ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

当麻ダム

2021-07-31 21:30:10 | 北海道
2021年7月17日 当麻ダム
 
当麻(とうま)ダムは北海道上川郡当麻町緑郷の石狩川水系当麻川にある灌漑目的のアースフィルダムです。
北海道開発局農水部による国営当麻開墾建設事業の灌漑用水源として1959年(昭和34年)に竣工、2007年(平成19年)~2017年(平成29年)にかけて国営とうま総合農地防災事業による大規模な改修が行われました。
管理は当麻土地改良区が受託し、384.5ヘクタールの農地に灌漑用水を供給しています。
 
ダム下流から
堤高21.3メートル、堤頂長218メートルと北海道らしい横長の堤体。
 
左岸の洪水吐導流部を遠望
ダム集水域の森林伐採等による流入量増大を受け、放流量増加のため洪水吐を中心に大規模な改修が行われました。
 
右岸から見た下流面
ダム下にはソーラーパネルが並びます。
 
天端は立ち入り禁止。
管理事務所の背後に大雪山が遠望できます。
 
総貯水容量は303万9000立米。
 
左岸からの下流面
犬走を挟んで2段構成。
 
余水吐導流部及び減勢工
右手は放流ゲートからの流路
 
2017年(平成29年)の改修で刷新されたY字型の越流式余水吐と管理事務所
改修により最大放流能力が毎秒141立米から同268立米へ増強されました増強されました。
残念ながらダム敷地へは立ち入ることができません。
 
アングルを変えて。
 
水利使用標識。

0057 当麻ダム(1664)
北海道上川郡当麻町緑郷
石狩川水系当麻川
21.3メートル
218メートル
3039千㎥/3039千㎥
当麻土地改良区
1959年

小沢ダム

2021-07-31 11:23:09 | 北海道
2021年7月17日 小沢ダム
 
小沢ダムは北海道上川郡当麻町開明の石狩川水系牛朱別川右支流小沢川にある農地防災目的のアースフィルダムです。
当麻町の水田地帯を貫流する牛朱別川は流下能力が低く融雪期や豪雨時には洪水が頻発し流域の農地に多大な被害をもたらしてきました。
そこで北海道は1973年(昭和48年)に農水省の補助を受けた防災ダム事業開明地区を採択し、牛朱別川及び右支流小沢川に2基の防災ダム建設を進めます。
まず支流小沢川に1994年(平成6年)に建設されたのが小沢ダムで、2002年(平成14年)に完成した大沢ダムとともに北海道上川総合振興局が管理し、牛朱別川流域約900ヘクタールの農地防災を担っています。
 
当麻町中心部から道道1134号線を東進すると小沢ダムに到着します。
堤高25.4メートル、堤頂長300メートルと北海道らしい横長のダムで、ダム下からダム全景をフレームに収めるのは至難の業です。
 
トンネルは常用洪水吐からの放流路
通常は流入量はそのままここから放流されます。
右手は横越流式洪水吐からの導流部。
 
洪水吐導流部と減勢工。
 
右岸ダムサイトから
ダム下は公園として整備されましたが、今は荒れてしまい立ち入り禁止。
 
非常用洪水吐となる横越流式洪水吐。
 
貯水池は総貯水容量74万立米。
ダムの目的は洪水調節(F)のみですが、堆砂容量18万3000立米分だけ貯留されています。
 
右岸にある常用洪水吐
平時は流入量はここから流下し写真2枚目のトンネルに向かいます。
 
天端は立ち入り禁止。
 
左岸から下流面
ロックフィルですが、北海道らしく凍上対策として芝が張られています。
 
上流面はコンクリートで護岸
貯水池に沿って管理道路が続きます。

0118 小沢ダム(1663)
北海道上川郡当麻町開明
石狩川水系小沢川
25.4メートル
300メートル
740千㎥/557千㎥
北海道上川総合振興局
1994年

東桜岡第一ダム

2021-07-30 14:45:05 | 北海道
2021年7月17日 東桜岡第一ダム
 
東桜岡第一ダムは北海道旭川市東旭川町東桜岡の石狩川水系桜川にある灌漑目的のアースフィルダムです。
1913年(大正2年)に北海道の事業によって建設され、北海道で最も古いダムとなっています。
1987年(昭和62年)に道営東桜岡土地改良総合整備事業による大規模な改修工事が実施され現在の姿になりました。
管理は東和土地改良区が行い、88.5ヘクタールの農地に灌漑用水を供給しています。
ちなみに第一貯水池南500メートルほどに第二貯水池もありますがこちらは堤高15メートル未満で河川法上のダムの要件を満たしていません。
 
堤高17.4メートルに対し堤頂長292メートルの北海道らしい横長ダム
かなり下流から遠望できます。
 
左岸の洪水吐導流部。
 
草刈りを終えたきれいな下流面。
基部は石積み。
 
左岸から
赤いバルブは放流ゲート。
 
赤い手すりがアクセントの洪水吐導流部
導流部や減勢工にはコンクリートの梁が渡されています。
鯎川ダム藤沢ダムなど北海道の農業用ダムではしばしば見かける構造。
 
天端は立ち入り禁止。
 
上流面はコンクリートで護岸。
 
対岸に横越流式洪水吐と多孔式斜樋があります。
 
総貯水容量54万8000立米の貯水池。
 
右岸ダムサイトの改修工事の記念碑。
 
水利使用標識
 
ただの灌漑用貯水池かと思ったら、北海道最古のダムと言う枕詞がつく由緒ある溜池でした。
 
(追記)
東桜岡第一ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。

3364 桜岡第一ダム(1662)
ため池コード
北海道旭川市東旭川町東桜岡
石狩川水系桜川
17.4メートル
292メートル
548千㎥/531千㎥
東和土地改良区
1913年
◎治水協定が締結されたダム

忠別ダム

2021-07-30 00:26:10 | 北海道
2021年7月17日 忠別ダム 
 
忠別ダムは左岸が北海道上川郡東神楽町、右岸が同郡東川町の石狩川水系忠別川にある重力式コンクリート・フィル複合(フィルコンバインド)の多目的ダムです。
忠別川は石狩川上流部の水系最大支流で、旭川市街を貫流することから忠別川の治水は古くからの重要課題となっていました。
もともと当地では農林省による灌漑目的のロックフィルダム建設が事業化されていましたが、忠別川の治水に加え利水需要の増大を見越して、1977年(昭和52年)に建設省による『忠別川総合開発事業』が採択され多目的ダムとして忠別ダム建設が決定しました。
しかし補償交渉の長期化により本体工事着工は1997年(平成9年)にずれ込み、2006年(平成18年)にようやく竣工に至りました。 
忠別ダムは国交省北海道開発局建設部が直轄管理する特定多目的ダムで、忠別川の洪水調節、安定した河川流量の維持と不特定灌漑用水(既得灌漑用水)への補給、灌漑用水及び上水道用水の供給、北海道電力新忠別発電所での最大1万キロワットのダム式発電を目的としています。
 
忠別ダムは、重力式コンクリート・フィル複合ダムとしてはわが国最大級で、堤体積は全ダム第8位、堤頂長は14位、総貯水容量は50位となっています。
また日本ダム協会が選定した日本100ダムにも選ばれています。
ダムは大雪山系を代表する観光地である天人峡や旭岳ロープウエイへの入り口に位置し、左岸ダムサイトの堤頂広場はダム湖である忠別湖や大雪山をが一望できる絶景ポイントとして人気を集めるほか、忠別湖畔には親水広場・七色の噴水・望郷広場などが整備されており大雪山観光の一端を担っています。
 
ダム下流にある北海道電力忠別川発電所取水堰から。
 
減勢工わきから、この写真撮るのに結構苦労しました。
この写真だけだと重力式コンクリートダムにしか見えません。
 
道道213号線沿いの左岸堤頂広場から
ここは展望がいいので観光客も多く立ち寄ってゆきます。
重力式コンクリート部は堤高86メートル、堤頂長290メートル
ロックフィル部は堤頂長595メートル
放流設備としてはクレスト自由越流頂12門、自然調節式オリフィス1門、コンジット高圧ラジアルゲート2門を装備。
 
対岸に管理事務所がありますがはるか彼方
向かいの山が削れているのはダム建設の際に移転した北海道電力江卸発電所の跡
削れている部分に水圧鉄管がありました。
 
忠別湖の看板
観光客の多くはここで記念写真を撮ります。
左手は取水塔、奥には大雪山主峰旭岳が見えます。
 
上流面を広角で
手前にインクラインがあり巡視艇が繋留中。
忠別湖の総貯水容量9300万立米は重力式コンクリート・フィル複合ダムでは最大。
 
さらに上流から。
 
取水塔とコンジット予備ゲートをズームアップ。
 
直轄ダムらしく幅の広い天端道路
歩行者のみ開放。
 
右岸の管理事務所まで片道880メートル、往復約1.7キロ
もちろん歩きますよ!
 
重力式コンクリート部とロックフィル部の接続点。
 
天端から
左岸手前は放流設備、奥が北海道電力新忠別発電所
減勢工のさらに下流に1枚目の写真を撮った忠別川発電所取水堰があります。
 
右岸から見たロックフィル部下流面。
 
今回の北海道ダム巡りのお目当ての一つのダムでした。
天気にも恵まれ大雪山系の美しい山並みを見ることができましたが、北海道としては異例の35度の猛暑、焼けつくようなコンクリートの天端の1.7キロの往復はきつかった。
 
(追記)
忠別ダムには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。

0134 忠別ダム(1661)
左岸 北海道上川郡東神楽町志比内
右岸 北海道上川郡東川町ノカナン
石狩川水系忠別川
FNAWP
GF
86メートル
885メートル
93000千㎥/79000千㎥
国交省北海道開発局
2006年
◎治水協定が締結されたダム

ペーパンダム

2021-07-29 14:13:57 | 北海道
2021年7月17日 ペーパンダム
 
ペーパンダムは北海道旭川市東旭川町瑞穂の石狩川水系ペーパン川にある灌漑目的のロックフィルダムです。
上川盆地東部のペーパン川を水源として拓けたペーパン地区は気候良好、地味も豊かながら水利に乏しく用水不足が恒常化していました。
1974年(昭和49年)に国営かんがい排水事業ペーパン地区が着手され、その灌漑用水源として1997年(平成9年)に完成したのがペーパンダムです。
事業全体も2000年(平成12年)に竣工し約1000ヘクタールの水田への灌漑施設が整備されました。
管理は旭川市が受託しています。

ダム建設に合わせて旭川市は周辺を『旭川21世紀の森』として環境整備を行い、パークゴルフ場やキャンプ場、水辺広場、温泉入浴施設などを備えた旭川有数のレクリエーションエリアになっています。
 
東旭川から道道295号~611号線を東進するとペーパンダムに到着します。
ダム下は有料のパークゴルフ場のため今回は見学を諦めました。
左岸の道道611号線からの下流面。
 
なかなかのロケーションでガス灯風の照明もオシャレ。
でも残念ながら天端は立ち入り禁止
周辺は家族連れも楽しめる施設が多く、事故防止の意味もあるんでしょう。
 
アングルを変えて広角で
総貯水容量は380万立米。
 
上流面もロック材で護岸。
対岸に洪水吐と管理事務所があります。
 
青いとんがり帽子の取水塔
対岸に艇庫とインクラインが見えます。
 
こちらは右岸から見た取水塔。
 
貯水池と上流面。
 
円形の越流式洪水吐。
 
インレットの水辺広場
遊歩道や東屋があり、お弁当を広げるにはちょうどいい場所です。
 
ちょうど睡蓮が見ごろでした。
 
ダム下に行かなかったため放流設備は未確認。
周辺環境は素晴らしく、それだけに天端立ち禁はちょっと残念です。
 
(追記)
ペーパンダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。

0129 ペーパンダム(1660)
北海道旭川市東旭川町瑞穂
石狩川水系ペーパン川
49.2メートル
312.5メートル
3800千㎥/3220千㎥
旭川市
1997年
◎治水協定が締結されたダム

聖台ダム

2021-07-29 01:10:56 | 北海道
2021年7月17日 聖台ダム
 
聖台(せいだい)ダムは北海道上川郡美瑛町明治の石狩川水系宇莫別川にある灌漑目的のアースフィルダムです。
聖台という名前は当初皇室御料地だった周辺一帯の土地を、開拓進展に伴って払い下げられたことへの『聖恩』の念を地名としたことに由来します。
ダムは1932年(昭和7年)に国庫補助を受けた道営事業により建設され、建設当時は国内最大規模の農業用ダムでした。
現在は旭川土地改良区が管理し1021.94ヘクタールの農地に灌漑用水を供給しています。
聖台ダムは農業用ダムとしては日本で唯一コンクリート中心遮水壁(コンクリートセンターコア)が採用されているほか、基礎岩盤の亀裂に対してセメントミルク注入によるグラウトが施工されるなど当時としては先端的技術が駆使され、この点を評価して2008年(平成20年)に土木学会選奨土木遺産に選定されました。
また、湖畔に聖台公園を整備する一方、カタクリ自生地の保護や桜の植樹などにより人々の憩いの場となっておりダム湖百選にも選ばれています。
 
北美瑛から道道543号線を東進すると聖台ダムに到着します。
今回は貯水池上流側から見学を始めました。
向かって左手がアースフィルの堰堤、右手は幅が広い特徴的な横越流式洪水吐。
 
洪水吐をズームアップ。
自然の地形を活用した結果このような洪水吐になったようです。
深さはない代わり幅の広さで放流量を確保します。
 
堰堤上流面。
 
水利使用標識。
 
立派なダム説明版。
 
ダム湖百選のプレート。
 
下流側からの洪水吐
融雪期には美しい越流が見られます。
 
洪水吐導流部
こちらも広い幅を維持したまま流下してゆきます。
導流部右手にカタクリ自生地があり春には可憐な花を咲かせます。
 
天端は立ち入り禁止。
コンクリートセンターコアという希少な遮水方式を採用したアースフィルダムですが、外見からは全くわかりません。
 
総貯水容量は376万7000立米。
ダム湖百選に選ばれています。
 
ダム建設70周年記念碑と選奨土木遺産プレート。
 
選奨土木遺産プレート。
 
ダム下の放流設備は確認しませんでした。
 
(追記)
聖台ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。

0035 聖台ダム(1659)
北海道上川郡美瑛町明治
石狩川水系宇莫別川
29.7メートル
485.4メートル
3767千㎥/3215千㎥
旭川土地改良区
1937年
◎治水協定が締結されたダム

新区画ダム

2021-07-28 13:56:40 | 北海道
2021年7月17日 新区画ダム
 
新区画ダムは北海道上川郡美瑛町新区画の石狩川水系ニタチパウマナイ川にある灌漑目的のロックフィルダムです。
美瑛町から旭川市にかけての美瑛川沿岸では良好な気候、豊かな地味を活かし古くから農地が拓けていましたが水利に乏しく用水不足が恒常化していました。
1962年(昭和37年)に国営かんがい排水事業美瑛川地区が着手され、その灌漑用水源として1970年(昭和45年)に完成したのが新区画ダムです。
事業全体も1974年(昭和19年)に竣工し約1500ヘクタールの水田への灌漑施設が整備され同地区は上川盆地屈指の稲作地帯となりました。
現在の管理は旭川土地改良区が受託しています。
 
ダム下から
ロックフィルダムですが北海道ではおなじみ、凍上対策として芝が張られています。
左岸(向かって右手)に洪水吐導流部が伸びています。
 
ダム下の放流ゲート。
 
堤体中央の階段で天端に登ります。
美瑛らしいパッチワークの農地の一端が見えます。
 
総貯水容量560万立米の貯水池。
 
フローティング方式の取水塔。
 
長く伸びる洪水吐導流部。
 
横越流式洪水吐。
 
洪水吐導流部脇から見上げます。
 
右岸から
堤高32.3メートル、堤頂長274.7メートル
下流面はきれいに草が刈られています。
 
上流面はコンクリートで護岸
右岸から天端への立ち入りはできません。
 
水利使用標識。
 
(追記)
新区画ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。

0078 新区画ダム(1658)
北海道上川郡美瑛町新区画
石狩川水系ニタチパウマナイ川
32.3メートル
274.7メートル
5600千㎥/5223千㎥
旭川土地改良区
1970年
◎治水協定が締結されたダム

しろがねダム

2021-07-28 01:54:31 | 北海道
2021年7月17日 しろがねダム
 
しろがねダムは北海道上川郡美瑛町白金の石狩川水系オヤウンナイ川にある灌漑目的のロックフィルダムです。
美瑛町から上富良野町、中富良野町一帯では広く田畑が拓けていますが、灌漑期の降水量が少ないなど水利に乏しく用水不足が恒常化していました。
1970年(昭和45年)に国営畑地帯総合土地改良パイロット事業しろがね地区
が着手され、その灌漑用水源として2002年(平成14年)に完成したのがしろがねダムです。
事業全体も2005年(平成17年)に竣工し約8000ヘクタールにわたる広大な農地への灌漑施設が整備されました。
ダムの管理は美瑛町が受託しています。

貯水池は『四季彩湖』と命名され、十勝岳をバックに美しい眺望が広がる景勝地として知る人ぞ知る絶景スポットとして人気を集めていました。
ところが2016年の『平成28年北海道豪雨』により堤体下流法面の一部が崩壊、国営災害復旧事業により2018年(平成30年)に同事業は竣工しましたが、以来ダムに通じる管理道路は立ち入り禁止が継続されています。
 
現在は道道353号線からダムを遠望するしか手立てはありません。
 
堤高63.5メートル、堤頂長611メートルと農業用ロックフィルとしては屈指のスケールを誇ります。
背後は富良野岳。
 
せっかく四季彩湖と命名された絶景ポイント。
できれば早期の立ち入り制限解除を期待したいところです。
 
(追記)
しろがねダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。

0109 しろがねダム(1657)
北海道上川郡美瑛町白金
石狩川水系オヤウンナイ川
63.5メートル
611メートル
6800千㎥/6766千㎥
美瑛町
2002年
◎治水協定が締結されたダム

日新ダム

2021-07-27 18:34:56 | 北海道
2021年7月17日 日新ダム
 
日新ダムは北海道空知郡上富良野町新井牧場の石狩川水系ピリカ富良野川にある灌漑目的のロックフィルダムです。
十勝岳西麓に位置する上富良野町では、町内を貫流する富良野川が火山成分の影響で酸性化し農業用水に適さなかったため、安全な用水確保は地域農民の悲願となっていました。
度重なる陳情の結果、1965年(昭和40年)に国営かんがい排水事業十勝岳地区が着手され、その灌漑用水源として1973年(昭和48年)に竣工したのが日新ダムです。
当ダムの完成により上富良野は上川地区屈指の農業地帯へと発展しました。
現在は富良野土地改良区が管理を受託しています。
 
日新ダムは上富良野町中心部から東に延びる道道353号線沿いにあります。
ダム下へ向かう管理道路は入り口で立ち入り禁止のため、ここからの撮影のみ
早朝の訪問で、逆光になりました。
 
堤高29.5メートルの下流面
階段状の下流面は岩手県の岩洞ダムを想起します
また、北海道のロックフィルダムとしては珍しく芝が張られていません。
 
天端は車両通行が可能
親柱にダムの銘碑と諸元碑が嵌め込まれています。
 
左岸のインクラインと艇庫を遠望。
 
総貯水容量450万立米の貯水池。
右岸(向かって左手)に取水設備を兼ねた管理棟があります。
 
下流面とダム下
ダム下は広場になっていますが立ち入り禁止。
放流設備が並びます。
 
左岸の洪水吐導流部。
 
横越流式洪水吐
上流側が湾曲しています。
 
上流面。
 
取水設備を併設した管理事務所
ぱっと見インクラインのようですが、これは複式斜樋1門の表層取水用ゲートと複数の取水口ゲートの組み合わせにより、連続的な表層取水が可能となっています。
同様の斜樋を採用しているダムとしては福岡県の合所ダムや熊本県の清願寺ダムなどがあります。  
 
立派な竣工記念碑。
十勝岳の噴火や鉱毒に悩まされてきた当地にとっては待望の貯水池でした。

0084 日新ダム(1656)
北海道空知郡上富良野町新井牧場
石狩川水系ピリカ富良野川
29.5メートル
230.3メートル
4500千㎥/4133千㎥
富良野土地改良区
1973年

日の出ダム

2021-07-27 05:59:18 | 北海道
2021年7月17日 日の出ダム
 
日の出ダムは北海道空知郡上富良野町第2安井牧場の石狩川水系コルコニウシベツ川にある灌漑目的のアースフィルダムです。
1955年(昭和30年)十勝岳山麓の36万平米に陸上自衛隊上富良野演習場が開設され、従来集水域であった森林が荒廃裸地化したことで同区域を水源とする灌漑用水の補給に齟齬が生じてきました。
そこで用水不足の補償として防衛施設庁(現防衛省)の全額補助を受けた北海道の障害防止対策事業により1982年(昭和57年)に建設されたのが日の出ダムです。
現在は富良野土地改良区が管理を受託し、約500ヘクタールの水田に灌漑用水を供給しています。
 
上富良野中心部からコルコニウシベツ川沿いに道道を北東に進むと日の出ダムに到着します。
ダム下は細長い草地になっておりその奥に堤高26.8メートルの堤体が谷を塞ぎます。
 
ダム下流の放流設備
底樋のほかにスルースバルブも装備。
 
天端は車両の通行が可能です。
 
上流面はコンクリートで護岸、対岸に横越流式洪水吐があります。
 
天端から
ダム下は谷に沿って細長い草地が続きます。
 
貯水池は総貯水容量44万5000立米。
 
左岸の横越流式洪水吐。
 
洪水吐と上流面。
 
防衛施設庁への感謝の念が綴られた竣工記念碑。
草に覆われていますが、碑文は読めます。
 
左岸の取水設備。
北海道でよく見かける多孔式斜樋。
ここから2枚目写真の放流設備に送られます。
 
水利使用標識
有効貯水容量36万2000立米で514.6ヘクタールの農地の水を賄うのは無理があります。
あくまでも演習場により毀損した取水量の補填と言う意味合なんでしょう。

0116 日の出ダム(1655)
ため池コード
北海道空知郡上富良野町第2安井牧場
石狩川水系コルコニウシベツ川
26.8メートル
153メートル
445千㎥/362千㎥
富良野土地改良区
1982年

江幌ダム

2021-07-26 14:55:07 | 北海道
2021年7月17日 江幌ダム
 
江幌ダムは北海道空知郡上富良野町西10線北の石狩川水系吉富川にある灌漑目的のアースフィルダムです。
1926年(大正15年)の十勝岳大噴火からの復興のための基幹施設として国庫の補助を受けた道営事業により1932年(昭和7年)に江幌溜池が建設されました。
ダム便覧ではこれを竣工年度としています。
その後1984年(昭和59年)竣工の大規模改修により名称も『江幌ダム』と改められました。
管理は富良野土地改良区が受託し、上富良野町草分地区の農地に灌漑用水を供給しています。
 
右岸から
堤高は19.9メートル
対岸の小麦畑が朝日を受けて白く輝いています。
 
天端は車両通行できますが、小麦畑で行き止まり。
 
右岸の洪水吐導流部。
 
横越流式洪水吐。
 
上流面
ちょっとわかりづらいですが、コンクリートで護岸されています。
 
ダム下の様子
北海道の農業施設では6~7月に草刈りをするのが大半ですがここはまだ。
ダム下へ降りるルートも草深く底樋などの確認できませんでした。
 
総貯水容量35万2000立米
大規模な農業用ダムがひしめく北海道では小ぶりな貯水池。
でも緑豊かで鳥のさえずりが響く心地よい空間。
 
左岸の多孔式斜樋。
 
貯水池越しの上流面
逆光になってしまいました。
 
水利使用標識
かんがい面積が読めない…。
 
小さな溜池ですが、十勝岳の大噴火による災厄から立ち直るための水源として大きな役割を果たしました。
かつては周辺でリゾート開発の動きもありましたが、バブル崩壊でとん挫。
おかげで池周辺では今も豊かな自然が残っています。
 
(追記)
江幌ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。

0027 江幌ダム(1654)
ため池コード
北海道空知郡上富良野町西10線北
石狩川水系吉富川
19.9メートル
146メートル
352千㎥/349千㎥
富良野土地改良区
1932年
◎治水協定が締結されたダム

芦別ダム(北海道電力)

2021-07-25 14:04:35 | 北海道
2021年6月16日 芦別ダム
 
芦別ダムは左岸が北海道芦別市北7条西3丁目、右岸が同市常盤の石狩川水系空知川中流部にある北海道電力(株)が管理する発電目的の重力式コンクリートダムです。
1951年(昭和26年)の電気事業再編令で誕生した北海道電力は戦後の電力に対処するため各所で電源開発を進めます。
芦別ダムもそんな発電施設の一つで、既設の野花南ダムの下流6キロ地点に1952年(昭和27年)に建設され、併設する芦別発電所で最大出力1万キロワットのダム式水力発電を行います。
 
芦別市奥芦別の芦別川には国交省北海道開発局建設部が直轄管理するもう一つの芦別ダムがあり、上流の野花南ダムともども同名のダムが至近に複数存在する珍しいケースとなっています。
 
空知川に架かる道道4号線空知川橋からダムと正対できます。
ローラーゲート4門装備のいかにも発電ダムと言った造りで、右岸にはダム式発電を行う芦別発電所が隣接しています。
 
ちょっとアングルを変えて。

ダムおよび発電所は立ち入り禁止ですが、右岸から近接できます。
半地下式の発電所で有効落差14.1メートルを稼ぎます。
 
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ピアにはアーチ状の鉄骨トラス。
 
(追記)
芦別ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。

0042 芦別ダム(1653)
左岸 北海道芦別市北7条西3丁目
右岸 北海道芦別市常盤
石狩川水系空知川
16.5メートル
90.8メートル
6250千㎥/1400千㎥
北海道電力(株)
1952年
◎治水協定が締結されたダム

野花南ダム(北海道電力)

2021-07-25 01:32:18 | 北海道
2021年7月16日 野花南ダム
 
野花南ダムは北海道芦別市上芦別町の石狩川水系空知川中流部にある北海道電力(株)が管理する発電目的の重力式コンクリートダムです。。
初代野花南ダムおよび発電所は、1918年(大正7年)に当時の富士製紙(のちに王子製紙に吸収)により日本初のダム式水力発電所として建設され、最大5100キロワットの発電を行っていました。
当時は物珍しさで見物人が殺到し絵葉書の題材にもなったそうです。
日本発送電による接収ののち、1951年(昭和26年)の電力事業再編令で北海道電力が事業継承しました。
その後、老朽化に加え1967年(昭和42年)の金山ダム完成で空知川の流量が安定したことで再開発が行われ、1971年(昭和46年)に2代目野花南ダム・発電所が竣工、発電能力は従来の約6倍の最大3万キロワットまで増強されました。
 
当ダムの南約5キロには芦別市土地改良区が管理する灌漑目的の野花南ダムあります。
同名のダムが近接するのは珍しく、混乱を避けるため農業用の野花南ダムは『丸山ダム』の通称で呼ばれることが多いようです。
 
空知川に架かる泰山橋からダムと正対できます。
洪水吐ローラーゲート5門と土砂吐ローラーゲート1門が並ぶいかにも発電ダムと言った体。
右岸(向かって左)の白い建屋が野花南発電所です。
 
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発電所。
 
右岸発電所前の看板。
 
発電所は立ち入り禁止。
 
変電施設。
 
右岸からフェンス越しの撮影。
左手は除塵機、右手はピア。
 
 
(追記)
野花南ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。

0082 野花南ダム(1652)
北海道芦別市上芦別町
石狩川水系空知川
30メートル
215.5メートル
4800千㎥/2600千㎥
北海道電力(株)
1971年
◎治水協定が締結されたダム

野花南ダム(芦別市土地改良区)

2021-07-24 11:57:00 | 北海道
2021年7月16日 野花南ダム
 
野花南ダムは北海道芦別市野花南町の石狩川水系空知川左支流野花南川にある灌漑目的のアースフィルダムです。
1969年(昭和44年)より事業着手された国営かんがい排水事業野花南地区の灌漑用水源として1978年(昭和53年)に建設され、運用開始後は芦別土地改良区が管理を受託しています。
野花南ダムの有効貯水容量は410万立米でやく650ヘクタールの水田に灌漑用水を供給しています。
 
芦別市内には当ダムのほかに北海道電力が管理する発電目的の野花南ダムがあります。
至近距離に同名のダムが並ぶのは珍しく、現地ではダムそばの山の名前から「丸山ダム」の通称で呼ばれることが多いようです。
 
国道38号線に「野花南ダム」を示す標識があり、これに従って野花南川沿いを南進すると野花南ダムが見えてきます。
堤高41.5メートル、堤頂長312.5メートルと北海道らしい横長の堤体。
 
きれいに刈り払われた下流面
北海道では田植えが終わるとダムの草刈りが行われます。
背後の山が通称丸山ダムの由来となる丸山です。
 
ダム下の放流設備を遠望。
 
天端は立ち入り禁止。
 
左岸の横越流式洪水吐。
 
総貯水容量464万立米の貯水池。
今年の北海道は6月7月の降水量が少なくどのダムも水不足。
当ダムの水位も50%程度です。
 
赤い櫓のフローティング式取水塔。
 
水利使用標識。
 
立派な竣工記念碑。
 
湖畔には東屋もあります。
 
ダムサイトに建つ丸山水神社。
ダム建設以前からあるのか?建設に合わせて建立されたのかは不明ですが、水の恩恵への感謝の念が表れています。

0090 野花南ダム(1651)
北海道芦別市野花南町
石狩川水系野花南川
41.5メートル
31.5メートル
4640千㎥/4100千㎥
芦別市土地改良区
1978年

金山ダム

2021-07-22 03:24:15 | 北海道
2021年7月16日 金山ダム 
 
金山ダムは北海道空知郡南富良野町金山の石狩川水系空知川上流部にある多目的中空重力式コンクリートダムです。
空知川は石狩川水系最大支流で、流域の富良野盆地や石狩平野は北海道有数の農耕地帯となっており、戦後の食糧増産機運を受け農林省(現農水省)による灌漑目的のダム建設が企図されました。
しかし1955年(昭和30年)の豪雨災害を受け建設省による『空知川総合開発事業』が採択され、多目的ダムとしての金山ダム建設が決定しました。
金山ダム建設に際しては当時まだ高価であったコンクリートの節減を目的に中空重力式が採用され、1963年(昭和38年)に本体工事着工、1967年(昭和42年)に竣工しました。現在でも金山ダムは北海道唯一の中空式ダムとなっています。
金山ダムは国交省北海道開発局建設部が直轄管理する特定多目的ダムで、空知川の洪水調節、富良野盆地及び石狩平野の農耕地約2万8000ヘクタールへの灌漑用水の供給、滝川市への上水道用水の供給、北海道電力金山発電所での最大2万6000キロワットのダム水路式発電を目的としています。
その後1999年(平成11年)に空知川下流に滝里ダムが完成したことで、同ダムと連携して空知川のみならず石狩川下流部の洪水調節も担うことになります。
 
ダム湖のかなやま湖は総貯水容量1億5045万立米と中空ダムでは最大、北海道のダムとしても第4位の規模を誇っています。
さらにダム建設の際の地元との協定により湖面及び湖畔の環境整備が進められ、1993年(平成15年)には建設省(現国交省)より『地域に開かれたダム』の指定を受け、現在では北海道有数のアウトドア・レジャースポットとなっています。
これらを評価し金山ダムは日本100ダムに、かなやま湖はダム湖百選に選ばれているほか2020年(令和2年)には土木学会選奨土木遺産にも選定されました。
 
国道237号線の『かなやま湖』の標識に従って道道465号線を東に進むと金山ダムに到着します。
ダム下から
洪水吐はクレストのローラーゲート3門のみ。
河川法改正により後付けされた放流設備から河川維持放流が行われています。 
 
右岸高台の展望台からダムとダム湖を俯瞰。
 
同じく展望台から見た上流側と取水塔。
 
右岸から
中空ダムらしく堤頂部には襟がなく堤頂からすぐにスロープが始まります。
洪水吐導流部の膨らみも中空ダムならでは。
 
発電所への取水塔
発電後の放流水は灌漑用水に利用されるため、水温の高い表層水を取水するためフローティング方式を採用。
後付けの河川維持放流水もここで取水されます。
 
天端からは夕張山地が一望できます。
右手は芦別岳。
 
眼下の北海道電力金山発電所。
半地下のダム水路式発電所で、この放流水が利水利用されます。
 
貯水池のかなやま湖と繋留された巡視艇
総貯水容量は1億5045万立米で北海道第4位、中空ダム最大。
かなやま湖上流では湖面のレジャー・アウトドア利用が盛んでダム湖百選に選ばれています。
 
上流面
中空ダムおなじみの『たこ足』は水の中。
 
円形のモダンな管理事務所兼資料館。
 
選奨土木遺産のプレート。

 (追記)
金山ダムには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。

0073 金山ダム(1649)
北海道空知郡南富良野町金山
石狩川水系空知川
FAWP
HG
57.3メートル
288.5メートル
150450千㎥/130420千㎥
国交省北海道開発局
1967年
◎治水協定が締結されたダム