2017年3月25日 千苅ダム
千苅ダムは兵庫県北区の武庫川水系羽束川にある神戸市水道局が管理する上水道用水を目的とする粗石モルタル造表面石張りの重力式ダムです。
神戸港の発展に伴う水道需要の高まりから布引五本松ダム、立ヶ畑ダムに続いて1919年(大正8年)に竣工、その後1931年(昭和6年)に6メートルかさ上げされました。
千苅ダムは技術的・文化的価値から国の有形文化財に登録されているほか、Aランクの近代土木遺産、近代化産業遺産、近代水道百選、日本100ダムに選定されており、日本を代表するビンテージダムの一つとなっています。
完成当初は千苅ダムから神戸水道により西宮市の上ヶ原浄水場に送水され、さらに武庫川送水路を経て神戸市に水道用水として供給されていました。
その後1967年(昭和42年)に千苅ダム下流に千苅浄水場が完成し神戸市北区に上水道用水の供給を始める一方、神戸市の水道の大半が淀川で取水された阪神水道企業団からの受水となり、現在では千苅ダムの水は千苅浄水場を経て神戸市北区北部への供給にとどまっています。
しかし災害等万一の事態に備え神戸市最大の自己水源である千苅ダムの水をいつでも給水できるよう導水路は確保・維持されています。
国道176号線の新道場交差点から県道327号を東進、道場駅から武庫川支流の羽束川に沿って進むと神戸市水道局千苅貯水場の正門前に到着します。
ここから貯水場の敷地右手の近畿自然歩道を10分ほど歩くと千苅ダムに到着です。
ダムを望む千苅橋には登録有形文化財と近代化産業遺産のプレートが設置されています。
左岸のトンネル式導水路吐口
水位が高いせいか滝のように水が流下しています。
ダムの本体
運よくいい感じで放流しています。
手前の千苅浄水場へのアーチ式水道橋もいいアクセントになっています。
天端。
ダム手前の千苅橋、この橋も登録有形文化財に含まれます。
下から見上げると美しいレースのカーテン。
切石がきれいに積み上げられています。
右岸越流面の水の流れもうっとりするような美しさ。
堤体は下部で緩やかにカーブしウェディングドレスの裾のよう。
ずらっと並ぶゲート群
スライドゲートは現存する最古のスライドゲートとされています。
天端は立入禁止。
竣工記念碑。
ダム本体の造作に加えて美しい放流
いつまでも立ち去り難い千苅ダムでした。
1467 千苅ダム(0887)
近代化産業遺産
兵庫県神戸市北区道場町生野
北緯度分秒,東経度分秒
DamMaps
武庫川水系羽束川
W
G
42.4メートル
106.7メートル
千㎥/千㎥
1919年