
150.8メートル
783千㎥/783千㎥
馬場目川水系土地改良区
1934年

大由沢溜池

2022-12-10 14:02:40 | 秋田県
2022年10月25日 大由沢溜池
 
大由沢(おおよしざわ)溜池は秋田県南秋田郡五城目町内川小倉の二級河川馬場目川水系小倉川左支流大由沢にある灌漑目的のアースフィルダムです。
現地記念碑によれば、五城目町および八郎潟町への灌漑用水補給を図るため、1936年(昭和11年)に秋田県営事業により建設されました。
その後の老朽化を受けて1979年(昭和54年)から県営ため池等改修事業大由沢地区が着手され、1988年(昭和63年)に竣工、現在に至っています。
管理は戸村土地改良区が行い約380ヘクタールの農地に灌漑用水を供給しています。
なお、ダム便覧では竣工年度を1934年(昭和9年)としていますが、ここでは現地記念碑に従い1936年とします。

事前調査では溜池手前にゲートがあり立ち入り禁止と思われましたが、訪問時ゲートが開いており許可を得て立ち入りました。


堤高18.5メートル、堤頂長127メートル
提体はきれいに刈られ、管理道路が斜行します。


ダム下の底樋管。


右岸から下流面
前回の改修から30年、再び改修が行われるのか?ボーリングにより地質調査が行われています。


右岸の横越流式洪水吐。


綜貯水容量は72万6000立米。
秋田らしく周囲の山は杉が植林されています。


天端から下流を見下ろす。


上流面は草が生えていますがコンクリートブロック貼り。


左岸の改修記念碑。


左岸上流側の斜樋操作室。


斜樋はシャフトが一本。


ダムの下流にある立派な取水ゲート。

てっきり敷地への立ち入りはできないと思っていましたが、地質調査のためゲートが開放され見学することができました。

0324 大由沢溜池(1912)
ため池コード
秋田県南秋田郡五城目町内川小倉
馬場目川水系小倉川左支流大由沢
18.5メートル
127メートル
726千㎥/726千㎥
戸村土地改良区
1934年

羽根川ダム

2022-12-09 21:48:37 | 秋田県
2022年10月24日 羽根川ダム
 
羽根川ダムは秋田県山本郡三種町鹿渡の馬場目川水系糸流川にある灌漑目的のアースフィルダムです。
三種町の八郎潟沿岸地域は広大な平地が広がるものの汽水湖であった八郎潟は用水に適さず、さらに大河がないため新田開発に合わせて多数の溜池が建設され、県内屈指のため池密集地帯となっています。
羽根川ダムは農林省の補助を受けた県のため池等整備事業により1967年(昭和42年)に建設されました。
総貯水容量85万5000立米は三種町内の溜池の中でも最大規模を誇り、管理する琴丘土地改良区の約420ヘクタールの農地に灌漑用水を供給しています。
またダム建設に合わせてダム周辺は羽根川森林公園として整備され、休憩施設やキャンプ場などが設けられています。

ダム下から
堤高18メートル、堤頂長139メートル
右岸を洪水吐導流部が流下します。


洪水吐導流部
手前の施設はたぶん量水計。


提体は犬走を挟んで2段
まるで芝生のスロープのようにきれいに刈られ、今回回った溜池の中でも最も美しい下流面。


天端は車両進入禁止。
土地改良区に確認したら徒歩の立ち入りはOKでした。


途中で傾斜が変わる洪水吐導流部。


右岸の横越流式洪水吐。


アングルを変えて
越流部には流木除けと思われる柵がありますが、ぐにゃぐにゃ。


左岸の斜樋を遠望。


上流面はコンクリートで護岸。


天端から下流面を望む
右手は洪水吐の導水路、左手が斜樋からの水路になります。
底樋管は草が深く確認できませんでした。


左岸の竣工記念碑。
裏面に池の由来等が書かれているはずですが、迂闊にも撮影を失念・・・。


貯水池右岸に森林公園があり休憩舎たキャンプサイトがあります。
この吊橋も遊歩道として整備され問題なく渡れますが、対岸の遊歩道はかなり荒廃。

0380 羽根川ダム(1911)
ため池コード
秋田県山本郡三種町鹿渡
馬場目川水系糸流川
17.7メートル(ため池データベース18メートル)
138.7メートル(ため池データベース139メートル)
855千㎥/851千㎥
琴丘土地改良区
1967年

外の沢ダム

2022-12-09 15:37:10 | 秋田県
2022年10月24日 外の沢ダム
 
外の沢ダムは秋田県山本郡三種町下岩川の馬場目川水系三種川左支流(河川名不明)にある灌漑目的のアースフィルダムです。
ダム便覧には秋田県の事業で1940年(昭和15年)着工、1952年(昭和27年)竣工と記されていますが、記念碑等資料がないため詳細は不明です。
管理は下岩川土地改良区が行っています。

ダム名となった三種町下岩川小字外の沢集落から南に約1.3キロ進むと外の沢ダムに到着します。
ダムといっても溜池。
ダム便覧では堤高15メートルですが、ため池データベースでは12.5メートル。
見た目は15メートルないような…
左岸を洪水吐導流部が流下します。


ダムの直下には湿原化しつつある小さな池が2基並びます。
三種町周辺は「ジュンサイ」が特産で、もしかしたらこの池でもかつてジュンサイの栽培がおこなわれていたのかも?


堤体直下
左は底樋管からの水路、右手が洪水吐導流部で減勢工にはバッフルブロックと切れ込みの入った副ダムが並びます。


右岸から下流面
横から見ても堤高15メートルはないような…


天端は舗装され車両の通行もできます。
ダムが灌漑用水を供給する農地はこの谷のさらに下流。


草が繁茂し湿原のような池。
ただ奇麗な四角形に刈り込まれているので、何かしらに使われているのかも?
ダムの左岸下流を2本の水路が蛇行しますが、右手は小さな池の外縁で、左手の水路がダムからの用水路となります。


上流面はコンクリートで護岸。


洪水吐と斜樋。


灌漑期は終わっていますが満水。
総貯水容量はダム便覧では41万立米、ため池データベースでは61万8000立米。
溜池としてはかなり大きな貯水池で見た目はため池データベースが正しいかな?


左岸の洪水吐導流部
越流しています。


洪水吐直上の斜樋。
シャフトは一本。

3392 外の沢ダム(1910)
ため池コード
秋田県山本郡三種町下岩川
馬場目川水系三種川左支流
15メートル(ため池データベース12.5メートル
76メートル
410千㎥/410千㎥ (ため池データベース618千㎥)
下岩川土地改良区
1952年

菅の沢ダム

2022-12-08 21:21:40 | 秋田県
2022年10月24日 菅の沢ダム
 
菅の沢ダムは秋田県能代市大森の馬場目川水系鵜川川にある灌漑目的のアースフィルダムです。
現地記念碑によれば、現在の山本郡三種町志度橋及び割道地区の新規農地開墾に合わせて1918年(大正7年)に竣工、翌大正8年より供用が開始されました。
一方で貯水池の所有権をめぐる紛争が昭和50年代まで継続、その間老朽化による漏水等により溜池の存続が危惧される状況となりました。
1978年(昭和53年)に紛争が結審したことを受け、1980年(昭和55年)より県営ため池等整備事業菅の沢地区が着手され1991年(平成3年)に同事業が竣工し現在に至っています。
ダムは受益者で組織される志度橋・割道共同水利組合が管理し、約140ヘクタールの水田に灌漑用水を供給しています。
なおダム便覧では竣工が1912年(明治45年)となっていますが、この根拠は不明なためここでは竣工記念碑の1918年を採用します。

能代市大森地区から鵜川川沿いの農道を約1.7キロ南東に向かうと菅の沢ダムに到着します。
ダムは能代市に位置しますが、受益地となる志度橋・割道両区は隣接する三種町となります。
堤高は15.8メートル、前面傾斜コア型アースダムです。


貯水池側に柵が設置されていますが、天端への立ち入り規制はありません。


上流面はコンクリートで護岸。


天端から。


提体の階段を下りてみます。
左岸を洪水吐導流部が流下します。
夏に草が刈られたようですが、ダム下は草が伸び底樋管は確認できませんでした。


総貯水容量32万立米。
貯水池の土地所有権があいまいなまま建設されたことから、紛争が60年近く継続しました。


左岸の斜樋。


左岸から上流面
秋田らしく対岸には杉林。


左岸に建つ改修工事の記念碑。
ダムの由来が詳細に書かれています。こういうの本当にありがたい。


洪水吐導流部
減勢工にバッフルブロックが並びます。


横越流式洪水吐。

3389 菅の沢ダム(1909)
ため池コード
秋田県能代市大森
馬場目川水系鵜川川
16メートル(ため池データベース15.8メートル)
111メートル(ため池データベース119メートル)
320千㎥/320千㎥ 
志戸橋・割道水利組合
1918年

水沢ダム

2022-12-08 14:08:46 | 秋田県
2022年10月24日 水沢ダム
 
水沢ダムは秋田県山本郡八峰町峰浜の水沢川本流にある秋田県建設部が管理する多目的ロックフィルダムです。
水沢川は白神山地に源を発する流路延長約20キロの二級河川で、古くから流域の貴重な水源となってきましたが、渇水による干ばつや洪水被害が多く防災や安定した灌漑水源確保が求められていました。
1977年(昭和52年)に秋田県農林水産部は農水省の補助を受けた県営防災ダム事業及び県営かんがい排水事業山本郡地区に着手、1994年(平成6年)に竣工したのが水沢ダムです。
水沢ダムは水沢川流域398ヘクタールの農地防災、488ヘクタールへの灌漑用水の供給を目的とし、運用開始後は県建設部が管理を受託しています。
建設部が管理していますが、農水省の補助事業で建設されたため補助多目的ダムとはなりません。
一般に農水省補助事業で建設された農地防災ダムは農林水産系部署や受益自治体が管理を受託することが多いのですが、当ダムは建設部が受託管理している点がポイントです。

アプローチとなる町道が右岸ダムサイトに通じています。
残念ながらダムを下流から正対するポイントはありません。
先ずは右岸側の洪水吐を跨ぎます。


非常用洪水吐となる右岸の円形越流式洪水吐
越流した水は上の写真へと流下します。
奥に管理事務所や取水設備などが見えます。


洪水吐と堤体の間にある管理事務所。
普段は職員の常駐はないようですが、訪問時は電気系の工事が行われており職員が駐在されていました。


こちらは取水設備建屋
この向こう側に取水設備があるのですが、残念ながら見ることはできません。


下流面
全般に薄く草が生えていますが、意図的に芝を張った感じ。


天端は徒歩のみ立ち入り可能。
堤頂長は235メートルになります。


上流面
手前は艇庫。


ダム湖は峰水(ほうすい)湖で総貯水容量は300万1000立米。
奥に聳えるのが水源となる水沢山でその奥は白神山地核心部へと続きます。


ダム手前の分岐を辿るとダム直下に出ました。
特に立ち入り禁止等の規制はありません。
左が洪水吐導流部、右手は常用洪水吐を兼ねる取水設備からの水路。


左奥に取水設備からの吐口がありバッフルブロックを経て水沢川に流下します。
灌漑用水は当ダムから伸びる大久保岱用水路と水沢川下流の先堰用水路の2系統になっており、写真右手のバルブで分水します。

上からの写真をズームアップすると。
右上方に続くのが大久保岱用水。
現在は非灌漑期のため放流水はすべて水沢川へと流します。

 
0390 水沢ダム(1908)
秋田県山本郡八峰町峰浜
水沢川水系水沢川
FA
46.5メートル
235メートル
3001千㎥/2596千㎥
秋田県建設部
1994年

素波里ダム

2022-12-07 22:36:27 | 秋田県
2022年10月24日 素波里ダム

素波里(すばり)ダムは秋田県山本郡藤里町粕毛の一級河川米代川水系粕毛川にある秋田県建設部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
1963年(昭和38年)7月豪雨による粕毛川流域での甚大な洪水被害を受け秋田県は粕毛川へのダム建設を決定、これに総合農地開発事業能代地区を進めていた農林省(現農水省)と発電事業者として秋田県企業局(現秋田県公営企業)が事業参加し1970年(昭和45年)に竣工したのが素波里ダムです。
素波里ダムは建設省(現国交省)の補助を受けた補助多目的ダムで、粕毛川の洪水調節、米代川河口左岸の秋田県能代地区土地改良区への特定灌漑用水の供給、秋田県公営企業素波里発電所(最大6300キロワット)でのダム式発電を目的としています。

秋田県能代市二ツ井の国道7号から粕毛川沿いの県道322号を約16キロ北上すると素波里ダムに到着します。
まずはダム下の県公営企業素波里発電所へ
向って左は粕毛川右支流不動滝川で、右手が発電所の放流口となります。


ダムサイトに向かう途中、眼下に素波里発電所が見えます。
減勢工から地山を挟んだ右岸側にあります。


残念ながらダムを下流から正対できるポイントはなく、これが精いっぱい。
クレストラジアルゲート2門のほか放流管1条を装備しています。


右岸管理事務所前に展示された約2000万年前の化石が入った玉髄

右岸から
灌漑用のヒンジ式表面取水設備。
中段の赤い部分が表面取水口で斜めの管を通して堤体下部より放流します。
実は斜めの管は『く』の字型に折れ曲がっておりこれにより取水口を上下させます。
ヒンジ型の取水口は全国に複数例見られますが、このタイプは他では見たことがありません。


パンフレットの断面図
当ダムのヒンジ型取水設備の仕組みがよくわかります。


こちらはダム湖右岸側にある発電用の選択取水設備。


親柱に嵌め込まれた銘板。


ゲート越しの洪水吐導流部
2門のラジアルゲートのうち、左岸側はフラッシュボードがついていますが河川法の改正で使用することがなくなったためか?溶接されています。


ダム建設地点は江戸時代より風光明媚な渓谷として知られ、ダム下流には菅江真澄の碑もあります。
洪水吐減勢工は岩盤上に設置されジャンプ台となっています。
このジャンプ台の下に放流管があります。


ヒンジ式取水設備
中央の赤い部分が表面取水口。


左岸から
貯水池の素波里湖は総貯水容量4250万立米
7月の豪雨の影響でまだ濁ったまま。


ダムの下流にある素波里頭首工
フラップゲートが並び左手(右岸)に取水口があります。
国営能代地区総合農地開発事業により建設され、当初は3670ヘクタール、現在は受益農地の減少で2459ヘクタールの水田・畑地に灌漑用水を供給しています。


(追記)
素波里ダムには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。

0382 素波里ダム(1907)
秋田県山本郡藤里町粕毛
米代川水系粕毛川
FAP
72メートル
142メートル
42500千㎥/39500千㎥
秋田県建設部
1970年
◎治水協定が締結されたダム