ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

鳴子ダムすだれ放流

2024-06-10 08:00:00 | 試験湛水・放流イベント
2024年 4月25日 鳴子ダムすだれ放流

宮城県大崎市の
鳴子ダムでは、運用開始以来集水域の融雪で水位が上昇するゴールデンウィークの期間中に8門のクレスト自由越流頂から水を越流させる『すだれ放流』を実施し、春の風物詩として人気イベントとなっています。
すだれ放流には2016年(平成28年)と2024年(令和6年)の2度訪問しました。
ここではすだれ放流の写真を紹介したいと思います。
まずは2016年5月4日の初回訪問時
前夜にまとまった雨が降り水位が上昇、越流量が増えた中での訪問となりました。


当時はすだれ放流に併せてダム前面に鯉のぼりが張られていました。






越流した水が減勢工に収束するさまも美しい。


高速シャッターで切り取ると転波列も見えます。


未明の前線通過の影響で天端は強風が吹き、鯉のぼりもはち切れそう。
長閑に泳ぐというよりは激流を必死に遡上しているようです。


お天気も晴れたり曇ったりの繰り返し。








天端から国道に上がると日差しが戻ってきました。




国道わきの鳴子ダムの看板とともに。


ここからは2024年(令和6年)4月25日の再訪時の写真となります。
2022年(令和4年)のライトアップイベントでは予想以上の来場者により周辺の道路では大渋滞が発生、社会生活や鳴子温泉・鬼首温泉といった観光に大きな影響を与えました。
以来、すだれ放流はそれまでのゴールデンウィーク期間中からゴールデンウィーク前の平日開催となりました。
人気のイベントですが、やりすぎるとオーバーツーリズムの弊害もあるという好例です。


2024年は平日3日間の開催。
初日、二日目は悪天候に祟られましたが三日目は一転して好天、絶好の放流日和。


日が差し込むと虹も現れます。


導流部でも転波列が現れます。


前回はなかったダムカード風写真フレーム。








前日までの雨で水位が上昇したため、すだれ放流に加えコンジットバルブからも放流されています。




華麗な越流と激しいバルブ放流、そして虹のテルツェット。


国道から俯瞰。




時間とともに来場者も増えてきました。


やはりすだれ放流は好天の下が美しい。
ダム愛好家の中ではライトアップ放流の再開を求める声も大きいいですが、この手のイベントは地元との協調あってのもの。
そもそも日中の放流でも十分すばらしい。

千五沢ダム(再)試験湛水

2024-01-31 08:13:23 | 試験湛水・放流イベント
2023年 12月31日 千五沢ダム(再)試験湛水サーチャージ

既設の農業用ダムを多目的ダム化する
『千五沢ダム再開発事業』の最終局面である試験湛水が2023年(令和5年)10月より開始されました。
そこで試験湛水が大詰めを迎えた同年12月14日、さらにサーチャージに到達した12月31日および翌2024年(令和6年)1月1日と2度にわたり千五沢ダムを訪問しました。
千五沢ダム再開発事業では新たにラビリンス洪水吐が設けら、希少なラビリンスからの越流が見られるということで多くのダム愛好家がサーチャージ到達を待ち望んでいました。

ここでは上記三日間にわたる様子を時系列で紹介したいと思います。

2023年 12月14日

すでに再開発事業の大半は終了、最後の作業のためクレーンが残っています。


白い建屋は新たに設けられた水位低下用放流設備。


サーチャージ到達まであと70センチ。
1日に5センチずつ水位が上昇しています。








2023年 12月31日

年末年始にかけてサーチャージ到達というニュースを受けて、急遽二本松に宿を取り千五沢ダムを訪れることに。
12月31日は風もなく穏やかな日和。
前回あったクレーンも撤去されすっきりした眺め。




ダム下や湖岸の整備も終わっています。
管理が県土整備部に移管されたのち、ダム下・天端が開放される見込み。


風や波がなく、じっと目を凝らさないと越流が確認できません。
コンクリートが濡れているので越流してるんだとわかる程度。




うっすらとした越流ですが、穏やかな水面とラビリンス洪水吐との断絶感が何とも言えません。




ダムの下流から。


こちらでは美しい転波が見られます。




ズームアップすると越流の様子がよくわかります。

2024年1月1日

午前10時から放流ゲートを開放するということで、9時前にダムに到着。
展望所には多くのダム愛好家が集まり、まるで賀詞交歓会の様相。
夜半に風雨があった影響で風が強く湖面も波立っています。


おかげで前日よりも荒々しい越流が見られます。


特に2番ゲートの越流が激しい。






許容範囲ですが洪水吐の敷高がわずかに揃わず、2番ゲートからの越流が激しくなってしまいました。


10時前に放送があり放流ゲート開放。


下流側に向かいます。


ゲートからの放流がよくわかります。


前日とは水勢が大違い。






依然越流は続いており、越流と放流の二本立て。


再び展望所に戻ります。
水位が若干低下したせいか、先ほどよりも越流も穏やかになりました。


これまで、サーチャージにはあまり興味がなく人生初サーチャージ体験となりました。
貴重なラビリンス堤体からの越流を見れたこともさることながら、多くのダム愛好家の皆さんの既知を得たことの方が大きな収穫となりました。
今年は熊本の立野ダム、試験湛水3年目の三重の川上ダム、4年目の香川の椛川ダムなどサーチャージイベントが続きますが、可能であればまた現地に赴きたいと思います。