2016年6月18日 横川ダム
2023年7月23日
横川ダムは山形県西置賜郡小国町綱木箱口の一級河川荒川水系横川にある国交省北陸地方整備局が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
1967年(昭和42年)の羽越豪雨では荒川水系を中心に新潟県下越地方と山形県で死者100名を超える甚大な被害が発生、これを機に国は二級河川だった荒川を一級河川に格上げし直轄事業による治水に乗り出します。
1978年(昭和53年)に大石ダムが竣工し荒川下流域の治水能力は大きく向上する一方、上流域は手つかずの状態が続きました。
そんな中、昭和50年代から山形県小国町には半導体など電子産業が集積し工業用水や電力需要が高まります。
これを受け建設省(現国交省)は荒川上流域最大支流横川への多目的ダム建設を採択、2008年 (平成20年)に竣工したのが横川ダムです。
横川ダムは国交省が直轄管理する特定多目的ダムで横川及び荒川上流域の洪水調節(最大毎秒880立米の洪水カット)、安定した河川流量の維持と不特定灌漑用水への補給、小国町への工業用水の供給、山形県企業局横川発電所(最大出力6300キロワット)でのダム式発電を目的としています。
横川ダムではダムとしては初の回転式スライドゲートを採用するなど先端技術を積極的に活用、日本ダム協会により日本100ダムに選定されています。
横川ダムには2016年(平成28年)6月に初訪、2023年(令和5年)7月に再訪しました。
掲載写真にはそれぞれ訪問日時を記載しています。
ダム下から。
非常用洪水吐としてクレスト自由越流頂8門
非洪水期常用洪水吐として回転式スライドゲート3門、洪水期常用洪水吐として自然調節式オリフィスゲート2門を装備
ダム下右手の建屋は山形県企業局横川発電所です。
初訪時は発電所は休止中で利水放流管から放流されていました。
(2016年6月18日)
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再訪時
発電所が稼働中で放流管からの放流はありません。
(2023年7月23日)
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ダム下右岸の仮排水路。
(2023年7月23日)
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ダムサイトに上がります。
ダムへは右岸上流側からのアプローチとなります。
日本屈指の豪雪地帯で、左右両岸は雪食作用により岩盤がむき出しになっています。
(2023年7月23日)
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ゲートと取水設備をズームアップ
選択取水設備の手前3門が非洪水期常用洪水吐となる回転式スライドゲートです。
(2023年7月23日)
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ダム管理支所の隣には、ダム情報資料館の『きてくろ館』が併設されています。
(2016年6月18日)
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きてくろ館内部
ダムや羽越豪雨についての資料展示が行われています。
(2023年7月23日)
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きてくろ館屋上から。
(2023年7月23日)
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天端と記念碑。
直轄ダムらしく天端は2車線幅ですが、徒歩のみ開放。
(2023年7月23日)
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右岸から下流面。
(2023年7月23日)
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天端からダム下を見下ろします。
こちらは初訪時
発電所は休止中で放流管から放流中。
(2016年6月18日)
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再訪時は発電所が稼働中で放流は発電所から行われています。
(2023年7月23日)
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回転式スライドゲートをズームアップ
正式名称は『引上げ型ライジングセクターゲート』
油圧駆動のため巻き上げ機などが必要なく省スペース化が図れます。
(2023年7月23日)
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『白い森おぐに湖』と命名されたダム湖は総貯水容量2460万立米。
ダム湖上流にはビオトープがつくられ人工的な湿原が再現されています。
左手は艇庫とインクライン。
(2023年7月23日)
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艇庫とインクラインをズームアップ。
(2023年7月23日)
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左岸の山留
こういう絵柄があるとついつい撮ってしまうのが土木愛好家の性。
(2023年7月23日)
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左岸上流側から。
右岸の山肌も雪食地形になっています。
(2023年7月23日)
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横川ダム完成以降、2022年(令和4年)8月豪雨により荒川中流域では甚大な洪水被害が発生し、荒川沿いを走るJR米坂線は長期運行休止を余儀なくされています。
今後荒川の治水安全度の見直しが行われるのは必至でしょう。
(追記)
横川ダムには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。
2962 横川ダム(0463)
山形県西置賜郡小国町綱木箱口
荒川水系横川
FNIP
G
72.5メートル
277メートル
24600千㎥/19100千㎥
国交省北陸地方整備局
2007年
◎治水協定が締結されたダム