ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

香々美ダム

2018-10-26 16:47:55 | 岡山県
2018年10月13日 香々美ダム
 
香々美ダムは岡山県苫田郡鏡野町越畑の吉井川水系香々美川源流部にある農地防災及び灌漑目的の重力式コンクリートダムです。
農林省(現農水省)の補助を受け、1967年(昭和42年)に着手された県営香々美川用水改良事業の中核施設として1974年(昭和49年)に竣工しました。
運用開始後は鏡野町が受託管理を行い、香々美川流域農地447ヘクタールの農地防災、受益農地675ヘクタールへの灌漑用水の供給を目的としています。
また1982年(昭和57年)には河川維持放流を利用した岡山県企業局越畑発電所が建設され最大200キロワットの小水力発電を行っています。
 
昭和40年代に作られたダムということで農業用ダムながらクレストにはラジアルゲートを備えています。
また常用洪水吐としてホロージェットバルブ1条があります。
 
ゲートをズームアップ
ゲートは一般的なラジアルゲートの半分程度の大きさです。
 
ホロージェットバルブ。
 
減勢工のエンドシル。
 
左岸下流から。
 
 
天端は立ち入り禁止
ゲート部分だけ上流側に張り出しクランクになっています。
 
上流面
ゲートの右手に取水設備があります。
 
竣工記念碑。
 
上流から遠望
左手の三角屋根は管理事務所、平日は町の職員が駐在しているようです。
貯水池は総貯水容量185万3000立米と農業用ダムとしてはそこそこ大きなサイズ。
 
(追記)
香々美沢ダムには農地防災容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。
 
1889 香々美ダム(1424)
岡山県苫田郡鏡野町越畑
吉井川水系香々美川
FA
39メートル
131メートル
1853千㎥/1703千㎥
鏡野町
1974年
◎治水協定が締結されたダム

三成ダム

2018-10-26 16:11:31 | 島根県
2018年10月13日 三成ダム
 
三成ダムは島根県仁多郡奥出雲町の斐伊川水系斐伊川上流部にある島根県企業局が管理する発電および砂防目的のアーチ式コンクリートダムです。
斐伊川は流路延長153キロ、流域面積2540平方キロの一級河川です。
上流域では江戸時代からたたら製鉄が盛んで、砂鉄採取過程の『かんなながし』と呼ばれる人為的な土砂流出が中下流域の洪水被害につながっており。土砂流出抑止が長年の課題となっていました。
一方戦後の復興による電力需要の増加に対処するため、島根県企業局は公営発電事業者として積極的な電源開発を推進していました。
1950年(昭和25年)に当時の建設省中国四国建設局(現国交省中国地方整備局)は斐伊川上流部へ直轄事業として砂防目的のダム建設に着手、これに島根県企業局が発電事業者として事業参加し1953年(昭和28年)に竣工したのが三成ダムです。
運用開始後、管理は島根県企業局に移管され、砂防目的のほか島根県企業局三成発電所で最大2830キロワットのダム水路式発電を行っています。
三成ダムは着工こそ宮崎県の上椎葉ダムに遅れたものの、竣工ベースでは日本初の本格的アーチ式ダムとなっています。
三成ダムは日本100ダムおよび土木学会選奨土木遺産に選定されています。
 
管理所前には土木学会選奨土木遺産認定プレートが埋め込まれた記念碑が建ちます。
 
三成ダムの説明板
この先ダムへの管理道路は立ち入り禁止となり管理事務所のゲートも閉まっています。
この案内板の下に管理事務所の電話番号があり、ここに電話をするとダムカードがもらえるとともにダム天端手前までの立ち入りを認めてもらえます。
 
管理道路を下るとすぐにダムが見えてきます。
 
この先のフェンスまでが立ち入り可能。
左右両サイドに土砂吐ゲートを備えています。
また左右両端は重力式、中央がアーチ式という独特のスタイル。
 
両側の土砂吐から放流しています。
 
よく見ると左岸の土砂吐は2門、右岸は1門
写真では分かりませんがそれぞれローラーゲートを備えています。
 
クレストには8門の洪水吐がありこちらもローラーゲートを装備。
 
ほぼ垂直の導流面。
 
左右両岸が重力式のため、個性的なスタイルのアーチダムとなっています。
叶うならダム下から見上げてみたいものです。
 
(追記)
三成ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。

1730 三成ダム (1423)
島根県仁多郡奥出雲町三成
斐伊川水系斐伊川
42メートル
109.7メートル
3438千㎥/1138千㎥
島根県企業局
1953年
◎治水協定が締結されたダム


阿井川ダム

2018-10-26 16:06:34 | 島根県
2018年10月13日 阿井川ダム
 
阿井川ダムは島根県仁多郡奥出雲町河内の斐伊川水系阿井川にある中国電力(株)が管理する発電目的の重力式コンクリートダムです。
1942年(昭和17年)に日本発送電によって建設され戦後の電力分割民営化により中国電力が事業継承しました。
ここで取水された水は約3.5キロの導水管で北原発電所に送られ最大出力1万5600キロワットのダム水路式発電を行っています。
 
ダム下流はフェンスに囲まれており、一眼レフではなくスマホでの撮影となりました。
傷ついた導流部のコンクリートが竣工から70年以上経過した時間を表しています。
左岸の排砂口から河川維持放流が行われ、ダム下には小さな副ダムがあります。
 
クレストはローラーゲートが2門
ピアに管理橋が架かり中央にゲート操作室があります。
中国電力でよくみられる扶壁前面にゲート操作が乗るスタイルではありません。
 
対岸に農地があるため天端は開放されています。
 
建設当時の親柱でしょうか?
ドーム状のデザインが戦時中のダムらしさを感じさせます。
 
右岸上流から。
 
左岸に発電所への取水口があります。
スクリーンの先が沈砂池、その奥の建屋に取水ゲートがあります。
 
ゲートピア。
 
ローラーゲート。
 
左岸上流側から。
 
沈砂池。
 
(追記)
阿井川ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。
 
1721 阿井川ダム(1422)
島根県仁多郡奥出雲町河内
斐伊川水系阿井川
21.7メートル
96メートル
1085千㎥/855千㎥
中国電力(株)
1942年
◎治水協定が締結されたダム


尾原ダム

2018-10-26 16:00:27 | 島根県
2018 年10月13日 尾原ダム 
 
尾原ダムは島根県雲南市木次町北原の一級河川斐伊川水系斐伊川上流部にある重力式コンクリートダムです。
斐伊川は「ヤマタノオロチ」の起源とされるなど古くから暴れ川として知られ斐伊川の治水は当地を治める為政者にとっては永続的な課題となっていました。
建設省中国地方建設局(現国交省中国地方整備局)は斐伊川・神戸川・宍道湖・中海一帯の治水を柱とした「斐伊川・神戸川総合開発事業」を採択し、長年にわたる補償交渉を経て2010年(平成22年)に竣工したのが尾原ダムです。
尾原ダムは国交省中国地方整備局が直轄管理する特定多目的ダムで、斐伊川の洪水調節、安定した河川流量の維持と既得取水権への用水補給、島根県企業局を通じた松江市・出雲市・雲南市北部への上水道用水の供給を目的としています。
事業計画から建設着手まで長期にわたる補償交渉があったことも踏まえ、本体工事に先立つ2005年(平成17年)に国交省より『地域に開かれたダム事業』の指定を受け、ダムを観光・レジャー拠点として有効活用することとなり、ボート競技施設の開設やダム湖周辺のサイクリングリードの整備が進められました。
一方斐伊川水系の治水については尾原ダム竣工翌年の2011年(平成23年)に神戸川の志津見ダムが、さらに2013年(平成25年)に斐伊川放水路が完成し、流域の治水能力は大きく改善されました。
 
クレストには非常用洪水吐としてラジアルゲートが2門あり、それぞれがジャンプ台を備える特異な形状。
 
最近のダムらしく天端に建屋はなくすっきりしたスタイルとなっています。
また常用洪水吐や利水放流設備などは水中放流方式のため見えなくなっています。
 
右岸から
2門のジャンプ台式洪水吐が並ぶダムは他にはないんじゃないでしょうか?
常用洪水吐や放流設備は水中放流方式のためジャンプ台下の減勢工に直接放流されています。
水中放流方式は騒音低減に大きな効果があるようです。
 
アングルを変えて
竣工から8年、まだまだきれいなコンクリートです。
 
上流からゲートと取水設備をズームアップ
予備ゲートが4門あることから水中放流方式では4門の放流管が使われていることが分かります。
左右の大きなゲートは常用洪水吐、中の小さなゲートは利水放流設備に相当します。
また取水設備は連続サイフォン方式が採用され天端からかなり低い位置への設置となっています。
 
減勢工と副ダム。
 
副ダムは四つの穴のあいた珍しい構造です
穴の大きさや角度がそれぞれ異なっており、減勢工の水位によって放流量が自然調節できるようになっています。
 
天端は管理事務所が開いている間は車での通行が可能です。
 
ダム湖は『さくらおろち湖』で総貯水容量は6080万立米。
『地域に開かれたダム』をコンセプトにボート競技施設やサイクリングロードなどが整備されています。
 
左岸のモニュメントと記念碑。
 
国交省中国地方整備局管理のダムでは新しい技術が積極的に導入されているように思いえますが、当ダムでも水中放流方式や連続サイフォン方式の取水設備、また珍しい2門のジャンプ台式減勢工など余所ではあまり見られない特徴をもっています。
 
(追記)
尾原ダムには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。
 
2964 尾原ダム(1421)
島根県雲南市木次町北原
斐伊川水系斐伊川
FNW
90メートル
440.8メートル
60800千㎥/54200千㎥
国交省中国地方整備局
2010年
◎治水協定が締結されたダム

塩田ダム

2018-10-26 15:54:04 | 島根県
2018年10月13日 塩田ダム
 
塩田ダムは島根県雲南市大東町篠淵の斐伊川水系金谷川源流部にある灌漑目的の重力式コンクリートダムです。
農水省の補助を受けて1980年(昭和55年)に事業着手された塩田地区団体営かんがい排水事業の中核施設として1988年(昭和63年)に竣工しました。
運用開始後は当時の大東町が受託管理をしていましたが、その後の市町村合併により現在は雲南市が管理を引き継いでいます。
 
雲南市大東町中心部から県道268号線を南に進み大東町篠淵地区に入ると塩田ダムの標識が現れます。これに従うと塩田ダムに到着します。
右岸ダムサイトに東屋とトイレ、数台分の駐車場がありますが、ダム下へのルートはありません。
 
右岸上流から
 
ゲート付近をズームアップ。
 
木が茂り下流面の撮影もこれが精いっぱい。
洪水吐は自由越流式クレストゲート1門と農業用コンクリートではおなじみのスタイル。
導流壁は直線状。
 
かんがい排水事業とダムの説明板。
 
竣工記念碑。
 
天端から洪水吐導流部と減勢工
も後手の建屋が放流設備
減勢工には副ダムがあります。
 
放流設備をズームアップ
下流から山道が通じているようですが、この時期は草ボウボウ・・・。
 
貯水池は総貯水容量31万立米と溜池サイズ。
 
赤い屋根の建屋はトイレでその下が艇庫になっています。
インクラインはなくクレーンで昇降させるようです。
 
天端。
 
典型的な小規模農業用ダムです。
最近の農業用ダムは漸縮型堤体導流壁が多い気がしますが、塩田ダムは竣工が昭和の終わりということで直線状の導流壁になっています。
 
1761 塩田ダム(1420)
島根県雲南市大東町篠淵
斐伊川水系金谷川
39.7メートル
88メートル
310千㎥/272千㎥
雲南市
1988年


大宮ダム

2018-10-24 01:58:51 | 鳥取県
2018年10月12日 大宮ダム
 
大宮ダムは鳥取県日野郡日南町の日野川水系印賀川にある中国電力が管理する発電目的の重力式コンクリートダムです。
1940年(昭和15年)に日本発送電によって建設され戦後の電力分割民営化により中国電力が事業継承しました。
ここで取水された水は東方8キロにある鵜ノ池を経由して黒坂発電所に送られ最大出力1万5000キロワットのダム水路式発電を行っています。
 
ダムの敷地へは立ち入りできませんが、フェンスの隙間からダムを見ることができます。
中国電力特有の扶壁前面にゲートハウスが乗っかるスタイル。
ただピアには管理橋が架かり、もう一つの特徴であるにょきにょき感はありません。
 
ローラーゲートが2門のほか、左岸側(写真では向かって右手)に排砂ゲートががあります。
 
天端。
 
上流から。
 
もう一枚。
 
フェンス越しの見学となりますが、戦前の古いダムを堪能することができます。
ここで取水された水は鵜ノ池に送られますが、帰宅後調べると鵜ノ池にも堤高15メートル未満ながら立派なコンクリート堰堤があることが分かりました。
鳥取県はまだ朝鍋ダムが未訪のままですし、島根県はほとんど手付かずとなっていますので、次回山陰遠征の際期にはぜひ訪問してみたいと思います。
 
(追記)
大宮ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。
 
1674 大宮ダム (1419) 
鳥取県日野郡日南町印賀
日野川水系印賀川
16.8メートル
68.5メートル
495千㎥/235千㎥
中国電力(株)
1940年
◎治水協定が締結されたダム

菅沢ダム

2018-10-24 01:53:20 | 鳥取県
2018年10月12日 菅沢ダム 
 
菅沢ダムは鳥取県日野郡日南町菅沢の日野川水系印賀川にある重力式コンクリートダムです。
国交省中国地方整備局が直轄管理する特定多目的ダムで、中国地方最初の建設省(現国交省)直轄ダムとして1967年(昭和42年)に竣工し、印賀川および日野川の洪水調節、流域農地への新規灌漑用水の供給、境港市・米子市及び日吉津村への工業用水の供給、鳥取県企業局日野川第一発電所での最大4300キロワットのダム水路式発電を目的としています。
 
菅沢ダムは国道180号線沿いにあります。
右岸ダムサイトに管理事務所と駐車場があり天端は自由に見学できますが、ダム下は立ち入りできません。
訪問時は工事のため水位が低くなっていました。
ダム上流面に取水設備があり、正面はインクラインと艇庫、左手の赤いトラス橋は国道180号線です。
 
クレスト洪水吐はジャンプ台式で、ジャンプ台の下にコンジットゲートの操作室があります。
下から見てみたい!
 
ダム下をズームアップ
左手の建屋は2013年(平成25年)に増設された放流ゲート操作室で左から灌漑用水向けの利水放流ゲート、小規模放流ゲートとなっています。
 
真上からクレスト洪水吐導流部と減勢工。
 
ジャンプ台式洪水吐
鳥取県営の佐冶川ダムと似たような構造ですが、こちらの方がはるかに大規模。
 
天端は徒歩のみ開放
ダムは古いのですが管理事務所はガラスバリの斬新なデザイン。デザイナーマンションみたい。
右上は受信用アンテナでこちらも一見モニュメント風。
 
下流面。
 
左岸高台に展望台があります。
かなり荒れ気味でクモの巣いっぱい・・・でもなかなかの眺めです。
水位が低いのでこれはこれで貴重な絵柄かも?
 
国道180号線から上流面を正面から見れます。
実は艇庫の左手に発電所の取水口があったのですが見落としてしまいました。
 
ズームアップ
左手は2013年(平成25年)に新設された取水設備、クレストゲートの下にコンジット用の予備ゲートがあるようですがこの日は下ろされたままでした。
右手のコンパスのようなものは従来のヒンジ式取水設備のガイドレールとアーム。
 
工事のために水位が落とされ普段見れない景色を見ることができました。
しかし菅沢ダムの一押しはジャンプ台式減勢工。
是非ダム下から見上げてみたいものです。
毎年地元のお祭りに合わせて見学会が実施されるようですが、遠方のダム故参加するのはなかなか難しいものがあります。
 
(追記)
菅沢ダムには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。
 
1681 菅沢ダム(1418) 
鳥取県日野郡日南町菅沢
日野川水系印賀川
FAIP
73.5メートル
210メートル
19800千㎥/17200千㎥
国交省中国地方整備局
1967年
◎治水協定が締結されたダム

俣野川ダム

2018-10-24 01:42:49 | 鳥取県
2018年10月12日 俣野川ダム
 
俣野川ダムは鳥取県日野郡江府町武庫の日野川水系俣野川上流部にある中国電力が管理する発電目的の重力式コンクリートダムです。 
オイルショックを契機に電力各社は火力偏重の発電体制を見直し、火力や原子力との連携が図れ余剰電力を有効利用できる揚水発電に着目します。
広島や岡山への人口集中や臨海部への工場集積を受けて電力需要のピークが上昇を続けていた中国電力も1980年代より積極的に純揚水式発電所の建設を進め、同電力3番目の純揚水式発電所として1986年(昭和61年)に俣野川発電所が完成します。
俣野川ダムは同発電所の下部調整池として発電所に先立つ1984年(昭和59年)に竣工し、運用開始後は上部調整池である土用ダムとの有効落差489メートルを利用して最大120万キロワットの揚水式発電を行っています。
俣野川発電所は日本で初めて2県に跨る揚水式発電所として完成したほか、上部調整池は瀬戸内海に流れる旭川水系、下部調整池は日本海に注ぐ日野川水系と異なる水系同士での揚水式発電となっています。
また出力120万キロワットは中国電力の水力発電所としてはでは最大出力を誇っています。
このほか俣野川ダムでは落差62.3メートルを利用して俣野川ダム発電所で最大2100キロワットのダム式水力発電もおこなっています。 
 
江府町の国道181号線武庫交差点を東に折れ県道112号を東進すると俣野川ダムサイトに到着します。
ダム下へはダムの2キロほど手前で右手の旧道を進みます。
シミュラクラ現象で眼鏡をかけたおっさん顔に見えます。
 
クレストにはラジアルゲートが2門、コンジットには高圧ラジアルゲートが1門。
さらに放流バルブが2条設置されています。
左右の背の高い導流壁が目立ちます。
 
副ダムの下流の堰。
減勢目的かと思ったら灌漑用水の取水堰でした。
 
ダムサイトに上がります。
右岸から下流面。
 
天端から
右手は一般水力の俣野川発電所です。
 
放流設備
口径の異なるバルブが2条装備されています。
 
揚水式発電の俣野川発電所の取水口。
 
天端
本来は車両通行可能のようですが、ダム湖周回道路が落石のため通行止めになっています。
 
クレストゲートと俣野川発電所取水設備を遠望。
 
ダム湖の名称は猿飛湖。
 
電力会社のダムとしては開放的で見学ポイントが多数ある魅力的なダムです。
また俣野川発電所は予約をすれば見学も可能だったのですが、今は工事のため見学は中止中とのこと。
一方上部池の土用ダムは時間の関係でパスしてしまいましたが、どうやらガードが厳しくフェンス越しに垣間見える程度のようです。
 
(追記)
俣野川ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。
 
1486 俣野川ダム(1417)
鳥取県日野郡江府町武庫
日野川水系俣野川
69.3メートル
185メートル
7940千㎥/6700千㎥
中国電力
1984年
◎治水協定が締結されたダム

下蚊屋ダム

2018-10-24 01:24:21 | 鳥取県
2018年10月12日 下蚊屋ダム
 
下蚊屋(さがりかや)ダムは鳥取県日野郡江府町助沢の日野川水系俣野川源流部にある不特定利水・灌漑用水目的のロックフィルダムです。
鳥取県の大山西山麓はもともと陸軍の軍馬補充部の放牧地でしたが、1939年(昭和14年)に西日本を襲った大干ばつをきっかけに国営事業として開拓が進められ昭和40年前半までに約1600ヘクタールの新規農地が開拓されました。
しかし農業用水を天水に頼っていたため安定した灌漑用水源の確保が大きな課題となっていました。
そこで1972年(昭和47年)より国営の大山山麓地区総合農地開発事業が着手されその中核施設として2001年(平成13年)に竣工したのが下蚊屋ダムです。
2005年(平成17年)には農地開発事業全体が竣工し、ダムを含めた施設全体は大山山麓地区土地改良区連合が管理を受託、約400ヘクタールの農地へ特定灌漑用水を供給するほか、俣野川および日野川流域約1600ヘクタールに不特定灌漑用水を補給します。
ダム便覧ではダムの目的は『A』のみとなっていますがこれは誤りで、正しくは『NA』となります。
またに2015年(平成27年)には河川維持放流を利用した下蚊屋発電所が増設され最大出力197キロワットの小水力発電を行っています。
 
下蚊屋ダムは国道482号線沿いにあります。今回は米子道江府インターから国道を東に進みました。
まずはダム下
堤体と洪水吐の間に地山があります。
 
エンドシルの下流にはバッフルブロックが並びます。
 
放流設備としてジェットフローゲート2条を装備。
この放流は不特定灌漑用水向け補給となります。
 
下流面。
 
ダムサイトに上がります。
右岸の横越流式
 
右手の青い屋根の建屋は2015年(平成27年)に新設された下蚊屋発電所で、河川維持放流は発電所経由となります。
 
上流面。
 
天端
車止めがあり徒歩のみ立ち入りできます。
晴れていれば真正面に大山が見えるのですが・・・。
 
ダム湖は総貯水容量386万立米。
 
右岸の斜樋。
 
(追記)
下蚊屋ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。
 
1687 下蚊屋ダム(1416)
鳥取県日野郡江府町助沢
日野川水系俣野川
NA
55.5メートル
650メートル
3860千㎥/3440千㎥
大山山麓地区土地改良区連合
2001年
◎治水協定が締結されたダム

社口ダム

2018-10-24 01:16:49 | 岡山県
2018年10月12日 社口ダム
 
社口(やしろぐち)ダムは岡山県真庭市社の旭川水系旭川本流上流部にある中国電力が管理する発電目的の重力式コンクリートダムです。
戦後、岡山県臨海部への工場進出による電力需要増加を受け新たな電源開発を計画していた中国電力は水量豊富な旭川上流域に着目、岡山県との共同事業で湯原ダム建設を進めました。
湯原ダム建設に合わせて同ダム下流3キロ地点に中国電力が着工したのが社口ダムで、湯原ダムと同じ1954年(昭和29年)に竣工しました。
社口ダムは湯原第一発電所の放流水を調整するための逆調整池としての機能を持つほか、ここで取水された水は湯原第二発電所に送られ最大2万3700キロワットのダム水路式発電が行われます。
 
湯原温泉から旭川左岸の旧国道を南下し、県道56号を右折すると社口ダムに到着します。
右岸は自由越流式の越流堤、左岸にはラジアルゲートが3門並びさらにゲートの左岸端(向かって右手)に排砂ゲートがあります。
ラジアルゲートが常用、自由越流堤が非常用洪水吐となります。
 
重厚感のあるゲートピアだと思ったら鋼鉄製。
ピアはコンクリートやトラス製が多く、鋼鉄製は珍しいのでは?
 
 
上流から
左手に湯原第二発電所への取水口があります。
 
余水吐が白く塗装されており、ぱっと見ラバーかと思いました。
ダムの先の高架橋は米子道です。
 
実は米子道上り線からの眺めが一番いいという社口ダム。
もちろん撮影はできませんが・・・
 
(追記)
社口ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。
 
1868 社口ダム (1415)
岡山県真庭市社
旭川水系旭川
16.2メートル
75メートル
960千㎥/854千㎥
中国電力
1954年
◎治水協定が締結されたダム

湯原ダム

2018-10-24 01:10:01 | 岡山県
2018年10月12日 湯原ダム
 
湯原ダムは岡山県真庭市湯原温泉の旭川水系旭川上流部にある岡山県土木部と中国電力が共同管理する多目的重力式コンクリートダムです。
旭川水系では戦前からダムの建設計画が進められていましたが戦争で中断、戦後岡山県は復興の柱として旭川上流での湯原ダム、中流での旭川ダム建設事業に着手します。
湯原ダム建設事業では戦後の電力不足解消のために積極的に新電源開発を進めていた中国電力が発電事業者として事業参加し、わずか3年の工期を経て1954年(昭和29年)に竣工しました。
ダムは岡山県と中国電力が共同管理し、旭川上流域の洪水調節および中国電力湯原第一発電所で最大2万6600キロワット、湯原えん堤発電所で最大360キロワットの発電を目的としています。
さらに下流の社口ダムを取水ダムとする湯原第二発電所で最大2万3700キロワットの発電が行われており、計5万660キロワットの発電能力を有しています。
 
湯原ダム直下には江戸時代からの名湯湯原温泉があり、無料の河川敷駐車場から徒歩5分でダム下に到着します。
ダム直下には有名な露天風呂『砂湯』があります。
人気の露天風呂で、目当てがダムの撮影でもカメラを持ってうろうろしていると盗撮に間違われるので要注意です。
洪水吐はクレストに6門のローラーゲートが並び、直線の導流壁がいかにも1950年代のダムといった風です。
放流設備としてはこれ以外には堰堤発電所経由の放流設備があるだけ、実際には平常時の下流への放流は湯原第一発電所経由が大半となります。
 
ゲートをズームアップ
一番右岸寄り(向かって左手)のゲートだけ色が違っています。
 
県道322号で天端に向かう途中からもダムが見えます。
 
扶壁上部に段差がついています。建設時に歩廊が架けられたんでしょうか?
 
天端は県道で車両が通行できます。
ゲートピア両側に螺旋階段。
 
ダム下
いわゆる減勢工らしきものはなく、ダムの下流がすぐに温泉街となります。
 
貯水池の湯原湖
湛水面積455ヘクタールは中国地方最大、総貯水容量9960万立米は岡山県最大。
 
左岸にある謎の構造物。
 
下流面。
 
上流面
管理事務所もスペースがなく崖にへばり付くように建てられています。
 
温泉街に近いダムということで、ダムのライトアップなどのイベントも多く行われていますが、遠方からでは宿泊しないとなかなかお目に架かることはできません。
なお、右岸上流側に湯原第一発電所への取水口があったのですが予習不足で撮影しませんでした。
 
(追記)
湯原ダムには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。
 
1869 湯原ダム(1414)
岡山県真庭市湯原温泉
旭川水系旭川
FP
73.5メートル
194.4メートル
99600千㎥/86000千㎥
岡山県土木部・中国電力共同管理
1954年
◎治水協定が締結されたダム


東郷ダム

2018-10-23 02:41:08 | 鳥取県
2018年10月12日 東郷ダム
 
東郷ダムは鳥取県東伯郡湯梨浜町別所の橋津川水系東郷川源流部にある鳥取県県土整備部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
建設省(国交省)の小規模ダム事業である生活貯水池事業の補助を受けて建設された補助多目的ダムで、東郷川の洪水調節、安定した河川流量の維持と既得取水権への用水補給、東郷地区の梨畑20ヘクタールへの新規灌漑及び防除用水の供給を目的として2003年(平成15年)に竣工しました。
生活貯水池ダムの多くはFNW(洪水調節・不特定利水・上水)を目的としたダムが大半ですが、ここ湯梨浜町東郷地区は日本屈指の二十世紀梨の生産地となっており、東郷ダムは梨生産を支える貴重な水源となっています。
 
別所地区の県道29号線に東郷ダムの道標がありこれに従えばダムに到着します。
クレスト2門、オリフィス1門のゲートレスダムです。
 
右岸(向かって左手)に放流設備があり河川維持放流が行われています。
 
右岸側の堤体が屈曲していますが、下流側に折れているので『カド』ではありません。
 
天端は徒歩のみ立ち入りできます。
堤体が屈曲しているのが分かります。
 
貯水池は名産の梨にちなんで『梨水湖』と命名されています。
総貯水容量は72万立米。
 
減勢工と放流設備。
 
東郷ダムの天端からは海が見えます。
海が見えるのは鳥取県では東郷ダムと小田股ダムの2基のみです。
 
下流面。
 
減勢工と放流設備をズームアップ。
 
上流から
2門のクレストゲートの間にオリフィスゲート、一番右手に取水設備があります。

(追記)
東郷ダムには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。
 
3132 東郷ダム(1413)
鳥取県東伯郡湯梨浜町別所
橋津川水系宇坪谷川
FNA
39.5メートル
227メートル
720千㎥/650千㎥
鳥取県県土整備部
2003年


中津ダム

2018-10-23 02:32:26 | 鳥取県
2018年10月12日 中津ダム
 
中津ダムは鳥取県東伯郡三朝町中津の天神川水系小鹿川源流部にある鳥取県企業局が管理する発電目的の重力式コンクリートダムです。
1951年(昭和26年)の電気事業再編令により、新たに中国電力が誕生します。
同社は戦後の電力不足を補うために積極的な電源開発を進めますが、送電網末端部にあたる鳥取県では中国電力だけでは電力需要を賄いきれず公営発電である県企業局による電源開発が併せて進められました。
三朝町を東西に流れる天神川支流の小鹿川では昭和30年代前半より企業局による電源開発が着手され、小鹿第一、第二の2基の発電所が建設されました。
中津ダムは小鹿第一発電所の取水ダムとして1957年(昭和32年)に竣工し、ここで取水された水は小鹿第一発電所に送られ最大3600キロワットのダム水路式発電を行っています。
 
三朝温泉から小鹿川沿いに県道33号を東に進むと中津ダムに到着します。
残念ながら改修工事中のため堤体に立ち入ることはできず、上流から取水塔を眺めるのみ。
 
当初の予定では改修工事は昨年2月で終わるはずだったのですがずいぶん延長されているようです。
機会があれば工事終了後に再訪したいと思います。
 
(追記)
中津ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。

1678 中津ダム (1412)
鳥取県東伯郡三朝町中津
天神川水系小鹿川
35メートル
96メートル
1375千㎥/1210千㎥
鳥取県企業局
1957年
◎治水協定が締結されたダム

三朝ダム

2018-10-23 02:26:33 | 鳥取県

2018年10月12日 三朝ダム 

三朝ダムは鳥取県東伯郡三朝町砂原にある鳥取県企業局が管理する発電目的のアースフィルダムです。
鳥取県では戦後の復興を受けた電力需要の増加に対応するために中国電力とともに公営発電である県企業局による電源開発が積極的に進められました。
三朝町を東西に流れる天神川支流の小鹿川では昭和30年代前半より企業局による電源開発が進めら小鹿第一、第二の2基の発電所が建設されました。
三朝ダムは小鹿第二発電所の調整池として1958年(昭和33年)に竣工し、小鹿川上流の小鹿第一発電所からの放流水が一旦三朝ダムに貯留されたのち小鹿第二発電所に送られ最大5200キロワットの水路式発電を行っています。
 
三朝温泉から県道273号線で三朝高原まで登ります。
三朝高原はバブル期にリゾート地として開発が進められ遊園地や別荘地が造られましたがバブル崩壊で頓挫、現在はわずかな住民が住むだけで遊園地あとには太陽光パネルが並び、兵どもが夢の跡といった感です。
県道273号線沿いに三朝ダムへ下りる鳥取県企業局の管理道路がありますが、こちらは関係者以外立ち禁。
 
別荘地に定住されている方から、北側から回り込む山道を教えていただき無事ダムに到着。
車道からの入り口は立ち入り禁止ですが、ダムサイトを中国自然歩道が通っています。
まずは水利使用標識。
 
上流面はコンクリートで護岸。
 
天端
さすが県管理、芝はきれいに刈られています。
 
総貯水容量は3万3000立米。
 
小鹿第二発電所への取水口。
 
小鹿第一発電所からの放流水の吐口。
 
下流面
こちらもきれいに刈り払われています。
 
発電用調整池ということで洪水吐は見当たりませんでした
いまにして思えば、小鹿第二発電所の写真でも撮ればよかったのですが・・・・。
 
1679 三朝ダム (1411)
鳥取県東伯郡三朝町砂原
天神川水系美谷川
15メートル
75.2メートル
33千㎥/22千㎥
鳥取県企業局
1958年

狼谷溜池(大山池)

2018-10-23 01:35:30 | 鳥取県
2018年10月12日 狼谷溜池(大山池)
 
狼谷溜池は鳥取県倉吉市関金町泰久寺の天神川水系小鴨川左支流(河川名未確認)にある灌漑目的のアースフィルダムです。
現地案内板によれば1924年(大正13年)ごろに築造され、1946年(昭和21)にかけての改修で現在の規模となりました。
さらに1973年(昭和48年)に嵩上げを伴う再開発が実施され現在に至っており、ダム便覧ではこの再開発竣工を竣工年度としています。
池の管理は周辺の溜池同様天神野土地改良区が行っています。
池からは大山や蒜山三座の眺めがよく、湖面に映る大山の姿から『大山池』の別名があり、地元では大山池の方がよく知られているようです。
総貯水容量は132万立米と溜池としては山陰最大の規模を誇り、農水省による全国ため池百選にも選ばれています。
 
下流から狼谷溜池を遠望
 
池の背後に大山の姿が見えます。
 
左岸上流側から
左手の橋梁のようなものは取水設備の管理橋で管理橋の右下に取水設備があります。
 
非かんがい期のせいか貯水量はずいぶん少なくなっています。
 
天端から
残念ながら大山の頭が雲に隠れてしまいました。
 
池の南側には蒜山三座。
 
上流面
草でわかりづらいですがコンクリートで護岸されています。
 
管理橋の手前に取水設備があります
白い建物はB&G海洋センターの艇庫で、春夏にはカヌー教室が開催されるようです。
 
天端は車道。
 
池の案内板
案内板では大山池となっています。
 
歩いて回ったところ洪水吐が見あたりませんでした。
帰宅後空撮写真で確認してみたら右岸のかなり上流側に洪水吐がありました。
うーん・・・事前の予習不足。
再訪の機会があればいいのですが。
 
なおダム便覧では堤頂長255.5メートルとなっていますが、鳥取県ため池データベースでは502メートルとなっています。
後者は右岸側面の堤体も本堤とみなしているようで、ここではため池データベースの502メートルを採用します。

1671 狼谷溜池(大山池)(1410)
ため池コード 
鳥取県倉吉市関金町泰久寺
天神川水系小鴨川左支流
27.2メートル(ため池データベース26.9メートル)
255.5メートル(ため池データベース502メートル)
1319千㎥/1096千㎥
天神野土地改良区
1924年竣工
1973再開発