ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

船堀溜池

2021-06-10 18:00:56 | 島根県
2021年5月24日 船堀溜池
 
船堀溜池は島根県大田市久手町波根西の大原川水系大原川本流源流部にある灌漑目的のアースフィルダムです。
ダム便覧では波根町土地改良区の事業で1993年(平成5年)竣工と記されており、この年に農水省や県の補助を受けた団体営事業で改修が行われたものと推察されます。
池の管理は近隣の貯水池ともども太田市波根土地改良区が行っています。
 
池へは同市久手町刺鹿の清瀧ダムから市道を使うのが近道ですが訪問時は災害で通行止め。やむを得ず同市富山町山中から大きく迂回せざるを得ませんでした。
あいにくの雨に加え、天端は写真のような草木に覆われ到底見学どころではありません。
右岸に洪水吐があるようですが、天端途中で退却。
 
総貯水容量11万5000立米の貯水池は満々と水を湛えていますが、この荒れ具合を見ると現在も貯水池として機能しているのかは???
 
一応池には到達したので『訪問済み』としてカウントしますが、再訪するなら草が枯れた季節じゃないと無理です。

1727 船堀溜池(1648)
ため池コード 324450042
島根県大田市久手町波根西
大原川水系大原川
15メートル
40メートル
115千㎥/115千㎥
大田市波根土地改良区
1993年

淀原大堤

2021-06-08 14:16:06 | 島根県
2021年5月24日 淀原大堤
 
淀原大堤は島根県邑智郡邑南町岩屋の江の川水系山田川にある灌漑目的のアースフィルダムです。
現地案内板によれば池の起源は1820年(文政3年)頃に遡りますが、その池は数年後に流出、1935年(昭和10年)に当時の出羽村村長の肝入りで今の淀原大堤が完成しました。
その後1998年(平成10年)にかけて大規模改修が行われ、ダム便覧ではこれを竣工年度としています。
池の管理は淀原大堤水利組合が行っています。
 
池の堤体直下を町道が通っています。
道路部分が盛土されており堤高18.6メートルもあるようには見えません。
 
町道から左に折れると池の右岸に到着します。
天端への車の進入も可能ですが対岸で突き当り。
 
池の由来が記された説明版。
こういうのはありがたいですね。
 
上流面はコンクリートで護岸
右岸に洪水吐があります。
 
洪水吐をズームアップ。
 
左岸の斜樋。
 
大堤と言いつつも貯水容量はわずか7万5000立米。
 
斜樋を遠望。
 
堤体は右岸が湾曲しています。
 
洪水吐導流部。
 
底樋は確認できませんでした。

1716 淀原大堤(1647)
ため池コード 324450042
島根県邑智郡邑南町岩屋
江の川水系山田川
18.6メートル
100メートル
75千㎥/75千㎥
淀原大堤水利組合
1935年淀原大堤竣工
1998年大規模改修竣工

第二浜田鞍部ダム

2021-06-08 14:06:43 | 島根県
2021年5月23日 第二浜田鞍部ダム
 
第二浜田鞍部ダムは2016年(平成28年)に浜田川水系浜田川本流に建設された島根県土木部が管理する第二浜田ダムの副堤の重力式コンクリートダムです。
第二浜田ダムがサーチャージ水位まで貯留した際に貯水池右岸から水が溢れてしまうため、高さ22.8メートル、全長202.5メートルの重力式コンクリートの鞍部ダムが建設されました。
 
第二浜田ダムと鞍部ダムの位置関係
赤が第二浜田ダム主堤、青が鞍部ダム。
 
鞍部ダム左岸から下流側は公園として整備され遊歩道が設置されています。
これは下流から。
 
左岸から下流面。
堤頂長は200メートルを越えます。
 
 
 
 
左岸から上流面。
 
右岸から上流面。
 
天端は車道。

3677 第二浜田鞍部ダム(1646)
島根県浜田市河内町
浜田川水系浜田川
FN
22.8メートル
202.5メートル
15470千㎥/14220千㎥
島根県土木部
2016年

第二浜田ダム

2021-06-08 13:57:02 | 島根県
2021年5月23日 第二浜田ダム
 
第二浜田ダムは左岸が島根県浜田市三階町、右岸が同市河内町の二級河川浜田川水系浜田川本流にある島根県土木部が管理する治水目的の重力式コンクリートダムです。
1958年(昭和33年)の豪雨災害を契機に1962年(昭和37年)に島根県初の補助ダムとして治水・発電目的の浜田ダム(元)が建設されました。
しかし1983年(昭和58年)7月豪雨いわゆる山陰大水害及び、1988年(昭和63年)7月豪雨により浜田川流域で大きな洪水被害が発生したことを受け、県は新たに『浜田川総合開発事業』を採択します。
具体的には既存の浜田ダムをゲートレス化・治水専用ダム化とする再開発と、浜田ダム下流1キロ地点に新たに第二浜田ダムを建設し浜田川の洪水調節能力を大幅にアップさせるというものです。
事業は1990年(平成2年)より着手されまず2016年(平成28年)に第二浜田ダムが竣工、ついで2020年(令和2年)に浜田ダム再開発事業が竣工し、両ダム併せて従来の4倍強にあたる1689万5000立米の洪水調節容量が確保されることになりました。
洪水時には浜田ダム(再)で最大毎秒300立米、第二浜田ダムで最大毎秒530立米の洪水カットを実施し両ダム連携して浜田川の洪水調節を行います
また第二浜田ダムには安定した河川流量の維持と不特定灌漑用水(既得灌漑用水)への補給を目的とした不特定利水容量も配分されています。 
 
第二浜田ダムは重力式コンクリートの主堤と、同じく重力式コンクリートの鞍部ダムで形成されており、ダム建設によって付け替えられた県道179号黒沢安城浜田線が第二浜田ダム天端を通っています。
赤が第二浜田ダム主堤、青が第二浜田鞍部ダム
 
下流から
非常用洪水吐として自由越流式クレストゲート2門、常用洪水吐として自然調節式オリフィスゲート2門を装備
オリフィスは左右で越流高が異なっています。
ダム手前の囲い部分にはかつて浜田ダム(元)を取水ダムとする島根県企業局浜田川発電所がありましたが、浜田ダム再開発事業に伴い廃止撤去されました。
 
左岸から下流面
2016年(平成28年)竣工の新しいダムで、コンクリートの白さが目立ちます。
 
上流面
有効貯水容量1422万立米のうち1357万立米を洪水調節容量が占めるため、オリフィスゲートの位置がずいぶん低くなっています。
またオリフィスは左右で越流高が異なっています。
 
天端は県道179号線が通ります。
 
減勢工と副ダム。
左岸には低水位放流設備に加え、河川維持放流を利用した小水力発電所が建設中。
 
ダム湖は『いわみおろち湖』と命名され総貯水容量は1547万立米。
 
右岸からの天端。
 
天端高欄親柱は再開発事業で切り出した浜田ダム(元)のコンクリ―トが使用され、岩見神楽の『スサノオノミコト』を描いた装飾が施されています。
 
右岸から上流面
堤高から見るとずいぶん水位が低く見えますが、貯水容量の大部分を洪水調節容量が占めるためこれで常時満水位。
 
斬新なデザインの管理事務所
ここで浜田ダム(再)と第二浜田ダムを管理します。
 
(追記)
第二浜田ダムには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。

3087 第二浜田ダム(1645)
左岸 島根県浜田市三階町
右岸 島根県浜田市河内町
浜田川水系浜田川
FN
98メートル
218メートル
15470千㎥/14220千㎥
島根県土木部
2016年
◎治水協定が締結されたダム

浜田ダム(再)

2021-06-08 11:26:54 | 島根県
2021年5月23日 浜田ダム(再)
 
浜田ダム(再)は左岸が島根県浜田市三階町、右岸が同市河内町の二級河川浜田川水系浜田川本流にある島根県土木部が管理する治水目的の重力式コンクリートダムです。
1958年(昭和33年)の豪雨災害を受けて1962年(昭和37年)に島根県初の補助ダムとして治水・発電目的の浜田ダム(元)が建設されました。
しかし1983年(昭和58年)7月豪雨いわゆる山陰大水害、1988年(昭和63年)7月豪雨により浜田川流域で壊滅的な洪水被害が発生したことを受け、県は新たに『浜田川総合開発事業』に着手します。
浜田川の治水能力増強のため浜田ダム(元)を再開発し治水専用ダム化する一方、下流1キロ地点に新たに第二浜田ダムを建設するというものです。
事業は1990年(平成2年)より着手され、2016年(平成28年)に第二浜田ダムが竣工、ついで2020年(令和2年)に浜田ダム再開発事業が竣工し、両ダム併せて従来の4倍強にあたる1689万5000立米の洪水調節容量が確保されることになりました。
再開発された浜田ダム(再)は有効貯水容量すべてが洪水調節容量となる治水専用ダムで、流入量はそのまま放流する流水型治水ダムとなっています。
洪水時には浜田ダム(再)で最大毎秒300立米、第二浜田ダムで最大毎秒530立米の洪水カットを実施し両ダム連携して浜田川の洪水調節を行います。
 一方再開発事業により従来浜田ダムに取水口のあった島根県企業局浜田川発電所は廃止されました。
 
ダム建設に合わせて道路が付け替えられた県道179号黒沢安城浜田線に浜田ダムを示す標識があり、これに従い旧道を進むとダムが見えてきます。
既存のゲートが撤去され非常用洪水吐としてクレスト自由越流頂自由越流式が設けられる一方、常用洪水吐は河床部に設置され平時は流入量をそのまま放流する流水型治水専用ダムとなっています。
ゲートレス化により付加されたクレストゲート周りの白いコンクリートが目立ちます。
ゲート下の正方形の点は再開発の際に設置した足場の跡をモルタルで埋めたものです。
 
左岸ダム湖畔にある円形のコンクリート
浜田ダム(元)の島根県企業局浜田川発電所取水口跡です。
 
ダム右岸下流側のコンクリートの遺構
こちらは浜田ダム(元)建設の際のプラント跡。
 
天端から導流部と減勢工を見降ろします。
常用洪水吐からの水が流下しています。
 
減勢工は左にカーブ、副ダムにはスリットが2本入っています。
第二浜田ダム満水位の際には副ダムや減勢工すべてが水没します。
 
『桜湖』と命名されたダム湖
総貯水容量412万5000立米ですが、流水型治水ダムのため堆砂容量80万立米分だけ貯留されています。
 
右岸から
天端は車道で右岸が屈曲しています。
こちらにも足場跡がたくさん残ります。
 
3枚目写真のプラント跡。
 
再開発で追加された導流壁
白いコンクリートが際立ちます。
 
こちらは浜田ダム(元)の昭和38年の竣工記念碑。
 
山陰大水害を契機として既存の多目的ダムを治水専用ダムとして再開発するとともに下流に新ダムを建設し従来の4倍強の洪水調節容量を確保するという珍しい河川総合開発事業です。
旧県道をもう少し下流に進めば浜田ダム(再)の下流面をきれいに見れるのですが残念ながらゲートが設置され立ち入りできません。

1743 浜田ダム(元)
左岸 島根県浜田市三階町
右岸 島根県浜田市河内町
浜田川水系浜田川
FP
58メートル
184メートル
5000千㎥/4350千㎥
島根県土木部
1962年
----------------
3133 浜田ダム(再)(1644)
左岸 島根県浜田市三階町
右岸 島根県浜田市河内町
浜田川水系浜田川
58メートル
184.369メートル
4125千㎥/3325千㎥
島根県土木部
2020年 浜田ダム(再)竣工

長見ダム

2021-06-07 14:19:52 | 島根県
2021年5月23日 長見ダム
 
長見ダムは左岸が島根県浜田市弥生町栃木、右岸が同市長見町の周布川水系周布川本流中流部にある中国電力が管理する発電目的の重力式コンクリートダムです。
1951年(昭和26年)の電気事業再編令で誕生した中国電力(株)は戦後の復興を受けた電力需要拡大に対処するため各所で電源開発を進めます。
島根県では江の川本流で1953年(昭和28年)に浜原ダムと明塚発電所、1956年(昭和31年)に神戸川に来島ダムと潮発電所の運用が開始されます。
これに続いて1961年(昭和36年)に完成したのが周布川ダムと周布川第1発電所、長見ダムと周布川第2発電所です。 
まず周布川ダムで取水された水が約4.2キロの導水路で周布川第1発電所に送られ最大9800キロワットのダム水路式発電を行います。
この放流水を再び長見ダムで取水し約3キロの導水路で周布川第2発電所に送り最大4700キロワットのダム水路式発電を行います。
 
県営大長見ダムのすぐ下流に周布川第1発電所があります。 
 
発電所から周布川沿いの市道を1.5キロほど西へ向かうと長見ダムに到着します。
ラジアルゲート4門を備えたいかにも発電ダムといった風。
一番奥には河川維持放流用のサイフォン式放流管があります。
 
島根の中国電力のダムは雪対策のためか?どこも管理橋は被覆されています。
 
手前は除塵機。
集められたごみが積み上げられています。
 
上流から。
 
ゲートをズームアップ。
 
銘板は『長見堰堤』。
 
総貯水容量は35万9000立米ですが、堆砂が進み有効貯水容量はわずか8万5000立米。
 
ダムサイトに置かれた巡視艇
クレーンで昇降されます。
 
概要版
情報収集のためこの手の案内板はありがたいですね。
 
 
(追記)
長見ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。

1740 長見ダム(1643)
左岸 島根県浜田市弥栄町栃木
右岸 島根県浜田市長見町
周布川水系周布川
20.2メートル
57.5メートル
359千㎥/85千㎥
中国電力(株)
1961年
◎治水協定が締結されたダム

大長見ダム

2021-06-07 11:36:42 | 島根県
2021年5月23日 大長見ダム
 
大長見ダムは左岸が島根県浜田市弥栄町栃木、右岸が同市長見町の二級河川周布川水系周布川本流にある島根県土木部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
建設省(現国交省)の補助を受けて建設された補助多目的ダムで、周布川の洪水調節、安定した河川流量の維持と既得取水権への用水補給、浜田市への上水道用水の供給を目的として2003年(平成15年)に竣工しました。
さらに2018年(令和元年)には河川維持放流を利用した島根県企業局大長見発電所が完成し、最大出力199キロワットの小水力発電を行っています。
ダム本体はRCD工法によって建設され、ダム右岸側は脆弱地盤を勘案して大きく湾曲しています。
またダム建設地一帯は紅葉の名所としていられることからダム湖は『紅葉湖』と名付けられました。
 
大長見ダムは県道179号黒沢安城浜田線沿いにあり、県道の『大長見ダム』の標識に従って西に折れると左岸ダムサイトに到着します。
今回は木都賀ダムから県道を北上して大長見ダムに至りました。
県道に『紅葉湖展望台』があり、右岸が大きく湾曲した特徴的な大長見ダムを遠望できます。
 
下流から眺めると湾曲した右岸は山に隠れ普通のダムのように見えます。
非常用洪水吐として自由越流式クレストゲート14門、常用洪水吐として自然調節式オリフィスゲート2門を装備。
 
下流面。
 
手前(左岸)が湾曲した堤体は、長さ334メートルもあります。
 
天端から減勢工と副ダム。
右手奥の白い建屋が2018年(令和元年)に完成した大長見発電所。
手前が利水放流設備。
 
右岸に放流管が2条見えます。
大長見発電所ができる前の利水放流設備で、発電所が停止中はここから放流されます。
 
多くの島根県営ダム同様天端は車道です。
 
左岸から
片翼が大きく曲がった特徴的な堤体はどこから撮影しても絵になります。
 
上流面。
 
左から水位計、オリフィスゲート2門、取水設備と並びます。
オリフィスから向こう側が見える。
 
右岸管理事務所
右下には浮桟橋に繋留された巡視艇。
 
その独特のスタイルに加え、見学ポイントも多くこのダムだけで約3時間、撮影した写真も100枚以上になりました。
直下には中国電力周布川第1発電所や長見ダムもあり時間をかけてじっくりダムを楽しめるゾーンです。
難があるとすればアクセスとなる県道が隘路であることでしょうか?
 
(追記)
大長見ダムには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。
 
1756 大長見ダム(1642)
左岸 島根県浜田市弥栄町栃木
右岸 島根県浜田市長見町
周布川水系周布川
FNW
71.5メートル
334メートル
19270千㎥/18770千㎥
島根県土木部
2003年
◎治水協定が締結されたダム

周布川ダム

2021-06-04 22:56:31 | 島根県
2021年5月23日 周布川ダム
 
周布川(すふがわ)ダムは島根県浜田市弥栄町小坂の周布川水系周布川本流上流部にある中国電力が管理する発電目的の重力式コンクリートダムです。。
1951年(昭和26年)の電気事業再編令で誕生した中国電力(株)は戦後の復興を受けた電力需要拡大に対処するため各所で電源開発を進めます。
島根県では江の川本流で1953年(昭和28年)に浜原ダムと明塚発電所、1956年(昭和31年)に神戸川に来島ダムと潮発電所の運用が開始されます。 
これに続いて1961年(昭和36年)に完成したのが周布川ダムでここで取水された水は約4.2キロの導水路で周布川第1発電所に送られ最大9800キロワットのダム水路式発電を行っています。
同時に第1発電所下流に長見ダムと周布川第2発電所が建設され最大4700キロワットの発電を行います。つまり周布川ダムは合わせて1万4500キロワットの発電用水源となっているわけです。
 
周布川ダムは県道52号弥栄旭インター線沿いにあり、下流に架かる橋からダムと正対できます。
 
堤高58メートルのダムとしては珍しい全面越流式。
ジャンプ台式洪水吐になっておりジャンプ台の下には排水管として高圧フライドバルブおよびスルースバルブ各1条を備えています。
 
ジャンプ台とバルブをズームアップ
洗堀を防ぐためか、ジャンプ台両端が高くなっています。
 
下流面。
 
越流部をズームアップ
越流部両側には作業用の梯子が架かっています。
 
天端は立ち禁。
 
上流から越流部
ズームアップすると越流部には多数のフックがついています。
作業時ここにハーネスをかけて安全を確保するんでしょう。
頭上のワイヤーも電線ではなく安全ベルトのようにも見えます。
 
上流から
左岸上流側に巡視艇がありこの下がインクラインになっているようです。
 
さらに上流の県道から周布川第1発電所への取水口が見えます。
貯水池は細長く1017万3000立米もあります。
 
中国電力周布川第1発電所建屋。
 
発電所は島根県営大長見ダム直下にあり、有効落差146メートルを利用して9800キロワットの発電を行います。
 
(追記)
周布川ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。
 
1741 周布川ダム(1641)
島根県浜田市弥栄町小坂
周布川水系周布川
58メートル
147メートル
10173千㎥/7143千㎥
中国電力(株)
1961年
◎治水協定が締結されたダム

木都賀ダム

2021-06-04 22:25:17 | 島根県
2021年5月23日 木都賀ダム
 
木都賀ダムは島根県浜田市弥栄町木都賀の三隅川水系三隅川本流上流部にある島根県企業局が管理する発電目的の重力式コンクリートダムです。
1951年(昭和26年)の電気事業再編令により、新たに中国電力が誕生します。
同社は戦後の電力不足を補うために積極的な電源開発を進めますが、送電網末端部にあたる島根県では中国電力だけでは電力需要を賄いきれず公営発電である県企業局による電源開発が併せて進められました。
三隅川水上流域の融雪による豊かな水量と急流に着目し1961年(昭和36年)に三隅川春米発電所の取水ダムとして建設されたのが木都賀ダムです。
ここで取水された水は約5.7キロの導水路で三隅川発電所に送られ最大7400キロワットのダム水路式発電を行っています。
 
木都賀ダムは県道浜田美都線沿いにあり、今回は御部ダムから県道を北上して木都賀ダムに至りました。
ダム手前200メートルほどで樹間からダムと正対できます。
訪問時は三隅川発電所が改修のため運転を停止しており、ゲートがすべて開放されています。
カメラの感度を高く設定したため放流部分が白飛びしてしまいました。
 
ゲート部分をズームアップ
青いラジアルゲートが3門、雪が多い地域のためか?ゲート操作室は被覆されています。
 
右岸県道から
手前にバッチャープラント跡が残ります。
 
一番手前(右岸)のゲートはフラップゲート。
 
対岸に林道が続くため天端は重量制限があるものの車両通行可能 
ゲート部分は上流側にクランクしています。 
 
 
上流から。
青いゲートが鮮やか。
 
御影石の銘版
『木都賀堰堤』になっています。
 
減勢工
発電所稼働時は河川維持放流のみですが、現在はゲートが開放され流入量がそのまま流下します。
 
県道に張り付くように建つ管理事務所と取水口
手前には浮桟橋に繋留された巡視艇。
 
上流面。
 
下流面。
 
 
(追記)
木都賀ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。
 
1739 木都賀ダム(1640)
島根県浜田市弥栄町木都賀
三隅川水系三隅川
39メートル
98メートル
2526千㎥/1558千㎥
島根県企業局
1961年
◎治水協定が締結されたダム

御部ダム

2021-06-04 21:53:43 | 島根県
2021年5月23日 御部ダム
 
御部(おんべ)ダムは島根県浜田市三隅町上古和の三隅川水系三隅川本流にある島根県土木部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
1983年の昭和58年7月豪雨では三隅川流域でも多大な洪水被害が発生、これを機に三隅川の治水計画が改訂され上流に2基のダム(御部ダムと矢原川ダム)及び河道改修による治水が進められることになりました。 
御部ダムは建設省(現国交省)の補助を受けて建設された補助多目的ダムで、三瓶川の洪水調節、安定した河川流量の維持と既得取水権への用水補給、島根県企業局御部発電所での最大460キロワットのダム式水力発電を目的として1990年(平成2年)に竣工しました。
三隅川水系のもう一つのダムである矢原川ダムについては2019年(平成31年)に損失補償基準協定が締結され、今後道路の付け替え工事が着手される見込みです。
 
三瓶ダムは県道黒沢安城浜田線沿いにありアプローチは簡単です。
ダム下流から川沿いの旧道を遡上するとダム下発電所手前まで入ることができ、ダムと正対できます。
非常用洪水吐として自由越流式クレストゲート9門、常用洪水吐として自然調節式オリフィスゲート2門を備えています。
 
右岸の県道から
角度がきつく持参した広角では全容が収まりません。
 
両岸には堤趾導流壁とフーチング
ダム下左手は放流設備、右手は島根県企業局御部発電所。
 
天端は車両通行可。
島根県営ダムは天端が車道のダムが多いですね。
 
導流部と減勢工
左手奥が御部発電所、手前が利水放流設備
発電所が止まっている場合は手前の設備から利水放流されるようです。
 
『みやび湖』と命名されたダム湖
さほど大きくはありませんが縦に細長く総貯水容量は1680万立米もあります。
 
右岸管理事務所と浮桟橋に繋留された巡視艇。
 
左岸から下流面。
 
上流面。
 
上流面。
 
(追記)
御部ダムには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。
 
1755 御部ダム(1639)
島根県浜田市三隅町上古和
三隅川水系三隅800千㎥/15500千㎥
島根県土木部
1990年
◎治水協定が締結されたダム

矢原川ダム

2021-06-04 16:18:45 | 島根県
2021年5月23日 矢原川ダム
 
矢原川ダムは島根県浜田市三隅町矢原の三隅川水系矢原川に島根県土木部の事業で建設予定の治水目的の重力式コンクリートダムです。
1983年の昭和58年7月豪雨では三隅川流域でも多大な洪水被害が発生、これを機に三隅川の治水計画が改訂され上流に2基のダム(御部ダムと矢原川ダム)及び河道改修による治水が進められることになりました。
矢原川ダムは1994年(平成6年)にダム建設実施計画調査が着手されましたが、バブル崩壊以降の社会状況の変化や公共工事見直し機運が強まる中、国交省による検討対象ダムとなります。
2014年(平成26年)に改めて事業継続が決定し、翌2015年(平成27年)に地元ダム対策協議会と基本協定が、2019年(平成31年)に損失補償基準協定が締結されました。
今は具体的な工事にも至っておらず竣工予定年度も未定の状態ですが、ダム完成の暁には100年に一度規模の豪雨災害に対応する矢原川および三隅川の洪水調節を目的として運用される予定です。
 
ダム建設予定地は県道三隅美都線沿いにありますが、ダム建設を示す標識等の設置は見当たりません。
この上流200メートルほどがダム建設地点となります。
 
 
3236 矢原川ダム
島根県浜田市三隅町矢原
三隅川水系矢原川
51.3メートル
266.5メートル
7000千㎥/6700千㎥
島根県土木部
1994年矢原川ダム実施計画調査着手

笹倉ダム(再)

2021-06-03 21:43:15 | 島根県
2021年5月23日 笹倉ダム(再)
 
笹倉ダム(再)は島根県益田市美都町笹倉の益田川水系波田川にある不特定利水目的の重力式コンクリートダムです。
1967年(昭和32年)に農林省(現農水省)の補助を受けた県の防災ダム事業により農地防災ダムとして建設されました。
1972年(昭和47年)7月豪雨による水害を受けて「益田川治水ダム建設事業」が着手されますが、1983年のいわゆる「昭和58年7月豪雨」により流域で死者39名被災家屋1700戸という甚大な被害が出たことから計画は大幅に修正されます。
具体的には益田川ダムを治水専用ダムとして洪水調節容量を従来計画の約3倍に上方修正する一方、不特定利水容量については既存の農地防災ダムであった笹倉ダムを再開発することで確保することになりました。
笹倉ダムの再開発工事は2004年(平成16年)に着手され、2005年(平成17年)の益田川ダム竣工についで翌2006年(平成18年)に再開発事業が竣工しました。
益田川ダムは益田川の洪水調節、笹倉ダム(再)は安定した河川流量の維持と不特定灌漑用水への補給を目的として運用されるほか、益田川流域の農地防災ダムである大峠ダム、嵯峨谷ダムも県農林水産部から土木部に移管され益田川流域一体とした治水が実施されています。

バイパスが完成したばかりの県道益田澄川線からダムと正対できます。
クレストに自由越流式洪水吐4門
ダム下に利水放流設備が見えます。
 
右岸から。
 
 
再開発によって堤趾導流壁が新たに追加されました。
 
 
天端は立ち入り禁止。
 
ダム湖は笹波湖。
 
笹波湖は総貯水容量48万立米。
有効貯水容量すべてが益田川の不特定利水容量となります。
 
上流から
右岸浮桟橋に巡視艇が繋留されています。
 
取水設備をズームアップ。
 
益田川の洪水調節容量が3倍に上方修正されたことで同ダムでの不特定利水容量確保が困難となり不可能となり、代わりに既存の農地防災ダムであった笹倉ダムを再開発して同ダムに不特定利水を割り当てたという珍しいケースです。
 
(追記)
笹倉ダム(再)には洪水調節容量は配分されていませんが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。

1746 笹倉ダム(元)
島根県益田市美都町笹倉
益田川水系波田川
36.3メートル
82.8メートル
556千㎥/556千㎥
1967年農地防災ダムとして竣工
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3329 笹倉ダム(再)(1638)
島根県益田市美都町笹倉
益田川水系波田川
36.2メートル
96.5メートル
480千㎥/200千㎥
島根県土木部
2006年再開発竣工
◎治水協定が締結されたダム

大峠ダム

2021-06-03 21:29:11 | 島根県
2021年5月23日 大峠ダム
 
大峠(おおたお)ダムは島根県益田市美都町笹倉の益田川水系馬谷川にある洪水調節目的の重力式コンクリートダムです。
1957年(昭和32年)に農林省(現農水省)の補助を受けた県の益田川沿岸防災ダム事業により農地防災ダムとして建設されました。
1983年のいわゆる「昭和58年7月豪雨」により益田川流域で甚大な水害が発生したことから、島根県は『益田川治水ダム建設事業』を改訂、2005年(平成17年)に益田川本流に補助治水ダムとして益田川ダムが、翌2006年(平成18年)に笹倉ダム(再)の再開発事業がそれぞれ竣工しました。
それに先立つ2004年(平成16年)に大峠ダムは島根県農林水産部から土木部に移管されこれにより益田川流域一体となった治水運用が可能となりました。
 
益田市美都町笹倉の県道益田澄川線から馬谷川沿いに西に折れるとすぐに大峠ダムに到着します。
クレストに自由越流式洪水吐が2門。導流壁は直線です。
いわゆる「穴あきダム」で普段は水を貯留しないダムです。
 
堤体や天端のコケが時代感を醸し出しています。
 
 
天端は立ち入り禁止。
 
アングルを変えて
貯水池側は樹木に遮られ撮影できません。
 
ダムサイトに設置された水防警報装置。
 
農地防災ダムとして建設され、のちに農林水産部から土木部に移管された珍しいダムです。
防災に役所の縦割りは必要なく、流域一体としての治水、防災が叶うことが一番だと思います。
 
1738 大峠ダム(1637)
島根県益田市美都町笹倉
益田川水系馬谷川
23.2メートル
67.4メートル
239千㎥/239千㎥
島根県土木部
1959年農地防災ダムとして竣工
2004年県農林水産部から土木部に移管

益田川ダム

2021-06-02 18:03:21 | 島根県
2021年5月23日 益田川ダム
 
益田川ダムは島根県益田市久々茂町の益田川水系益田川本流にある島根県土木部が管理する治水目的の重力式コンクリートダムです。
1972年(昭和47年)7月豪雨による水害を受けて「益田川治水ダム建設事業」が着手されますが、1983年のいわゆる「昭和58年7月豪雨」により流域で死者39名被災家屋1700戸という甚大な被害が出たことから計画は大幅に修正されます。
具体的には益田川ダムの目的を『FN』から『F』に変更し洪水調節容量を従来計画の約3倍に上方修正する一方、益田川ダムに配分されるはずだった不特定利水容量は既設の農地防災ダムである笹倉ダムを再開発することで確保することになりました。
益田川ダムは建設省(現国交省)の補助を受けた補助治水ダムとして2005年(平成17年)に竣工、一方笹倉ダム再開発事業も翌2006年(平成18年)に竣工し、益田川ダムは益田川の洪水調節、笹倉ダム(再)は安定した河川流量の維持と既得取水権への補給を目的として運用されています。
このほか益田川流域の農地防災ダムである大峠ダム、嵯峨谷ダムも県農林水産部から土木部に移管され益田川流域一体とした治水が行われています。
 
ダム建設に合わせて付け替えられた国道191号線バイパスに益田川ダムを示す標識があり、これに従い左に折れるとダムが見えてきます。
益田川ダムは日本初の『流水型治水ダム』として建設され非常用洪水吐として7門の自由越流式クレストゲートが7門並ぶ一方、一方常用洪水吐は河床部に設置され、平時は流入量がそのまま流下する仕組みです。
 
下流面
写真左下に常用洪水吐がわずかに見えます。
 
天端は車両通行可能。
 
上流面
左岸が屈曲しています。
 
減勢工と副ダム。
流水式ダムで魚が遡上できるように副ダムにもスリットが入っています。
 
天端から
堤体直上に衝立のような4基の流木捕捉工が設置されています。
 
右岸から
流木捕捉工のほかに常用洪水吐にはゴミ除けゲージ(鳥かご)があります。
 
ズームアップ。
 
上流から。
ダムの目的は『F』だけで有効貯水容量650万立米すべてが洪水調節容量となるため、普段は流入量はそのまま流下されダム湖は空っぽです。
 
衝立と鳥かごをズームアップ。
 
日本初の流水型治水ダムとして建設され、流木捕捉工が設置されているのが特徴です。
地形上の問題から益田川ダムは治水目的のみとし、既存の農地防災ダムであった笹倉ダムを『N』目的のダムとして再開発したという点が益田川治水ダム建設事業の肝です。
 
1754 益田川ダム(1636)
島根県益田市久々茂町
益田川水系益田川
48メートル
169メートル
6750千㎥/6500千㎥
島根県土木部
2005年

津田川ダム

2021-06-02 17:30:14 | 島根県
2021年5月23日 津田川ダム
 
津田川ダムは島根県益田市大草町の益田川水系益田川にある洪水調節目的の重力式コンクリートダムです。
津田川流域では豪雨のたびに農地の冠水や流出が絶えず津田川の治水は流域農家の悲願となっていました。
そこで島根県は1967年(昭和42年)に農林省(現農水省)の補助を受けた県営防災ダム事業に着手し1974年(昭和49年)に竣工したのが津田川ダムです。
津田川ダムは大原川流域の農地防災を目的としており、運用開始後は益田市が受託管理を行っています。
 
ダムは県道309号東仙道津田停車場線沿いにあり、津田川沿いに県道を進むと右手にダムが見えてきます。
自由越流式洪水吐1門のシンプルな構造。
 
下流面。
 
天端は立ち入り禁止。
 
錆びた鉄骨の遺構
バルブの開閉用か?はたまたゴミの引き上げに使ったのか?
 
親柱に諸元が記されており、竣工は昭和48年11月竣工と記されています。
 
上流面
貯水池は見えませんが、防災ダムということで普段は貯留はされていないようです。
 
県道沿いに建つ竣工記念碑。
 
裏面はダム建設に尽力した当時の土地改良区理事長渡辺亀一氏の顕彰碑となっています。
 
ダム便覧では1975年竣工となっていますが、ここでは現地記念碑に従い1974年竣工とします。


1748 津田川ダム(1635)
島根県益田市大草町
津田川水系津田川
28.7メートル
83メートル
340千㎥/305千㎥
益田市
1974年