ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

香々美ダム

2018-10-26 16:47:55 | 岡山県
2018年10月13日 香々美ダム
 
香々美ダムは岡山県苫田郡鏡野町越畑の吉井川水系香々美川源流部にある農地防災及び灌漑目的の重力式コンクリートダムです。
農林省(現農水省)の補助を受け、1967年(昭和42年)に着手された県営香々美川用水改良事業の中核施設として1974年(昭和49年)に竣工しました。
運用開始後は鏡野町が受託管理を行い、香々美川流域農地447ヘクタールの農地防災、受益農地675ヘクタールへの灌漑用水の供給を目的としています。
また1982年(昭和57年)には河川維持放流を利用した岡山県企業局越畑発電所が建設され最大200キロワットの小水力発電を行っています。
 
昭和40年代に作られたダムということで農業用ダムながらクレストにはラジアルゲートを備えています。
また常用洪水吐としてホロージェットバルブ1条があります。
 
ゲートをズームアップ
ゲートは一般的なラジアルゲートの半分程度の大きさです。
 
ホロージェットバルブ。
 
減勢工のエンドシル。
 
左岸下流から。
 
 
天端は立ち入り禁止
ゲート部分だけ上流側に張り出しクランクになっています。
 
上流面
ゲートの右手に取水設備があります。
 
竣工記念碑。
 
上流から遠望
左手の三角屋根は管理事務所、平日は町の職員が駐在しているようです。
貯水池は総貯水容量185万3000立米と農業用ダムとしてはそこそこ大きなサイズ。
 
(追記)
香々美沢ダムには農地防災容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。
 
1889 香々美ダム(1424)
岡山県苫田郡鏡野町越畑
吉井川水系香々美川
FA
39メートル
131メートル
1853千㎥/1703千㎥
鏡野町
1974年
◎治水協定が締結されたダム

社口ダム

2018-10-24 01:16:49 | 岡山県
2018年10月12日 社口ダム
 
社口(やしろぐち)ダムは岡山県真庭市社の旭川水系旭川本流上流部にある中国電力が管理する発電目的の重力式コンクリートダムです。
戦後、岡山県臨海部への工場進出による電力需要増加を受け新たな電源開発を計画していた中国電力は水量豊富な旭川上流域に着目、岡山県との共同事業で湯原ダム建設を進めました。
湯原ダム建設に合わせて同ダム下流3キロ地点に中国電力が着工したのが社口ダムで、湯原ダムと同じ1954年(昭和29年)に竣工しました。
社口ダムは湯原第一発電所の放流水を調整するための逆調整池としての機能を持つほか、ここで取水された水は湯原第二発電所に送られ最大2万3700キロワットのダム水路式発電が行われます。
 
湯原温泉から旭川左岸の旧国道を南下し、県道56号を右折すると社口ダムに到着します。
右岸は自由越流式の越流堤、左岸にはラジアルゲートが3門並びさらにゲートの左岸端(向かって右手)に排砂ゲートがあります。
ラジアルゲートが常用、自由越流堤が非常用洪水吐となります。
 
重厚感のあるゲートピアだと思ったら鋼鉄製。
ピアはコンクリートやトラス製が多く、鋼鉄製は珍しいのでは?
 
 
上流から
左手に湯原第二発電所への取水口があります。
 
余水吐が白く塗装されており、ぱっと見ラバーかと思いました。
ダムの先の高架橋は米子道です。
 
実は米子道上り線からの眺めが一番いいという社口ダム。
もちろん撮影はできませんが・・・
 
(追記)
社口ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。
 
1868 社口ダム (1415)
岡山県真庭市社
旭川水系旭川
16.2メートル
75メートル
960千㎥/854千㎥
中国電力
1954年
◎治水協定が締結されたダム

湯原ダム

2018-10-24 01:10:01 | 岡山県
2018年10月12日 湯原ダム
 
湯原ダムは岡山県真庭市湯原温泉の旭川水系旭川上流部にある岡山県土木部と中国電力が共同管理する多目的重力式コンクリートダムです。
旭川水系では戦前からダムの建設計画が進められていましたが戦争で中断、戦後岡山県は復興の柱として旭川上流での湯原ダム、中流での旭川ダム建設事業に着手します。
湯原ダム建設事業では戦後の電力不足解消のために積極的に新電源開発を進めていた中国電力が発電事業者として事業参加し、わずか3年の工期を経て1954年(昭和29年)に竣工しました。
ダムは岡山県と中国電力が共同管理し、旭川上流域の洪水調節および中国電力湯原第一発電所で最大2万6600キロワット、湯原えん堤発電所で最大360キロワットの発電を目的としています。
さらに下流の社口ダムを取水ダムとする湯原第二発電所で最大2万3700キロワットの発電が行われており、計5万660キロワットの発電能力を有しています。
 
湯原ダム直下には江戸時代からの名湯湯原温泉があり、無料の河川敷駐車場から徒歩5分でダム下に到着します。
ダム直下には有名な露天風呂『砂湯』があります。
人気の露天風呂で、目当てがダムの撮影でもカメラを持ってうろうろしていると盗撮に間違われるので要注意です。
洪水吐はクレストに6門のローラーゲートが並び、直線の導流壁がいかにも1950年代のダムといった風です。
放流設備としてはこれ以外には堰堤発電所経由の放流設備があるだけ、実際には平常時の下流への放流は湯原第一発電所経由が大半となります。
 
ゲートをズームアップ
一番右岸寄り(向かって左手)のゲートだけ色が違っています。
 
県道322号で天端に向かう途中からもダムが見えます。
 
扶壁上部に段差がついています。建設時に歩廊が架けられたんでしょうか?
 
天端は県道で車両が通行できます。
ゲートピア両側に螺旋階段。
 
ダム下
いわゆる減勢工らしきものはなく、ダムの下流がすぐに温泉街となります。
 
貯水池の湯原湖
湛水面積455ヘクタールは中国地方最大、総貯水容量9960万立米は岡山県最大。
 
左岸にある謎の構造物。
 
下流面。
 
上流面
管理事務所もスペースがなく崖にへばり付くように建てられています。
 
温泉街に近いダムということで、ダムのライトアップなどのイベントも多く行われていますが、遠方からでは宿泊しないとなかなかお目に架かることはできません。
なお、右岸上流側に湯原第一発電所への取水口があったのですが予習不足で撮影しませんでした。
 
(追記)
湯原ダムには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。
 
1869 湯原ダム(1414)
岡山県真庭市湯原温泉
旭川水系旭川
FP
73.5メートル
194.4メートル
99600千㎥/86000千㎥
岡山県土木部・中国電力共同管理
1954年
◎治水協定が締結されたダム


恩原ダム

2018-10-15 17:52:56 | 岡山県

2018年10月8日 恩原ダム 

恩原ダムは岡山県苫田郡鏡野町上斎原の吉井川水系恩原川源流部にある中国電力の発電目的のバットレスダムです。
明治末期から大正初期にかけて岡山県下では中小の発電業者が19社も乱立していましたが、合従連衡により岡山に本拠く中国合同電気が覇権を握ることになります。
同社は吉井川水系での電源開発を積極的に進め、1927年(昭和2年)に平作原発電所の取水ダムとして恩原川に竣工したのが恩原ダムです。
恩原ダム建設に際してはバットレス形式が採用され、ダムとしては函館の笹流ダムについて2例目、発電用ダムとしては日本初のバットレスダムとして完成しました。
恩原ダムで取水された水は2キロ超の導水路で平作原ダムに送られ有効落差143.8メートルを生かして最大2900キロワットの発電を可能にしました。
中国合同電気は1928年(昭和3年)に姫路に本拠を置くライバル山陽中央水電に買収され同社傘下に入ります。
中国合同電気は1933年(昭和8年)に完成した奥津発電所調整池でバットレス工法を採用、一方山陽中央水電も1936年(昭和11年)に鳥取県でバットレスダムの三滝ダムを竣工させており、恩原ダムはこれらのバットレスダムの技術的な礎になったダムと言えます。
両社は1942年(昭和17年)の電力統制令により発送電設備をすべて接収され解散しますが、べて日本発送電に接収され会社は解散しますが戦後の電力分割民営化により誕生する中国電力の礎となりました。
恩原ダムはその土木技術的価値を評価して国の有形文化財に登録されているほかBランクの近代土木遺産に選定されています。
 
国道482号線から恩原高原青少年旅行村の標識に従って旧道に入ると恩原ダム右岸ダムサイトにに到着します。
ダム下へ続く管理道路はチェーンが掛けられ立ち入りできませんが、さらに下流の駐車場から川沿いに山道を進めばダム下へ行くことができます。
扶壁や水平梁は改修された笹流ダムほどの太さはありませんが、華奢な感じの丸沼ダムに比べるとがっちり太く、外枠工法のマンションのような外観です。
 
正面から
右手全面の細長い建物は水位の観測施設です。
 
堤体から地山を挟んだ右岸側に洪水吐導流部があります。
 
ダムサイトに上がってきました。
右岸の洪水吐。
 
洪水吐の両側の壁には戸当たりのような溝が刻まれています。
かつてスライドゲートが設置されていたんでしょうか?
 
天端はハイキングコースの一部になっており立ち入り可能。
 
貯水池は恩原湖。
奥にはスキー場もあり高原の湖といった風情。
 
バットレスは堤体の荷重が少ないため、上流面に傾斜をつけて水圧でバランスをとっています。
 
ダム下流200メートルほどにある分水設備
平作原発電所へ送る水と恩原川へ放流する水が分水されています。
 
左岸上流から遠望。
 
(追記)
恩原ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。
 
1852 恩原ダム(1388)
岡山県苫田郡鏡野町上斎原
吉井川水系恩原川
24.1メートル
93.6メートル
1853千㎥/1752千㎥
中国電力(株)
1927年
◎治水協定が締結されたダム

奥津発電所調整池

2018-10-15 14:07:26 | 岡山県
2018年10月8日 奥津発電所調整池
 
奥津発電所調整池は岡山県苫田郡鏡野町奥津川西にある中国電力奥津発電所の上部調整池です。
1933年(昭和8年)に当時の中国合同電力によって建設され、日本発送電による接収を経て戦後は中国電力が管理運用を行っています。
当調整池から奥津発電所に水圧鉄管が伸び、有効落差115メートルを利用して最大7400キロワットの発電を行っています。
調整池の堤体はいわゆるバットレスで3メートル間隔の扶壁と水平梁によるグリッドで45度に傾斜した上部水槽の外周壁体を支えています。
堤高14メートルのため河川法上のダムとはなっていませんが、バットレスの堤体が2箇所で屈曲しており、『カド』のあるバットレスとなっています。
当調整池を含めた奥津発電所の関連施設13か所がその土木技術・文化的価値を評価され国の有形文化財に登録されているほか、堰堤はAランクの近代土木遺産に選定されています。
 
奥津温泉手前で国道179号線から左の旧道に入り郵便局を左折、次の十字路を右折してひたすら山道を登ってゆくと奥津発電所調整池に到着します。
ダム下の広場入口には門扉がありますが破損したままで、特に立ち入り禁止の看板等がなかったので中を見学させていただきました。
 
バットレス堤体
3メートル間隔で扶壁が並んでいます。
堤高14メートルのため河川法上のダム基準は満たさずダム便覧にも未掲載です。
 
奥津発電所最大の特徴はバットレスの『カド』
2箇所で堤体が屈曲しています。
 
 
こちらは南側の『カド』
 
バットレスの内側。
 
登録有形文化財のプレート。
 
上部水槽の建屋。
 
奥津発電所への水圧鉄管。
有効落差115メートルを利用して最大7400キロワットの発電を行っています。
 
調整池の天端。
 
上流面は45度の傾斜がついています。
 
帰宅後中国電力に確認したところ、本来は立ち入り禁止だがゲートが破損して開放状態になっているとのこと。
開けっ放し状態だったことから今回の立ち入りは事後承諾していただけました。
当調整池だけではなく登録有形文化財に指定されている奥津発電所の一連の施設全体を水の流れに沿って見学すべきなんでしょうが、遠方ゆえなかなか時間に余裕がないのが残念なところです。
 
岡山県苫田郡鏡野町奥津川西
吉井川水系吉井川
14メートル
---メートル
51.7千㎥/51.7千㎥
中国電力(株)
1933年

川上ダム

2018-10-15 12:34:42 | 岡山県
2018年10月8日 川上ダム
 
川上ダムは岡山県美作市川上の吉井川水系真船川にある灌漑目的の用アースフィルダムです。
ダム便覧には1967年(昭和42年)に岡山県の事業で竣工と記されていますが、現地竣工記念碑では岡山県の農地開拓事業で『昭和48年完成』と記されています。
これはダムの竣工は1967年で、農地開拓事業全体の竣工が1973年(昭和48年)という解釈でいいのかと思います。
なおダム便覧では河川は吉井川水系川上川になっていますがこれは誤りで、正しくは吉井川水系真船川です。
具体的なダム管理者を確認することはできませんでした。
 
美作市川上の国道429号線から真船川に沿って市道を北に進むと川上ダムに到着します。
写真では分かりづらいですが、下流面の下部3分の1程度は表面に石が葺かれています。
 
右岸の洪水吐導流部。
 
洪水吐導流部に沿って堤体よりも高く盛り立ててあります。
 
右岸から。
 
天端は車道になっておりさらに上流へと続いています。
 
右岸の横越流式洪水吐
一週間前に通過した台風の影響で大量の流木が引っ掛かっています。
 
完成記念碑
碑では昭和47年完成となっています。
 
総貯水容量25万1000立米。
 
上流面はコンクリートで護岸。
 
左岸の斜樋。
 
底樋は確認しませんでした。
 
1877 川上ダム(1387)
ため池コード 332151006
岡山県美作市川上
吉井川水系真船川
25.5メートル
83メートル
274千㎥/274千㎥
管理者未確認
1967年

日古木大池

2017-07-24 02:26:03 | 岡山県
2017年7月15日 日古木大池
 
日古木大池は岡山県赤磐市日古木にある灌漑用アースダムで、ダム便覧によれば1974年(昭和49年)に岡山県の事業で建設されました。
ただ実際の起源は17世紀までさかのぼる歴史のある溜池で、従来あったため池が1974年の事業で改修されダム化となったというのが正しい表現かと思われます。
農水省の資料では池は土地改良区が管理を行っています。
 
山陽インターから県道37号を北上し新下市交差点を右折して県道253号を東進、中島交差点の分岐を左に取れば日古木大池に到着します。
まずは下流から
堤高は15.8メートルと高くはありませんが堤頂長は280メートルありかなり横長の溜池です。
 
堤体を車道が斜行しています。
 
日古木大池は左右両岸に洪水吐があります
こちらは右岸の洪水吐。
 
そのまま車道の下を潜り導流部を流下します。
 
天端はかなり草ぼうぼう
釣り師の車が何台か止まっていましたが写らないように撮影しました。
 
階段式斜樋。
 
総貯水容量42万9000立米と溜池としては比較的大きなサイズです
溜池上流は『岡山ネオポリス』として宅地開発されています。
 
上流面はコンクリートで護岸されていますが草が深くて・・・。
 
こちらは左岸の洪水吐。
 
同じ洪水吐を下流側から撮影。
 
右岸に竣工記念碑があったのですが、なんと撮影を失念するという大失態・・・
 
3493 日古木大池(1070)
ため池コード
岡山県赤磐市日古木
北緯34度46分09秒,東経134度02分04秒
旭川水系官ヶ谷川
15.6メートル
280メートル
429千㎥/421千㎥
管理者未確認
1974年

坂根堰

2017-07-23 23:52:24 | 岡山県
2017年7月15日 坂根堰
 
坂根堰は岡山三大河川のひとつで一級河川である吉井川の河口から上流に17.36キロ地点の岡山県備前市坂根(左岸)、岡山市東区瀬戸町(右岸)にある多目的可動堰です。
吉井川は古来より流域の貴重な水資源となってきた一方でたびたび洪水被害をもたらし、その治水・利水は為政者の至上命題となっていました。
戦後、1960年代後半から建設省は治水面から、農林省は利水面から吉井川下流域での可動堰の事業化を模索、両社の事業を統合して1973年(昭和48年)に着工され、1980年(昭和55年)に竣工したのが坂根堰です。
建設に当たっては堰本堤は農林省が、管理設備工事は建設省が担当しました。
完成後は建設省が直轄管理を行い、現在は国交省中国地方整備局岡山河川事務所が管理操作を行っています。
坂根堰は吉井川の洪水調節、既得取水権への補給及び適正な河川流量の保持、旧坂根堰および吉井堰を統合した6つの農業用水路への灌漑用水の供給、岡山市および周辺市町への上水道用水及び工業用水の供給を目的としています
 
国道2号線備前大橋から吉井川左岸沿いの県道79号線を北上すると坂根堰が見えてきます。
主ゲートは6門のローラーゲートで左右両岸に土砂吐としてフラップゲートがあります。
 
左岸のフラップゲート。
 
左岸の大用水(灌漑用水路の一つ)取水ゲート。
 
左右両岸に魚道があります。
こちらは左岸の魚道。
 
坂根合同堰の銘板
坂根堰は農林省・建設省・岡山県の共同事業で、堰本体は農林省の事業として建設されました。
 
右岸の倉安川用水の取水ゲート。
 
天端は歩行者および自転車のみ通行可能
右手奥は国交省の管理事務所。
 
右岸上流から。
 
ズームアップ。
 
左岸大用水取水ゲートわきには農水事務所があり農林省の竣工記念碑が立っています。
 
1891 坂根堰(1069)
岡山県備前市坂根
北緯34度44分07秒,東経134度06分18秒
吉井川水系吉井川
FNAWI
MB
4.9メートル
279.2メートル
2200千㎥/1600千㎥
国交省中国地方整備局
1980年

同道大池

2017-07-21 15:19:33 | 岡山県
2017年7月15日 同道大池
 
同道大池は岡山県備前市鶴海にある灌漑用アースダムで、1924年(大正13年)に当時の備前町の事業により建設されました。
その後1994年(平成6年)に岡山県の溜池等整備事業で改修され現在に至っています。
池の管理は受益者など関係者で構成される鶴海水利委員会が行っています。
 
岡山ブルーラインの片上大橋を渡り鶴海インターから県道を西進、鶴海交差点を右折して北上すると同道大池に到着します。
同道大池直下にも小さな溜池がありその天端から撮影
堤体中央を車道が横断しています。
 
 
右岸堤体直下の洪水吐減勢工
秋冬ならもっとよく見えるんでしょうけど・・・。
 
左岸から
堤体は緩やかに湾曲、上流面はコンクリートで護岸されています。
 
天端
轍がありますが対岸で行きどまり。
 
 
下流の眺め
すぐ下にも溜池があります。
 
総貯水容量16万5000立米の貯水池。
 
堤体上流面2か所に階段式斜樋があります。
 
右岸の洪水吐。
 
洪水吐そばにある2基の記念碑
左手が大正13年の竣工記念碑、右手の小さいのが平成6年の改修工事記念碑。
 
1845 同道大池(1068)
岡山県備前市鶴海
北緯34度42分35秒,東経134度11分01秒
堂々川水系堂々川
23.3メートル
171メートル
165千㎥/165千㎥
鶴海水利委員会 
1924年

昭和池

2017-05-10 17:36:45 | 岡山県
2017年5月5日 昭和池
 
岡山県井原市吉井町には堤高15メートルの灌漑用溜池が4基並んでいますが、そのうち一番南にあるのが昭和池です。
泉谷池、大正池、天神山池については昨年12月に訪問した際に見学することができましたが、昭和池についてはアプローチが分からず断念、今回無事に到着することができました。
昭和の名が示すように1938年(昭和13年)に竣工し、他の3基の溜池ともども西吉井水利組合が管理を行っています。
 
芳井町吉井のフジモト工業の工場わきから山に登って行く市道を西進、三叉路手前右手の林道を進むと昭和池に到着します。
今回は三叉路の先にある路肩に車を止め、ダートの林道を約800メートル歩いて昭和池に至りました。
 
下流面 堤高15メートルあるかな?
ちょうど地元の男性が山菜採りされており、昭和池や周辺の農業についていろいろ話を伺うことができました。
 
天端
天端と下流面は毎年秋の収穫後に刈り払いを行うそうです。
 
上流面は石組で補強されています。
 
左岸にある竣工記念碑と水神の祠。
毎年田植え前に受益者が集まり水神様を祭るそうで、今年はつい先日その行事があったばかりとのこと。
 
左岸の斜樋の機械室。
 
斜樋
ちょうど田植え時期ということで毎日朝夕水番の方がバブルの開閉を行うそうです。
 
貯水量1万9000立米と小さなため池ですが、受益者にとってはいまだに貴重な水源です。
 
水路は近年改修されたばかり。
取水設備からの導水路がここで地上に出ます。
 
全国で9基の『昭和池』が堤高15メートル以上のダムとしてダム便覧に掲載され、うち3基が岡山県に存在します。
新見市と津山市の昭和池は4月に訪問済みで今回で岡山県の昭和池はすべて訪問しました。
この日はこの後広島県東広島市にある昭和池にも行く予定です。
 
3516 昭和池(0963)
ため池コード
岡山県井原市芳井町天神山
北緯度分秒,東経度分秒
DamMaps
高梁川水系小田川
15メートル
46メートル
千㎥/千㎥
西吉井水利組合
1938年


鬼ヶ岳ダム

2017-05-10 16:04:01 | 岡山県
2017年5月5日 鬼ヶ岳ダム
 
鬼ヶ岳ダムは岡山県小田郡矢掛町の高梁川水系小田川左支流美山川源流部にある防災・灌漑目的の重力式コンクリートダムで1969年(昭和44年)に竣工しました。
運用開始後は矢掛町が受託管理を行っています。
美山川沿いの渓谷は紅葉の名所でダムの直下の鬼ヶ嶽は国指定の名勝にもなっており紅葉シーズンにはそこそこの人出があるようです。
また鬼という地名から桃太郎伝説の鬼が島とされることもあるようです。
 
矢掛町中心部から県道35号をひたすら北上すると鬼ヶ岳ダムに到着します。
まずはダム直下へ。
クレストには3門のローラーゲート、コンジットが2門あります。
 
田植えシーズンということでちょっと多めに放流が行われています。
 
右岸の管理事務所。
 
天端は車両通行可能
ピアには管理橋が設置されています。
 
天端から減勢工。
 
上から見ると角が2本生えた赤鬼みたい!
 
ゲート部分だけクランクになっています。
 
貯水容量141万4000立米と見た目よりも大きな貯水池。
 
インクラインはなく左岸に浮き桟橋とボート。
 
上流から
赤いゲートが目立ちます。
 
(追記)
鬼ヶ岳ダムには農地防災容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。
 
1883 鬼ヶ岳ダム(0962)
岡山県小田郡矢掛町上高末
北緯度分秒,東経度分秒
DamMaps
高梁川水系美山川
FA
39メートル
96メートル
千㎥/千㎥
矢掛町
1969年
◎治水協定が締結されたダム


大正池

2017-05-10 14:53:53 | 岡山県
2017年5月5日 大正池
 
大正池は岡山県総社市山田にある灌漑および防災目的のアースダムです。
1924年(大正13年)に竣工し、その後2002年(平成14年)にかけて岡山県の農地防災事業で改修が行われ現在の姿になりました。
現在は総社市が管理を行っています。
 
大正池は県道54号沿いにありアプローチは簡単、池の左岸にスペースがあるのでここに車を止めて見学します。
下流面は犬走りを挟んで3段になっています。
 
大正池の概要図
2002年(平成14年)の整備によるものです。
 
整備によって撤去された設備の一部が展示されています
手前は水止めの角落し 奥は石樋と鋼管。
 
天端。
 
上流面
写真ではよくわかりませんが表面は石で補強されています。
 
左岸の斜樋。
 
右岸の洪水吐。
 
総貯水容量27万1000立米の貯水池。
 
下流面も表面は石が葺かれています。
 
洪水吐。
 
洪水吐導流部。
 
全国には9基の大正池が堤高15メートル以上のダムとしてダム便覧に掲載され、うち3基が岡山県にあります。
今回の総社市の大正池訪問により岡山県の大正池はすべて訪問したことになります。
 
1843 大正池(0961)
ため池コード
岡山県総社市山田
北緯度分秒,東経度分秒
DamMaps
高梁川水系山田川
FA
24メートル
120メートル
千㎥/千㎥
総社市
1924年


陶奥池

2017-05-10 13:51:00 | 岡山県
2017年5月5日 陶奥池
 
陶奥で『すえおく』と読みます。
陶奥池は岡山県倉敷市玉島陶にある灌漑および防災目的のアースダムです。
もともとここには上池、下池という2基の重ね池がありましたが、1993年(平成5年)に農水省の補助を受けた岡山県の防災ダム事業により竣工したのが陶奥池です。
 
玉島インターから県道54号を北上し、大規模農道『備南街道』を左折、さらに陶奥地区を示す標識に従って右折して集落を抜けると正面に陶奥池の堤体が見えてきます。
 
左岸の洪水吐導流部
手前の建物は利水放流設備でしょうか?
 
取水設備からの底樋吐口。
 
天端は車道
とんがり帽子のおしゃれな管理所が目立ちます。
 
総貯水容量21万8000立米
もともと2基あった重ね池を統合してできた貯水池です。
 
陶奥の集落。
 
左岸の洪水吐。
 
 
洪水吐導流部。
 
上流面はコンクリートで補強
早朝から釣り糸を垂れる方2名。
 
周辺の丘陵地には岡山名物のブドウ畑が広がりますが、こちらは高梁川から農業用水の供給を受けているようです。
 
3174 陶奥池(0960)
ため池コード
岡山県倉敷市玉島陶
北緯度分秒,東経度分秒
DamMaps
高梁川水系小田川
FA
22.5メートル
136.2メートル
千㎥/千㎥
管理者未確認
1993年


小原池

2017-05-10 13:02:47 | 岡山県
2017年5月5日 小原池
 
小原池は岡山県倉敷市児島町にある灌漑用溜池でダム便覧によれば1934年(昭和9年)、農水省の資料では1935年(昭和10年)に竣工しました。
ダム便覧ではダム事業者は土地改良区となっていますが、戦前に土地改良区はありませんのでこれは戦後の改修時の事業者ではないかと思われます。
農水省の資料では現在は倉敷市が管理を行っています。
 
水島インターから県道21号を南下し、稗田南交差点をそのまま直進、柳田西側口交差点を右折し狭い県道を進むと小原池に到着します。
倉敷市児島町といえばジーンズで有名な町ですが、下流面は何となくビンテージもののデニムのように見えないこともないような・・・。
 
天端
集落が近いせいか貯水池側には転落防止用の柵が設けられています。
 
貯水容量4万7000立米の小さな貯水池。
 
溜池の直下には小さな田畑が数面、その下流はすぐに集落となります。
 
上流面中央部にある池栓。
 
上流面はコンクリートで補強されています。
 
右岸の洪水吐。
 
 
洪水吐に架かる管理橋
これは右岸の山上に立つ電源開発の送電線鉄塔への巡視路用の橋です。
 
天端左岸にある石仏2体。
 
1859 小原池(0959)
ため池コード
岡山県倉敷市児島柳田町
北緯度分秒,東経度分秒
DamMaps
倉敷川水系小田川
15メートル
74メートル
千㎥/千㎥
管理者未確認
1934年

苫田ダム

2017-04-21 14:29:55 | 岡山県
2017年4月3日 苫田ダム 
 
岡山三大河川のひとつ吉井川流域では1945年(昭和20年)の枕崎台風を始め豪雨のたびに洪水被害が発生し、抜本的な洪水対策が求められていました。一方で少雨による渇水被害も頻発し水不足が深刻な問題となっていました。
これを受け岡山県は1953年(昭和28年)に吉井川総合開発事業を策定し吉井川上流部に多目的ダムの建設を計画します。事業は1963年(昭和38年)に建設省に移管されますが、ダム建設予定地が苫田村、合併後の奥津町の中心部だったことから激しい反対運動が展開されダム建設はこう着を続けました。
構想から42年後の1999年(平成11年)にようやく着工にこじつけ2004年(平成16年)に岡山県初の国交省直轄ダムとして竣工したのが苫田ダムです。
 
苫田ダムは8410万立米と岡山県第3位の貯水容量を誇り吉井川の洪水調節、慣行水利権分の用水補給と安定した河川流量の維持、岡山県南西部への最大40万トンの上水道用水供給、吉井川沿岸の約243ヘクタールの農地への灌漑用水補給、吉井川下流の工場への日量8500トンの工業用水供給を目的とするほか、岡山県企業局苫田発電所で最大4600キロワットの発電を、さらに苫田発電所から2094メートルの導水路で中国電力入発電所に水が送られ最大1600キロワットの発電を行っています。
建設に際しては激しい反対運動が巻き起こった苫田ダムですが、2005年(平成17年)6月に岡山県全土で発生した異常渇水による取水制限や、翌2006年(平成18年)7月の梅雨前線による集中豪雨でも吉井川流域では大きな被害は発生せずこれらは苫田ダム運用の効果とされています。
 
国道179号線に苫田ダムへの案内板がありこれに従い、塚谷交差点で左手の旧国道を進むとダムの下流に到着します。
融雪期でダムへの流入量が増えておりオリフィスから放流が行われています。
すっきりした天端のせいか堤高74メートルには見えず威圧感も感じません。
 
ゲートをズームアップ。
 
ダム右岸にある仮排水路。
 
塚谷交差点まで戻り管理事務所への道を進むと堤体左岸上流に出ます。
クレストの非常用洪水吐は日本の重力式コンクリートダムとしては初めてラビリンス自由越流頂が採用されています。
 
ズームアップ
左は取水設備、その右にオリフィス2門、コンジット2門の予備ゲートが並びます。
 
ラビリンス越流頂。
 
 
 
天端は車両通行可能。
 
オリフィス放流を真上から
減勢工左手は苫田発電所。
 
アングルを変えて。
 
オリフィスゲートは日本で2番目に採用された引っ張りラジアルゲート
見学室からオリフィスゲートを至近で見ることができます。
 
左岸から下流面
対岸に管理事務所があります。
 
構想から完成まで半世紀近くの時間がかかった苫田ダムですが、建設に際しては最新技術が導入されました。
引っ張りラジアルゲートの採用ですっきりした天端、ラビリンス越流頂の採用で独特の形状となっているクレストゲート、オールドダムとは全く異なる側面で日本の100ダムに採用されたのが納得できる苫田ダムです。
 
(追記)
苫田ダムには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。
 
1909 苫田ダム(0958)
岡山県苫田郡鏡野町久田下原
北緯度分秒,東経度分秒
DamMaps
吉井川水系吉井川
FNAWIP
74メートル
225メートル
㎥/㎥
国交省中国地方整備局
2004年
◎治水協定が締結されたダム